世界の車博覧会
4話
昨日は別れ際にいくつか念を押された。
夜で突然の事だから部屋が今は用意できないので、六課の待合室で寝て欲しいとか。
フェイトさんのTはテスタロッサだから忘れるなとか。
なのはさんに迷惑かけたら、八神とフェイトさんでダブルブレイカーとか。
むしろ私がスターライトブレイカーだとか。
自業自得だとしても、もう自分の境遇に泣いてもいいと思うんだ。
そんなこんなで待合室のソファーで寝ていた俺。
ガチガチになった体を伸ばして、起き上がる。
笑顔の魔王が、そこにいた。
「おはよう、お稲荷さん!」
「えと……おはよう」
「今日は私の使い魔になったって事をみんなに知らせるから!
ついでに今から私が教導してるみんなもトレーニングに入るから、お稲荷さんも参加だよ!」
「はい……ん? 何だって?」
「スターズ隊っていうんだけどね、みんな熱心に私の教導を受けてくれるんだ。
だからお稲荷さんも一緒に頑張ろう?」
あ、お腹が痛いのでトイレ行ってきます。
その後には狐と油揚げの関連性について脳内会議を開かないといけないので、どうぞ俺は気にしないでやってくださ……
なのはさん、アイアンクローは痛いです。
「黙って来なさい」
「はい」
○ ● ○ ● ○ ●
あぁ懐かしの訓練室。
もう二度と来るものかと思っていたのに。
ここが俺の墓場になるんですね分かります。
骨が残ればいいが。
「みんなー! 集合!」
現実逃避をしていたらなのはさんがなにやら集合をかけていた。
今、彼女の前には4人のチビッ子。
男女比が1:3か……
少年よ、強く生きろ。
「注目。
彼は昨日付で私の使い魔になりました、稲荷です。
今日は顔合わせと軽い訓練をしてもらうために連れてきました。
お稲荷さん、この子達が私達の隊のメンバーです。
オレンジ色の髪の子がティアナ・ランスター。
青色の子がスバル・ナカジマ。
2人が、私が隊長をしてるスターズ分隊だよ!」
「なのはさんの使い魔、ね。よろしく」
「お願いしまーす!!」
「で、こっちの2人がフェイトちゃんが隊長をしてるライトニング分隊のメンバー。
赤髪の子がエリオ・モンディアル。
ピンクの髪の子が、キャロ・ル・ルシエ。
みんな、仲良くやってね!」
「よろしくお願いします!!」
「あ、えと、お願いします」
うん。覚えらんね。
「よろしくカラフルチビッ子達。
よく分からない内に使い魔になりました。
迷惑が掛かったらダブルブレイカーかスターライトブレイカーってやつが飛んで来るらしいので、骨が残ってたら拾ってやってください。
後、名前が覚えられんのだけど。
ティアナさん、だっけ?」
「さんはいらないけどね」
「ふむ。なんか兄妹にティーダとかいそうだな」
「っ!? あんた、知ってるの!?」
「え、日産だろ?」
「えぇ、自慢の兄さんよ」
なんか発音は同じ感じなのに会話が噛み合ってない気がする。
まぁ深くは突付くまい。
「で……スバルだっけ、ギンガだっけ」
「ギンガは私の姉さんですよ!?
私はスバルです!!
てかなんで知ってるんですか!?」
「そうなんか?
どっちも宇宙的な名前だから別にいいだろ
中島繋がりでみゆきも引き入れて地上のスターズ分隊に改名しとけ」
なのはさん、だからアイアンクロー痛いです。
というか意味が分かるあなたに驚きです。
さて、最後二人が微妙なのだが。
「キャロ・ヲ・モンデヤルだっけ?」
「合体してる上に僕変態になってるんですが……キャロはこっちです。
後、もみません」
「もまないの?」
「もまないよ!?」
ふむ、ライトニングの2人は仲がよろしいようで。
そっちがキャロね。
で、君がマリオ?
「エリオです!!」
だよな、ヤツはもっと鼻がでかい。
まぁ名前は、生きていたら覚えておこう。
もうすぐ俺の処刑が始まるから。
あれ、昨日もなかったっけ。
「じゃあ朝は、いつものメニューをやろうか!
お稲荷さんは向こうで私と訓練しましょう」
みんな、俺はこれから死地に赴く。
最期にこの尻尾に触りたい者は居ないか?
…………5人に馬乗りにされた。
なのはさん、あなたもですか。
○ ● ○ ● ○ ●
「お稲荷さんはあの子達の訓練が一息つくまで、私の攻撃から逃げきってね」
いきなり要求がルナティック過ぎる。
まずは身体能力の把握からが基本じゃないのだろうか。
ん? なに?
お稲荷さんは私が見てないとサボる?
何故ばれたし。
「じゃあ行くよ〜!! セットアップ!!」
白い服、白いスカートに身を包んで空に舞うなのはさん。
スカートで空を飛ぶなよ、丸見えじゃないか。
けどそれを言うほど俺は愚かではない。
しっかりとなのはさんの攻撃に構える。
「できるだけ長く避けてね!」
そう言って自身の周りにピンク色の弾幕を展開。
少しずつタイミングをズラして、それぞれの弾が俺に迫る、迫る。
非殺傷設定ってやつと言えど怖い。
全力で避ける。
ビルに埋まる。
すぐ抜けだすがそこまで次の弾が迫っている。
避ける。
埋まる。
出る。
避ける。
埋まる。
泣く。
「何で全身真っ白なのに弾だけピンクなんだよ!?
中身真っ黒じゃないか!!
詐欺だ詐欺、中も白じゃなく黒にしとけよ!!」
ピンクの光の奔流にのまれました。
何か……デジャ………ヴ…………
「という夢を見たんだ」
「現実なの」
俺はさっき魔法……魔砲?を受けたところで寝転んでいた。
周りが爆撃の後かと言えるほど悲惨なことになっている。
でも、一番重要なのは。
「俺、生きてる……!!」
「非殺傷設定だから当然だよ?」
それでもこの喜びを感じずにはいられない。
俺は今日も生き延びることができたんだ……!
感動のあまり涙がこぼれそうになるが、頑張ってこらえる。
さて、じゃあ子供たちの所にでも行きましょうや。
立ち上がる俺。
肩をガッと掴まれる。
なんでせう?
「まだ始まってから時間は全然経ってないよ?
少しやっただけで攻撃受けてのびちゃったんだもん。
立てるくらい元気があるみたいだし、まだまだ時間はあるからどんどんいくよー!!」
地獄の宴が、始まった。
「私、こんなに他人に同情したの初めてかも。
あ、また爆撃音」
「稲荷さん……私のご飯、分けてあげようかなぁ……」
「でも動きは凄く速い……僕もあのくらい動けたら……
あ、埋まった」
「フリードが怖がって動かない……」
— 訓練を眺めていた隊員たちのセリフより一部抜粋 —
PV数を知る方法が初めて分かったとです。
三日で4000PVと700ユニークは普通なのか。
基準が分からない。
1回の戦闘を数分で終わらせる程度の能力
改:行間・シーン転換を後の話と統一化。
漢数字を訂正。