屋根の上での奇行文。
6話
リインを箱から救出したら、今度こそなのはさんが飛び降りた。
あれって人形じゃなかったんだね。
リインが何か色々騒いでいるが気にしない。
窓から外の光景を眺めてみる。
ピンクの光を纏ったなのはさんと、別の所から飛んできた黄色い光を纏った……あれはフェイトさんか? が高速で飛行している。
2人して敵を殲滅しているが……戦闘機を生身で撃墜するとかどこの生きたバグキャラだよ。
あの2人だけで自衛隊くらいなら壊滅に追い込めるんじゃなかろうか。
「さぁて新人共。
隊長さん達が空を抑えてくれている間に、安全無事に降下ポイントに到着だ。
準備はいいか!!」
「はい!!」
おっと、呆けてたらいつの間にやらこちらの出撃時間がやってきたようだ。
スバルとティアナが、スターズスリー・スターズフォーって叫びながら落ちていった。
OLが着てる感じのミニスカスーツでスカイダイビングがシュールでならないが、それより気になるのは……
何故、真っ裸?
「次、ライトニング!!
チビ共、気ぃつけてな!!」
「はい!!」
「稲荷、お前もいいか?」
「よくない」
「行かないと、なのはさん怒るぞ……?」
「フォックスワン、稲荷、いっきまーす!!」
狐だからフォックス。
今、命名。
同時に飛び降りているエリオとキャロ。
あ、エリオは真っ裸にならないんだね。
まぁ男の裸見ても……ってヤツか。
でもキャロは裸になった。
今度訓練の時にでもデジカメ持って行こっと。
○ ● ○ ● ○ ●
リニアレールの屋根に乗ると、リインがみんなの衣服について語っていた。
それぞれの隊長のを参考に作ったらしい。
みんなカッコイイね。
主人公みたい。
俺?
大きめのTシャツと、飛び職の人が履いてるようなダボダボのズボン。
いやぁ、大きい服って楽でいいんだわ。
九尾だから和服もいいなぁって思ったんだけど、ここ和服ないみたいだし。
「っ!? スバル、感激は後!!」
ティアナが叫んだかと思ったら、リニアレールの屋根からレーザーが出てきて俺の尻尾を掠っていった。
何するし。
ビビってたらスバルが全部倒してくれた。
最近のインラインローラーは凄いと感じた瞬間である。
敵を殲滅したら、ティアナとスバルは前方車両に向かって走っていった。
「稲荷さん、僕たちはこっちから行きますよ!!」
「行ってらっしゃい」
分かった分かったからその槍みたいなの突きつけないで。
渋々ながら、エリオとキャロについていくことになった。
段々エリオも俺に対する扱いが酷くなってきたね。
俺に安息の地はないのか。
てか速いよエリオもキャロも、移動するの。
俺パンピーなんだから。
1人で居るとか死亡フラグだから。
置いて行かないでよ。
「あぁ、願わくば、俺の前には敵が出てきませんよーに!!」
そう思っていたのに。
突如後ろから、さっき屋根の上で見たのと同じレーザーが飛んできた。
振り返る。
「……なんぞこれ」
目の前には、楕円のフォルムの横から触手……コード? を生やした物体が浮いていた。
うねうね動いていたコードをこちらに向けてくる。
気持ち悪いので右パンチで破壊する。
同じ物体が2体現れた。
右パンチで破壊する。
今度は4体現れた。
何とか右パンチで破壊する。
更に8体現れた。
助けて。
「エリオ————!!
キャロ—————!!
へるぷみ————————!!!」
後ろに向けて全力前進。
因みにここであの瞬間移動チックなスピードを出したら間違いなくリニアレールから落ちて谷底コースなので、常人の全力レベル。
俺も成長したものだ、うむ。
自己満足しているとレーザーが頬を掠めた。
うん、死ぬ。
2両先にキャロがいた。
目の前の大穴を覗き込んでいる。
エリオは?
まぁいいや。
「よかった!!
キャロ、追われている。
助けてくれ」
「考えたこともなかった……
私の前には、いつも、私がいちゃいけない場所があって……」
「絶賛回想中!?」
俺、詰んだ。
そう思っていたら、どこからかエリオの雄叫びが聞こえた。
来た、救世主来た!!
さっき遠目から見てたが、エリオはこいつらをボコボコにしていたはず。
ならば俺の後ろにいる20体くらい、余裕で捌けるだろう。
てかいつの間に増えたし。
エリオの声が聞こえてきた部分の屋根が盛り上がる。
勝利を確信した俺は、振り返って高らかに宣言する。
「ハッハッハ!
かかったな、ダンゴムシもどき共!!
これが我が『逃走経路』だ……貴様らはこの稲荷との知恵比べに負けたのだッ!!」
そして屋根を突き破り、出現する。
太い何かに捕まったエリオが。
そのまま谷底へと放り投げられる。
同時に出てくるダンゴムシもどきの親玉らしき……例えるならボムキングみたいなヤツ。
あるぇ?
「エ、エリオく—————————ん!!!」
キャロも谷底に身投げした。
辺りに聞こえるのは風の音だけ。
その場にいるのは、20体のダンゴムシと1体のボムキング。
そして俺。
「あるぇ?」
○ ● ○ ● ○ ●
「フハハハハハハッ!!」
こういう時、どうすればいいか分からないって脳内に問いかけたら、笑えばいいと思うよって言われたんだ。
キャロが身投げしてから3分は敵の足止めをしている。
だがそろそろ俺も限界やもしれん。
どうやって足止めしてるかって?
さっきキャロが覗いていた大穴に落ちないように、列車の縦を使って反復横跳び。
しかもなりふり構っていられないので、瞬間移動の変態チックな反復横跳び。
移動中は速くて見えない。
けど左・中・右では一度足を止めている。
故に3人に見える。
そして移動しながら笑っているため声はサラウンドに聞こえる。
これがリアルに質量を持った残像だよ。
ヤツらは俺が恐ろしいのか、攻撃するのを躊躇っているようだ。
なんか『お前行けよ……』『やだよ、お前いけよ……』的な行動をしているのは気のせい。
「グオォォォォォォオオオオ!!」
突如、辺りに凄まじい咆哮が響く。
なんぞ? と声のした方を見ると、ドラゴンに乗ったキャロとエリオがいた。
無事だったかチビッ子共!!
これで勝つる!!
……で、そのドラゴンはどちら様?
「優しい人を……私に笑いかけてくれる人達を……
自分の力で……守りたいから……!!」
何かキャロが語りだした。
それと同時に、ドラゴンの口に巨大な火の玉が形成される。
お、俺はキャロに笑いかけた事あるよね……?
「フリード!
ブラストレイ!!」
ねぇ、聞いてよ、俺って優しいでしょ?
それにキャロに笑いかけた事もあるよね?
笑いかけたら守ってくれるんだよね!?
ちょ、おま、まっ…………
「ファイア!!!」
「アッ————————————!!」
火の玉に吹っ飛ばされる。
俺の叫び声は、周りにいたダンゴムシ共の爆発音にかき消された。
こんな役回りばっかりだね、俺。
だが、今の一撃でダンゴムシ共は壊滅したようだ。
あのボムキングの姿も見当たらない。
だからと言って、これはないでしょう?
滝のような涙を流していると、地面が動いた。
なんぞ?
「一閃必中!!」
エリオがこちらに向かってくる。
そこで気づいたのだが、どうやら俺は何かに乗っているようだ。
やな予感がして、下を見てみると。
案の定、ボムキング様に乗っていたようで。
「あ、ちょっと待ってね、今降りるから」
「うぁぁああああ!!」
エリオが俺の言葉を無視して槍でボムキングを貫く。
貫通した槍の先は、降りようとしていた俺の股の位置から生えてきた。
何をとち狂ったのか、そのまま上に斬り上げてくる。
まてまてまてまてそれはまずい!!
慌てて対なのはさん砲撃用気合防御を試みる。
なのはさんの砲撃を6分間耐え切った時に身につけた技だ。
腹に力を入れて我慢するとも言う。
「うぉぉぉぉぉおおおお!!」
「ノォォォォォォオオオ!!」
ボムキングを切り裂いた。
エリオは離れた位置で、勝利のポーズをとっている。
俺はと言えば、ボムキングの上で悲鳴を上げることもなく切なくなっている。
まぁ……息子を両断されるのを防いだだけでもよしとするか。
なんてポジティブに考えていたら、乗っていたボムキングが爆発した。
またもや俺の悲鳴は、爆発音にかき消された。
もうやめて俺のライフは0よ!!
「レリックも無事回収できたし、帰還しよっか!」
「はい!!」
「あの、なのはさん……」
「エリオ?
どうしたの?」
「稲荷さんは、どうしたんでしょう?
途中ではぐれてしまって……」
「ねぇ、もしかして……」
「ティア、知ってるの?」
「あそこで股間抑えながら炭化してるのって……」
「あ…………」
珍しく奮闘。
しかし報われない。
ユニークが7日で1300いっていた。
でも週間アクセスは700だった。
何故騙したし。
あ、閲覧ありがとうございました。
漢数字を違和感がない程度に数字に訂正。
読み返してて、見辛い罠。