秘境撮影奇行文。
7話
「今回、はやてちゃんから報告されていたガジェットの数は30体だったのに実際はそれ以上のガジェットが確認されました。
でも、イレギュラーのガジェットのほとんどをお稲荷さんが引き連れてくれたおかげでティアナとスバルには被害がいかず、エリオとキャロも新型の対応に専念することが出来ました。
ありがとうね、お稲荷さん」
炭化から回復して今は帰りのヘリの中。
とりあえずエリオのお稲荷さんを仕返しに握っておいた。
ざまぁ。
そしてその後、なのはさんからの評価を受けることに。
初めて褒められた。
何もしてなかったのに。
けど何故正座?
「これが今回の部隊長としての評価。
そしてこれからが私個人の評価なんだけど……
私の使い魔をやってるのに、撃墜数が7機。
ちょーっと少ないんじゃないかな?」
頭に手を置かれる。
なるほどナデポですね分かります。
でも指に力をいれるのはやめてください。
てかあの、笑顔なのに目が笑ってませんが。
「自主練、ちゃんとしてねって言ったよね?
見せてもらってはいないけど、いくつか技もできたって言ってたよね?」
「いや……1つはあの反復横跳びって言いますか……
今命名するなら『幻視「質量を持った残像」』と言いますか……
妖力を使った技は集中しないと出来ないからとっさに使えないと言いますか……
てかチビッ子達、たしけて」
ギシギシ言いつつある俺の頭。
自慢の耳も尻尾も力なく垂れ下がっていく。
救援を出すも、4人は揃って首を横に振る。
四面楚歌って言葉の意味を体験できた瞬間だった。
「せめて私の3分の2くらいは撃墜できるくらいにならないと」
「生きたバグキャラに追いつくとか馬鹿なの? 死ぬの? 頭が痛いのォォォオ!?」
なのはさん、あなた握力いくつよ。
りんご握りつぶせるんじゃね?
「これからはフォワード陣を集中的に見る予定だったけど、変更ね。
お稲荷さんもみんなの訓練に参加。
拒否は認めないの」
真っ白に燃え尽きた。
○ ● ○ ● ○ ●
地獄の日々が、再開された。
嘘だと言ってよバーニィ。
しかも初任務の翌日から訓練開始とか鬼畜過ぎる。
現実を受け止められず、スネーク並のスニーキングにて脱出を図っていたのにあっさりとバレて訓練室へ連行された。
ダンボールではステルスに限界があったようである。
「何故バレたし」
「尻尾の生えたダンボールなんて聞いたこと無いよ」
けど尻尾に罪はない。
「て訳で、今日からまたビシバシやるから覚悟しとけよ!」
今日の訓練室は無人島風味。
木々が多くて心が癒されます。
そして先程からチビッ子達に喝を入れているこの新キャラ。
誰よあんた。
「お稲荷さん、この子はヴィータちゃん。
スターズの副隊長をやってます。
こう見えても、夜天の書っていう魔道書を長い間守ってきた歴戦の騎士なんだよ」
「……長い間?」
どう見ても年齢が二桁に達するかどうかに見えるんだが。
「こんななりでも、あんたよりは年上だよ。
魔道書と一緒に、長い年月を過ごしてきたからな」
「エターナル……ロリータ……だと……?」
「よし、お前アイゼンの頑固な汚れにするわ」
稲荷 は 逃げ出した。
しかしまわりこまれてしまった。
捕まってボコボコにされた後になのはさんとティアナと一緒に訓練することになった。
始まる前から既に瀕死とかなんてムリゲー。
「じゃあ今回の訓練だけど。
ティアナは、私が撃つ魔法をその場を動かず撃ち落とす。
私やティアナの役割であるセンターガードは、誰よりも速く中長距離を制する事。
そのためには動きまわらず、じっと堪えて周りをよく観察する。
丁度、今ティアナと話しているのをいいことに逃げ出そうとするお稲荷さんを見逃さないようにする感じに、ね?」
「イ゛ェアアアアア」
「そしてティアナのスキルは射撃だから、下手に動いて狙いを外すよりも動かないほうが精密な射撃ができる。
だから、出来る限りその場に留まって私の魔法を撃ち落としてみて」
「はい!!」
「お稲荷さんは、私に編み出したっていう技を使ってみて。
一撃でも私に当てれたら、今日は見逃してあげる」
「合格じゃなく見逃すって所で不穏な感じがするのですが」
「じゃあ、始めようか」
○ ● ○ ● ○ ●
ティアナは上手に、なのはさんの魔法弾を撃ち落としている。
すごいね、のび太くん並のスキルじゃないかしら。
そしてティアナに意識が集中している今こそ絶好のチャンス。
Act 1
「行くぜなのはさん! 『幻視「質量を持った残像』 」
かのダンゴムシとボムキングもといガジェット達を翻弄したこの技。
全力で横跳び回避より、止まる位置があるので本当の全力でやっても大丈夫な分身の術。
さぁ、この技、貴様に見切れるkグッハァァァアア!?
「高速移動で反復横跳びしてるなら、別に当てなくても移動する予定の場所に攻撃を放てば自分から当たってくれるの」
Act 2
「狐ならやっぱりこれだろう!! 『幻覚「狐火」』 」
俺の周りに出現する50以上の鬼火達。
妖力を燃やせないかなぁとイメージしまくってたら出来ました。
汎用性高いね、妖力。
よく魔法とかそういった類のものはイメージが大切って聞くけど、本当のようだ。
さぁ、なのはさん。
この視界を覆う炎の嵐。
避けきれるか?
「なっ!?
……あれ、熱くない?」
50を超える炎弾はしっかりしっかりなのはさんに着弾し、火柱を上げた。
なのはさんはいきなりまともな技を使ってきた事に驚き、防御が遅れたようだ。
でも聞こえるのは、疑問の声。
それもそのはず。
「狐火って鬼火とも言われてるらしくてさ。
鬼火って熱いのもあるけど、そうじゃないのもあるらしいんだよ」
「ふぅん……つまり?」
「幻覚なのらー」
弾幕でボコボコにされた。
最初に『幻覚』って言ったじゃないか。
Act 3
「狐や狸は変化の術が得意らしいぜ。
てな訳で狐版の変化の術を見せてやる。
狸版は八神に頼んでね。
『変化「狐の尻尾太刀」』 」
某獣の槍に出てきた九尾のお仲間が使っていた、尻尾の1本が大量の剣になるやつ。
憧れていたので、実際にできた時には喜びました。
でもあんなに剣でいっぱいにしたら他の尻尾が切り刻まれるので、毛を一本だけ抜いての変化。
手に現れたものは刀身が1m程ある大太刀。
ヤベ、今俺最高にカッコよくないか?
「お稲荷さん、それ……質量兵器?」
「質量……なんだって?」
「誰が使っても、例えば、私やティアナが使ってもお稲荷さんが使うのと同じ効果な刀なのかな?」
「剣道初心者な俺が使って切れる刀なのに、なのはさん達が使って切れない訳がなかろう」
「没収」
「なして!?」
Act 4
「これは使いたくなかった諸刃の剣だが……今までの技が通用しないなら仕方ない。
下手すれば俺は再起不能になるだろう。
だが、それでも俺はやってみせる!」
「ちょ、そんな危険な技使っちゃダメ!!」
「だが断る! 『妙技「知られざる秘境」』 」
セリフと同時になのはさんの視界から消える俺。
いや、実際はフェイトさん戦の時に使った神速なんだけどね。
後で実験したら、どうもあの時の死にそうな程の痛みは長時間使用してしまったが為に起こったものであって。
数秒程度なら、俺のロースペック頭脳でもあまり負担が無いことが判明。
で、素早くなのはさんの足元に移動。
神速を一旦解く。
「足元がお留守だぜ」
「っ!?」
今、なのはさんは俺を警戒して、大股を開いてどっしり地面に立って構えている状態。
その足の間に俺が仰向けに寝そべっている。
上に向ける手の中には、通信機。
なんとこの通信機、携帯みたいにカメラ機能ついてたんだぜ?
もう分かったよな、『知られざる秘境』の全貌。
そぉい、富竹フラッシュ!!
そこでもう一度神速を発動。
危険区域から抜け出す。
ここからが、この技の真骨頂。
「さぁ、なのはさん。
貴女の知られざる秘境が、この送信ボタンを押すだけでヴァイスに送信される。
嫌ならば抵抗はやめて敗北を宣言してもらおうか」
「…………」
ヴァイスのアドレスいつ知ったかって?
ヘリの中でな。
意外とウマがあったので。
「さぁ、どうすr」
ジュッって音が聞こえた気がした。
○ ● ○ ● ○ ●
意識が戻って周りを見ると、俺の後ろから先が一直線に消し飛んでいた。
よく生きてるな、俺。
因みに近くに落ちていた通信機には、先程のデータが削除されていたばかりではなくカメラ機能までもが壊されていた。
マイガッ!
これでみんなの変身シーンの真っ裸を撮る予定だったのに。
「あ、お稲荷さん起きた?」
そこには、先ほど一緒に訓練していたなのはさんとティアナだけじゃなく、エリオとキャロ、フェイトさんとエターナルロリータもいた。
何事?
「お稲荷さんも起きたし、お昼になったから午前の訓練は終了。
みんな、ご飯にしようか」
ボロボロで座り込んでいるチビッコ達から歓声。
なるほど、飯か。
しかしよっぽど辛かったのだろう、へたりこんでみんな動かない。
俺もある意味辛かったけどさ。
仕方が無いのでもう少し休んでから移動になった。
「個別スキルに移ると、ちょっときついでしょ?」
「ちょっとと……言うか……」
「その……かなり……」
なのはさんの問いかけに息も絶え絶えに答えるティアナとエリオ。
でも、くれぐれも無茶はしないようにとのお達しがフェイトさんからあった。
「なのはさん、無茶しないようにだって。
俺にももうちょっと優しくして?」
「よく聞いて。
フェイトちゃんは体が成長途中のみんなに言ってるの」
理不尽だ。
使い魔だってバファリンくらいの優しさが欲しい。
「フェイトさんフェイトさん。
アルフさん今何してますか?」
「え?
家にいると思うけど……」
ちらり。
「他所は他所、ウチはウチ」
「お前は俺のかーちゃんですか!?」
涙が血涙に変わる日も遠くはなさそうだ。
「あ、お稲荷さん。
さっきのだけど、幻術と変化は凄かったよ?
でも変化は質量兵器にだけしないように注意して。
後はそれをしっかり使えるモノにできるようにしていこうね!
因みに最期のヤツをもう一度使ったら、非殺傷解除のスターライトブレイカーなの」
「二度と使いません、ご主人。
にしても変化で攻撃ができて質量兵器じゃないようにって無茶振りにも程がある」
「後、さっきヴァイスくんに聞いたんだけど。
お稲荷さんが大太刀持ってるのをシグナムさんと一緒に見てたらしくてさ。
剣の素人っていうのを聞いて、稽古をつけてやろうって言ってたって……」
「シグナムさん……?
あ、フェイトさんに斬れば分かるとかとち狂った事教えた人か。
泣くまで説教するって心に決めてたんだった。
……ん? 稽古?」
「あの人も剣を使う人で、戦いも好きだから。
稽古に関しては、私より厳しいかもね」
今後は事務職の人と仲良くなろうと固く心に決めた稲荷です。
PV10000を突破してました。
感慨ものです、ありがとうございます。
感想も初めてもらいました。
ヒャッフー、なのです。
えっ、主人公が厨二?
いいえ違います、あれはケフィアです。
後、東方のスペカ名が結構好きだったりします。