アメフラシ。
えぴろーぐ……?
スカさんの起こした事件が過ぎ去りある程度時間が経った。
今ではあの事件は、ジェイル・スカリエッティ事件。
通称JS事件と呼ばれている。
加えて小耳に挟んだ話ではDIS事件……つまり、大体稲荷のせい事件とも呼ばれているらしい。
誠に遺憾である。
『スカさんスカさん。
そう言えばゆりかご内のボムキングから青い菱形の石を拾ったんだけどあれは何?
また俺の死亡フラグじゃないよね』
『ふむ、それはジュエルシードと呼ばれるロストロギアでね。
PT事件時に管理局が押収したものを拝借したのだよ。
それ自体は巨大な魔力貯蔵器で、使い方によっては願いを叶えるとも伝えられている。
死亡フラグかと問われれば、その可能性は大いにあると言えるだろう。
理解できたかね』
『ドラゴンボールって事は分かった。
死亡フラグ発生する前になのはさんに一矢報いる為に使ってみる。
シェンロン出してみたい』
『使用する事で死亡フラグが発生するとは考えないのかね。
あぁそうだ、使用後の感想は是非聞かせておくれ』
こんな感じにスカさんとの関係も良好。
しかし俺は出れたものの、スカさんは相変わらず独房にいるのにどうやってメールしているのか。
まぁ天才には、こんなこともあろうかと! な品がいっぱいあるんだろう。
そんなのんびりした日々を送りつつ、六課の修理が終わり、俺の部屋もようやく元通りになってきた頃。
ようやく教えてもらえたなのはさんのアドレスにより、登録件数が3件になった俺の携帯にスカさん以外の着信が。
見てくれよこの画面。
3回スクロールができるくらいになのはさんで埋まってるんだぜ。
因みに3回スクロールしたら大体スカさんがいる。
なのはさんとは毎日会ってるハズなのだが。
とりあえず朝シャンした後の尻尾の手入れに手間取っていたので30分経ってから中身を見てみる。
『今日はとても大事な集まりがあるから、9時に六課の集会場に集合してね!
きっとお稲荷さん、驚くと思うな』
今、8時58分。
むしろ時間が無いことに驚きです。
「狐パパ〜どうしたの?」
「何故ここにいる。
それはともかくこれを見るがいい。
9時に集合なのに後2分しか余裕がないとかムリゲー過ぎる」
「あ、ヴィヴィオと話してる間に右上の時計が9時になったよ!」
お、お前がラスボスだったのかヴィヴィオ……!!
とにかく急ぐぞ。
今ならまだ焼き土下座で勘弁してくれるかもしれん。
○ ● ○ ● ○ ●
「いいかヴィヴィオ。
集まりと言うからにはきっとみんなが並んでいるはずだ。
仮にも部隊だしな。
俺達は扉を開いたら何食わぬ顔でその列の一番後ろに並ぶんだ。
いつからそこに? え、最初から居ましたけど作戦と名付けよう」
「分かったよ!
狐パパのネーミングセンスが皆無って事が」
よろしい。
では、オープン・ザ・セサミ。
「本日をもって、機動六課は任務を終えて解散となります」
「マジでか。
いきなりホームレスとか勘弁して欲しいんですけど」
「あ、お稲荷さん!
9時に集合って言ったでしょ!?」
「狐パパ……開始と同時に自分で作戦終わらせてどうするの……」
思わず演説していた八神に突っ込んでしまった俺は悪くない。
だって六課が無くなるイコール俺の行く末真っ暗。
俺の部屋ってどうなるんでしょうか。
「もう……
ほら、2人共こっちに並んで!」
「はーい」
「うい」
なのはさんの隣に並ぶ。
八神の演説が再開される。
「みんな、次の部隊でも頑張って!
では、解散!」
拍手と共に、散り散りになっていく今まで整列していた六課の隊員達。
俺さ、並んだ意味なくね?
10秒とこの場所に居なかったんだが。
「で、何でお稲荷さんは遅れたの?」
「ヴィヴィオもカウントしろヴィヴィオも。
仕方ない、語ってやろうその理由。
ヴィヴィオ。
約束とは?」
「破るためにあるー!」
「時間とは?」
「遅れる為にあるー!」
「よくできました。
なのはさん、この子はワシが育てた」
あの、掴まれた頭がメキメキ言ってるんですが。
「全く……ヴィヴィオはお稲荷さんの影響を受けちゃってるね……
私が再教育しようかな」
「なにそれこわい」
ヴィヴィオ、もっと言ってやれ。
「あ。
それはそうとしてお稲荷さん。
フェイトちゃんやはやてちゃん達と一緒に、訓練室に行ってもらえる?
私はギンガとフォアード陣を呼びに行ってくるから」
「分かった。
という訳だヴィヴィオ。
フェイトさん達と一緒に訓練室に行ってこい。
俺の事を聞かれたら、明日に向かって走っていったと言っておいてくれ」
ガチャンって音がした。
何の音かと振り返る。
俺の首輪から伸びた鎖を、笑いながらフェイトさんに渡しているなのはさんがそこにはいた。
「ナンテコッタイ」
「じゃあ稲荷、行こうか」
フェイトさんに引きずられ、俺は隊長・副隊長陣と共に訓練室へと連行されていった。
○ ● ○ ● ○ ●
訓練室はいつもの森や市街地とはうって変わり、桜が咲き誇る素晴らしい景観の地へと変貌を遂げていた。
「なるほど。
また処刑が始まるとビクビクしていた過去の俺を笑ってやりたい。
今から花見が始まるんですね分かります。
早速ピクニックシートを創りだそうか」
「いや、ここでリミッターを外した最後の模擬戦をなのはは行うようだ」
「なるほど。
楽しい花見が始まるとワクワクしていた過去の俺を笑ってやりたい。
今から惨劇が始まるんですね分かります。
早速この場から逃げ出そうか」
シグナムさんのセリフで現実を見つめるようになった俺。
いそいそと出口へと向かう。
鎖をグイッと引かれる。
グエッとヒキガエルのような声が出る。
「ふむ、なかなかに癖になりそうだなこれは」
「今すぐその手に持ってる物から手を離してください」
しげしげと鎖を眺めていたシグナムさん。
頼むからこれ以上Sは増えないでください。
そうこうしている内に、なのはさんとギンガに連れられフォアード陣も到着。
鎖はなのはさんの手へと渡った。
そして事情が説明をされる。
「じゃあ六課としてのチビッ子達の最後の任務を言い渡す。
オペレーション・俺の命を大事に。
隊長陣はリミッターが外れたとか言ってたから多分サイヤ人になる。
だからキャロとエリオはフュージョンでキャリオになれ。
ティアナとスバルはぐぇぇ」
「お稲荷さんが何か言ってたようだけど気にしないでね。
さぁ、折角の卒業、折角の桜吹雪なんだから、湿っぽいのは無しにしよう!
全力全開、手加減無し。
機動六課で最後の模擬戦!」
「だからその模擬戦中の作戦が俺の命を大事ぐぇぇ」
引っ張るのやめて。
「全力全開って……シグナムっ! 聞いてないんだけど!?」
事態についていけてないのか、慌てるフェイトさんが問い詰めている。
「やらせてやれ、これも思い出だ」
「ヴィータ、なのはっ」
「固いこと言うなよ」
「心配ないない、みんな強いんだから!」
「マジでか。
ヴィヴィオ、俺ってば強い?」
「夢でも見てるの?」
最近、ヴィヴィオの何気ない一言が胸に突き刺さるんだ。
じゃれあっていたら、みなさんもう戦闘準備が完了しているようで。
八神とギンガが手を上に振り上げ、高らかに宣言した。
「レディー・ゴ————————!!」
○ ● ○ ● ○ ●
「何でだよ。
作戦名は俺の命を大事にって言っただろうが。
何で開始と同時に俺に両陣営からの集中砲火が来るんだよ」
「それでも狐パパが無傷ってある意味凄いと思う」
だってヴィヴィオよ。
非殺傷で怪我したらもはやそれは非殺傷ではなかろう。
「あ、お稲荷さんここにいたんだ」
なのはさんが現れた。
因みにこことはどこか。
六課裏の林の中、いつぞや俺が欝になって死にたくなった妄想をしたあそこだ。
模擬戦が終わった後にひっそりとやってきた。
辺りは暗くなり始めている。
なのはさんはそろそろ二次会が始まるから、探しに来たのだろう。
ゆっくりとこちらに近付いてくる。
だが俺の数メートル前で立ち止まった。
どうしたのかと思っていると、顔を俯かせて聞いてきた。
「ねぇ、お稲荷さん。
突然変なこと聞くようなんだけどね……
六課は解散しちゃった訳だけど、私はこれからも管理局に残るんだ。
で、でね……お稲荷さん、良かったらこれからも、私と一緒に居てくれないかな?」
「良かったらも何もなのはさんのヒモになっている状態で放り出されるとか何そのプレイ。
でも出来ればアルフさん的ポジションがいいです。
もう美人の嫁さんとかいいから怠惰な生活を送りたい」
「そ、そっか!
でも怠惰な生活なんてダメです。
今後もしっかり鍛えていくからね!
お嫁さんはもうちょっと我慢しなさい」
なんでさ。
「ところで、こんな所で何してたの?」
「なのはさんに一矢報いる方法をヴィヴィオと検討しあってた。
後模擬戦の理不尽さに嘆いていた。
技術提供スカさんのおかげで何とかなりそうだぜ」
「非常に何とかなって欲しくないんだけど……
今度は何するの?」
「ん、ドラゴンボールに願う。
使用後の感想も頼まれてるしね。
普通は7個揃えるのに1個で十分とか凄いね。
丁度なのはさんとヴィヴィオしかいないし、やってみようか」
「え、ちょ……待って」
さぁいくぞヴィヴィオ。
お前と俺で数時間悩んだ答えを今ここに出そう。
「目覚めろドラゴンボール。
いでよシェンロン。
なのはさんの黒歴史を見てニヤニヤしたいです」
「したいでーす!」
「それ……ジュ、ジュエルシード!?」
「ヴィヴィオ、何で今まで黙ってたよ」
「ヴィヴィオは空気を読めるから」
俺達3人は、光に包まれた。
「お、あれがシェンロン?
黒いな。
てかキショイな。
もっとあからさまに竜でかっこよかった気がするが……
あんな毛玉っぽかったっけ」
「狐パパ、ここどこ?」
「六課の裏の林ではない事は確定的に明らか。
どう見ても市街地だな。
何故シェンロンを呼び出しただけでこうなる」
「お、お稲荷さん、あ、あれ……」
「どうしたなのはさん、呆けた顔して」
「こ、今度は何なの—————!?」
「何なのーってそれは俺が聞きたいが。
すげーななのはさん、口を動かさずに喋るとかいっこく堂レベル」
「狐パパ、後ろ、後ろ」
「やめてよその志村! のノリ。
後ろ? ……わぉ」
StSが完結。
StSが完結。
大事なことなので2回言いました。
感慨深いものです。
お付き合いしてくれた方々は本当にありがとうございました。
書き終わって気付いたのですが、海鳴に行くミッションってドラマCDだったんですね。
その辺も何か書けたらいいなぁと勝手に妄想しております。
なのはさんフラグが周りで囁かれているんですが、ドウシヨウカナー
まぁ、ノリで書いている作品なのでノリで全てが解決されるでしょう。
では、えぴろーぐ……?でした。
またのお越しをお待ちしております。
え、最後の?
君が何を言っているのか分からないよ。