学校奇行文。
食後のヴィヴィオ
『何故私を呼んでくれなかったんだい?』
『独房にいるスカさんを呼んでどないしろと。
過去のスカさんを連れてきたから勘弁』
『ふむ。
それは私であって私ではないのだが。
まぁ仕方が無いね。
いつか稲荷くんが言っていたアルハザードに私も行きたいものだ』
『この時代では文無しな俺にはどうにもできない。
あれ……俺過去に残ってた方が生活充実してたんじゃね?』
『こちらでもう一度働こうと思ったらなのはくんの力添えが必要だからね。
そうなると、またなのはくんのお父さんと決戦か』
『いや、大仏頭はもう勘弁。
一撃でいいじゃん、何であの人連撃するのよ』
飲み会から数日後。
ようやく新しい部屋に引越しした俺達。
色々と落ち着いたので、こちらの世界のスカさんに事後報告をしてみた。
何でも、そんな歴史的瞬間に立ち会えなかったのが残念でならないとか。
確かになのはさんのあの寝言は歴史的瞬間に違いない。
「狐パパ、何してるの?」
「お稲荷さんの事だから、良からぬことをしてるんじゃないかな」
「何を言う。
俺の心の友、スカさんに報告をしていたまで」
「何で独房にいるスカリエッティとメールできるの……」
スカさんが頑張ってるんじゃね?
「あ、そうそう。
お稲荷さんに相談があるんだ」
「なんぞ?」
「ヴィヴィオの学校編入についてなんだけど」
ヴィヴィオ、脱兎。
「お稲荷さん、確保!」
「合点!」
フハハハハハ。
神速が使える俺から逃げれると思ったか。
「いやでござるー!
勉強したくないでござるー!」
「その叫びには激しく同意する。
俺も働きたくないでござる。
という訳でヴィヴィオ、夢の退廃的な生活を送る為の口添えをなのはさんにしてくれたら離してやろう」
「狐パパの要求がルナティック過ぎるー!」
……え、そんなに難しいことなの? 俺の退廃的な生活。
羽交い締めにしたヴィヴィオをなのはさんに渡す。
いやだいやだと騒ぐのはいいが、学校編入を拒否するのにネタを使うのはやめてくれ。
1つ披露する度に、俺に対するなのはさんの目付きが鋭くなるから。
「で、こいつの学校編入がどうしたって?」
「うん、聖王教会系列の学校に入れようかとも思ったんだけど……
地球の学校に入れてもいいかなって思って」
「あ、じゃあ地球の学校にしよう。
保護者として俺も行くから、翠屋に住めるように手配してくれ。
ふふふ、あの悠々自適な生活がまた俺のモノに……」
「お稲荷さんとヴィヴィオが行くなら私も行くよ?」
なんだって?
「管理局も勿論いいんだけど、はやてちゃんが六課を設立した目的ももう達成しちゃったし。
区切りとしては丁度いいから、管理局をやめて翠屋を継ぐのも本当に考えようかなって」
ふむふむ。
本音は?
「向こうの生活って楽しかったよね!
今までずっと仕事ばかりだったけど、ああいう生活もいいなぁって思って」
「つまりなのはさんも、仕事したくないでござる、か」
「なのはママはヴィヴィオを叱る資格無いと思う」
これが私のご主人様。
いや待てよ?
このままなのはさんも一緒に堕落させれば……
「名案かと思ったが収入が無くて悲惨な未来しか見えない。
てか当事者のヴィヴィオはどうしたいよ」
「勉強したく」
「ないでござるはもういいから。
それ以外でな」
ぶーじゃねーべさ。
「見たことないから分からなーい!」
「ですよねー
まぁ地球の学校に関しては、一度なのはさんちに行って滞在許可を求めないと話が進まない。
今度行って話すだけ話してみるか。
聖王学校ってどんなのか俺も見たことないし、見学に行くのも一興。
……なのはさんち行ったら、俺士郎さんとお兄様に殺されないよね」
「あ、それいいね。
お父さんとお兄ちゃんは……
キ、キスまで済ませたって言ったらどうか分からないね!」
何でそんな死亡フラグをわざわざ立てないといけないのさ。
てかあれはkissというよりkillだろう。
2文字違うだけでなんて物騒な。
あの時はドキドキが半端無かったよ。
主にいつ俺が内部爆発を起こすかって所に。
「またしてあげるね!」
「マジで勘弁してください」
「なんで!?」
いやむしろ何故その疑問が湧き上がるのかが分からない。
○ ● ○ ● ○ ●
「聖王教会を訪れる〜ヴィヴィオの学校編入を求めて〜」
「いえーい!」
「ところでなのはさん、仕事はいいの?」
「昇格断った代わりに休み頂戴って言ったらくれたから大丈夫。
凄い嫌な顔してたけど」
そりゃあスカさんのせいで今管理局がてんやわんやってニュースで言ってたのに、そんな時に休むとか悪魔にしか見えないだろ。
さて、ヴィヴィオをどこに編入させるかという話し合いからまた数日。
すぐにはアポが取れなかったので少し間が開いたが、学校見学に行ってみるということに。
因みに当事者であるヴィヴィオ本人の希望は却下された。
食っちゃ寝の生活とか、お前にはまだ早い。
「そういや学校行くと名前が必要だな。
ヴィヴィオの苗字ってなんだ?」
「高町ー!」
なのはさんの苗字だろそれ。
高町ヴィヴィオか。
ぬ〜ん。
「ママだからいいの!
狐パパも、高町狐パパでしょ」
「え、何、狐パパって名前だと思ってたの?
そんなバカボンのパパみたいなのヤダよ」
そこのなのはさんは何故お腹を抑えながらうずくまって震えているのですか。
「てか散々俺の名前を教え込んだだろうが、記憶を呼び起こせ。
俺の苗字はあれだよ、あれ。
しの……りゅ……
俺は苗字を必要としない一匹狼の狐なのさ」
「言葉としては間違っていないのに間違ってる気がする。
後、狐パパ何かを思い出そうとしたよね今。
断念したけど」
「……ぷっ。
あはは、そういやお稲荷さんって人間の時の名前があったよね。
出会ってから1日でお稲荷さんになったから、私も覚えてないや」
稲荷で定着しすぎて。
俺の名前はあったけどなんだっけか。
昔の名前と稲荷。
デスノートに書いたら、どっちが本名か分かるにちまいない。
「もうその内、高町稲荷になりそう。
……ん?
俺は何ナチュラルになのはさんの苗字貰ってるんだ」
「高町……稲荷……
私はいいと思うな、お稲荷さん!」
「ぇー
だってそうなると俺、なのはさんと結婚しないとダメじゃないか。
歩く死亡フラグと結婚するとか、一寸先は闇」
「……なぁ、ヴィヴィオ。
ここしばらくの記憶が無いのだが何でだ?
一寸どころか視界が全てが闇に染まったのだが。
そしてここはどこだ」
「狐パパはもう少し喋る内容を考えたほうがいいと思うな。
なのはママ、あれから落ち込んで励ますの大変だったんだから。
後、ここは聖王教会の学校らしいよ」
何故俺の視界が闇に染まるとなのはさんが落ち込む。
てか俺はいつの間に車に乗せられたんだ。
謎が謎を呼ぶこの事件。
リアルバーローの代名詞であるアリシアを呼べ。
「これが学校とか嘘だろ。
どこのキリスト教会だよ。
で、そのなのはさんは?」
「あっち!」
ヴィヴィオが指差す方向には、外来者受付の窓口。
丁度話し終わったのか、なのはさんがこちらへ戻ってきている。
「あ、お稲荷さん起きた?
中に入っていいって!
邪魔にならないようになら、授業も見学していいらしいよ」
「狐パパー
邪魔になるから帰ろうよー」
「お前とことん堕落してるな。
さっきはいえーいとか言ってノッてたくせに。
一体誰に似たんだ?」
「何で分からないかな……」
なのはさん、君が何を言っているのか分からないよ。
○ ● ○ ● ○ ●
で、ここが初等部1年の教室らしい。
中では既に授業を行っているのか、教師の声だけが廊下に聞こえてきている。
「今更だが、ヴィヴィオお前何歳よ」
「女性に年齢を聞くなんて狐パパさいてー」
「……え、俺が悪いの?」
「ヴィヴィオって、正確な年齢は分からないんだ。
だから一応6歳って設定にしてあるの」
「設定……」
ニヤニヤしてたらヴィヴィオに脛を蹴られた。
アリサといい、幼女は俺の脛に何か恨みでもあるのだろうか。
「で、授業だったな。
俺って小心者だから、見学していいよって言われても部屋の外で声聞いて満足する派なんだ。
だから俺廊下で待ってる。
ヴィヴィオ、なのはさん、行ってらっしゃい」
「何言ってるの?
お稲荷さんもヴィヴィオの保護者になってるんだから一緒に見ないとだよ」
「俺にはアンパンマンみたいに愛と勇気が友達に居ないから。
……ん?
マテ、一体届出するときに俺となのはさんはどういう関係で提出したんだ」
「えっ……それは……」
ヴィヴィオー!
俺汚されちゃったー!
汚されちゃったよー!
「何を今更」
「その受け答え、絶対お前年齢詐称してるだろ」
「あの……あなた方の会話が中に筒抜けなのですが。
生徒達が笑ってしまうので中に入って頂けませんか?」
俺がヴィヴィオの謎について迫っていると、教室から女性教師が現れた。
オブラートに包んでいるが、どうやらうるさいと怒られているらしい。
「オブラート……結構直球に怒られてると思うんだけど……
あ、すみません!
ほらヴィヴィオ、お稲荷さん、中に入るよ!」
「ヴィヴィオのせいで怒られた」
「狐パパのせいだよ」
「実はお稲荷さんが年齢詐称してるんじゃないかな」
なんでさ。
「チビッ子達の視線が痛い。
何か変な所あるか?
今日は一応気合を入れて、尻尾も念入りにブラッシングしてきたのに」
「お稲荷さん、今目の前に狸の尻尾を生やした人が立ってたらどうする?」
「凝視する。
何でだ、八神でも居たか?」
「何でそこではやてちゃんが出るの?」
「以前週刊誌を立ち読みしたら書いてあった。
管理局の仔狸って。
なのはさんは管理局の白い悪魔だったかな……?
ネーミングセンスないよな」
「何それ……!!
最低だね!!」
「あぁ。
どう見てもなのはさんは白じゃなくてピンクの悪魔。
ちょ、何で俺の尻尾の付け根を握っていますかなのはさん。
そこ力入らなくなるから、ヤメッ」
「ふん!」
あぅん。
エピローグ後日談にヴィヴィオの学校のシーンがあったと聞いて。
色々調べたけどヴィヴィオって今6歳でいいのだろうか。
サウンドステージが3年後でその時9歳だから多分いいんだろう。
聖王教会系列の学校の名前も分からない。
正式名称って無いのかもしかして。
後、バイト遅刻しそう。
ヤバス。
というわけで食後のヴィヴィオさん事情。
決してご飯を食べるヴィヴィオの物語ではありません。
ご了承ください。