宿題物語。
はしご 1件目
ヴィヴィオの学校見学からまた数日。
昼食を食べにリビングに行くと、ナンテコッタイ状態のヴィヴィオと、仁王立ちしたなのはさんが居た。
何やってるんですか。
「あ、お稲荷さん。
聞いてよ、ヴィヴィオってば宿題しようとしないの」
「ヴィヴィオはまだ入学してない!」
「でもヴィヴィオもやってみなさいって先生がわざわざ用意してくれたんでしょ?
折角だからやってみようよ」
「嫌でござるー!」
半泣きのヴィヴィオ。
遂に床にうつ伏せに寝そべって手足をばたつかせ、駄々をこね始めた。
次に仰向けになってまた手足をバタバタ。
うつ伏せに戻り顔を手で隠して嗚咽。
「はいストップ。
次のステップは寝るのバレバレだから。
てかお前どこでそのAA見たよ」
「狐パパァ……
だって……仮にやるにしても要求がルナティック超えてギャラクティカなんだもん」
「意味が分からん。
宿題ってこれか?」
ぼくたち・わたしたちのうみなりしのれきしをしらべてみよう!
10年くらいまえのできごとをしらべて、そのないようと、じぶんのおもっていることをじゆうに20000字くらいでかいてみよう!
おとうさんやおかあさんともいっしょに、がんばってね!
「小学1年生用にひらがなと少しの漢字で優しく表現されてはいるが内容は既に大学の卒論レベル。
手伝わされるお父さんとお母さんが涙目になる姿が容易に想像できる。
これ無理じゃね?」
「えー?
私が小学生の頃にもやったんだよ?」
「それはもう小学生じゃない。
よしんば小学生だとしても頭にターミネーターがつく」
「どういう意味かな?」
あ、なのはさんは目からビーム出ると怖いんでこっち向かないでください。
「狐パパァー手伝ってー
10年前の出来事とか調べるのだけで何日もかかるよー」
「コピペの嵐で卒論を終えた俺に何を求めるか。
というか俺自身海鳴市の歴史に関しては知識がない」
「ウヴォア」
ヴィヴィオが壊れ始めた。
しかし、なのはさんは先ほどヴィヴィオが言っていたようにまだ入学してないのに、何故こんなものをやらせようと思ったので?
「こういう経験も、出来るうちからいっぱいしておいた方がいいんだよ!」
「なのはママが白い悪魔って言われるのが分かる気がする」
「なのはさんが白い悪魔って言われるのが分かる気がする」
「こーら、ヴィヴィオ?
そういう事は言っちゃいけません」
デコピンしながら注意するなのはさん。
何故俺にはアイアンクローなのか聞かせてください。
「まぁ、俺のコピペ技術でいいなら後で手伝ってやるから今は昼飯だ。
おあつらえ向きにテーブルにはコロッケがある。
だがお揚げが無いとは許せないナリ」
「その技術、ヴィヴィオに教えたら1ヶ月お揚げ抜きだからね」
「残念、ヴィヴィオの助けは無くなってしまった。
……どうしたヴィヴィオ、黙りこんで」
しばらく俯きながら何かを考えていたヴィヴィオ。
コロッケ……ナリ……とかブツブツ呟いた後、ハッとした表情になった。
視線を俺に向ける。
立ち上がって俺の背後に回った。
尻尾にダイヴしてきて何かゴソゴソしている。
「ヴィヴィオさん。
出来れば断りを入れてからモフモフして頂きたいのですが」
「フッフッフ、狐パパ。
以前教えてくれた、マリー・ナントカネットはこう言ってたよね。
パンが無ければお菓子を食べればいいじゃないって」
「マントワネットだ。
何だそのナントカネットって。
それだけで人の名前じゃないか。
ちゃんと覚えろ」
「アントワネットだよ、お稲荷さん」
何が違う。
「そして、かのキテレツも言った。
歴史が分からなければ見てくればいいじゃないって」
「言ったっけ、そんな事。
……いや言ってねーよ」
「ヴィヴィオ……まさか!?」
「狐パパの尻尾にあったジュエルシード!
ヴィヴィオを10年前の海鳴市でネタになりそうな所に連れてって!
あ、狐パパとなのはママもお手伝いで一緒にお願い」
そう言いながらテーブルの上に立って掲げてるのは間違いなく俺の尻尾にあった3つのうちの1つのドラゴンボール。
何をしてるかあなたは。
すぐに光を放ち始めるドラゴンボール。
「お稲荷さん!!」
「大丈夫さぁ」
飲み込まれた。
○ ● ○ ● ○ ●
光がおさまる。
だがそこにあるのは先程と変わらぬ風景。
つまりリビングである。
これは痛い。
光が発生しなかったら、ヴィヴィオを厨二認定出来るレベル。
顔を赤くしながら、テーブルから降りるヴィヴィオ。
「ワロタ」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!?
もぅ、ヴィヴィオ?
ジュエルシードは、お稲荷さん以外が使うととっても危ないんだよ。
こんな事しちゃダメじゃない!」
「……ごめんなさい」
しゅん、としながら俺にドラゴンボールを返してくる。
結構ガチに怒っているので、今のなのはさんは恐ろしい。
ヴィヴィオを撫でて、癒しを味わうことにする。
しかしこのドラゴンボール、若干黒ずんでいる気がするのは気のせいだろうか。
「でも、本当に大丈夫だったね。
お稲荷さんのおかげで助かったよ。
もしかしたらあのままジュエルシードが暴走してたかもしれないしね。
ありがとうね、お稲荷さん」
「え? あぁ、うん」
適当に大丈夫って言ったことは黙っておこう。
何かいい感じに俺の株が上がってるし。
「まぁいいや。
とりあえず飯を食うからソースをくれ。
俺はコロッケをレンジでティンしてくる」
「あらあら。
稲荷くん、折角温めようとしてるところ悪いんだけど今から晩ご飯の準備をするのよ?」
なのはさんでもヴィヴィオでもない声がリビングに響く。
入り口を見ると、なんとそこには桃子さん。
ヴィヴィオの宿題について話している内にそんな時間になってしまったのか。
そう思って時計を見るがまだ6時。
翠屋はどうしたんです?
「今日は暇だったから、先に上がらせてもらっちゃった。
もうちょっとしたら士郎さんも帰ってくるから、みんなで早めの晩ご飯にしましょう」
「昼飯を食いっぱぐれたので多めで。
昼食を食いっぱぐれたので、ヴィヴィオのせいで。
大事な事なので2回言った後に倒置法を使ってみた」
「ヴィヴィオのせいじゃないもん!」
あんな鬼畜論文の手伝いを求めるばかりかテーブルの上で厨二病を発病していたお前が何を言ってるか。
「まぁまぁ……
あ、お母さん、ご飯の準備私も手伝うね!
今日は何?」
「あら、じゃあよろしくね?
今日は肉じゃがよ」
「お・あ・げ!
お・あ・げ!」
「それはないわねぇ〜」
どうしてそこで諦めるんだ!!
もっと熱くなれよ!!
「はっはっは!!
なるほど、ヴィヴィオちゃんも宿題を貰っちゃったか」
「入学前に宿題とかイミフの極み。
というかヴィヴィオはまだどの学校行くかすら決めてないー!」
飯の支度をしているなのはさんと桃子さんをヴィヴィオと2人で眺めていたら、翠屋から帰宅した士郎さんと遭遇。
一緒にソファーに座って、今日の出来事を話している。
「しかしあの宿題か……
なのはの時も、桃子と2人で頭を悩ませたものだ」
「10年前に行ってネタを仕入れてきて、ただそれをグダグダ書き連ねるヴィヴィオの素晴らしい計画が狂ってしまった。
狐パパァ……」
「頑張ってなのはさんを説得しろ。
俺は別にどうでもいいが、あの人はやらせる気満々だからな。
てか卒論の苦しみをもう一度味わうのは勘弁願いたい」
「おや、稲荷くんは大学を出ているのかい?」
「なりは狐でも元人間ですから。
中卒とは違うのだよ中卒とは」
何やら台所から、うぐぁって呻き声が聞こえたけど何だろうか。
「まぁ、後数日頑張ればなのはさんの10日間の休みも無くなるし。
何だかんだで有耶無耶になってやらなくて済むんじゃね?」
「流石狐パパ!
そこに痺れもしないし憧れもしないけどその案は最高だね!」
「ヴィヴィオちゃんが大人になったら、そのまま稲荷くんのようになりそうだね」
「びぇぇぇぇぇえ!!」
何故泣く。
「あー!
お稲荷さん、ヴィヴィオを泣かせたー!」
「士郎さんに、ヴィヴィオの将来が俺にソックリの性格になるとか言われたらこうなった。
俺を責めるのではなく、むしろ俺を慰めてください」
「あらあら。
何か楽しそうなことになってるけど、一旦中断してもらっていいかしら?
なのは、料理を並べてくれる?
あなた、恭也達を呼んできて」
なのはさんに責められていると、台所から桃子さんがひょっこり顔を出した。
どうやらもう出来たようで。
何とも手際のいい事である。
しかし、そう言えば昨日はお兄様って家に居なかった気がするのだが。
帰ってきたのだろうか。
士郎さんが了承の意を伝え、リビングを後にする。
残った俺達は、皿や茶碗なんかを並べる事にした。
2,3分もすると、続々と高町家が集結していく。
あぁ、眼鏡。
お前もそういや居たね。
昨日も、その場に居たけど一言も喋ってないから存在感が皆無。
「桃子さん桃子さん。
コロッケも温めていいですか。
揚げがないのは残念だけど、昼飯にこれを食べようとしてたから食べないと調子が狂っちゃう」
「いいわよー」
許可も頂いたので、早速レンジへ。
何分くらい温めればいいだろうか。
とりあえず適当な時間温めてみる。
焦げないように、中で回り続けるコロッケをじっと見つめる。
「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁあ!!
な、何やってるの!?」
「コロッケをティンしてる以外何に見えるというのか。
てか今俺は、焦げる寸前を見極めているのだ。
少しの油断が命取り。
だから今は話しかけないでくれ。
む、異臭」
「み、見極めれてない……
というか、コロッケ……」
「表面がちょっと黒くなったが、削れば無問題」
量は少なくなるが、一口でも食べれればいいので。
そう言いながら視線をレンジから離す。
コロッケを皿に移し、みんなの待つ食卓へと戻ろうとした。
「……なぜここにいるし」
「その言葉、熨斗つけて返すの」
やっと自宅に帰って来れました。
ヒッキーを目標としている私に3泊4日は拷問でしかない。
なのに週間アクセスが14000だと……?
前回の投稿話が、割り込み投稿したので気付かなかった人が多いようで。
StS時代のどっかその辺に紛れ込んでいます。
見つけ出せたらそちらも一緒によろしくです。
長い話は嫌われると全校集会での校長先生を見てると分かると思うので、挨拶はこの辺で。
今から何件かはしごしますが、みなさんもまだお時間がありましたらご一緒に。
え? 最後のセリフ?
君が何を言って(ry