カレーパン奇行文。
はしご 10件目
「なぁはやてよ」
「なんや?」
「あの窓に張り付いているぬこ2匹はお知り合いか?」
「へ?
……ぬぉ!」
闇の書の対処はマイフレンズ+リアルバーロー組にしか出来ないので、終わるまでリビングで八神家組と未来組で呆けていた訳なのですが。
出されたお茶を口に含み、ふと外を眺めたらまるで夏の日の蜘蛛のようにぬこが2匹、泣きながら張り付いていた次第。
思わず吹き出してしまったじゃないか。
「狐パパ、ヴィヴィオに何か言う事ない?」
「何でそんなにカテキンまみれになってるんだ」
「正面に居たからだとヴィヴィオは答えます。
なのはママに頼んで、今日の訓練はヴィヴィオの虹天剣も追加されます」
勘弁してつかぁさい。
「で、あのぬこは知り合いか」
「流石に窓に張り付きながら泣く猫に知り合いはおらんなぁ。
黒ずんだフェレットやったら最近玄関でよく見かけるんやけど」
「バッカモーン! そいつがユーノだ!!
……で、その黒いフェレットは何してる?」
「ザフィーラが相手してるみたいやわ。
おる時とおらん時とあるで、多分野良なんやろなぁ」
そーなのかー。
まぁ、ユーノにもぬこにも興味は無いから別にいいか。
先程ヴィータと庭に行ったなのはが、にゃぁぁぁぁああ!! ユーノくん!! って騒いでいるがまぁ問題はないだろう。
「さって。
対処組が篭ってから1時間は経ったかね。
ちょっくら覗いてくるわ」
「私はなのはちゃん達と遊んでくるな。
ヴィヴィオちゃんも一緒に行く?」
「うん!」
なのはさんはどうするよ。
「私は窓に居る猫さん達にちょっとお話してくるね。
先に行ってて、後から行くから」
猫さん達『に』とはどういう意味だろうか。
まぁ深くは聞くまい。
そうですかと相槌をうって、リビングを後にする。
闇の書ははやての部屋にあるとの事。
はやての部屋の場所は分からんが、この廊下まで聞こえる不気味な笑い声を辿れば着くだろう。
どこのホラー映画かと。
しかし、現実とは厳しい。
あとちょっとで呪われた部屋に辿り着けそうだったのに、直前で腹が痛くなった。
朝食に高町家に置いてあったカレーパンを食べたのがきっと原因。
朝にカレーパンを食べて、無事だったことが1度もない。
高校の時なんて、試験の日にそれをして唸ってた事があるからな。
なら何で食べたかってか。
そこにあったからだよ。
「なんてふざけてる場合じゃないな。
今、尻から出てきそうなのが屁なのかアウトな物なのかが判別がつかぬ。
という訳で目的地を目前にして無念だが俺はトイレに向かう。
……そうだ、行けないなら聞けばいいじゃない。
という訳でカモン幻影」
妖力で作る分身。
これもまた久々である。
もう使わないと決めた上に、腹に力が入らない状態で出したので何か弱々しいが。
まぁ戦闘じゃないし大丈夫でしょ。
「中の状況見に行って、後で教えて。
俺はトイレで大乱闘してくる」
「見に行くのはいいが、別に倒してしまってもいいのだろう?」
「なにをだ。
ええからはよ行け。
俺は限界なんだ」
そう言うと同時にトイレへダッシュ。
間に合った事だけ明記しておく。
「至福」
腹痛が治る瞬間ってどうしてこうも素晴らしい気持ちになれるのだろうか。
この気持ちを、声を大にして叫びたいものだ。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
……俺じゃねーぞ。
多分なのはさんの声が聞こえた。
近所迷惑も甚だしい。
「お稲荷さん、お稲荷さん! 大丈夫!?」
「大丈夫だよー。
もう腹痛は治ったし、後は拭くだけ……拭く……
な、紙が、無い……だと……」
ちょ、待てよ。
ペーパーが無いとか俺に未来はにぃ。
目の前が真っ暗になりそうだ。
「しっかり、しっかりしてお稲荷さん!!」
「いやいや無理だって。
いくらしっかりしても無いものは無い。
というか励ますくらいなら紙をくれ」
「ダメェェェェェェエエエエ!!!」
なんでさ。
はっ、今素晴らしい案が閃いた。
無いなら作ればいいじゃない。
持っててよかった妖力。
炎のクリスタル花を造り出した時のように。
しっかりと想像。
イメージイメージ。
肌触りしっとり、ふんわり。
そんなペーパー。
これはいわゆる鼻セレブならぬ尻セレブ。
最高のペーパーが創り出せた。
「こういうのを無駄に精錬された無駄のない無駄な技術というのだろうか。
あ、気持ちいい」
さて。
用も足し終わったし。
当初の目的地であるはやての部屋へ向かうことにする。
因みに尻セレブはちゃんとセットしてきた。
あのペーパーに骨抜きになるがいい。
そんな事を思いながら歩いていると、はやての部屋の前に人だかり。
どうやら先程の悲鳴で全員集合していたらしく。
何があったのか分からないので、後で分身に聞こうと思う。
ともかく、今はさり気無く紛れ込んで話を合わせておこう。
「あ……あ……そんな……何でや……」
一番俺の近くにいたのが、チビッ子シリーズのはやて。
よし、ここからさり気無く入り込んで、状況を聞き出そう。
さり気無く、さり気無く。
「嫌な、事件だったね……」
「……へ?
な、何で稲荷さんがここにおるんや!?」
一瞬でバレた。
全員がこっちを見る。
なんぞ悪いことしたかね。
「中を見てみぃ」
言われて覗く。
そこには対処組と、号泣してるなのはさん。
全員が呆然として、俺を見ている。
うん、分からん。
泣いていたなのはさんが、口を開いた。
「お、お稲荷さん……何で、無事なの?」
「いや、俺もオワタと思ったけどさ。
トイレットペーパーを創造できる自分の才能に気付いてね」
「でも……お腹が……」
「何で知ってる。
確かにやばかったが、出すもの出したらスッキリしたぞ」
「会話が噛み合っていない気がするのは私だけかね」
そうなのかスカえもん。
というか状況を教えてくれ。
何でか幻影居ないし。
そして語られる真実。
○ ● ○ ● ○ ●
「要点を整理しよう。
1.闇の書を調べていたら暴走。
2.魔法で腹を貫かれた俺。
3.それが原因で俺が消え、なのはさんは一部始終を目撃。
今北産業的に、大体こんな感じか」
「ざっくり纏めたね。
で、稲荷くんは何故無事なんだい?」
「無事も何も、俺はずっとトイレで唸ってた。
ある意味カレーパンのせいで無事じゃない。
てか進行状況は幻影に行かせて、後で聞けばいいと思っていた。
反省はしていない」
「してよ!
お稲荷さんが死んだと思って、私……私……!!」
でも生理現象には敵わない。
「まぁ腹を貫かれたら消えるわな。
幻だもん。
てかさっきトイレで聞こえたセリフは全て消えそうな俺の幻影に向けられたものだったのか。
律儀に答えてた俺バカみたいじゃん。
で、何で暴走したんだ?」
「いや、どうも防衛プログラムがいい感じに歪んでいてね」
「不正にアクセスを試みる私達を、敵と認識したみたいなのよ」
「だから攻撃されちゃったんだ」
「だが、防衛プログラムを切り離すこと自体はさほど難しい事ではない」
「問題は、切り離した後の処理なんだけど……」
「多分、結構な戦力を持ってこないと消滅させるのは無理だと思うんだ」
ふむ、よく分からんが、分かった。
つまりその防衛プログラムがラスボスだと。
で、何で対処組のあんたらは1人1人、区切って喋ってるんだ。
「全員で調べたのに、誰か1人が解説するとなると不公平だろう?」
「そうよ、分かったことを解説するのがまたいいんじゃない」
「……そういうもんなのか、アリシア」
「そういうもんだよ」
マッドは分からん。
で、結局どうするのよ。
「ふむ……
結論を言うのなら、決戦、かね。
稲荷くん、戦力を強化する案は何かあるかい?」
「チビッ子シリーズと八神家、なのはさんがいてまだ足りないと申すか。
ドラゴンボールに頼んで六課の連中でも召喚するか。
下手すると国を1つ落とせるレベルの戦力になるけど」
名付けて『狂符「六課神将の宴」』
戦力はこっちの八神家とチビッ子シリーズ+六課の隊長陣とチビッ子シリーズ。
……うん、自分で言っておいて何だが、こんな奴らが現れたらここ海鳴市はリアルジュラシックパークになるのではなかろうか。
即ち俺の命がマッハ。
「やっぱ今の無しで」
「お稲荷さん、それ採用!」
無しだと言っているだろうダラズ。
俺のあの理不尽な仕打ちは絶対六課が原因だもん。
折角解散したのに招集したら味方の攻撃で俺が死にはぐる。
「これも主はやての為だ、稲荷」
俺が拒否っていたら、喉元に剣が突きつけられ。
「よく分からねーが、話を聞く限りはやてを助ける確率をあげるならそれをしたほうがいいんだろう?
なら聞くまでもねー」
どデカイハンマーが振り上げられ。
「はやてちゃんの為なんです、稲荷さんお願いします!」
何も無い空間から生えてきた手にアイアンクローされ。
「主を守るのが、我らの使命だからな」
地面から出てきた光の何かに拘束されてます。
「これはお願いなのだろうか。
脅されてる気がする。
み、皆さん聞いてください。
そこにいるヴィヴィオも実はドラゴンボール使えるんです!」
「何娘を売ろうとしてるか」
保身に走らせてください。
「そうと決まれば話は早い。
早速作戦を立てようじゃないか。
稲荷くんは、皆からの洗礼が終わったら六課のメンバーを招集してくれないかね」
「それは別に構わないが。
スカさんが中心に立つのか。
残念だな、なのはさん。
いつぞやの魔法少女リリカルなのはじゃなくなったっぽいぞ」
「まだ言う!?
忘れてってば!!」
「この頃のなのはママって、エースって呼ばれたりもしてたらしいから。
むしろ魔法少女リリカルなのはA’sじゃないかな」
お前ネーミングセンスパネェな。
「恐悦至極」
「ん〜……」
「どうしたなのはさん」
「いや……本当なら管理局が絡んで、リンディさんやクロノくんもこの事件に関わってくるんだけどなーって思って」
「管理局なら十分絡んでくるじゃないか。
主に六課が」
「あー……まー……そーだねー……」
「願わくば俺に何の被害も来ない事を。
ヴィヴィオは今までのネタで宿題の論文を2回分は書けるだろ」
「できるか———————!!!」
頑張れ。
でも俺は手伝わない。
決して、変なことに巻き込まれた仕返しではない事を明記しておく。
〜〜 あの頃のなのはさん 〜〜
「スカさん、プレシアさん、アリシア。
闇の書の調子はどうだ?」
「やぁ、稲荷くん。
どうにもこうにもなかなかに歪んでいて面白いよ。
ん? 拒絶反応……?
っ! 稲荷くん、危ない!!」
「なっ!?」
「お稲荷さん、様子はどうだっ……
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
「ゲフッ……
油断した……クソッ……」
「お稲荷さん、お稲荷さん! 大丈夫!?」
「わりぃ、なのはさん、ダメっぽい。
目が霞んできやがった……」
「しっかり、しっかりしてお稲荷さん!!」
「ごめん……俺はもう無理そうだわ。
死んだら消える存在だしな……
ヴィヴィオの事、よろしく頼むぜ……」
「ダメ……お稲荷さん、死んじゃダメ……
ダメェェェェェェエエエエ!!!」
「なのはくん……」
「お稲荷さん……お稲荷さん……ヒック……」
「嫌な、事件だったね……」
「えっ……」
感想返せてなくてすみません。
しっかりしっかり読ませて頂いてによによしてます。
主に仕事中に。
何故だ。何故8時間と昼寝して夜眠い。
え? 何で昼寝ができるのかって?
いやぁ、ハッハッハ。
このまま物語が進行すると、登場人物が20人近くになるんじゃね。
ルナティック過ぎる。
乏しい文才でどこまでの人を空気に出来るかが試されるのですね分かります。
というかあれだ。
闇の書、お前が哀れだ、タヒチへ行こう。
「Nさん、やばいっす」
「どうしたアメフラシ」
「今日のプライスダウンでシックスナイン車が5台を超えました」
「マジで。どんだけ卑猥な展示場なんだここは」
今日も仕事場は平和でした。
眠気が天元突破。
主に休みの日に集中して書いているため、次話が来たらアメフラシの休みの日と思ってください。
え、興味なし?
ですよねー。
ではまた、はしご11件目の世界でお会いしましょう。
※5月10日、誤字修正