ぬこと狐の奇行文。
はしご 11件目
よろしい、ならば決戦だ。
そんな感じになった日の夜。
流石に戦闘が決定して即実行、という訳にもいかないので。
今晩は一度各々の家に帰り、準備の時間に当てて明日決行するらしい。
即ち、俺の寿命が後数時間。
これはまずいとスニーキングミッションを開始した私こと稲荷。
何とかこの天神小学校ばりの家から逃げ出さなければ。
「お稲荷さーん!
あれ、どこいったんだろ……ん?」
ミッションスタート1分でビッグボスとエンカウント。
ここで慌てるのは普通の狐。
だが俺は訓練された狐。
「あ、お兄ちゃん!
お稲荷さん見なかった?」
「悪いが、そんなイケメン見てないな」
なのはさんのお兄様に化けた俺に隙は無かった。
「……ん〜〜〜〜〜?
お稲荷さん?」
「違います」
「そうですか。
尻尾素敵ですね」
「それほどでもない」
謙虚な俺に隙は無かった。
「どうしてこうなった」
謙虚な俺に隙は無いはずだったのに。
「謙虚な人が何で自分の事をイケメンとか言わないよ」
純然たる事実じゃないか。
な、ヴィヴィオ。
「ちょっと待ってね。
今イケメンの意味をグーグル先生に質問してるから」
どういうことですか。
ともかくビッグボスことなのはさんに見つかった俺。
リビングに連行されてソファーに座らされた次第。
横にはヴィヴィオがいるし。
俺の目の前にはぬこが2匹、座ってるし。
てかいつの間に現れた、ぬこ。
「そこの2人が、お稲荷さんにお話があるんだって」
「なのはさん……まさかそこまでとは。
いかん涙が出てきた。
いいよ、いいよ、俺が優しく教えてあげる。
猫の数え方はな、『匹』なんだよ?」
グーパンが炸裂。
なして。
「どんだけ国語力無いと思ってるのかな?
そうじゃなくて、この2人は管理局の提督、グレアムさんの使い魔なんだよ」
「ふ〜ん。
ヴィヴィオ、誰か知ってるか?」
「神の眼を持ち去った人—!」
「なるほど。
そいつの使い魔が来たということは、俺達も運命という名のRPGが始まるということか」
今のうちに、尻尾太刀に狐火を纏わせてディムロォォォォオス!!って叫ぶ練習しとくか。
「で、そのグレバムの使い魔が何だって?」
「えっと……その……グレバムじゃなくてグレアムで……」
「闇の書の件なんですけどね……?」
何かに怯える様子で語り出すぬこ達。
何でも、闇の書が完成した時にグレバムがエターナルフォースブリザードをするんだとか。
相手は死ぬ。
その邪魔をしていた俺が憎い。
ならば倒しちゃおう。
そういう事になっていたらしい。
どこかで聞いたような話だ。
デジャヴ?
でも、俺にちょっかいかけるとなのはさんにお話される。
かと言って人外魔境の八神家に突入するほど勇者でもない。
どうしようかと思っていたらスカさんとプレシアさんとバーローのおかげで解決できそう。
事の成り行きを網戸に張り付いて見ていたら、なのはさんからお話。
「あの時、私達は思ったんだ。
どないしろと」
窓に張り付いていたらそりゃ目立つだろ常考。
で、結局闇の書が何だって?
「あ、これを……」
差し出されるは1枚のカード。
絵には杖。
上部には『氷結の杖デュランダル』と書かれている。
なるほど、遊戯王ですね。
「これを使って闇の書の暴走体を凍らせようとしたんです」
「でも問題も解決しそうだし、あの人怖いし。
あなたが持っていて下さい」
「よく分からんが、安心しろ。
こんな物に頼る前に、俺がエクゾディアでエクゾードフレイム」
「残念だったね狐パパ。
人物カード『海馬瀬人』でエクゾディアを撃破」
おま、それ旧バージョンの裏技っ……
てか何故知ってるし。
「なのはママの部屋からいっぱい出てきたー!」
「ヴィヴィオ、今度なのはさんの部屋をガサ入れな。
何やら懐かしいものが色々出てくるやもしれん」
「なのはママのパンツが出てきたら?」
俺のトランクスと交換しとく。
そして俺にカードを渡したら、スタコラサッサと帰っていくぬこ達。
このカード、アタックもディフェンスも書いていないんだが。
魔法カードなのだろうか。
最近の遊戯王は進化しすぎてて分からん。
「ところであいつらは何猫なんだ?」
「えっと、お姉さんの方がリーゼアリアさんで、妹さんの方がリーゼロッテさん」
「いや、名前言われても2匹とも同じぬこにしか見えなかったから。
てかぬこを外見だけで姉さんか妹さんか判別できるのはなのはさんかサイヤ人だけ。
きもっ」
「そう言いながらなのはママの手の形に頭が陥没していく狐パパもきもっ」
脳汁がほとばしる。
○ ● ○ ● ○ ●
なのはさんのアイアンクローに撃沈させられた俺。
どうやら気絶してしまっていたようで。
俺の命のタイムリミットである貴重な数時間の中の2時間程をロスしてしまった。
何とかしてここを脱出しなければ。
辺りを見渡せばここは寝室。
どうやらなのはさんに見つかるとスタート地点からやり直しらしい。
まるでホラーゲーム。
それはつまり、小さな変化を見落とせば即死亡フラグということ。
寝かされていた布団から起き上がり、注意深く辺りを見渡す。
ヴィヴィオなら誤魔化せたかもしれないが、ホラーゲームをやりこんだ俺を騙すのは無理だったようだな。
最初に出たときと違う場所。
それはお前だ、タンス。
「先程までは全て収まっていた棚が、1段だけ解き放たれている。
つまりここを調べると、次のステップに進めると。
ふ、軽い軽い」
そして俺は、問題の棚を覗き込んだ。
視界に広がるは、パンツの群れ。
手にとってみる。
大きさ的に、ヴィヴィオのではない。
てことはまさかなのはさんの……?
はっ。
俺はとんでもない思い違いをしていたのではないか。
あからさまな変化は、ホラーゲームでは調べると逆に死亡フラグと成り得る。
まさか今回のこれも……。
物音。
横を見てみる。
ヴィヴィオが扉を開けて、こちらを見ていた。
俺は今、なのはさんのパンツを手にとって広げ、しげしげと眺めていたところ。
つまり。
「……明日の準備だ」
「ヴィヴィオの目を見て言おうね。
なのはママー!!」
ちょ、おまっ。
場所は変わってまたまたリビング。
床に正座している俺の前にいるのは、これまた正座しているなのはさん。
2人の間には、パンツ。
「これは何ですか」
「パンツです」
「これは何ですか」
「……なのはさんのパンツです」
「何故持っていたのですか」
「死亡フラグ回避の為です」
「何故持っていたのですか」
「……気になったからです」
「私のパンツが気になったのですか」
「そうです」
「私のパンツが気になったのですね」
「はい」
ひたすら英語直訳調の会話を続ける俺となのはさん。
正座した膝の上で拳を握り締めながらただじっと。
死にたい死にたい死にたいと念じ続ける俺。
だが今回のこれは、夢ではない。
てかヴィヴィオ、お前何爆笑してるし。
後で鼻フックデストロイヤーの刑な。
「お稲荷さん、聞いていますか」
もう許して欲しいです。
「ということで、お稲荷さんのトランクスを後で要求します」
はい。
…………ん、なんだって?
「お稲荷さんが私のパンツを手にとって眺めた。
私も同じことをしないと不公平でしょう。
何か間違っていますか?」
「間違いしかないと思う。
ヴィヴィオ、ヘルプ」
「その変態トークに加わると、ヴィヴィオの将来が危ぶまれるので拒否します」
「ねーお稲荷さんー!
トランクス——!!」
何というカオス。
きっと今これがゲームの出来事なら、画面にはこうでてるな。
GAME OVER
『という事があったのさ』
『私の将来がかかってる最終決戦前夜に何をやっているかあんたらは』
『ハッハッハ!
愉快、愉快だよ稲荷くん!
で、結局どうなったんだい?』
『俺の尻に穴の開いているトランクスをあげたら報酬にパンツくれた。
明日の武器にする』
『やめてんか』
『でも、あの子も随分あなたにお熱ねぇ……
ウチのフェイトは未来ではそういう話、無かったのかしら?』
『仕事が恋人。
模擬戦は愛人。
しかし、なのはさんもどこをどう間違ったらこんな阿呆にうっかり惚れるのだろうか』
『おや、色々と自覚はあったのだね』
『あそこまでされて気づかないのは、二次創作のオリ主だけ』
『ある意味これも二次創作になりそうやけどな。
なのはさんの頭の中には原作っちゅーか、記憶がある訳やし』
『そうなると主人公はまさか、この俺ちゃまですか。
題名は何だ』
『ふむ。
稲荷くんの事を「お稲荷さん」と呼んでいるからね。
加えて奇行の数々。
「お稲荷様奇行文」というのはどうかね』
『ネーミングセンスの無さに全俺が泣いた』
『そうか?
私はピッタリやと思うんやけど』
『私も、妙にしっくりくるわ』
『(´・ω・`)』
『で、何でくっつかんのや?
告れば一発ちゃう?』
『美人の嫁さんが欲しいと言ったら少し待てと言われたから。
後は退廃的な生活を望む』
『御世辞にもいい男って言えんのが何とも。
何でなのはさん、こんなんに惚れてんたんやろ』
『モテる狐はつらい』
『黙れ人外』
『(´・ω・`)』
「お稲荷さん、パソコン使って何やってるの?」
「チャット」
「ふ〜ん……
ね、明日もあるし早く寝よ?」
「いいが、今日は俺の尻尾はヴィヴィオが予約済み」
「いいよ、私は前からで」
マジでか。
難産だ 嗚呼難産だ 難産だ
アメフラシ心の俳句。
お久しぶりです、たまに感想ルームに出現していたアメフラシです。
何故難産だったか。
それは山より深く海より高い理由があるんです。
5行も書いたら爆睡な日々。
6行目には」」」」」」」」」」とか@@@@@@@@@の文字。
次に書くとき読み返して、何を書こうとしてたのか読み解けるのはLレベル。
毎日毎日、はしご11件目が新築されていました。
さて。
GWに更新できれば良かったのですが、あの時は友人と集まってどうやればモテるのかについてウン時間議論していました。
こんな話をしてる間はモテナイという結論が出たときは時既に時間切れ。
アメフラシは裏世界でひっそり幕を閉じることに(ry
仕事も、上司(最高権力者)によく怒られます。
Take 1
「アメフラシ、〇〇さんはどんな感じだった?」
買ってくれそうな感じでした。
「それはお前の主観やろ。勝手なこと言うな!」
マジでか。
Take2
「アメフラシ、〇〇さんはどんな感じやった?」
凄い楽しく話してくれて、いい感じの人でした。
「何言ってるんだお前は?そんな事聞いてもどうにもならんやろ?考えて物を言え!」
あなたの求める答えが俺には分からない。
そろそろ夜が明ける。
後1件か2件回って今日のはしごは終わろっか?