桃色ガブリエル奇行文。
はしご 12件目
「いよいよ最終決戦……お稲荷さん、力を貸してね!」
「稲荷さんとは誰ですか?
私のことは竜崎とお呼びください。
あぁそれと、私はなのはくんがキラではないかと疑っています。
それでも構いませんか?」
「構うよ。
というか残念ながら知り合いにリュークは居ません。
ほら、バカやってないではやてちゃんの家に行く!」
「ふむ、仕方ありませんね。
松田、稲荷さんを呼んできて下さい」
「誰が松田だ狐パパ」
俺の最後の足掻きも功を奏さず。
俺達3人の寝室で行われていた喜劇にも幕が降りた。
昨日はよくしらないお兄様ですぐバレたから、今日はよく知っているLにしたのに。
何がダメだったのだろうか。
さて、そんなこんなで八神家に拉致られる俺。
お稲荷さんは私が敵から絶対守るから。
安心してと道中俺を落ち着けるなのはさん。
敵からよりむしろ味方から守ってほしいとです。
「しかもヴィヴィオは守らなくていいのか」
俺の何気ない一言にピクッと反応するヴィヴィオ。
「なのはママ……ヴィヴィオは……ヒック……守って……くれないの……?グスッ……」
「ヴィヴィオ……ちゃんと、ちゃんとあなたのことも守るから。
だから、目薬で涙目作るのやめようね?」
「何故バレたし。
てか目から垂れたのが口に入ってテラニガス」
台無しである。
「時に、俺達だけで飛び出してきたけどなのははどうした」
「久遠ちゃんを引き連れて、もっと早くにはやてちゃんの家に行ったらしいよ」
「ユーノの定位置にもう久遠が完全に入り込んでいる件。
まぁいいや、なら俺達も行こうか」
「わーい、お祭りだー!」
願わくばその祭りの内容が、俺の吊るし上げでありませんように。
○ ● ○ ● ○ ●
はやての家に着いたものの、インターホンを鳴らしても誰も出てこず。
何ぞ? と思っていたら携帯にメール着信。
開くと送信者はなのは。
『集合場所が変更になったの!
大きな戦いになるから、臨海公園に集合してだって!
はやてちゃんの家にはもう誰も居ないから、直接来ていいよ!』
『既に八神家前に居る俺達は勝ち組。
後で俺からはなのはの髪を五分刈り。
なのはさんからはスターライトなブレイカー。
ヴィヴィオからは虹天剣がプレゼントされます』
『私オワタ』
さて。
場所が変更になったのなら仕方がない。
なのはさんに変更先の場所を伝え、俺は八神家でお留守番することにする。
「はいはい、そういうのはもういいから。
早く臨海公園に行くよ!」
「どう考えても死地ジャマイカ。
何か、何かご褒美を下さいご主人。
やる気が上がれば自然に足が向くかもしれん」
「じゃあ、無事に終わったら付き合ってあげる」
何に。
「人生に」
…………ん?
気付いたら臨海公園に居た。
なるほど、これがキング・クリムゾンか。
「何か重要なことを言われた気がしたがどこもおかしくは無かった」
「十分おかしいよ。
何であの返答でその答えに行き着くかな。
物凄い勇気を出して言ったのに……」
過程がキング・クリムゾンで飛んだからだと言ってみる。
さぁ、もう既に皆さん集合しているようで。
俺達が到着すると全員の視線がこちらに向く。
見世物じゃねーぞフォルァ!
「やぁ、稲荷くん遅かったね」
「出来ることならもっと遅くしたかった。
スカさん、俺が死んだら、俺の秘蔵の揚げ達をよろしく頼む」
「あぁ、任せておきたまえ。
しっかりと、君の墓前に供えさせてもらうよ」
素晴らしい、スカさん……!
俺が求めていた答えを言ってくれる……!
ちらっ。
「なんでそこで狐パパはヴィヴィオを見るかな」
「この辺の気配りが出来ないヴィヴィオはまだまだお子ちゃまだなーと思ってさ」
「出来ても狐パパにはしたくないー!」
なんでさ。
まぁ、おふざけも過ぎると毒なようで。
サイエンティスト組とヴィヴィオ以外の武器が全て俺を向いている為、そろそろ真面目に取り組もうかと思う。
だがどう真面目に取り組もうとも、俺は既に味方に葬られる未来が見えている罠。
君の力は、俺がしっかりと引き継いだよレミリア。
できればこんな運命、見たくなかったけど。
「稲荷さん、今日はよろしゅう頼みます」
仕方なし。
尻尾からゴソゴソと、ドラゴンボールを取り出す。
どうやらこちらに来たときに色が黒ずんだドラゴンボールは、エネルギー切れのサインらしく。
でも俺にはまだ予備が2個ある。
ふははは、輝けドラゴンボール!
我と共に歩むは冷厳なる勇者!!
いでよ、六課!!
唱えると同時に、俺から半径数mが光に包まれた。
「稲荷さんが厨二病なの」
「稲荷さん……母さんの幻作った時も思ったけど、厨二病だったんだね」
「厨二病やな、思いっきり」
「お稲荷さんは年柄年中厨二病だよ」
「狐パパ、ちゅうにー!」
「クックック……その厨二病な所、いい、凄くいいよ稲荷くん!」
「どうでもいいけどその厨二病、娘達にうつさないでね」
「私も中身はもう大人だから厨二病はちょっとなー」
「はっ! あたしを負かしたと言っても所詮は厨二じゃねーか!」
「ヴィータ、やめないか。 確かに烈火の将と言われた私から見ても痛いが」
「流石に風の癒し手と言われても、厨二病は治せないわねぇ……」
「ワン」
12Hit over kill.
「あぁ、桃色ガブリエル。
もう桜の花は散って緑色ガブリエルになってしまったか。
待っててくれ。
今から俺も、身長を伸ばすから……」
妖力で造り出した縄を木に引っ掛け、先端を輪っかに。
さようなら、この世。
「ちょ、お稲荷さん!?
ダメ、死んじゃダメ!!」
俺の心はもう砕け散ったんだよ。
ブロークンファンタズムなんだよ。
ごめんねーレナスの真似して。
完全攻略してないのにネタにしてごめんなさいねー。
「だから首に縄かけちゃダメー!!」
稲荷、いっきまーす。
「……ティア、ここどこ?」
「……私だって知らないわよ。
あの、これはどういう状況なのでしょうか、フェイト隊長」
「私も、ティアナ達と同じで突然飛ばされたから何とも……
あ、ヴィヴィオ」
「ん?……あ、フェイトさん!」
「良かった、ヴィヴィオも居たんだ。
ねぇ、今これってどういう状況なのかな……どうも周りは海鳴っぽいけど。
ん? フェイトさん?
いつものフェイトママは?」
「フェイトさんはもうママじゃないのー!
だからフェイトさん!」
はっはっは。
なのはさん、そんなに止めても俺のこのマイナス方向に熱いパトスは止められないんだぜ。
ん、誰ですか、横入りしないで下さいよ俺の心中予定地に。
あ、フェイトさんじゃないか。
どしたの。
「稲荷、私にも縄頂戴」
はい。
「ありがとう。
じゃあ一緒に逝こうか……」
「エ、エリオくん!!
フェイトさんが!?」
「キャロ、とにかく急いであの縄を切るんだ!!」
「ちょ、ヴィヴィオ、今このタイミングで言う!?
くっ、はやて部隊長! 応援を要請します!!」
「却下や、なのは隊長。
というか何事や。
説明しぃ」
「あ、私が立っとる……」
「おや、どちら様やこの超絶美少女はやては。
てかシグナム、状況分かるか……うおっ!? シグナムが2人おる!?
きしょっ」
「自分ならいいのですが、私もヴィータ達に関しましては制服を着ていないと判別がつきません。
後、今自分で正解を口に出していませんでしたか?」
うーん、カオス。
お前らちょっとは落ち着けよ、大人気ない。
「ほとんどあんたのせいやろがぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
んなバカな。
○ ● ○ ● ○ ●
「子どもの私が車椅子に乗っとるから、状況はまぁ……納得したる」
なら正座を解除していいですか。
「あかん」
理不尽だ。
「で、今から何をするんや」
「闇の書の何かをみっくみくにするのに六課を召喚しようということに。
俺は嫌だって言ったんだけど、なのはさんがどうしてもって」
「やからって……10人も呼ぶか普通。
どんな介入物の二次創作でも大体は多くて3人か4人やろ」
好きなのか、二次創作。
「隊のトップやっとると色々と鬱憤が貯まるんや。
えぇやろ、少しくらい。
オリ主最強もん読んで、気分を晴らしたいんや」
知らんがな。
あのカオスから十数分。
六課のチビッ子達は、またなのは達に会えたことに喜び。
なのはさんは、久々の教え子と友人に会えたことに喜び。
スカさん達は、興味深い出来事が起こったことに喜び。
ヴィータは、変わらぬ未来の自分の姿に涙した。
そして全員が集結。
目的がなのはさんから説明される。
闇の書から暴走体を分離させ、全員でフルボッコ。
後はスカさん達サイエンティスト班が何かするらしい。
因みに今回、魔法初心者のはやても参戦。
後で闇の書の使い方を教わるとか。
なのはさんの記憶でも普通にぶっぱなしてたし、いけるでしょとの事。
簡単に言うと、こんな感じ。
「特にお稲荷さん、分かった?」
「あれだろ、つまりエボン=ジュが出てくるからボコればいいんだろ」
「え、あ、うん。
まぁ、そんな感じかな?」
そうかそうか。
「ヴィヴィオ、各種聖印と七曜の武器をここに」
「なのはママ達はダメージ限界突破はデフォルトだから要らないと思う」
確かに。
「問題は作戦をどうするかなんだけど……
お稲荷さん、何かいい案ない?」
「俺は考えるのが苦手故に。
ボス戦前にはいつもリミットゲージやオーバードライブを味方全員貯めて、戦闘開始と同時にぶっ放す力技。
作戦など無い」
「じゃあその作戦でいこっか」
ナンデスト。
「私となのはちゃんのスターライトブレイカー×2
フェイト隊長とフェイトちゃんのプラズマザンバーブレイカー×2
はやて部隊長とはやてちゃんのラグナロク×2
後はシグナム副隊長とシグナムさん、とヴィータ副隊長とヴィータちゃん。
それぞれが対角線上で、暴走体の出現位置を囲むように並ぶ。
で、呪文詠唱開始。
全員が撃てるようになったら、スカさん達に暴走体を出してもらう。
現れた瞬間に一斉射撃。
どうかな?」
聞いてるだけで涙が止まらない。
そこまでされるほど闇の書って悪いことをしたのだろうか。
「あの、私達は?」
「シャマルさん達とザフィーラさん達は、結界の強化をお願いします。
スターズ・ライトニング隊もそれの補助ね」
「はい!」
「心得た」
「了解です!」
異口同音、いやある意味、同口同音で返事をするシャマルとザフィーラさんに、元気なチビッ子4人組。
はてさて。
俺は?
「余った。 寝てて」
「ヴィヴィオはー?」
「ヴィヴィオは撮影班でお願いね!
はい、カメラ」
「分かったー!」
……あの、俺は?
「余った。 寝てて」
「寝てていいなら俺、理解する意味無かったんじゃね?
特にお稲荷さんと強調されて言われてたけど、重要性皆無な罠」
「狐パパ、一緒に撮影する?」
「娘の優しさに俺の心が包まれた。
ぎゅってしていい?」
「いいよー!」
「……そういや、こうやって抱きしめたことってあんまり無いよな。
尻尾にはよく潜り込むが」
「実はちょっと嬉しかったりして」
「だってお前、どう考えても日常会話が小学生としてるものとは思えない。
こういう触れ合いは無用そうに見える」
「その種をまいたのは狐パパ」
「反省も後悔もしていない」
「むー!」
「ハハハ。
お詫びに頭も撫でてやろう」
「んー。
ねぇ、狐パパ。
もうちょっと、このままでもいーい?」
「おぅ、いいぞ」
「いいなぁ……ヴィヴィオ……いいなぁ……」
「ティ、ティア……あのなのはさんが、指くわえて稲荷さんを見てる」
「ギャップが凄いわね……」
「私も、もうちょっとママでいたかった……」
「まぁまぁフェイトちゃん。
あのほのぼのした光景見れたら、それでええやん。
絵はあいつなのに、なんや癒されるわ〜」
「……いやだから、何で私の将来がかかった最終決戦直前がこんなにほのぼのしとるんや」
もはや会話の練習作。
人がゴミのようだ。
アメフラシが一番分からなかったのが、12Hitの最後のセリフを言った奴。
くっ、誰なんだあのセリフを言った奴は……!
大抵、アメフラシはRPGでストーリーを見たいがために低レベルで暴走。
ボス倒せなくて怒りが有頂天。
全ての必殺技ゲージをMAXにして再戦。
開始30秒でフルボッコするタイプです。
あ、因みにオカンはスライムでレベル99にするタイプ。
真の強者だと思うとです。
あ、もう次の店に行くの?
ういうい。
元気無いぞって?
眠いっす。