ヴィヴィオが足掻く奇行文。
一日酔い。
シャンプーハットをレジに出した所で、はやての事を思い出した俺達3人組。
やっちゃったね、テヘペロを3人同時にした後、先程の公園に少し早足で戻ることにした。
しかし、俺やヴィヴィオはともかくなのはさんまで忘れるとか。
戦闘にもろに参加してたのに。
「狐パパはいつもの事として。
ヴィヴィオはともかくとはどういう意味か」
「お稲荷さんが絡むとハッピーエンドだから、別にいいかなって。
リインフォースさんも生き残れたし」
ふむ。
じゃあまず聞くがヴィヴィオよ。
お前は忘れていなかったのか。
「今のヴィヴィオはシャンプーハットにしか興味がない。
あ、後アヒル村長。
ありがとー! 狐パパ!
今日のお風呂が楽しみで仕方ない」
「ヴィヴィオが俺と同類に。
気にするな、それで頭が洗えるか今日試験するぞ」
で、なのはさんの先程のセリフに聞き逃せない重要なワードがあった気がするのだが。
生き残れたとはどういう事かね。
「私の時は、リインフォースさんがいるとあの暴走体が何度も産まれる可能性があるとか無いとか。
だから、私とフェイトちゃんが、その、あの」
ヴィヴィオさん、事件です。
なのはさんが殺人犯だった。
「なのはママ……いつかやると思ってたんだ」
「どういう事!?」
○ ● ○ ● ○ ●
そんな雑談をしているといつの間にやら公園に到達。
だが、当然ながらもうその場には戦闘に参加していたメンバーは誰も居なかった。
居るのは、砂場とかで遊ぶ子どもたち。
そしてそれを見守るおばちゃん達。
散歩する老人。
ランニングする青年。
後付け加えるなら、遠くに見えるベンチにどこかの民族衣装を着た少年と、肩からトゲが生えた服を着ている少年も並んで座っている。
なんかこう、世界はこんなハズじゃないことばかりだと言わんばかりの哀愁を背負っている。
ベンチの両サイドには、小さい狐と額に宝石らしき何かをつけた犬が。
何かあったのだろうか。
だがまぁ、俺には関係ないのでスルーする。
なのはさんもヴィヴィオも気づいていないし、関わると面倒そうだし。
「んで、はやて達を追うか、このまま帰宅か。
……む、着信。
なのはからだ」
「え、なんて?」
「狐パパ、見せて見せて!」
お前ら、おちけつ。
内容はっと。
『カオス』
……。
「よし、帰るか」
「そうだね」
「早く帰ってお風呂入りたい!」
「よろしい、ならば試験だ。
シャンプーハットを使いこなしてみせろ」
「ついでにヴィヴィオのアヒル村長も火を噴く」
どんなジェット機能ついてんだよ。
さて、はやてを追わないならここに長居は無用。
さっさと家に帰るべく、踵を返す俺ら。
深い意味はない。
ないったら、ない。
「あ〜あ。
それにしても、遂に闇の書事件も終わっちゃったなぁ……
この生活、結構好きだったのにまた未来に帰らないとだね」
道中、歩きながら頭の後ろで手を組んで呟くなのはさん。
「あ、そういや帰ったらヴィヴィオの学校決めないとだね!」
なのはさんのその発言にムンクの叫び状態のヴィヴィオ。
「え、あ、う……っ!
そ、そうだ!
狐パパはこっちの学校がいいって言ってるけど、ヴィヴィオが魔法学校に入ったら本当によからぬ目にあっているのか、未来をちょっと見てみない!?
ほら、ドラゴンボールあるし!」
人はそれを問題の先送りと言うんだぜ。
まぁ、まだ全然元気なドラゴンボールが2つあるから行けるっちゃ行けるが。
「こら、ヴィヴィオ?
そんなにホイホイ過去とか未来とか行っちゃいけません!」
「なのはさん、ご近所に迷惑だからダメみたいな感じで言ってますけど普通そんな簡単に行けんと思います。
……ホイホイ?」
「なのはママ。
狐パパとうまくいったかどうか見れるよ」
「お稲荷さん、やっぱりヴィヴィオの将来を決める大事な一歩だから。
ここは慎重に、色んな情報を仕入れるのがベストだと思うんだ」
ヴィヴィオにうまく乗せられすぎだろ。
行きたいのか?
てかチビッ子達へのお別れはしなくていいのか。
「みんなへのお別れは、ドラゴンボールあるから未来を見終わったら、日付的に明日にでも帰ってくればいいと思うんだ。
だから狐パパ!
ハリー!ハリー!ハリー!」
「ごーごー!!」
何やら焦った感じに両手を動かして熱弁するヴィヴィオ。
それにノリノリななのはさん。
別にいいけどさ。
尻尾からドラゴンボールを取り出し、ヴィヴィオに手渡す。
例によって未来に行きたいと願うヴィヴィオ。
横で期待に満ち溢れてる表情のなのはさん。
光るドラゴンボール。
どうでもいいけどさ。
「未来に行っても、また体験入学とか言って学校行くハメになるんじゃね?」
「………………あ」
俺達3人は、光に包まれた。
○ ● ○ ● ○ ●
「もういっそ狐パパ、なのはママにプロポーズしてよ。
そうすれば多分、なのはママ舞い上がってヴィヴィオの学校編入を忘れると思うから」
「どんだけ自分を見失ってるんだ。
お前もう真っ黒だぞ気付いてくれ。
そして突込みどころは色々あるが。
余計に母親らしくなってむしろ学校勧められるんじゃね?
てかなのはさん、服の裾掴みながら期待に満ちた上目遣いをやめてもらえませんかね。
理性的な意味で危ないから。
そしてここはどこだ」
「その発想は無かった」
その発想しか無かった。
「あの……お話中すみません、どちら様でしょうか?
というか、そちらの子は……」
おっと、気付かなかったが目の前には金髪オッドアイの少女がいるではありませんか。
うちの金髪オッドアイの幼女と比べて素直そうな子である。
「出たな未来のヴィヴィオ。
JS事件から1ヶ月も経っていない時系列のヴィヴィオが今ここに参上した」
間違ってはいないが、過去に行った分カウントしてないだろそれ。
あ、ども。
稲荷です。
「わっ、狐さん……
えっと、わたしは高町ヴィヴィオです。
あ、なのはママ。
こちらの方はお客様?」
「ヴィヴィオのなのはママを寝取るとはふてぇやつだ」
お前ちょっと黙ってれ。
どうやらこのヴィヴィっ子、なのはさんを自分の時代のなのはさんと勘違いしてるらしく。
流石になのはさんも返答に困っている。
まぁ俺には関係ないので、その間に現状確認。
さっきはいきなりだったので分からなかったが、どうやら結構立派な家のようで。
見た感じここはリビング。
奥にキッチン的な何かが見えるからきっとそう。
後、アパートの造りじゃない。
どうやら一戸建てに住んでいるようである。
「なるほど、つまりなのはさんと結婚すると逆玉という訳か。
これは行くしかない。
なのはさん」
「何?」
「あなたの事が、好きだから〜!」
「私もだよ!
はい、これ!」
手渡される紙。
なんぞ?
……婚姻届……だと……?
しかもなのはさんの欄は、記名捺印済み。
俺の欄は、記名済みで後は捺印を待つばかり。
俺が書いた記憶は、無い。
「あ、後これ!」
手渡される印鑑。
なんぞ?
……『稲荷』……だと……?
しかも何か凝った作りの印鑑。
決して300円とか、そんな値段では作ってくれない感じの印鑑。
俺が作った記憶は、無い。
「ネタがガチになる瞬間である。
体の震えが止まらねぇ」
「おぉ、なのはママが珍しく優勢!
カメラカメラ……
はっ……手に持ってるのシャンプーハットとアヒル村長しかない」
「な、なのはママ、どうしたの!?
いきなり結婚って……え、えぇ!?」
「ささ、お稲荷さん!
ポポポポーンと押しちゃって!」
「そんな軽いものだっけ。
何で俺の証人の欄が士郎さんなのさ。
いいのかそれで。
よく見たら俺の欄の書体がどう見てもなのはさんのお兄様。
あぁ、桃子さんはなのはさんの証人で書いてるから書体がバレるってか。
しかしこの所々字が力の入れすぎみたいに歪んでいるのは何故だろう。
てかこれ公文書偽造だよね、犯罪だよね。
そして根本的に、稲荷なんて戸籍ないよね」
「気にしちゃ負けなの!」
ヴィヴィオー!
お前のママが真っ黒になっていくよ!
「なのはママ……いつか2度目をやると思ってたんだ」
「なのはママ、管理局員が犯罪しちゃダメ————!!」
「私がどうしたの、ヴィヴィオ?
誰か来てるの?
……え、ヴィヴィオが2人……
……え、私がいる……
……え、尻尾……」
このカオスな空間に未来的なのはさん、リビングに襲来。
どうやら家に居たようである。
てかせめて固有名詞で呼んでくれませんかね。
部分的な名前じゃなくて。
「えっと、ヴィヴィオ。
これはどういう事?」
「ヴィヴィオ超頑張った」
「……?」
ヴィヴィオの返答に、未来のなのはさんは首を傾げる。
「なのはママ、わたしがなのはママのヴィヴィオだから。
ほら、あっちのヴィヴィオちゃんはちょっと小さいでしょ?」
「チビと申したか。
ヴィヴィオの怒りが有頂天」
「何かよく分からない事言うし」
「そ、そうなんだ……」
向こうは何か楽しそうだなぁ。
混ぜてくれないかなぁ。
「お稲荷さん、はやくはやく!」
こっちには目をキラキラさせて婚姻届をさし出してくるなのはさん。
誰か助けてくれないかなぁ。
○ ● ○ ● ○ ●
なのはさんを落ち着かせ。
高町さんも落ち着かせ。
ヴィヴィオもようやく黙らせて現状説明と相成った。
つまり。
『1.あ、ヴィヴィオの学校が……
2.イヤでござるー!!
3.計画は未来を見てから←今ここ』
こんな感じ。
事情を聞いた高町さんとヴィヴィっ子は、どうも納得できないようだった。
特に高町さん。
何で苗字かって?
年上だから。
しかもどうもこの世界。
俺が居なかった場合の未来となっているらしい。
だから当然ヴィヴィオにはパパは居ないし、高町さんも俺の事なんて知らない。
「なるほど。
ではこちらの世界の高町さんは、ユーノにぞっこんという訳ですね」
「え、ユーノくんは友達だよ?
ね、なのは……さん?」
「私はお稲荷さんにしか興味がない。
ねぇ、お稲荷さん……
やっぱダメ、かな?」
「なのはさんって、成功を目前に控えると焦りすぎて失敗するタイプでしょ。
ご主人様から嫁さんってどんだけ過程飛ばしてるんだ。
この婚姻届、まさか材料がゲイボルグじゃなかろうな」
「やったー!
狐パパが本物の狐パパになるー!」
今までの俺は偽者だったと申すか。
「しかしこれほど恐ろしい紙切れを見たのは、無勉の期末テスト以来だな。
これ一枚で俺の外堀がどれだけ埋められているのかがよくわかる」
あ、でも仮にこの婚姻届を提出したら、なのはさんじゃなくて高町さんと俺が夫婦になってしまうのではなかろうか。
「ん?
ふふふ、大丈夫だよ!
ちょっと待っててね、お稲荷さん。
今この邪魔者を消すから……」
「え、ちょ、私!?
状況が飲み込めないの!?」
「じゃあなのはさん達が話してる間に、風呂に行こうかヴィヴィオ」
「うまく逃げたね」
逃げれたのか、あれ。
なのはさんが自分で稲荷印のハンコを押したら全てが終わるんだが。
まぁいいや。
ヴィヴィオ、俺にもアヒル村長貸してくれ。
「だが断る」
しかし答えは聞いていない。
さぁヴィヴィっ子、風呂場はどこだ。
あれならお前も一緒に入るかね。
「えと……えと……
お風呂はこっちです。
それと入りません。
変なことしたら容赦しませんよ?
私これでも、ストライクアーツで鍛えてるんですから」
「ヴィヴィオ、ヴィヴィっ子はどうやら強いらしいぞ。
ストライクアーツって何だ」
「打撃技術」
誰が直訳しろと。
さて、このヴィヴィっ子にお前は勝てるか?
「メイン盾がいれば勝つる」
「俺に的になれと申すか。
お前だけだったらどうだ?」
「弾幕で足止めして虹天剣で撃ち抜く。
因みにシールド貫通仕様」
確かに弾幕ゲーは防御なんて出来ないが、どこでそんな技を覚えた。
……てかヴィヴィオって実はチートキャラだったりする?
「狐パパがよくやる『気合い』って便利だよね。
あと、幸運がEXくらいならあるかも」
「気合いでシールド抜くとか全魔導師が泣いた。
てかその幸運を3分の1でいいので分けてください」
「独り身の人から見たら狐パパも十分幸運だよ?」
それは平穏な生活があってこそのものなんだ。
「狐パパ!
シャンプーハットって凄いね!
目に水が入らなかった!」
「俺としてはシャンプーハットを髪も上げずに装着して、その長い髪の3分の2は洗えていなかったことに脱帽。
結局俺が洗ってやったんじゃないか」
「うっ」
「要練習だな」
「あ、お稲荷さん。
お風呂から上がったの?」
「おぅ。
尻尾乾かしてもらえませぬか。
てか話し合いは終わったので?」
「いいよー。
後この世界の私とは、書いてもらった後に元の世界に戻って提出すればいいって結論に至ったから問題ないよ」
「大ありだ、ど阿呆。
それだと俺がなのはさんと結婚するの確定事項ジャマイカ」
「嫌かな?
ヴィヴィオもお稲荷さんが本当のパパになると嬉しいよね!」
「うん、とっても!
だからなのはママ、死角でヴィヴィオの背中にレイジングハート突きつけるのやめてね」
「ふむ。
嫌ではない。
しかしバトルな日々より退廃的な生活が……
あれ、なのはさんの実家生活は結構そんな感じだったのか?
あとレイジングハートってなんだっけ」
「まぁ、この世界じゃ焦っても仕方ないし。
元の世界に戻ったらお稲荷さんの答えを聞かせて欲しいかな。
あ、尻尾乾かすね」
「うい、頼んます。
で、レイジングハートって?」
「後、戻ってヴィヴィオの学校も決めないとだからね!」
「勉強やでござる———!!」
「聞いてよ」
「ダメだよ?
こっちのヴィヴィオも頑張ってるんだから」
「頑張ってるヴィヴィオなんてヴィヴィオじゃない」
「我儘言わないのー!」
「わーん!
狐パパー!!」
「お前らスルースキルもEXだろ。
全く……ほれ、ヴィヴィオの髪は俺が乾かしてやるから。
座れ座れ」
「わーい!」
「なのはママ。
何かこう、稲荷さん達を見てると羨ましく感じるヴィヴィオがいるのです」
「う〜ん。
私も羨ましいなぁ。
もう23だし、そろそろ彼氏居ないとやっぱりマズイよね……」
「……ねぇ、なのはママ。
今日一緒にお風呂入らない?」
「……そうだね、入ろうか。
難しく考えるのは、明日からにしよう。
あ、因みにヴィヴィオは学校嫌い?」
「全然!
むしろ凄く楽しいよ!!」
「どうして同じヴィヴィオでここまで変わるかな……
まぁ、大体稲荷さんのせいってのは見てれば分かるんだけど」
「でも、なのはママも結構影響受けてない?
あれも稲荷さんのせいかな」
「多分、そうじゃないかな」
「というか、あの尻尾は一体何なのでしょう」
「一番の謎だね」
どうしてこうなった。
こんばんは、アメフラシです。
感想返せてなくてすみません。
ちゃんと読んでます。
時間見つけて返してます。
2通返事を書くと2通感想が来るので、嬉しいですがエンドレス。
ヴィヴィオとヴィヴィっ子。
もはや別人。
というか精神年齢がヴィヴィオの方が高そうな気がする今日この頃。
たまにアニメで見かけるんです。
長い髪を上げずにシャンプーハットで頭を洗うシーン。
頭皮は洗えるけど、髪の8割は洗えていない気がしてならないんです。
引っ掻き回してあと放置。
これぞ奇行文クォリティー。
許してあげてください。
彼は何を引っ掻き回したのか分からないんです。
で、はしごをしてたハズなのに。
多分途中で寝たのだろうか、1件分記憶がないとです。
というか、気持ち悪い。
これが俗に言う二日酔いか。
まだ1日目だから、一日酔いか。
明日には治るといいなー。
ん? お勘定?
君が何を言って(ry