ストロベリーサスペンス奇行文。
二日酔い。
『育ちゆくのは、新たな世代。
これはかつての空のエース、高町なのはの一人娘にしてStヒルデ魔法学院初等科4年生。
高町ヴィヴィオの鮮烈(ヴィヴィッド)な物語』
「ヴィヴィオ、何読んでるんだ?」
「あ、狐パパおはよう。
こっちのヴィヴィオの部屋に侵入して、机の上にあったノートを拝借したんだけど。
妄想ノートだった」
朝から何をやっているのかとか。
そんなノートを何でリビングで熟読してるのかとか。
言いたいことは色々あるけど。
ちょい見せてみ。
「……わーお。
鮮烈にヴィヴィッドってルビふってあるぞ。
アイタタタタ」
「しかもこのノートのタイトル見て」
ん?
魔法少女リリカルなのはVivid。
「これより異端審問会を執り行う」
「え、ちょ、私なんで縛られてるの!?
い、稲荷さん!?」
俺とヴィヴィオで高町さんを拉致。
十字架に張り付けてリビングに立てる。
騒動でなのはさんとヴィヴィっ子も現れた。
俺とヴィヴィオは目の部分にだけ穴の開いた、頭の尖った黒い布をかぶり。
裁判官が鳴らす木槌っぽいのをカンカンと2度叩く。
「稲荷さん!!
なのはママに何をするんですか!!」
「そうだよお稲荷さん。
何があったか分からないけどちょっとやり過ぎじゃない?」
「毎度の事ながら何で俺だけ責められてるのだろうか。
ヴィヴィオも忘れないであげてください」
それはともかくだ。
罪人、高町なのは。
「私が何をしたって言うの!?」
「このノートを見るがいい」
このヴィヴィっ子の力作ノートを。
「……え、あ、ちょ……それ、待ってくださ!?」
「さて、ヴィヴィっ子が慌てだした所で改めて異端審問会を執り行う。
罪人、魔法『少女』高町なのは。
罪状、23歳」
判決、死刑。
「そ……そんな……」
「待ってください!
そのノートは違うんです!
それは私が……私の……」
「……私の、何かな?」
「私の……私の……!!
……てへ?」
拷問してから、死刑。
「因みにこのノートは証拠品として、ヴィヴィオが回収させて頂きます」
「あ、ダメ—————!!」
「鮮烈なヴィヴィッド」
「やめて—————!!」
「ヴィヴィオ、お前エグいな」
「何が悲しくて自分の厨二病な姿を見ないといけないのかと」
まぁ、確かに。
後なのはさん。
私はまだ少女で通じるよね、とか呟いてますが。
あなたもう20歳じゃなかろうか。
「実は過去とか未来とか、あっちこっち行きすぎて誕生日が来たのかどうか分からないんだよね」
「なるほど、心はいつまで経っても19歳って訳か。
ゆかりんに謝れ。
む、部屋の隅のリボンから殺気。
てか誕生日が来てたのなら、何かプレゼントくらいあげようと思ったのに」
幻視。
ヴィヴィオの耳がダンボになる姿が見えた。
「狐パパ。
実はヴィヴィオ、今日誕生日なんだ。
プレゼント欲しいです」
「驚愕の新事実すぎて何も用意出来てない。
仕方ないからヴィヴィオには俺のディープなキスをあげよう」
「ヴィヴィオは永遠の6歳児です」
うむ、正直が一番である。
だが永遠の6歳児なんてそんな夢のような生活、パパは許しません。
むしろ俺がそんな生活を送りたい。
なんて思っていると、肩に手を置かれる。
振り向く。
いい笑顔のなのはさんが居た。
「わ、私も今日誕生日なんだ!
それで……その……プレゼント間に合わなかったのなら、仕方ないからお稲荷さんのキスで我慢してあげる!」
「こちらも驚愕の新事実。
誕生日プレゼントなのに我慢させる訳にはいかないから、後で何か考える」
「え、あ……そ、そうじゃなくて!
じゃなくて、お稲荷さん手持ちほとんど無いでしょ?
だから、その、物じゃなくても……」
両手の人差し指をツンツンしながら、赤くなってうつむくなのはさん。
ちらりとヴィヴィオを見る。
凄い睨んでいる。
だがすぐに視線を外し、窓から空を眺め始めた。
そして呟く。
「いい天気だね……
でもこういう日に空気読めない何かがあったら、虹天剣を撃ちたくなっちゃうなぁ……
そんなものがあったら、10回くらい連続で撃って、全てを虹で染め上げようかなぁ……」
ヤツの虹に非殺傷なんてものはない。
すぐなのはさんに向き直る。
未だにうつむいているなのはさん。
近づき、左手をなのはさんの腰に回し、右手をなのはさんの後頭部へ。
突然の行動に驚き顔を上げたその時を見計らい、唇を重ねる。
「……んっ!?」
一瞬硬直するが、すぐになのはさんも手を俺の頭と腰に回す。
口の中に何かが侵入してきた。
なのはさんの舌である。
トラウマが蘇りそうになったが、妙な物を飲まされる気配はないので心の底から安堵する。
数秒だったのか、数十秒だったのか、数分だったのか。
時間間隔は良く分からなかったが、ある程度したら俺達の唇が離れた。
なのはさんの唇も舌もやわっこくて気持ちよかったぜちくせう。
「あぁ、よかった。
今日は空気を読めない何かは無かったみたい。
ヴィヴィオの虹を出す必要が無くて良かった」
お前もう最低だ。
「あ……お、お稲荷、さん……」
俺の服を親指と人差し指で掴みながら、顔を真っ赤にして見つめてくるなのはさん。
脳内は既にレッドアラートである。
いろんな意味で。
「その……もう1回……して……?」
バッとヴィヴィオが居る方を見る。
未だに窓の外を眺めたままのヴィヴィオがそこにはいた。
「あぁ、でもまた空気読めない何かが出てきそうだなぁ……」
クッソ!
お前、何か!
とってもクッソ!!
「うわぁ……あっちのなのはママが、凄い可愛い……そして顔が蕩けそうなくらい幸せそう……
わっ、また始めた!
あ、あれが大人のキスかぁ……」
「ヴィヴィオ! 見ちゃダメ!
教育上よろしくないから!!
というかこの十字架から降ろしてくれないかな……?」
「あ、うん、ゴメンナサイ。
……なのはママ、あの姿見てどう思う?」
「え?
……実は少し羨ましいよぅ。
私も彼氏欲しい……
ちょっと世界が違うだけでこんなに違うものなんだね。
もうユーノくん狙ってみようかなぁ……」
「そっかぁ。
わたしは、あのヴィヴィオちゃん見てても羨ましくも何ともないかなー」
2人揃って窓際のヴィヴィオに視線を向ける。
何か黒い笑みを浮かべていた。
それを見ると同時に、俺達に向けられていた、というか俺に対する2人の視線が若干優しくなった気がする。
誰か、ヘルプ。
○ ● ○ ● ○ ●
なのはさんとのチッスを堪能した後。
高町さんとヴィヴィっ子は、慌ただしく部屋へと戻っていった。
何でも、朝から騒がしかったから気付かなかったけどもう遅刻寸前なんだとか。
てか今日の騒ぎの原因は、大体ヴィヴィオのせいだと思うのは俺だけか。
誕生日の話をしていただけなのに、どうしてああなった。
「DVSと申したか」
「自覚あるんじゃねーか」
「なのはママの為、多少の犠牲は仕方なかった」
そのなのはママは、今ソファーに座って顔を赤くしながら虚空を見つめていますが。
触らぬ神に祟りなしともいうので、今は放置に限る。
「……ねぇ、狐パパ」
「ん?」
「厨二病を患ったヴィヴィオの未来を、見に行こうよ!」
お前さっきまで、厨二病な自分は見たくないって言ってなかったか。
「あの後考えてたんだ。
そして気付いた。
普通に厨二病を患ったのか、それとも周りが厨二病だったから感染拡大の被害にあったのか。
そこを見極めないと、最悪学校に行かされることになってもヴィヴィオには学校を選ぶことなんて出来ない事に……!!」
「なるほどなるほど。
そいつぁ大事な問題だ。
まぁ俺から言えることは1つ。
んなこと考える前に助けんかい」
「帰ったら確実に婚姻届だね」
「やっぱりか。
もう道は、翠屋継ぐならいいよって言う事しかないな」
で、話を戻すとヴィヴィっ子の学校だっけ。
何、つまり魔法学校に行けばいいのか。
「ヴィヴィオの将来がああならないためにも、ヴィヴィオは未来のヴィヴィオをしっかりと見定める必要があるのです」
そうか。
なら行く準備をしてこい。
俺は今なのはさんというナビが使えないから、学校への道のりを探してみる。
「合点!」
俺の言葉に応え、意気揚々と部屋に戻っていくヴィヴィオ。
どうでもいいが、あいつならどこででもたくましく生きていけそうな気がするのは俺だけだろうか。
で、やってきました魔法学校。
俺達は今、門のようなアーチの真下で佇んでいる。
意外に高町さん家は学校に近かったらしく、難なく来ることができた。
「しかし挨拶で『ごきげんよう』ってヤバイな。
ライオンが提供のテレビ番組でしか聞いたことなかったぜ。
てか普通におはようでイイじゃん。
何でお嬢様風味に言うかな」
「道行く人の半数はその挨拶だね。
後、道行く人全部、狐パパの尻尾見て驚いてるけど」
照れるぜ。
「あら、ごきげんようヴィヴィオ」
「おはよー」
「ヤバス。
おはよう!」
どうやらヴィヴィっ子の友達らしき人とエンカウント。
ツインテールの子と、頭にリボンを巻いた子である。
しかしまさかのエンカウントに、ヴィヴィオも余程焦ったのだろう。
口から余計な単語が漏れていることに気づいていない。
まぁ、向こうも気づいていないぽいが。
「もうクラス分け見た?
……あれ、ヴィヴィオなんか小さくなってない……?」
「チビと申したか。
じゃなくて。
えっと、ダイエット中なんだー!」
ツインテールの問い掛けにネタで即答するヴィヴィオ。
むしろ何故ばれないのかが謎でしょうがない。
続けてリボンちゃんが喋りだす。
「……?
って、背も縮んじゃうダイエットなんてしちゃダメだよ!!
体に悪いでしょ?」
「サーセン」
「もう……
あ、それとクラス分け見たよ!
みんな一緒のクラスだったね!」
「本当に!?
じゃあそれまでに身長戻しておくね!」
「うん!
……ん?ちょっと待って。
身長って、そんなに簡単に伸び縮みするものだっけ……?」
「簡単に縮んだんだから簡単に伸びるでしょ」
ヴィヴィオ、そのくらいにしとけ。
リボンちゃんの脳内がそろそろクラッシュするから。
というか、後に対応するヴィヴィっ子が少々不憫である。
「ところで、そこのおじさんは誰?
ヴィヴィオの知り合い?」
「誰がおじさんだツインテール」
「狐パパは黙っててね。
この人は狐パパって言って、なのはママの近い将来の夫なんだー!
今日の朝も早くから、あっつ〜いキスを何度も……」
その影にお前がいたという事実を忘れないで下さい。
ほら、そこの2人ももう脳内処理が追いついていないじゃないか。
「え……っと……
狐パパさんでしたっけ」
「リボンちゃん。
だからやめてよそのバーバパパみたいなの。
稲荷ですから。
名前、稲荷ですから」
「あ、私はリオって言います」
「コロナです!」
リボンちゃんに続き、ツインテールの自己紹介。
このツインテール、ツンデレではないようだ。
珍しい。
「というかヴィヴィオにパパがいたって話、初耳なんだけど!?」
「良かったね。
ヴィヴィオの秘密をまた1つ知れたよ!」
ヴィヴィオがコロナにいい笑顔でサムズアップする。
「リオ、コロナ。
どうでもいいが、もうそろそろ授業じゃなかろうか。
俺の事は気にせずに、ヴィヴィオを連れていっていいぞ」
「マジデカ。
狐パパはここに来てヴィヴィオを見捨てると言うのか」
刹那。
一陣の風が、俺達とリオとコロナの間を通り抜けた。
それは言うなら、金色の風。
風は、俺とヴィヴィオを巻き込み連れ去る。
そしてそのまま近くの木の影に、風は流れた。
「何を、やって、いるん、ですか!?」
「よぅヴィヴィっ子。
よく俺ら2人を担いで、あのスピードで動けたな」
「魔力での身体強化です!」
すげーな魔力。
「それはともかく!
私の友達まで巻き込まないで下さい!!」
「ヴィヴィオ、お前魔力で身体強化って出来るか?」
「魔力でも気でも、両方も」
ほう、経験が生きたな。
……ん?
まて、両方ってよもや……
「無視しないで下さい!!」
「そうだ、これは無視できない事態だ。
お前、さてはネギま!を読んだな」
「ネギマは食べ物で読む物じゃありません!!
適当なこと言って誤魔化さないで下さい!!」
ヴィヴィっ子。
それはネギま違いだ。
そして涙目で怒鳴ってる所悪いが、向こうでリオとコロナが困ってるぞ。
行ってやらなくていいのか。
「……あ!
もう、帰ったらしっかりお話させて貰いますからね!!」
そう言い残して、ヴィヴィっ子は2人の下へと走っていった。
これから先ほどのヴィヴィオの爆弾発言の数々を対処しなければならないと思うと少し不憫ではあるが。
今はそれどころではない。
「さぁヴィヴィオ。
キリキリ吐いてもらおうか。
お前まさか豪殺無音拳を使えるんじゃなかろうな」
「まさかの咸卦法がうまくいった時にポッケから手を抜いたら出来た。
反省はしていない」
「お前本当に6歳児か。
てかそれは、気も魔力もろくに使えない俺に対する当て付けと受け取った」
「それ以上の威力のパンチをノータイムで撃ち出す狐パパが何を言う」
「てか気とか魔力使えるなら、瞬動術も使えるんだろ。
いーなーうらやましーなー」
「それ以上のスピードで自由に動ける神速を使える狐パパが何を言う」
で、ヴィヴィオ。
言い残すことはあるか。
「ネギま!面白かった。
でもハマり過ぎると厨二病への片道切符」
その技の練習をしていたお前は既に半分アウトだから。
「……あ。
ナンテコッタイ」
『スカさんスカさん。
ヴィヴィオがヤバス。
あいつはきっとチート』
『独房にいる私に連絡を取れる君も随分とチートな気がするがね。
誰だい君は?
この端末のアドレスを知っているとなると、娘達の誰かに聞いたのかい?』
『娘って誰ディスカ。
俺はスカさん本人しか連絡先は知らん』
『ふむ……?
娘を知らず、私からアドレスを聞いた。
しかし私は教えた覚えはない。
……なるほど、異世界……いや、平行世界からの来訪者か』
『どこに行ってもスカさんの頭は香ばしいな』
『それは褒め言葉かい?
なかなかに面白い言い回しをするね、君は。
なるほど。
平行世界の私が君に興味を持った理由も、何となく分かるよ』
『同じような事を過去とその過去のスカさんに言われました。
俺は珍獣かと。
尻尾9本と狐耳はあるけど』
『珍獣と言わずして何というのかね』
『その切り返しは想定外』
『……クックック。
あぁ、君は本当に面白い。
名を尋ねてもいいかね』
『稲荷と申す』
『なるほど、稲荷くんか。
ならば教えてあげよう。
聖王の器がいかなるものかを』
『その言い回しは長くなりそうだから拒否』
「狐パパー!
何してるの?」
「スカさんとメール。
さてヴィヴィオ。
授業に潜入するか」
「拒否。
未来ヴィヴィオの交友関係と厨二病の蔓延具合を見たいのであって、授業を受けたい訳では決して無い」
「まぁそう言うな。
学校は勉強も多少はするが、それ以上に友達作ってワイワイ騒ぐ場所だぞ?
ほら、ヴィヴィオのちゃんとした友達ってなのはとかフェイトだけだろ?
しかも住む時代が違うときたもんだ。
絶対に別れは来るしな。
お前、前に1回経験した別れが辛くて、こうやって何だかんだ理由をつけてあいつらと別れるのを先延ばしにしてるんだろ」
「……」
「そして新しい友達を作っても、またあの別れる辛さをいつか味わうかと思うとなかなか踏み出せない自分がいる。
どうだ?」
「……なんで分かるの?」
「曲がりなりにもお前のパパさんやってんだ。
分からいでか。
てか拒否の仕方が露骨過ぎる」
「……凄いね」
「まーな。
そしてこればっかりは経験だわ。
中にはずっと友達のままでいれるやつもいるが、大半はそうならないしな」
「……うん」
「ま、落ち込んだら俺がいくらでも慰めてやるさ。
……さて、ちょっとダークな話もしてしまったし。
ここでちょっくら一寝入りするか?
木漏れ日がいい感じに眠気を誘う」
「あ、いいね!
狐パパ、尻尾貸してー!」
「返せよ?」
「んー、もふもふ。
……なのはママが狐パパの事を好きになった理由、何となく分かったかも」
「何かいったかー?」
「何もー!」
感想返しきっていないのに投稿すみません。
月刊小説みたいになってすみません。
皆さんのアイドル、アメフラシです。
この夏、海に行かれた際には私を探してみてください。
危険を察したら紫汁を出します。
書いてて思った。
なんだこの砂糖空間。
前半部分を書いていた時、きっとアメフラシは飢えていたんだと思います。
そしてエアーフォックス。
子どもの会話に大人が、というか狐が口出しするものじゃありません。
休日ないよー。
執筆進まないよー。
弱音を吐いてて書き終えたら過去最高の17ページ。
普段が10〜12ページ。
何やってんだろう俺。
さて、そろそろ奇行文のまったり空間に嫌気が刺してくる人がいるのでは無いだろうか。
そう思っていたのに、週間アクセス1位だと……?
ご愛読ありがとうございます。
どんどんグダグダ具合に磨きがかかります。
こんなノリの奇行文でよければ、まだ暫しのお付き合いをよろしくお願いします。
さて、本格的な二日酔い。
何かいいものは無いものか。
……ウコンの力?
なってから飲んでどうする。
※ヴィヴィオは6歳。
※ヴィヴィっ子は小4だから……多分10歳?
※4年後だから、高町さん23歳?
※(´ω`)ぬ〜ん
※年齢は奇行文クォリティー。