おっきくなっちゃう奇行文。
三日酔い。
「じゃあ弁解を聞きます」
「ヴィヴィオは悪くない、ヴィヴィオは悪くない!
悪いのは狐パパなんだ!」
「んだとフォルァ。
しかもそれは二度ネタだ」
「2人とも同罪です!!」
「弁解から判決が早すぎだろ」
夕方。
ヴィヴィっ子が家に帰ってきた後。
居間で正座させられる俺とヴィヴィオ。
何でも、友達の誤解……誤解?を解くのが大変だったんだとか。
敢えて言おう。
俺、悪くないよな。
「喋ってたのはヴィヴィオだけだった気がするのだが」
「何で止めなかったんですか?」
なるほど、俺が悪かった。
「狐パパ。
ヴィヴィオ、そろそろ足がオーバードライブしそう」
「この時代のヴィヴィっ子。
流石に六課時代の高町さんを見て育ってきたことはある。
訓練の時の厳しさを思い出すぜ」
「よく耐えられたね」
「まぁ……後から思い返せば自業自得だしね。
悔やまれるのは、その当時はベストな解決策と思い込んでいるところにある」
で、ヴィヴィっ子さん。
いつまで正座してればいいんでしょうか。
「みんなが帰ってくるまで。
玄関に向かって正座して、みんなを出迎えてくださいね」
いい笑顔で言っているが、それだと後どんだけ待たないといけないのか。
言い終わると、ヴィヴィっ子は奥の部屋へと歩いていった。
誰かヘルプ。
「ただいま〜。
……あれ、ヴィヴィオ?
何で正座してるの?
それと、その尻尾は誰?」
願いが届いたのか。
よくぞ1分も経たずに帰ってきてくれた。
高町さんではなく、フェイトさんだったが。
もう固有名詞じゃない事はどうでもいいくらい嬉しさが有頂天。
「おかえりー! フェイトさん!」
「あ、うん、ただいまヴィヴィオ。
……フェイトさん?」
「フェイトさんはもうママじゃないの!
だからフェイトさん!」
崩れ去るフェイトさん。
床に広がる涙の水溜り。
「そんなぁ……
せっかくヴィヴィオの専用デバイス、もらってきたのに……
私、何かやっちゃったのかな……
明日の午後までお休みだから、ヴィヴィオのお祝いしようと思ったのに……」
「ヴィヴィオは専用デバイス持ってるよ!
前に狐パパからもらったんだ!
ほら、これ」
ポッケから黒い棒状の物体を取り出すヴィヴィオ。
「何、これ?」
「デバイス」
「……性能は?」
「8ギガ」
「……何で?」
「そういや、何で?」
籠売りで安かったから。
「狐パパって、誰?」
「ヴィヴィオの隣で一緒に正座してる狐さん」
「……そう」
お願いですからその光り輝く大剣をもってこっち寄らないで下さい。
「くっそ!
ヴィヴィっ子絶対これを見越して正座を長時間させたんだな!
俺を逃さないために!」
「違うと思う」
「初めて会った時の模擬戦といい、今回の件といい。
どうしてフェイトさんはそんなに俺の尻を狙いたがるんだ」
「非殺傷でも、苦しいでしょ?」
……あれ、非殺傷って相手を苦しめるためのものだっけ。
足がしびれて動けない所に、フェイトさんがアッ———!!
そしたら大分落ち着いたらしく。
事情説明と相成っている。
先ほどの会話を見る限りでは、フェイトさんがまだ危ない人だが。
居間には、俺達3人組とヴィヴィっ子、帰宅なされた高町さん、そしてフェイトさん。
なのはさんと高町さんを見た時のフェイトさんの表情。
ヴィヴィオ、撮影は?
……そうか。
流石我が娘なり。
「この映像は過去に戻ったら試写会を行うとして。
そういえばフェイトさん、ヴィヴィっ子にデバイスあげるとか言ってなかった?」
「え!?
ほ、本当!? フェイトママ!!」
「あぁ、ヴィヴィオ……
もう1回、もう1回フェイトママって言ってくれる?」
台無しである。
「しかしデバイスがないと魔法が使えないとは、軟弱者め」
「いや、ヴィヴィオ。
気合いで魔法使うという意味の分からん事できるのはお前だけだと思うぞ」
「気合いだけで魔法以上の事が出来るお稲荷さんはもっと意味が分からないと思うの……」
生きるのに必死なだけです。
そうこうしているうちに、フェイトさんからヴィヴィっ子へ手渡される箱。
中には、未来リインくらいの大きさのウサギの人形が入っていた。
あのウサギの人形が、デバイスらしい。
USBもデバイス。
ウサギの人形もデバイス。
そういや、プレシアさんがくれた小さい鉄板もデバイスだった気がする。
ん、どしたなのはさん。
その赤い宝石もデバイスだって?
関連性が見えん。
デバイスって何だ。
「因みに私のデバイスは、レイジングハートって言うの!」
「そっか。
不屈の心、か。
なのはさん……」
厨二病だったんだね。
「何その視線、なんかヤダな。
あ、あっちはヴィヴィっ子ちゃんがデバイスをセットアップしてるよ!」
そう言われ視線を向けると、いつの間にか庭に出ていたヴィヴィっ子に、それを見守る高町さんとフェイトさん。
ヴィヴィっ子の傍には、先程箱に入っていたウサギの人形がフワフワ浮いている。
呪いの人形じゃねーか。
後でお札貼っておこう。
「マスター認証。
高町ヴィヴィオ。
術式はベルカ主体のミッド混合ハイブリッド。
私の愛機(デバイス)に個体名称を登録。
愛称(マスコットネーム)はクリス。
正式名称『セイクリッド・ハート』
いくよ、クリス」
魔方陣がヴィヴィっ子を中心に広がる。
放つ光が最高潮になった所で、締めに入った。
「セイクリッド・ハート!
セ——ット、ア————ップ!」
瞬時にヴィヴィっ子が光に包まれ、マッパに。
なんでさ。
同時にヴィヴィオがうめき声を上げ、のた打ち回る。
なんでさ。
「未来のヴィヴィオはどこまで傾く気かぁ————!!」
「……お稲荷さん、ヴィヴィオは何を言ってるの?」
「自分の厨二病姿が見るに耐えんらしい」
そんなヴィヴィオは放っておき。
問題のヴィヴィっ子であるが。
おっきくなっちゃった。
「なのはさん。
人って頑張れば肉体年齢を変えれるんだね」
「みたいだね。
私も頑張って若くなって、魔法少女リリカルなのはをもう一度……!」
「頑張らんでいいから。
今のなのはさんより若くなった状態で俺が手を出したらロリコンに……」
何でもネッス。
今の発言は忘れて下さい。
「え、私に手を出すって……」
その満面の笑みでこっちに視線を向けるのはやめてくりゃれ。
さて、フェイトさんも何でヴィヴィっ子が大きくなったのか分かってないみたいだし。
説明を求めてもよろしいかね。
「だがそのけしからん胸。
てめぇはダメだ。
ヴィヴィオの胸のくせに……」
ヴィヴィオ、お前は黙ってなさい。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
…………プルルルルルル。
ガチャッ。
「俺だよ俺!
俺だよスカさん!」
『残念ながら振り込むお金はないよ。
しかしどうした稲荷くん。
電話なんて珍しいじゃないか。
ヴィヴィオくんが大人モードにでもなったのかい?
しかも番号がいつもと違うとは』
「過去でもそうだったがどこで見てやがる。
因みに番号が違うのは、高町さんちの固定電話だから」
しかし予想で言ってるのだったらもはや変態の域。
因みに今回の電話はスピーカーモード。
「ス、スカリエッティ!?
まさか稲荷さん、あいつの仲間だったの!?
ヴィヴィオと私のそっくりさんは……まさかプロジェクトF……」
「プロジェクトはXしか知らんと何度言ったら分かるんだ。
あ、東方もか」
「スカリエッティ。
あなたは独房に居る筈です。
勿論、私物の持ち込みは出来ないよう厳重に検査されているはず。
何故通信に出れる」
『フェイト・テスタロッサかね。
何、連絡先なんて娘たちくらいしか知らなかった端末を持っていただけだよ。
しかも娘たちはみんな端末をいつも研究室に置きっぱなしだったからね。
もう誰とも連絡の取れない鉄の塊と化した筈だったんだ。
管理局員もチェックしていたが、誰とも連絡がつかないと分かると可哀想な人を見る目をして端末を返してくれたよ』
スカさんの言葉を聞き、俺となのはさんとヴィヴィオはそっと携帯を開く。
なのはさんは何かいっぱいアドレスが並んでいる。
でも仕事関連がほとんどらしく、プライベートで使うものはあまり無いとの事。
ヴィヴィオはなのはとフェイトとはやて。
今は使えぬ悲劇。
俺は今使えるのはスカさんとなのはさんとヴィヴィオとヴァイス。
俺達は目を合わせ。
そっと携帯を閉じた。
未来組3人娘は、可哀想な人を見る目で俺達を見ている。
「い、稲荷さん……
もしかして……」
「言うな、高町さん。
後知ってるアドレスなんてなのは・フェイト・はやての3人娘とプレシアさんくらいなんだよ」
「何で母さんのアドレス知ってるの?」
「アルハザードでスカさんと一緒に飲んだら教えてくれた」
フェイトさんの頭からクエスチョンマークが飛び出ているが、嘘は言っていない。
で、スカさん。
ヴィヴィっ子が大人になったのはなんで?
『私がゆりかご制御時にレリックを埋め込んだのが原因かね。
詳しくは調べてみないと分からないが。
ヴィヴィオくんはどうだい?
セットアップ時に、大きくならないのかい?』
「レリックを埋めこまれた覚えがなーい!」
「そもそもヴィヴィオ。
お前ってセットアップできたっけ」
「パソコンにOS入れるくらいなら」
十分だろ。
俺はできん。
『クックック。
セットアップの意味合いが違うのだがね。
魔法使いのセットアップとは、あれだよ。
変身して力を得る魔法少女、みたいなものだね。
ヴィヴィオくんは、何かできないのかい?』
「なるほど。
じゃあこれはヴィヴィオ流セットアップ!」
言うなり、ヴィヴィオは右手と左手を胸の前でパンっと合わせる。
ヴィヴィオを中心に風が巻き起こり、なんとも言えない威圧感まで出し始めた。
そしてゆっくりとポッケに手を……
「バッカお前!
誰に撃つつもりだ誰に!」
「勿論、ヴィヴィオのくせにけしからん胸を持っているあいつ」
「ねぇねぇお稲荷さん。
ヴィヴィオのあれって何?
前、私と模擬戦したときもディバインバスターを動作なしで消し飛ばしたんだけど」
「ネギまのトリプルTを参照。
しかしディバインバスターを消し飛ばしたか。
なのはさんのバスターを消し飛ばすヴィヴィオが凄いのか。
6歳児に容赦無い攻撃をするなのはさんが凄いのか。
……なのはさんが鬼畜でFAか」
「ヴィヴィオー!
今日は久々にお稲荷さんと訓練するよー!」
薮蛇であった。
「ね、ヴィヴィオ?」
「はい?」
———ディバイーン、バスター!!!
———適当に右パンチ! うお、マジで相殺できた! これでかつる!
「大人モードはヴィヴィオの魔法で、自分の魔法をどう使うかは自分で決めることなんだけど……いくつか約束してほしいんだ」
「……うん」
———バインド!
———まーじーでー。
「大人モードは、魔法と武術の練習や実践のためだけに使うこと。いたずらや遊びでは絶対に変身しないこと」
「うん、遊びで使ったりは絶対しません」
———ヴィヴィオー!! 遊びみたいに豪殺居合い拳使っちゃいけません!!
———大丈夫! 武術の練習だから! せい!
———オウフ。
「天に誓って?」
「天と星に誓って!」
———天に輝く星を砕く! スターライトブレイカー!!!
———ヤメテ! いつぞやのぬこ達のように性転換しちゃうから!!
「それにヴィヴィオはまだまだ子供なんだから。普通に成長して、この姿になった時に恥ずかしくないように。自分の生まれと、なのはママの娘だって、えへんと胸を張れるように」
「……ちょっと生意気!」
———ヴィヴィオは、狐パパの娘だって胸を張れるから!!
———ならこの仕打ち、やめてくれませんかね。
「にゃっ!」
———ギャー!!
お久しぶりです。
月刊奇行文。のお時間です。
このまま後書きと洒落込みたかったのですが。
バトンなるものをいただきましたのでそちらに答えたいと思います。
サトッチさん、ありがとうございます。
題材は、ぷよぷよの1〜7連鎖のセリフを考えるというもの。
という訳だ。
お前ら知恵を貸してもらうぞ。
「それはいいが、高級寿司店の稲荷寿司食べ放題券の準備は万全か?」
なのはさんに渡しといた。
「ヴィヴィオの! ヴィヴィオのは!?」
高級寿司店の卵寿司食べ放題券だよな。
なのはさんに渡しといた。
で、まずはセリフだが。
連鎖が繋がるほど大きくなると言うことは、今メモ紙に書いたこれで方向性はオーケーか。
「いいんじゃねーか?」
そうなると、1はヴィータで。
「6がフェイトさんか」
妥当だな。
僅差でシグナムさんが5かな。
「じゃあ4は、はやてさんかなー」
なのはさんは?
「なのはママは、実際はそんなに無い」
「マジデカ。
俺なのはさんくらいの結構好きなんだが」
触ったことをあるのかと問いたいが、まぁ置いとく。
てことは、3はなのはさんで。
「じゃあ残りで2はシャマルだな」
「今思うと、ヴィヴィオ達って結構サイテーな会話をしてると思う」
何を言う。
サトッチさんの依頼だぞ。
さて、最後の7連鎖目のセリフだが。
「特盛!」
流石稲荷、分かってる。
じゃあ纏めるぞ。
1:ヴィータ
2:シャマル
3:なのは
4:はやて
5:シグナム
6:フェイト
7:特盛!
ボイス担当:稲荷
完璧だ……
「完璧だな……」
「完璧だね……」
「あ、3人ともここに居たんだ?」
ヴィヴィオ!
1・2!!
「散!!」
「あ、ちょ、お前ら!?」
「わっ!?
どうしたんだろアメフラシさんとヴィヴィオ……あんなに急いで。
ん? お稲荷さん、このメモ書きなーに?
えっと……」
『連鎖が繋がると攻撃力が増す増す=大きくなる胸の大きさ』
「あ、悲鳴」
惜しいやつを亡くしたな。