爆睡少女奇行文。
九日酔い。
「私は思うんだ。
フェイト・テスタロッサを作り出したのはプレシア・テスタロッサに違いないのだが、その根底にあるプロジェクトFを考えたのは私だ。
それ即ち、私はフェイト・テスタロッサの父親という事になる。
そこから更に、私はプレシア・テスタロッサの夫という方程式が出来上がるのだよ。
つまり、何が言いたいかというと。
フェイト・テスタロッサ。
私の事をパパと呼んではくれないかね」
「斬り殺されたいのか貴様は」
「稲荷くん、娘が冷たい」
いいかスカさん。
よく考えろ。
フェイトさんはプレシアさんの事を『母さん』と呼んでいただろう?
そこから導き出される答えは、何だ?
「……フフ、そういう事か。
私としたことが、なんて単純なミスをしていたのだろう。
さぁ、フェイト・テスタロッサ。
私の事を父さんと呼んではくれないかね」
「2人ともそこに座れ。
たたっ斬る」
「稲荷くん、娘が冷たい」
「何で俺まで巻き込まれてるんだろう」
旅行から帰ってきて、高町さんちでの生活に戻ってから数日。
ヴィヴィオのデバイスをそういや貰ってない事を思い出し、スカさんを召喚した次第。
デバイスは出来上がっているのだが、スカさんが何やら相談事があるとの事で。
内容を聞いてみたらこうなった。
今は居間で2人して正座しています。
俺、今いい韻踏んだ。
「フェイトさんに言う前にリハーサルすべきだったと思う俺」
「しかしね。
こちらの私は娘がいっぱいいてウハウハかもしれないが。
私には娘はまだ居ないのだよ。
寂しいじゃないか。
お父さんって呼ばれたいじゃないか」
「……あれ、スカさんってそういうキャラだっけ」
「どういう理由があろうと、私がスカリエッティを父さんと呼ぶことなどあり得ない!」
正座状態から体を前に倒し、リアル『orz』を決めるスカさん。
何とも綺麗な落ち込み具合である。
で、スカさん。
そろそろ本題であるヴィヴィオのデバイスを受け取りたいのだが、いいかね?
「仕方ない、この問題は過去に帰ってからゆっくりと考えることにするとしよう。
で、ヴィヴィオくんのデバイスだったね?
受け取りたまえ」
正座をし直し、羽織っていた白衣のポッケから出してくる。
横5センチ・縦12センチ・厚み1センチ程度の物体。
片面が大きな液晶画面になっているようだ。
サイドには、電源と思われるボタンと、音量調節のボタンが付いている。
「スマホやないか」
「厨二を気にするヴィヴィオくんにはいい品だろう?
ヴィヴィっ子くんのような空飛ぶ人形もいいかと思ったのだが、夜中に見ると稲荷くんがチビリそうな気がしてね」
流石スカさん、よく分かってる。
「で、何が出来るかというわけだが。
実際に使ってみてもらったほうがいいだろう」
「なるほど。
ヴィヴィオ—!
ちとこっち来てくれ—!」
「やだ—!」
「スカさん、娘が冷たい」
「それはいいから」
俺とスカさんの立場が逆転した瞬間である。
てか俺がフェイトさんに怒られている時にも我関せずだったし。
なにしてるんだろうと覗きこんでみる。
ソファーに寝転んでせんべい齧りながら、早朝アニメを見ているヴィヴィオがそこにはいた。
俺の怒りが有頂天。
「早く来ないとお前の今日の昼食デザートが消える」
「何用で御座いましょうか、お父様」
うむ、素直が一番。
「お前用のデバイスが出来たんだってさ。
スマホだけど。
丁度いいじゃん、ヴィヴィオ今ガラパゴスだろ?」
「おぉ……遂にヴィヴィオもスマホデビュー」
スカさんからスマホを受け取り、色んな角度から見ているヴィヴィオ。
因みにスカさん曰く、AIとかそういった類の物は入っておらず、ただヴィヴィオがする攻撃を全て非殺傷にするプログラムが入っているだけなんだとか。
デバイスってAI入っているとか初耳なんですが。
俺にとってはスマホは文明の最先端だが、皆にとっては過去の遺物。
「あぁ、それともう1つ。
ヴィヴィオくんは、今度魔法大会に出るんだろう?
いくら体格がヴィヴィっ子くんと違うとはいえ、同じ人物が居るのはややこしいからね。
バリアジャケットで、ある程度隠せるようにしてあるよ」
「ホント!?
わーい、ありがとうスカさん!!」
「……稲荷くん。
ヴィヴィオくんをくれないかね」
だが断る。
さて、そんなこんなで騒いでいたものだから。
興味津々という感じに近寄ってきたなのはさんと高町さん。
ヴィヴィっ子と元から居たフェイトさん。
みんなにヴィヴィオのバリアジャケット?を披露することに。
「時に、バリアジャケットってなんぞや」
皆が見たこと無い表情で驚いていた。
なんでさ。
「さぁ、ヴィヴィオくん!
私とプレシア、アリシアの力作を披露してくれたまえ!」
スカさんの言葉に、ヴィヴィオはスマホを右手に構える。
人差し指で、電源ボタンを押す。
画面が光る。
親指でフリック。
更にタップ。
「……あれ、今やってるのって魔法行使だよな。
この光景が魔法行使なら、今東京では魔法使いが溢れている気がする」
「まぁ、派手さは極限までカットしたからね。
しかし稲荷くん、見たまえ」
そう言ってヴィヴィオを指さす。
全操作を終了したのか、ヴィヴィオの足元に魔方陣が出現。
光に包まれた。
数秒後。
光が収まりヴィヴィオが出てくる。
服装はゆったりとした巫女服に。
頭には髪の毛と同じ色の狐耳。
尻には尻尾が1本。
ほっぺには、3対のヒゲがピョンと。
コスプレガールヴィヴィオがここに誕生した。
「我が家のお稲荷さまのようだ」
「稲荷くんが狐だからね。
その娘というイメージで作ってみたバリアジャケットだよ。
尻尾とヒゲと耳はオプションだがね」
それって、重要な部分は巫女服に集約されるということですか。
ヴィヴィオ、感想は?
「これでヴィヴィオもコミケでモテモテ」
「その返答は想定外。
お、狐耳と人間の耳で耳4つと思ったが。
人間の耳が消えている」
「幻術魔法の応用だね。
余計なプログラムを入れなくていい分、凝ってみたよ」
なるほど。
無駄に精錬された無駄のない無駄な幻術はしっかりと娘に受け継がれているのですね。
「キャー!
ヴィヴィオ可愛い!!」
「なのはママ、いいでしょー!
これでまた狐パパに一歩近づけた!」
「うん、それはいろんな意味で少し心配かな」
ヴィヴィオも満足気である。
「しかもヴィヴィオくんの攻撃の事を考え、ポッケ付き」
なんて事をしてくれたんだ。
要件は終わり、スカさんは過去に帰っていった。
なのはさんは今から洗濯とか家事系のスキルを発動させないといけないらしく。
俺とヴィヴィオは仲良く家の外へ放り出された。
「家事が絡むと女性は最強に見える」
「事実強いと思うな」
さて、どうしたものか。
部屋の中でゴロゴロ計画を企てていたので、することがない。
何か無いかヴィヴィオに案を聞いてみる。
え、食っちゃ寝の予定だった?
それは予定とは言わぬ。
「あ、そういや未来ヴィヴィオが聖王教会に行くとか言ってた気がするー」
「よくやった。
今のお前の発言は、RPGなら赤文字もしくは太文字で表される重要ヒント。
いざ行かん聖王教会」
で、そんな話題が出ていたのが1時間程前。
場所が分からず四苦八苦していたが、ヴィヴィオがバス停に『聖王教会経由』便を見つけたので事なきを得た。
いや、俺もバス停があるのは分かってたんだけどね。
文字がね、読めなかったの。
あいつには後でジュースをおごってやろう。
そして今いるここは聖王教会。
ここで何をするかという事だが。
「こちら雷電。
大佐、目標はどこにいる?」
「うむ。
そこから西に進んだ突き当りの部屋。
そこに目標がいるという情報が入っている」
「了解した」
「気をつけろ、ここの敵は重火器ではなく不可思議な攻撃をしてくる。
敵に見つかりそうになったら、メニューボタンでメニューを開いてからダンボールを選択しろ。
大人向けの本も有効的だぞ」
「あぁ、分かった」
メタルギアごっこしてます。
ヴィヴィオはインマイテール。
アンド大佐役です。
コソコソと入ってはいるけど。
ここって一般公開されてるみたいだし、別に問題はなかろう。
前だって、関わりゼロの俺が色々出入り出来たんだし。
しかし、腐っても教会。
でかい。
西の突き当りといっても結構距離がある。
事実、何度かすれ違った教会の人をダンボールでやりすごしている。
さっき、亀甲縛りされたシスターが二人組に担がれていったんだがあれはなんだろう。
「……大佐。
部屋の前に着いたから、そろそろ大人向けの本から目を離してくれると助かるのだが……」
「わぁ……凄い……
ん?
あぁ、すまない。
では中に潜入するんだ。
くれぐれも見つからないようにな」
何が凄いんだろう。
「……まぁいいか。
部屋の中に人の気配はナシ。
突入する」
扉を開け入る。
至って普通の部屋。
部屋の端にはベッドが1つ。
寝ている人物が1人。
「『部屋の中に人の気配はナシ』
……プッ」
ナチュラルに心を抉りますね貴女は。
「しかし、こいつ誰よ」
「わからないけど、家を追い出されたヴィヴィオ達に喧嘩を売ってるのは分かる。
昼間から爆睡とか……羨ましい」
「間違いない。
ここで一緒になって惰眠を貪ると、多分俺だけ死亡フラグが立ちそうだから。
でもこのまま寝かせておくと癪なので。
眠れなくなる呪いをかけざるを得ない」
ヴィヴィオの『ごー!ごー!』という声援を受け。
俺とヴィヴィオの恨み、受け取るがいい。
「……ん」
「フハハ、起きたか爆睡少女。
貴様の眠気は奪わせてもらった。
理由は昼から爆睡とか妬ましかったから。
パルパルパルパル……」
「……?」
意味がわかってない風味に首を傾げる爆睡少女。
まだ目が眠そうだ。
「……だれ?」
「その言葉、熨斗つけて返そうか」
しばらく黙っていた爆睡少女。
ゆっくりと首を回し。
その視線はヴィヴィオを捉えた。
「わ、こっち見た」
「……だれ?」
「そうきたか。
だがしかし、ヴィヴィオはまだお前に名乗る名を持っていない」
「……ヴィヴィオ?」
「なぜバレたし」
大体お前のせい。
「ほほう、寝たくて寝てた訳ではないと」
「はい……
今回起きれた事は、奇跡と言ってもいいでしょう。
またすぐに眠りについてしまいますが……」
「不眠症になりたいならそう言えばいいのに。
ヴィヴィオ、こいつ寝れなくしていいよね」
「1日中寝てるとか。
狐パパ、やっちゃって!」
「合点承知」
「すみません、寝させて下さい」
ベッドに頭を擦りつけて謝る爆睡少女。
名をイクスというらしい。
ずっと寝てるのにチャイナ風味な服を着ているというとんでも少女。
それでは寝にくいだろうと、お揚げの絵が散りばめられた黄色いスウェットを作り出し、着せてみる。
「これは……動くのがとても楽ですね。
運動もしやすそうです」
「そうだろう。
因みにその柄はかつて俺が浴衣にあしらえたのと同じ柄。
良かったね、ペアルックだよ!」
「なのはママに知られたらイクスさん消されるねー」
「嫌な事件だったね……」
昔出会った自称覇王に想いを馳せる。
「……あ。
少し、眠くなって来ました……」
「ほーけねほーけね。
ならば俺が羊を数えてやろう。
ハニービーCDコレクションのあの方出演を聞いてから、いつかやってみたかった」
「羊が9匹……羊が10匹……
クックック……
どうしたその面は……
メェ〜メェ〜鳴く羊が可哀想だとぉ?
ならばさっさと眠る事だぁ!
目を閉じ、暫し現世から逃避しろぉぁ……
まぁだまぁだ羊はたぁぁっくさんいるんだぁ……」
「……」
「羊が19匹……羊が20匹……
フハハハハ!
悔しいかぁい。
何も出来ない無力な自分がもどかしいか?
だが、現実は非じょぅうどぅぁあ。
今の貴様には、何もできやしなーい
このウスラトンカチずんべら坊ぅがぁ!」
「あの、眠気が覚めてきたんですが」
「俺のミラクルヴォイスで若本さんの声にしてるのに眠くないとは異常」
「いや、普通だと思いますが。
ほら、ヴィヴィオさんも後ろで爆笑してますよ?」
「ひ、羊が20匹で……フハハハハって!
悔しい、悔しすぎる!!
これで笑っちゃうヴィヴィオが悔しい!!
ブッ、あははは!!」
「まぁ確かにタイトルも『俺は眠くなーい』だったしな」
「正反対の効力じゃないですか……」
イクスも寝たので、家に帰ることに。
俺の子守唄もなかなかやるものだ。
「笑いすぎて永眠する所だった」
もう少し腹筋を鍛えないとダメだなヴィヴィオは。
さて。
また雷電風味の隠密で教会を抜け出し。
でも直に帰るのもあれなので。
途中色々と立ち寄って夕方くらいに家に着く。
扉を開ける。
自称ノーヴェがスタンバってた。
脇にはヴィヴィっ子の姿も。
何事。
「お、ちっこいヴィヴィオ。
待ってたぞ?」
そう言いながら何の説明もなく、ヴィヴィオに腕輪を渡す自称ノーヴェ。
「なにこれ?」
「まぁまぁ。
好きな手にはめてみな?」
訝しみながらも、右手に腕輪をはめるヴィヴィオ。
はめた腕輪を前から、後ろから。
角度を変えては見ている。
「ね、ね?
体が重くなったり、魔法が使えなくなったりしない?」
ワクワクした目をしてヴィヴィオに詰め寄るヴィヴィっ子。
ヴィヴィオはというと、少し考える素振りを見せて言う。
「魔法……使いにくいのかな?
普段全然使ってないからねー
体の方は『気』でどうとでもなる」
「『気』って何!?」
ウガーっという様子で吠えるヴィヴィっ子。
何か期待していた効果と違ったようだ。
「だから意味ないぞって言ったのに」
「自称ノーヴェ。
あれは何だ?」
「自称じゃねぇ、普通にノーヴェだ。
あの腕輪は魔力負荷をかける効果を持ってるやつでな。
ヴィヴィオがはめたら動けなくなるわ魔法使えなくなるわと散々だったから、ちっこいヴィヴィオに使って憂さを晴らしたかったんじゃないか?」
「そうか。
黒いな」
「あぁ、黒い」
あの純粋だったヴィヴィっ子はどこに行ったのやら。
「主にあんたらのせいではあるんだがな」
マジデカ。
「なのはさん、醤油プリーズ」
「はい。
ところで今日のお昼はどこに行ってたの?」
「ん?
聖王教会。
ヴィヴィっ子が行くって言ってたから会うかと思ったんだが、居なかった。
代わりにイクスなる爆睡少女と少し喋って帰ってきた」
「へぇ、イクスちゃんかー
お稲荷さん風に言うなら新キャラだね」
「ブッ—————!!??」
「ぬぁぁあああ!?
未来ヴィヴィオ何するか!
ヴィヴィオの顔面ご飯粒まみれ」
「ちょ、やっぱり稲荷さん達の仕業だったんですか!?
油揚げのプリントされたスウェット着てるから、もしかしてと思ったんですよ!?」
「スルーとかヴィヴィオの怒りがフジヤマヴォルケイノ」
「や、だって俺達追い出されたのに、昼間から爆睡してるの見るとパルパルするじゃん?」
「パルパル!?」
「だから寝れない呪いかけて少し喋ってた」
「全く……
でも、もう1回寝かせる時の狐パパ、面白かったんだー!」
「若本さんテラリスペクト」
「何で寝かせちゃったんですか!?」
「ダメだったのか?
いや、不眠症にしてやるって言ったら土下座されて謝られたから寝たいのかと」
「う〜……あ〜……そうじゃないけど、そうじゃないんです!!」
「あ、もしかして油揚げスウェット欲しかったか?
よし任せろ、頑張ってもう1着作り出す」
「ちーがーいーまーすー!!」
「あ、お稲荷さん私も欲しいかも……」
「なのはさんには最近研究してる狐柄でどうだ」
「やった!」
「ヴィヴィオにはー?」
「既に創作済み」
「わーい!
寝る時は新しいパジャマだー!」
「スウェットな」
「あれ?
これってもしかして聖王教会に連絡したほうがいいんじゃ?」
「稲荷さん達のこと、どうやって説明するのなのはママ……」
「あ、そっか……」
おはようございます。
アメフラシです。
春ですね。
常に眠いです。
土日連休で1日中寝てられる人が羨ましいです。
パルパルパルパル……
さて、活動報告2回あげての投稿。
お待ちの方もそうでない方も。
お楽しみ頂けたら幸いです。
ただ一言申しますと。
難産ヒャッホイ。
以上です。
先日、運営様からメッセージが届きました。
直すの忘れてた、超電磁なレールガンと童謡が規制に引っかかったらしく。
直さんと消すよ? との事でした。
イコール、限りなく黒に近いグレーゾーンをまだ走れていると言う事。
いつ引っかかるかドキドキです。
あ、後活動報告のボクボールに反応してくれた方には感謝です。
アメフラシがとても好きな動画のネタなので、嬉しい限り。
やはり彼は宇宙一カッコイイ一頭身ですね。
ギャラクシア。
因みにこの何ヶ月。
投下してはいませんでしたが、奇行文ネタはいつも考えていました。
膨らむ妄想。
にやける表情。
上司からの一言。
気持ち悪い。
心が、砕け散る。
では、9日酔いでした。
アメフラシは美味しんぼに書いてあった、酔いが続く時には辛いものを食べて胃を活性化を実践してみたいと思います。
問題は今23時。
逆効果な気がしてなりません。