『見知った誰か』
お稲荷様奇行文 夏の特別編。
「そいじゃ、行ってくる。
帰りは夜かなー」
「なのはママ、お土産期待しててね!」
「うん、楽しみにしてるね?
行ってらっしゃい」
今日はお稲荷さんとヴィヴィオが、街の本屋さんに漫画を買いに行くらしい。
私も一緒に行きたかったけど、高町さんから家の掃除を頼まれちゃって。
1人お留守番をする事に。
でもいつまでも落ち込んでる訳にもいかないので、お稲荷さんとヴィヴィオを見送ってから掃除を開始する。
まずはリビングの窓を開けて、空気の入れ替え。
ミッドチルダにしては珍しい、真夏日のような昼下がり。
むせ返るような熱気が入り込んできた。
けど、天気がいいかと言われると正反対。
曇り空で、今にも雨が降り出しそう。
つまり、あんまり気持ちよくはない気候。
それでも今から掃除機とか使うから、窓は開けておいたほうがいいと思う。
掃除機をかけ始めて約5分。
そこまで広いリビングではないので、パパっと床の掃除が終わった。
ふと聞こえる、水の音。
外を眺めると、土砂降りとまではいかないものの、雨がある程度まとまった量降っている。
幸いにして風はそこまで無いので、まだ部屋の中には吹き込んできていない。
急いで窓に駆け寄り、閉める。
「あれ、お稲荷さん達、傘持っていったっけ?」
出発時、彼らは手ぶらじゃなかっただろうか。
いや、お稲荷さんの事だから尻尾に仕込んでいるのかも。
そんな事を考えていたら、突如響くチャイム音。
もしかして、とニヤニヤしそうな表情を抑えながら、玄関に向かう。
「ふぁっく」
「それは尻尾に入ってたヴィヴィオが言いたいかな。
狐パパの毛が引っ付きまくりんぐ」
水も滴る妖怪狐と金髪の座敷童子がそこにはいた。
「多分そうなってるんじゃないかなーって思ってたよ。
今タオル持ってくるから。
そのまま上がらないでね?」
「うーい」
そのまま上がられると、掃除が増えるから。
急いで部屋に行き、タンスの中からハンドタオルを2枚取り出す。
玄関に戻り2人に渡し、ある程度拭いたら風邪ひくからシャワーを浴びてきてねと言っておく。
お稲荷さんに任せると、面倒とか言ってドライヤーだけで済ませそうだから。
「わっちを誰と心得る。
ドライヤーだけで十分だ」
「言うかなと思ったけど、まさか思ってた通りのセリフで言うとは思わなかったかな。
ほら、風邪引いてからじゃ遅いの!」
私の説得により、渋々とだがお風呂場に向かうお稲荷さん。
ヴィヴィオもそれに続く。
さて、あの2人の事だから上がってくるのに時間がかかるに違いない。
よくお風呂場で遊ぶから。
それまでに、もう少し掃除を進めておくことにする。
「なのはさん。
お婆ちゃんの知恵袋でさ。
掃除は上の方からするっていうの、知らない?」
「なにそれ?」
「だろうと思った。
さっき超綺麗だった床に、所々ホコリが落ちてきてるから」
聞くと、上からゴミを落としていって最後に床を掃除したほうが合理的なんだとか。
なるほど、その発想はなかったかな。
「まぁ、本屋に行けず暇を持て余してるし、わっちも掃除を手伝おうじゃないか」
「狐パパ、頑張れ!」
「あーたもやるんだよあーたも」
「マジスカ」
稲荷式掃除術を教えてやろう、と言いながらヴィヴィオに雑巾を手渡すお稲荷さん。
わーい!と喜びながら、いかにして逃げ出そうかと考えてる表情のヴィヴィオ。
見ていて思わず頬が緩む。
かくして、1人でなら大変な掃除も3人がかりなら早く、楽しく終えることができた。
予定よりも早く終わったので、皆で遊ぼうというヴィヴィオの一声。
何をしようかという話になった。
「いつも暇を持て余してる俺に暇つぶしを尋ねるとか愚の骨頂」
「昨日は何してたんだっけー?」
「ヴィヴィオも思い出せないか。
実は俺も思い出せない」
「昨日はずっとテレビ見ながらぼーっとしてたでしょ?
何も考えてない時ほどその日あったことって覚えてないよね」
事実、しっかり思い出さないと私も昨日なにしてたか思い出せない。
あれ、と言うことは私も暇を持て余してる人……?
六課時代から考えると凄い所に私も来てしまったものだね。
「あ!
カメラがある!」
ヴィヴィオが指差す戸棚の上。
以前、飲み会でお稲荷さんとツーショットを撮った時もお世話になったデジカメがあった。
「今度はヴィヴィオも狐パパやなのはママと一緒に写りたい!」
「どうしたお前、何か今日気持ち悪いぞ」
「たまに童心にかえってみようかと思ったのにこの仕打ち。
狐パパ、ヴィヴィオの拳はt(トン)を超える」
「すんまそん」
ヴィヴィオに土下座するお稲荷さん。
パパが娘に土下座。
威厳の欠片もないのにここまで慕われているのはお稲荷さんの人柄だろう。
ひと通り謝った後は、デジカメを弄りセルフタイマーを設定。
私とヴィヴィオは良い角度で写るように、ソファーに移動する。
「10秒でいいだろ。
ヴィヴィオ、お前真ん中な。
俺となのはさんでお前挟むから」
「らじゃ」
ピッとシャッターボタンを押すお稲荷さん。
チカチカと光る赤い光が、カウントダウンを始めたことを知らせる。
段々と点滅速度が早くなり、カシャっとデジカメから音がした。
撮影が終わったようだ。
ヴィヴィオがカメラに駆け寄り、写真をチェックする。
綺麗に撮れてるよー! と嬉しそうに笑うヴィヴィオ。
お稲荷さんも覗きこむ。
おお、流石俺、良いセッティングをしたようだ。
なんて自画自賛していた。
私も見せてもらおうかと思ったんだけど、今日は夕食までそのままヴィヴィオが富竹さんになるんだとか。
富竹さんて誰だろう。
ともかく、写真のお披露目は夕食時ということになった。
その後は色々と遊んだ。
ゲームしたり、台所と材料をちょっと借りて3時のおやつを作ってみたり。
途中まで頑張って私の写真を撮っていたヴィヴィオだが、面倒になったのかそれも適当なところで切り上げていた。
ゲームの時は珍しく、ヴィヴィオにお稲荷さんが勝利。
最近生意気になってきた娘への仕置きじゃー! って吠えてたけど、その後リアル世界で撃沈されていた。
お菓子作りは、クッキーを焼いてみようということに。
生地を練って、ヴィヴィオが型を抜き。
お稲荷さんが狐火でそれに火を付け、炎の中に佇む全く焼けないクッキーを見つめ。
邪魔だから、とお稲荷さんは皿洗いをお願いし、ヴィヴィオと2人でオーブンに入れる。
少し尻尾がしゅんとしてた。
ちょっと可哀想だったかな?
後で慰めよう。
そんなこんなで、時は夕刻。
地球ならば夕日を背に、カラスが鳴いているあの時間帯。
高町さんとフェイトちゃんとヴィヴィっ子ちゃんは、仕事や学校の帰りに外で待ち合わせして外食をしてくるとの連絡が先ほど入った。
ということで、夕飯は久々に私達3人でとることに。
ヴィヴィオにテーブルを拭いてもらい、お皿の設置もお願いする。
お稲荷さんには、私の料理の手伝いを。
意外に包丁使いが上手だった。
トレイに乗せた肉野菜炒めや、スープをお稲荷さんに運んでもらう。
因みに、運んだ料理はヴィヴィオが向こうでセッティングする手筈だったりする。
これぞ連携プレイ。
私達一家には一瞬の隙もない。
……あ、ヴィヴィオったらお茶のコップを置くの忘れてる。
お茶だけ持って行って、コップが無いとか隙だらけだよ。
「ごめん『お稲荷さん』。さっき持っていくの忘れたみたい。
そこのお茶のコップも持って行ってくれないかな?」
直後。
カランカラン、と乾いた音が台所に響いた。
音は丁度、お稲荷さんが居た所。
何事かと視線を向ける。
それは先ほどお稲荷さんが料理を運ぶのに使っていたトレイが、地面に落ちた音だった。
だが、トレイを落としたであろうお稲荷さんは、そこに居ない。
どうしたんだろうと、テーブルの所に居たヴィヴィオにお稲荷さんの行方を聞いてみる。
すると、返答は台所から出てきていないとの事。
ヴィヴィオは、仮にお稲荷さんが神速を使ったとしても目で追う程度の動体視力は持っているとか言っていた。
つまり、お稲荷さんは台所から出てきていない、ということになる。
もう一度台所に戻る。
やはり、お稲荷さんの姿は無く、床に落ちたトレイだけがあった。
嫌な予感がする。
即座に、リビングを飛び出し家中の部屋を片っ端から開けていく。
私達の部屋。
高町さんの部屋。
ヴィヴィっ子ちゃんの部屋。
トイレ。
お風呂場。
そしてリビング。
どこにも、お稲荷さんの姿は無かった。
気持ちに焦りが生まれる。
どこに行ったんだろう。
何があったんだろうと。
ヴィヴィオのもとに戻り、状況を説明する。
私の必死さから、ヴィヴィオも冗談ではないと感じ取ったのだろう。
ヴィヴィっ子ちゃんか高町さんかフェイトちゃんか。
とにかく誰かに連絡してみよう? と、電話を持って来た。
何故に電話。
そう思ったが、よくよく考えるとこの時代の私とフェイトちゃんとは、デバイスでの連絡先交換をしていない。
何かあった場合は、少し前までデバイスを持っていなかったヴィヴィっ子ちゃん用に、家の電話に高町さんの携帯の電話番号が登録されているからそれを使うように言われていた。
流石ヴィヴィオ、よく覚えてるね!
心の中で褒めておく。
「じゃあ私はもう一度、家の中を探してくるから。
『ヴィヴィオ』は、高町さんに電話してみて」
コトン。
軽い音がした。
ビクリと体が反応し、次第に心拍数が上がる。
呼吸が荒くなる。
嫌な予感しかしない。
音の発信源。
それはリビングから出ようとしていた、私の後。
つまり、ヴィヴィオがさっきまで電話を持ちながら立っていた場所だ。
意を決し、ゆっくり、ゆっくりと振り向く。
そこには、どこにも、ヴィヴィオの姿はなく。
ヴィヴィオがほんの数秒前まで握っていた電話が、ただポツンと床に落ちているだけだった。
「ヴィ……ヴィオ……?」
おぼつかない足取りで、電話に近付き拾い上げる。
画面には、高町さんの電話番号が。
それは発信する直前で、操作が止まっていた。
「……じょ、冗談……やめてよ……」
居るんでしょ?
どこかで隠れて、実はドッキリでした! って言うんでしょ!?
今ならディバインバスターで許すから!
出てきてよ、2人とも!!!
立ち上がり、駆け出す。
さっきお稲荷さんを探した道のりを。
今度は押入れや、探さなかったクローゼットの中に至るまで。
全部の部屋、全部の空間を探し尽くした。
でも結局、2人を見つけることは、できなかった。
すっかり冷めてしまった料理が並ぶテーブル。
3人で楽しく囲むはずだったそこに、今は私しか居ない。
何があったんだろう。
何が起こったんだろう。
冷静に状況を分析しようとする頭を、ただひたすらに悲しみが押し流した。
涙が溢れてくる。
心にぽっかり穴が開いた、そんな感じ。
目の前に並ぶ料理達が、それを更に助長させる。
このスープ、お稲荷さんが味見して舌を火傷していた。
こっそり水を加えようとしたので、頭を叩いて止めた。
この皿の配置、ヴィヴィオが最初はどうすればいいか分からなくて戸惑っていた。
しかし、考えず感じるままに置けばいいと言ったら、嬉々として設置し始めたっけ。
食器が私とヴィヴィオの席にだけあって、お稲荷さんの席には竹串が2本置いてあるのは感じた結果なのかな。
……ねぇ。
……どこ行ったの……?
……何かあったの?
……出てきてよ、ヴィヴィオ……
……お稲荷さん!
テーブルに突っ伏し、ただ静かに涙を流す。
昼程ではないものの、未だに振り続ける雨の音が、妙にうるさくリビングに響いていた。
ピンポーン。
突然響く来客用チャイム。
思わず体がビクッとなる。
誰だろう。
高町さん達が帰ってきたのかな。
重い腰をあげて、ゆっくりと玄関に向かう。
とりあえず、今の状況を説明して。
お稲荷さん達を探すのに、協力してもらわないと。
玄関に辿り着き、ドアの鍵を開け、チェーンを外す。
そして、ドアを開けた。
「ほほう、泣きながら出迎えとか。
何があった、イニシャルGでも出たか。
こいつぁもう一度『変化「狐の尻尾太刀」』の出番か」
「ここキンチョール売ってないもんねー!
でも奴らはキンチョール攻撃すると、最期の足掻きに飛翔するから困る。
あ、なのはママただいま!
はいこれ、お土産のもやしもん」
……え?
「……お、お稲荷……さん?
ヴィ……ヴィヴィ……オ?」
「なんだその幽霊を見たみたいな顔して。
……おっと」
思わず、お稲荷さんに抱きついてしまった。
無事でよかった。
居てくれてよかった。
次に口からはそういう言葉が出ると思っていたのに。
「バカ!!
何で……何であんな事したの!?
本気で、本気で……お稲荷さん……どっか行っちゃったのかと……」
出てきたのはそんな言葉。
口から出してしまうと、恥ずかしさでお稲荷さんの顔を見れなかった。
「どっか……まぁ、どっか行ってたけどさ。
あれ、俺行き先なのはさんに言わなかったっけ?」
「というかなのはママ、行く時にヴィヴィオ達のこと見送ってくれたじゃない」
「だよな。
んで帰ってきたのが今で。
その途中であんな事と怒られる理由。
……あぁ、分かった。
18禁の同人誌買ったのがバレたか」
「マジで。
いつ買ったの?」
「ヴィヴィオがBL本をワナワナしながら手に取っていた時」
「ふぁー」
……え?
「お稲荷さん……?
今、帰ってきたって」
涙を拭い、お稲荷さんの顔を見る。
何か少し困った表情をしていた。
「ジャストナウ」
「途中雨降ってきて……
でもお稲荷さん、手ぶらで……」
「傘を創り出せずして何が狐か」
「未来的青ダヌキ的な狐パパ」
「ダマラッシャイ」
え、じゃあ。
「お稲荷さん、一度も、帰ってきて、ない……?」
あのずぶ濡れになって、帰ってきた2人は……?
「そうだよー。
そしてこの状況。
冴え渡る俺の勘が言っている。
なのはさん、わっちはホラーが苦手故に、何が起こったかは説明しなくていいからね」
「実は……」
「アッ——————!!」
「チビる」
「やめてよ狐パパ」
「むしろ私がチビリそう……」
「女の子は許されるんだよ」
「理不尽だ。
てかヴィヴィオが変態だ」
そんな言い合いをしながら、リビングのテーブルに着く私達。
料理はすっかり冷めてしまったが、お稲荷さんとヴィヴィオは関係ねー!って食べてくれてる。
いつもの光景。
いつもの光景だからこそ、今なら大切に思える。
目尻にうっすら浮かんだ涙を、お稲荷さん達に気付かれないようにそっと拭う。
そして笑い、私も会話に参加する。
よく分からない事があったけど。
ちょっと、いやかなり怖かったけど。
終わったんだ。
うん。
また、いつもの日常に戻るんだ。
「あれ、デジカメがある」
ヴィヴィオの一声。
私達の視線がヴィヴィオに向く。
ヴィヴィオの右腕を少し伸ばしたくらいの場所。
テーブルの上、料理の皿に隠れてあのデジカメがあった。
先ほど家の前でした説明に、デジカメを使って云々なんて細かい事は入っていない。
ただ、今までお稲荷さん達と過ごしていたのに、突然消えた事を伝えただけ。
「何で食卓にデジカメ……?」
「ヴィヴィオの席にあったって事は、誰かが富竹フラッシュを希望してるんだろ」
富竹。
またでた。
でもそうだ、思い出した。
あの時、みんなで撮った写真。
綺麗に撮れたと、ヴィヴィオが喜んでいた写真。
それを、この夕食の時間に披露する約束だったのだ。
ヴィヴィオがデジカメを操作する。
ピッピッピと、何度か画像を変えているようだ。
そして。
「ヒッ!」
写真を見て青ざめた顔をするヴィヴィオ。
何事かと覗きこむお稲荷さん。
「……なのはさん。
俺達じゃない俺達と今日1日を過ごしたって言ってたよな?」
「え……?
う、うん……」
静かに、ヴィヴィオの手からデジカメを取り。
私の方へ差し出してきた。
その後顔の青ざめた2人は、互いに向きあって椅子の上で抱き合っている。
渡されたデジカメ。
その画面には。
私の左側に2人。
今のお稲荷さんやヴィヴィオと同じ服を着て。
同じ背格好、一番左端の人には9本の尻尾があり。
そして、顔があると思われる部分には、穴が開いたかのように。
何も、写し出されてはいなかった。
「なのはさん、ヴィヴィオ。
恥を忍んでお願いがあります」
「奇遇だねお稲荷さん。
私もあるんだ」
「あ、実はヴィヴィオも」
「今日だけでいいので、一緒にお風呂入ってくれませんか」
「私はおトイレが……
せめて、手を繋いでいてくれないかな……?」
「ヴィヴィオは一緒に寝て欲しい。
3人並んでじゃなくて、みんな引っ付いて」
「……全員、みんなの案を了承できるか?」
「OKだよ……!」
「大丈夫だ、問題ない……!」
「ではまず、俺からだ。
みんな、銭湯準備はいいな……?
いざゆかん、ヴァルハラへ」
「うぅ、折角お稲荷さんと一緒にお風呂なのに楽しめない……
しかもおトイレまで……
でも、でも背に腹はかえられない……」
「ヴィヴィオもホラー苦手になりそう……」
熱いです。
とても熱いです。
いつでも干からびる準備は万全なアメフラシです。
今回は本編から少し離れ、移転記念として夏の特別編をお送りしました。
本編は、今着実に遅れています。
ニヤニヤ。
熱い時涼しくするにはどうするか。
クーラーを入れるのも手です。
水風呂に入るのもいいでしょう。
紫汁で体温調節もお勧めです。
が、今回はこれ。
そう、怪談です。
書いていて、アメフラシには怪談のセンスが無いと痛感した次第なのですが。
怪談と言っても、恐らくベタ過ぎて途中から結末が想像できた人は結構居たと思います。
では何故書いたのか。
アメフラシが実はこういうネタ、好きだからです。
でも怖がりです。
故に、書き上がったのは夜の2時なのですが、お風呂は朝に変更しました。
眠かったんです。えぇ、ただ眠かっただけなんです。
この怪談。
どこかで聞いた事があるんですが、どこで聞いたのか全く思い出せないアメフラシ。
それをリスペクトし、奇行文風味にしてみました。
本人と入れ替わった『見知った誰か』を名前で呼んであげる事。
『誰か』同士ではなく、自分が呼ぶこと。
ただ、それだけの事なんです。
それだけで、入れ替わった『誰か』は本人に戻るんです。
簡単でしょう?
でも、代わりに『誰か』と過ごした時間は、誰と過ごしたのかわからなくなります。
だって、本人がちゃんと戻ってきたのですから。
ほら。
今もう既に。
本文推敲して、熟読してたらトイレに行けなくなっているアメフラシが、ここにいます……