S(それは)A(アインクラッドの)O(お稲荷様奇行文)
※こんなの奇行文じゃなーい! と思われる方はバックを推奨します。
ちょっと寄り道1回目。
「俺さ、思ったんだ。
魔法が普通にあるこの世界。
頭の良さにキレのあるスカさんやプレシアさん、ついでにアリシア。
普通じゃ有り得ないこのラインナップで、今まではできたらいいなと思っていたけど。
今なら、その夢に手が届くかもしれないんだ」
俺達が本来居るべき時間に戻って早数日。
忘れていたが、旅立った時はなのはさんの実家にいた訳で。
ミッドチルダに帰ることなく、現在も未だ滞在中。
今日は翠屋のバイトも無いので、暇に任せてポヘーっとリビングの天井を眺めていたところ。
俺の脳内にバーローレベルの閃きが走った。
思い立ったが吉日。
なのはさんを呼び、テーブルを挟んで対面の椅子に座ってもらい。
ヴィヴィオにはお茶をお願いする。
「……で、結論は?」
「なのは先生……ネトゲがしたいです……」
「……そっか、お稲荷さんはまだ頭が起きてないんだよ。
ヴィヴィオー!
お稲荷さんのお茶はうーんと濃くしてね!
お茶っ葉2つくらい入れちゃっていいから」
勘弁してつかーさい。
「だってほら、スカさんなら作れそうじゃん。
仮想現実世界を作って、その中で遊ぶ装置とか。
こうさ、ドラゴンとか、ファンタジーな生き物と戦ってみたいというさ。
子供の頃に忘れてしまった夢を今、取り戻したいなぁと……」
「ドラゴンと戦いたいならキャロを呼ぶよ?
ファンタジーな生き物と戦いたいなら、今度不思議生物がいっぱいいる管理外世界で一緒に訓練しよっか」
誰がリアルの話をしてるか。
ゲームの話ですゲームの。
このままでは訓練と称した拷問が始まってしまう。
頭を抱える事数秒。
ヴィヴィオが台所から、お茶を持ってやってきた。
俺となのはさんの前に置いたのを確認し、ヒョイとヴィヴィオを持ち上げる。
何事かとこちらを見てきたが、気にせずなのはさんに語りかける。
「ほら、なのはさん。
ヴィヴィオもネトゲやってみたいって」
「ヴィヴィオをダシにするとはパパの風上にも置けぬ。
……でもなのはママ、狐パパの言ってるそれはやってみたい!
最悪、狐パパはダメでもヴィヴィオだけでも」
「ん、ヴィヴィオも訓練したい?」
「なんでさ」
俺を置いてヴィヴィオだけプレイとかさせん。
脇腹付近を掴んで俺の目の前まで持ち上げてるので、ヴィヴィオを掴んでいる手をお仕置きだとそのままニギニギしてみた。
ヴィヴィオの後ろ頭突きが前頭部にクリーンヒットした。
「なのはさん、ヴィヴィオが反抗期」
「……やったヴィヴィオが自業自得なんだけどさ。
後頭部の方が痛いんだよ狐パパ」
「どっちもどっちかな。
うーん……なら一応、スカさんに聞いてみよっか。
作れるのならやってみて、無理ならこの話はおしまい。
元々出来るかどうかも分からないんだし、これならいいでしょ?」
感謝の極み。
早速連絡を取ろうと、尻尾からドラゴンボールを取り出す。
黒ずんだ所に妖力的なのを入れまくったので、言うなれば真っ黄色。
アニメのそれとの違いは、後は形と大きさと星の模様だけだ。
あれ、結構ある気がする。
ドラゴンボールにお願いすると、もう何か見慣れた光と共に現れた3つの影。
言わずもがな、マッド3人組である。
「やぁ、稲荷くんではないか。
また面白い出来事にでも巻き込まれたかい?」
ちらりと辺りを見渡し、直ぐに現状を理解したのかそう言うスカさん。
プレシアさんとアリシアは若干混乱していたが、スカさんの言葉を聞いて落ち着いたようだ。
だから2人とも。
あぁ、こいつか。みたいな視線を送るのはやめてくれませんかね。
「巻き込まれたくない。
実はスカさん。
俺、ネトゲをしたいんだ。
それも、仮想現実というか、ヴァーチャルリアリティーというか、未来道具に分類されそうな夢のようなゲームを。
だから呼び出してみた」
「あいも変わらず突拍子の無いことをするね。
ふむ……つまりキーボードやマウスに頼らない、フルダイブ型のネトゲがしたいと。
どうしてだい?」
「折角身体能力高いから、無双したい。
こう、ファンタジーちっくなモンスターを屠ってみたい」
「あら、それならいい管理外世界を知ってるわよ?」
横から口を挟むプレシアさん。
その返答は既になのはさんから頂きました。
結論は死にたくないのでリアルではイヤです。
で、無理かな?
「……いや、フルダイブ型のゲーム機を作ること自体は造作もないが。
問題はネトゲというところだね」
「というと?」
失礼するよ、と言いながら、ずっと棒立ちだった3人がテーブルに余っている椅子に腰掛ける。
ヴィヴィオ、スカさん達にもお茶を。
そしてスカさんは続きを。
「つまりだね、オンラインゲームというゲームの性質上、他にもプレイヤーが居ないとゲームがまず成立しないのは分かるね?
プレイヤーが稲荷くんだけのゲームならば、オフラインゲームで十分だからだ。
しかし、例え私達がフルダイブ型のゲーム機を作成したとしても、それを一般ユーザー向けに配布・販売する事は出来ない。
そこまで材料も手間も、やる気も無いからね。
ヴィヴィオくん、このお茶濃すぎないかい?」
ごもっとも。
2つの意味で。
「故にするなら、既存のオンラインゲームに対してその世界に潜り込む機能を付けるか……
いや、それとも自動成長型のAIを組み込んだNPCを入れて、擬似的MMOを再現……
それだと先程自分で言った前提に引っかかるな。
ふむ、久々に考えさせられるね。
中々に面白いものだ。
まぁ他ではない稲荷くんの頼みだ、少々こちらの世界のゲーム事情を探ってみよう」
「全く、また変な所でやる気出したわね、この人は……」
スカさんの横に座っていたプレシアさんが軽くため息を吐く。
「ハッハッハ、いいではないかプレシア。
ここ最近であれこれ考えて何かを制作するなど、ヴィヴィオくんのデバイスを作った時以来だ。
たまには刺激が欲しいのだよ。
仮にも、無限の欲望と呼ばれているのでね」
「……はぁ。
仕方ないから、私も手伝うわ。
一緒に呼び出されちゃったし、このまま帰るのも……ね。
暇してたのは本当だし」
あれよあれよと2人で話しているうちに、何か作ってくれるようになった雰囲気で。
彼らがやる気を出してくれたのなら、きっと可能にしてくれるはず。
広がる夢。
膨らむ中二。
いや、それはない。
「ところでアリシア。
一言も喋っていないが、いいのか?」
「……スカさんとお母さんのあの空間を見て、割り込めると思う?」
傍から見てるとマッドな会話を繰り広げているようにしか見えないのだが。
アリシアにはあれがピンク空間に見えるらしい。
科学者には、俺達一般人には分からない価値観があるのだろう。
「一般人……?」
なのはさん、そこ茶々入れない。
あれから数日。
ゲーム事情を探ってみると言ってフラリとどこかに出かけていたスカさん達から、手筈が済んだから帰るとの連絡を受けた。
故に、今は前回同様、高町家のリビングで彼らの登場を待っている次第。
流石スカさん、仕事が早い。
「そういやなのはさんの仕事はどうなった。
もう休み期間は終わっているのではないだろうか」
「ん、休み最終日にささっとミッドに転移して、結婚準備があるーって言って休み延ばしてきたんだ。
だから大丈夫」
大丈夫じゃないよね、その理由。
主に俺が。
「ふふーん!
婚姻届は持ってるもんね!
ほら!」
差し出される紙。
著名の部分には確かに俺となのはさんの名前。
しかし書いた記憶は……
あれ、あるかも。
「ぐぅ……」
「ふふ、お稲荷さんも今回ばかりはぐぅの音も出ないみたいだね!」
なのはさんは難聴のようだ。
何てことをやっていたら響くチャイム。
どうやらスカさんたちのご登場のようだ。
はーい! となのはさんが応対に出る。
「ヴィヴィオ、お茶お願い」
「だが断る」
「なれば貴様の分のゲームはボート版人生ゲームになる」
「直ちにお持ちします」
素直が一番。
そんな問答をしていたら、スカさん達がリビングに入ってきた。
何やら大きな紙袋も一緒に持ってきている。
ヴィヴィオがお茶の準備をしていると伝えると、各々が前回と同じ場所に座る。
しばらくして、配られるお茶。
俺の分だけ真緑。
今日もカテキンが大量発生しています。
「まずは稲荷くん。
これを見て欲しい」
ズズっと1口お茶を飲んでから、そう言って持ってきた紙袋からヘルメット的な物を取り出すスカさん。
しかもフルフェイス。
ボクシングの人が装着するフェイスガードみたいなやつ。
「なんぞこれ」
「実はだね、稲荷くん達がミッドに住んでいる間に、稲荷くんの望む物品が既に発売されていたのだよ。
その名もナーヴギア。
フルダイブ型のゲームをする為のコントローラーと思ってくれればいい。
このナーヴギアを頭に付け、『リンクスタート』と口に出して言うと仮想現実世界へ入り込むことが可能なようだ」
まぁ、素敵。
別にスカさん達に頼まなくても、なのはさんの許可が降りれば出来た訳だ。
……でもお高いんでしょう?
「勿論、かなり高額な部類になるのだろうね。
故に、販売している店へ赴き、デバイスによるスキャンを行う。
これで設計図は得られたも同然なので、稲荷くんとなのはくん、ヴィヴィオくん用の物を作成するという方法を採ってみた」
「……あぁ、PCを自作したみたいな感じか」
「そんな感じだね。
だが、やはり開発されたばかりだからか色々と改善点が見つかってね。
この大きさ・性能にしては過剰なバッテリー。
稲荷くん達の異常な身体能力を再現しきれない処理能力。
脳のみに接続され、リンカーコアは無視されているというのも個人的に気になる。
なので、ここ数日はそれらの改善を試みてみた。
現実と同じ動きが出来てこそ、フルダイブ型のゲームが映えるというものだからね」
なのはさん、ヴィヴィオ。
話についてこれてる?
2人に視線を向け聞いてみる。
「大丈夫。
改造を加えないと動きが再現できないお稲荷さんはやっぱり変態だったって事が分かった」
「褒めるなよ」
「照れないでよ」
なんでさ。
「ヴィヴィオはどーだい?」
「ゲームは説明書を読まずにプレイして覚える派だから!
過程はどーでもいい!」
うむ、俺もそっち派。
なんて話してると、コホンと咳をされ。
プレシアさんが先を進めるぞ、的な視線を向けてきていた。
「まぁ、私達がしたことで出来ることと言えば……
リンカーコアにも接続するようにしたから、仮想現実世界でもこちら同様に魔法が使える。
後は稲荷やヴィヴィオちゃんのような、バグの動きにも対応」
「異議あり!」
バン! と立ち上がり、プレシアさんを指差す俺。
隣でヴィヴィオもうんうんと頷いている。
バグはうちの娘だけです。
「却下よ。
まぁ、詳しい話をしてもあなたの素敵な脳味噌は右から左に聞き流すでしょうから。
とりあえず、現実と同じ事が出来ると思ってくれればいいわ」
嬉しいが、なんか釈然としない。
「後はなのはさん。
キラキラした目で見つめてるところ悪いのだけれど。
魔法が使えると言っても、ファイアとかサンダーとかは使えないわよ?
貴女の魔力特性上、いつもどおり砲撃が基本になるわ」
目に見えて落ち込むなのはさん。
使いたかったのか、ファイア。
「……そんな所だね。
あぁ、ゲーム自体に関してはそのナーヴギアに既にインストールさせてもらったよ。
稲荷くん達はPCなんて持ってないだろうからね。
ナーヴギア自体にインストールできる機能も付けさせてもらった。
この辺はミッドの技術の応用だね。
因みにそのゲームは『ソードアート・オンライン』というらしい。
発売予定日は数日後らしいので、実際にプレイするにはもうしばらく待つ必要があるがね」
……ん?
「発売が数日後とな?」
「何、優秀な演算能力を持ったデバイスさえあれば、この世界程度の技術レベルで私のハッキングに対処できるはずがないだろう?」
「なのはさん、犯人はこの人です」
「だねー」
へらっと笑いながら言うなのはさん。
……何が彼女をこうまで堕落させたのだろう。
「流石にジュエルシードは使えないがね。
というか稲荷くん……これはもうジュエルシードじゃなくてイナリシードではないのかね。
あの莫大な魔力を使い切り、かつ自身の力でそれを充填しつつ色を変えるとは。
実に興味深い。
いつかは解剖してみたいものだ」
「……今日は俺に対する精神的攻撃が多い日な気がする」
「そんな日もあるさ」
「そっか」
「そうさ」
半分はスカさんのせいな気もするが、気に留めず立ち上がると窓際まで歩いていく。
眺める外の景色は平和そのもので。
見上げる空は、どこまでも青く広がっていた。
「狐パパは何やってるんだろ?」
「触れちゃダメだよ、ヴィヴィオ」
広がっていた。
「トイレよし、飯よし。
ヴィヴィオ、敵を屠る準備は出来たか?」
「ばっちこーい!」
「なのはさん、俺とイチャイチャする準備は万全か?」
「あ、ならゲーム始める前にしようよ」
最近はこの手の冗談が通じないなのはさんである。
布団を敷いて。
3人が川の字に寝そべり。
俺だけうつ伏せ。
尻尾が恨めしい。
「では、始めようか。
今回は初起動という事で、私も経過を見守らせてもらうよ。
起動システム自体はいじっていないから、『リンクスタート』と口にすると仮想世界へダイブする。
……ゲームの世界を楽しんでくるといい」
寝そべる俺達を生暖かい目で見ていたスカさんが言ってきた。
プレシアさんとアリシアは、下のリビングで桃子さん達と談笑中。
高町家の適応能力はやはり高い。
では。
行くとしますか。
「リンクスタート!」
異口同音、3人の言葉が重なると同時に。
俺達の意識は、ゲームの中へと入り込んでいくのであった。
お久しぶりです、アメフラシです。
本編を置いといて何をやっているのかと思われるでしょうが。
実は友人Jから『お前の稲荷をSAOにぶち込んでくれ!』という鬼のような依頼がきまして。
要所々々は分かりますが、SAOのアニメをまともに通して見たことのないアメフラシ。
一応、Wiki先生とアニメ数話を斜め読みしながらプロローグ的な物を書きましたが。
STS編と同様に、アニメを見ながらの執筆になるのかなぁ……なんて事を思っています。
さて、今回の寄り道は番外編のようなものです。
何故か。
キャラは変わらずですが、世界観がリリカルなのはから離れる為です。
STS・無印・A's・Vivid とそれぞれはっちゃけるキャラがいるので、今回はスカさん……?
アメフラシにも先は見えてません。
それが奇行文クォリティ。
友人JがSAOに飽きるのが先か。
アメフラシがSAO編を書き終わるのが先か。
そもそも、SAOはファンの方が多そうなので叩かれてアメフラシが涙のアメフラシにならないか。
戦々恐々しつつ、友人Jの為に投下してみます。
こんな番外編でも付き合っていただける方がいらっしゃいましたら。
どうぞ、友人Jと共に、今回の奇行文もよろしくお願い致します。