第7話 物件探し
食事も無事に終わり、本日は解散となった。
次の日、物件探しと携帯電話購入の件で集まる。
ハラオウン家2名とテスタロッサ家4名以外にも、何故かアリサが鮫島さんを連れて現れた。
「なんでアリサがいるんだい?」
「あたしのパパのが持ってる物件とか、パパの会社関係での繋がりとかがあるから、協力しに来たのよ」
「それは助かるわ〜」
「ありがとう。僕らは地球に詳しいわけじゃないからね」
アリサの言葉に感謝するハラオウン家。
そして鮫島さんの案内で会社の一室へ移動し、そこで海鳴市の物件を色々と並べてくる。
新築から中古、一軒家からマンションなどなど。
会社として所有しているのはマンションが多いようだけど、分譲住宅などもあり価格的には随分と抑えられている。
前世のマイホームの代金が二千五百万円程度に抑えた記憶があるけど、駅まで徒歩30分は遠かったなー。
クルマやバイクはあるし、駅まではバスがあるから問題なかったけどさ。
プレシアさんはかなり真剣に見て、鮫島さんに色々と質問をしている。
リンディさんは、まだ地球のことがそこまで詳しくないので、色々とリニスに聞いたりしながらも、自分なりにまとめて鮫島さんに質問をしている。
正直、イマイチ分けの分かっていないフェイトとアルフはアリサと話をしている。
「フェイトはいつからこっちに住めるの?」
「アースラの研修は20日に終わるから、その後の処理を済ませて22日の夜には来れる」
「それじゃ、それに合わせてパーティー準備かしらね」
アリサの言葉にアルフが反応する。
大方、美味しい物が食べられると思ってるだけなんだろうけどさ。
「それは全部を終わらせてからにしよ」
「そうね」
そして僕の方をチラッと見るアリサ。
「タローが居るんだもん。直ぐに解決してハッピーエンドになるわ」
「うん、そうだね。私もそうやって助けられたから」
「そうだねぇ。いなくなったはずのリニスには再開できたし、会ったことのないアリシアには会うし、糞ババアは普通のお母さんになったし……」
アリサの言葉に思い思い反応するフェイトとアルフ。
僕って、そんなに重要なことしたっけかな?
「とりあえずここである程度見たんですから、直接回ってみましょうよ」
「そうだよ母さん。紙面で見てもピンと来ないだろ」
リニスとクロノの言葉により、プレシアさんとリンディさんは腰を上げる。
そして鮫島さんの案内で色々と回ることとなった。
とある物件にて……。
「アルフ、海が見えるよ!」
「すごいねフェイト。これなら直ぐに泳ぎに行けそうだ」
「でも、ここは随分と海鳴市の中心から離れるのね」
「飛行などの魔法禁止で、学校までフェイトは毎日通えますか?」
「……無理です」
「タロー、ここから見えるアレはなんだい?」
「ん? アレは河川敷の球場。僕が良く野球の試合で使ってる場所だよ」
「ふむ……このコースはホームランコースに入りそうだから、タローの打球に注意しなければならないか……」
「アースラ級のシールドが必要ね」
「母さん、流石にそれは難しいですよ」
「そうよね〜」
「一軒家でこれは意外と便利そうね」
「リンディも住むなら隣の家とか出来るわよ」
「あら、それは便利そうね」
「新築だから問題は特に無さそうだし……」
「プレシア、買い物のできるスーパーは少し遠目ですね」
「母さん、僕達2人でこの大きさを新築で購入するのは勿体無いかと……」
「あら、ここは中古物件で、2件隣同士が空いているのね」
「プレシア、そんな事よりも一之瀬家と隣接していると言う、立地条件に疑問はないの?」
「タロー、何か聞いてないかしら?」
「んー、片方は僕の同級生が住んでいて、もう片方がその祖父母が住んでいたんだ。それで、祖父は2年前に老衰で亡くなり、祖母も1ヶ月前に老衰で亡くなったって聞いたよ。んで、父は栄転で東京だから、家族で引っ越すってアキラは言ってたな」
僕の説明に悩み始めるプレシアさんとリンディさん。
「タローとお隣さんか〜」
「タローのカレーが、直ぐに食べられるね」
「ここはスーパーなどの買い物が出来る場所は近くに揃っていますから、生活環境としては問題無さそうです」
「母さんたちにしてみれば、問題は中古ってことぐらいかなんだろうな。けど、ウチは2人しか住んでないから、そこまで高い物件じゃなくても良いんだよね」
4名は乗り気だね。
「リフォームは済んでいるようです。住むようでしたら、それまでに全部屋の消毒及び掃除をさせて頂きます」
鮫島さんが手元の資料を見ながら言葉を付け足す。
その言葉を聞き、2人で話し合っているプレシアさんとリンディさん。
鮫島さんもそこに入り、割引が……とか、更に家具を……とか話を続けている。
「タローの家が目の前……むしろあたしが住みたいわよ」
ボソッと呟くアリサの声は僕以外聞こえないんだろうな〜。
話し合いがまとまったのか、どんな結果になったか分からないが、その後は携帯ショップへ移動となった。
みんなで携帯電話を見ながらワイワイ話をする。
プレシアさんはフェイトと一生懸命悩んでいる。
「ねぇ、クロノ。私達も親子でお揃いのにしましょうよ」
「母さん……意外とこういう日用機械苦手なんだから、簡単なのにしたほうが良いんじゃないですか?」
「あら、クロノだって料理苦手じゃない」
「携帯と料理は関係ありません!」
楽しそうにからかうリンディさんと、それに乗っかるクロノ。
どこまでクロノが本気でツッコんでるのか僕にはわからないけどね。
「リニスー、あたしたちゃ関係ないから、外で何か食べてよーよー」
「アルフ、少しぐらい待ってあげなさい。終われば休憩になりますから」
「うー、わかったよー」
携帯電話が必要ない2人がそんな事を話していると、フェイトが2人を手招きで呼ぶ。
「なんだいフェイト?」
「あのね、母さんがアルフとリニスの分も買うから、一緒に見よ」
フェイトの言葉にアルフが驚き、プレシアさんを見る。
「糞ババアとか言われたくないからね。ほら、一緒に見るわよ」
そっけなく言い、別になんでもないわと言う顔をしているけど、プレシアさんの顔は少し赤い。
照れているのかな?
リニスはそれを見て微笑んでるし……。
結果、テスタロッサ家4台、ハラオウン家2台の携帯電話を契約した。
プレシアさんとフェイトはお揃いの最新機種。
アルフは簡単な操作の物、リニスは防水防塵耐衝撃がそろったJ-SHOCKの携帯電話。
リンディさんは簡単携帯で、クロノはスマートフォン。
何だかバラエティに富んだ携帯電話ばかりだね。
そして夜にはミッドへ帰るということで、僕の家へ違和感なく全員が集まる。
お別れの挨拶をしながら、今後についてクロノから話があった。
「ロッサに話をしたところ、来週の土日で聖王教会へ来て欲しいんだ」
その言葉に頷くはやてとヴォルケンリッター。
そしてはやてが車椅子で僕の横まで移動してくる。
「タロー、不安だから一緒に来てくれるか?」
「不安って……護衛が5人もいるじゃないか」
「それでも女の子は不安になるもんやで」
上目遣いで見られても困ったな〜。
しかもシグナムとヴィータからは断る気か! って勢いで睨まれてるし……。
(タロー諦めて着いて来い。もし、闇の書ごと何か起きたら、我らは全員動けなくなる可能性もある)
(ザフィーラ……)
(我々が管理局員と協力しているのは、はやてのためであるのと同時に、タローの知り合いだから信じているだけにすぎん)
「分かったよ、一緒に行くよ」
「ほんまか! ありがとな〜」
僕の返事にはやては喜び、シグナムとヴィータからの睨みはおさまった。
その代わり、アリサから視線を感じるんだけど……。
「あたしも連れて行きなさい! と言うと、タローが大変そうだから、今回は我慢しておいてあげるわ」
「う、うん」
「その代わり、落ち着いたらあたしの出かけるのにも付き合いなさいよ」
「うん。アリサに頼まれれば、僕は断らないさ」
「それなら良いのよ」
アリサはそう言ってそっぽを向く。
怒ってないなら良いんだけど、少し不貞腐れてるのかな?
そしてお別れを済まし、リンディさんたちは帰って行く。
次は来週か〜。
それにしても、聖王教会ってなんだろ?