第4話 夜の学校
夜の学校でなのはとジュエルシード探し。
「こんばんは、タロー。準備があるのに随分と早かったね」
「準備と言ってもバットとグローブ、そしてボールだけだから時間なんてかからないさ。それよりなのはは?」
「こ、ここなの〜」
何だか怖がって電信柱の後ろに隠れているなのはがいるな。
「なのは、そんなところに隠れてないで早く行こう。タローが来たんだから、もう怖くないだろ」
「で、でも〜。幽霊さんとかいたら怖いし……」
「大丈夫だよなのは。そんな気配はないし、いても話し合えば平気さ」
そう伝えて学校の敷地内に僕は入って行く。
それに合わせてユーノも着いて来た。
「ま、待って〜」
置いて行かれるのが怖いのか、なのはも小走りについて来る。
そして僕の服の裾を掴み離さない。
「怖いから掴まらせてね。ユーノ君、どっちに反応があるの?」
「うん、2人ともこっちだよ」
ユーノの誘導で先に進んで行くんだけど、なのはは僕の服の裾を手放さない。
何か雑談でもして気を紛らわせてあげるか。
「ユーノ。前から聞きたかったんだけど、君はオスなのかい、メスなのかい?」
「いや、僕はオスとかメスではなく、男だよ。」
「へー、人間みたいな分類なんだね」
「いや、僕は人間なんだけど……。ジュエルシードの封印とかで魔力が切れてしまったから、省エネモードのフェレットになって魔力を回復しているんだ」
「ほー、じゃあ元の姿は人間なんだ。」
「え、ユーノ君って人間になの?」
「あれ、なのはと最初会った時は人間じゃなかったっけ?」
なんだかなのはとユーノの間で行き違いがあるみたいだな。
結局ユーノの勘違いで、人間の姿は見せたことがないみたいだね。
魔力がある程度回復したら見せてもらうか。
「そうだ、タロー。君はバットとグローブを持ってきたけど、野球選手なのかい?」
「あぁ、僕は今はリトルリーグで野球をやってるよ。土曜日に試合があってなのは達が見に来るから、ユーノも一緒に来るかい?」
「そうだね、是非とも行かせてもらうよ。この管理外世界にも野球があるなんて思わなかったから、楽しみだよ」
「ユーノ、その管理外世界ってのはなんだい?」
「うん?この地球は第97管理外世界と呼ばれていて…」
実はこの地球は多次元世界の1つで他にも世界がある。
その次元世界を認識して航行できる技術を有し、時空管理局の管理と保護を受けることが承認された世界を「管理世界」、逆に文明を持つが次元世界を認識しておらず、航行できる技術を持たない世界を「管理外世界」、人間が存在しない世界を「無人世界」、何らかの理由で滅亡した世界を「遺失世界」と管理局に呼称されている。
で、管理局と言うのはミッドチルダと言う第1管理世界が中心となって設立した数多に存在する次元世界を管理・維持するための機関。
簡単に言うと、警察と裁判所が一緒になった様なところらしいけど、三権分立とか関係ないのかな?
「色々と知らない事があるんだなー」
「そうだね。ここは管理外世界だから、本来は出会えなかったんだよね」
「そっか……。っと、ユーノ、なのは、あれがジュエルシードかい?」
僕が指差す方向には額に一本のツノが生え、
巨大化したウサギがいた。
ウサギはこっちと目が合うと向かってくる。
「タローは後ろに下がって。なのは、レイジングハートの起動と防護服を!」
『Stand by ready. Set up』
なのはが一瞬光に包まれてその後変身した姿で現れる。
でも、俺の動体視力だと、変身シーンが全部見えるんだよね…。
まぁ、小学生の裸の変身シーンを見てもなぁ。
そんな事を思っているとウサギが体当たりをして来た。
『Active Protection』
なのはが魔法を唱え障壁を作り出しウサギの
体当たりを弾き飛ばす。
ウサギは綺麗に着地し、こちらを睨み付ける。
でも、それは既に大きな隙だよ。
グォン!
僕の素振りにより発生した鎌鼬がウサギに襲いかかり、ウサギに取り付いているジュエルシードの暴走体だけ弾き飛ばす。
後に残るのは無傷で寝ている元の姿のウサギと、宙に浮くジュエルシード。
「「え!?」」
なのはとユーノが驚いてこちらを見てるくる。
「なのは、封印をお願いね」
「え? あ、わ、分かったの」
我に返ったなのはが杖をジュエルシードに向け呪文を唱える。
「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル20、封印!」
『Sealing』
呪文を唱え終わるとジュエルシードはなのはの持つ杖に吸い込まれて行く。
『Receipt No. XX.』
今回はこれにて終わりかな?
そんなことを思っていると、2人がすごい剣幕で迫って来る。
「タロー君、さっきのは何なの?」
「魔力とか一切感じられなかったけど、タローは何をしたんだい?前回の時も竜巻を起こしていたような……」
ん?そんな大した事してないんだけどな…。
「何って、ただの素振りだよ」
「「いや、それはおかしい(の)」」
「何を言っているんだかよく分からないよ。ただ、普通にバットで素振りをし、ウサギに取り付いていたジュエルシードの暴走部分だけを打ち出しただけなのに」
「「…………」」
「え、えっと、ユーノ君。あれって魔法とかなの?」
「いや、本当に全く魔力とか感じなかったし、タローにはリンカーコアがないから魔法は使えないよ。だから魔法ではないはずなんだけど……」
2人が混乱しているようだ。
それはともかく、終わったなら帰ったほうがいいんじゃないかな?
明日も学校あるんだし…。
そんなこんなで家に帰る事になりました。
「魔法でもなくあんな事が出来るなんて…。レイジングハート、これからもっともっと厳しくいっぱい特訓してね」
『All' right! My master.』
「僕も頑張ってなのはに魔法を教えるよ。今まで以上にしっかりたっぷり!」
「うん、よろしくねユーノ君!」
なんだか熱血特訓モードに入る1人と1匹と1個……。
僕は家に帰るとしますか。
「それじゃ、お疲れ様。また明日学校で。お休み〜」