第8話 サッカー観戦
昨日は楽しい野球が出来たな。
張り切って集中したら、ちょっとやり過ぎちゃったけど……。
相手チームには申し訳ないけど、そういう日もあると思ってもらおう。
今日はサッカーの試合観戦か。
あ、何時にどこでやるか聞き忘れてた。
なのはに電話して聞いてみようかな。
tell...tell...
「はい、もしもし。高町なのはです」
「朝早くからごめんね。タローです。今日のサッカーは何時からどこでやるのかな?」
「あー、伝え忘れてごめんなの。10時から河川敷のグランドでやるの」
「分かった。じゃ、現地で」
「うん、また後でね」
さてと、早めに出ておこうかな。
軽くジョギングしていけば良いか。
早く着き過ぎちゃったかな?
まだ三人娘の姿は見えない。
でも、サッカーの選手たちはウォーミングアップを含めた練習を始めているから、そのうち来るかな。
のんびりと待っていると、三人娘が揃って来たね。
あれ、なのはが何となく疲れてるように見えるんだけど……。
「みんなおはよ。」
「「「おはよー(なの)」」」
三人娘は返事をしてくれる。
心配だからここで聞いておこうかな。
「それと、なのははなんだか疲れてないかい?」
「えっ、そんな事ない……うぅん。ちょっと疲れてるだけなの。午後になったらお昼寝して休むから心配しなくても大丈夫なの」
(なのは……)
(うん、ちょっと魔法の特訓で疲れているだけなの。後でお昼寝してゆっくり休むから平気なの)
「「なのは(ちゃん)……」」
アリサもすずかもポカーンとした顔をしているな。
ちゃんとなのはがみんなに体の不調を言えたからびっくりしてるのかな?
「良い成長じゃない。大丈夫でもそう言う風に説明があればいいのよ!」
「そうよ。なのはちゃんが私達にちゃんと言ってくれて嬉しい……」
「えっと……私ってそんなに信用ないの?」
「「うん」」
なのはががっくりと膝を付いてうなだれている。
「2人共酷いの!」
「「あはは」」
まぁ、日頃の行いだな。
でも、本当に良い成長だね。
「ところで、どっちを応援すればいいんだい?」
「タロー君、なのはちゃんのお父さんがコーチをしているのは翠屋JFCだよ」
「それよりもタローはサッカーのルールはわかってるのかしら?」
「あぁ、スポーツは好きだから、大概のルールは分かるよ」
前世ではサッカーやってたしね。
「野球だけじゃないのね。あたしはあまり分からないから説明しなさいよね」
「良いよ。と言っても複雑なのはオフサイドぐらいで……」
軽くサッカーのルールを説明する。
それに対して三人娘よりもユーノが食いついて聞いている。
(なのは、サッカーっていうのはこっちの世界のスポーツなんだよね)
(うん、そうだよ。ルールは今タロー君が説明している通り。でも、タロー君、私よりもサッカーに詳しいよ……)
(タローはスポーツが好きみたいだもんね)
(ユーノ君の世界にスポーツって何かあるの?)
(うん、僕は研究と発掘ばかりでやってはいないけど、ミッドチルダで1番人気で有名なスポーツは野球なんだ)
ん、野球が1番人気で有名なスポーツ?
なかなか気になる念話をしているな。
サッカーのルール説明も終わったし、試合が始まるね。
試合よりも念話のほうが気になるよ。
(へー、野球ってそっちでもあるんだ)
(うん、昔、第97管理外世界、つまり地球から伝わっと言われているんだ。地球出身の次元漂流者が2人いて、その2人が野球少年だったらしく、そこから始まり今や管理世界全体に広がって、熱狂的なファンも多いぐらい。えっと、その野球の始祖はその2人なんだけど、記録に残っている名前はイソノって人だけらしいよ)
(そうなんだー)
そうなんだー。
ん、なんだか聞いたことのある名前だけど……。
うん、気にしたら負けだな。
ピッピッピー。
「試合終了。2−0で翠屋JFCの勝ち」
「「「やったー、勝ったー(の)」」」
はっ、そんな説明に気を取られていたら、あっと言う間に試合が終わってしまった。
コーチがみんなを褒めてる。
あれがなのはの父親かな?
「よーし、勝ったからお祝いに飯でも食うか!」
「「「「「「「「「「オー」」」」」」」」」」
みんな盛り上がってるなー。
完封勝利だもんね。
「あたしたちも行くわよ」
アリサの声で僕達も翠屋へ移動する。
ただ、応援しただけでこれに参加して良いものなんだろうか……?
とりあえず動物を店内に入れてはいけないので、店前のテーブルで座ってようか。
そんな事思っていると、メニュー表を持った先ほどのコーチが声をかけてくる。
「やぁ、君が一之瀬君だね。僕は高町士郎、なのはの父親だよ」
「はじめまして、一之瀬太郎です。なのはさんとはクラスメイトで、色々お世話になってます」
「ははは、そんなに畏まらなくても良いよ。それにしても随分と絞り込んだ肉体だね。どうだい、サッカーをやってみないか?」
ちょっと返事に困る質問だな。
それにしても服越しに絞り込んだ肉体とか気が付くものなのか?
そんな事を言ってる士郎さんも随分と鍛えられた肉体と、強者のオーラを持ってるんですけど……。
「お父さん、タロー君は野球をやってるんだよ」
「そーよ、タローは昨日野球の試合でホームランを打つ大活躍だったのよ」
「そうなのか。それじゃ無理に誘えないな。良かったらまた応援に来てくれるかい」
「はい、野球の練習などがなければ喜んで行かせてもらいます」
「おっと、雑談ばかりして注文を聞かないでいると桃子に怒られてしまうな」
そう言いながらメニュー表を見せてくる。
みんなでケーキ屋飲み物を注文した。
それをメモすると店内に士郎さんは入って行く。
しばらく雑談しているとケーキと飲み物が来た。
ここのケーキとコーヒーは美味しいな。
ケーキが美味しいのは知っていたけど、まさかコーヒーまで美味しいとは……。
今度両親に連れてきてもらおうかな。
父はコーヒーが好きだから喜びそうだ。
アリサがユーノを突っつきながら首を傾げている。
「改めて見てみれば、この子フェレットととちょっとちがくない?」
「そういえば動物病院の院長先生も変わった子だねって言ってたし……」
おいおい、なのはもユーノもギク! って音が聞こえそうなリアクションはまずくないか?
「まぁ、えぇっと、ちょっと変わったフェレットってことで……。ほーらユーノ君お手」
「キュー」
それで誤魔化せるのか?
大体フェレットってお手するのか?
「賢い賢い」
「可愛いなー」
おや、2人共好反応。
あっさり話が流されちゃってるぞ。
ユーノを2人して、突っついたり、こねくり回したりしてるけど……。
ユーノ、強く生きろよ。