感想で氷村のことを氷室ってみんな間違えてます。
別に、この夜の一族のお話の後には出てこなくなりそうなので良いんですけどね。
知らない人用メモ
氷村遊
とらハ1で出てきた夜の一族。
危なくなるとコウモリに変身して逃げ出すこともある。
綺堂さくら
とらハ1で出てきたヒロインの一人。
人狼の血が入っているので、耳や尻尾がある。
とらハシリーズを通して最高の人気を誇る。
イレイン、レプリカ
とらハ3で出てきた戦闘用機械人形。
強さはイレイン>ノエル>恭也>レプリカ
前回は初期状態での起動で暴走しました。
まぁ、今回は前回のままの強さではありませんので……。
この話より4話連続予約投稿開始!
第14話 ピンチ!?
説明と説得が全て終わったので、この日は解散となった。
すずかは忍さん達と「今日は一緒に寝ようね」とか話していた。
帰途、自転車を押して歩く恭也さんが話しかけてくる。
「なんだか巻き込んで本当に悪かったな。明日の夜に全て片づけ、明後日にはいつもと変わらない日常が待っているから、それまですずかを頼むな」
「はい、僕はすずかを泊めるだけなので別に良いですよ。それよりも膝は平気なんですか?」
「!? ……膝のことは誰に聞いた!」
「いえ、見ていれば普通は気が付きますよ。良くはなっているんでしょうけど、完治はしていないんですよね。あまり無茶しないでくださいね」
「いや、普通は見ていてもわからないと思うが……。まぁ、無理はするが無茶はしないよ」
それならいいけど、さすがに恋人のこととなると後先考えなくなるんだろうな……。
その後は他愛もない雑談、なのはの学校での事とかを話して帰宅した。
次の日、学校でアリサに速攻捕まった。
あれ、昨日は納得してくれたんじゃなかったっけ?
「ちょっと来なさいよ!」
そう言い、授業関係なく屋上に連れて行かれる。
まぁ、まだHRにもなってないから良いけどさ。
「今日の夜、すずかが泊りに行くってホント?」
「うん、忍さんに頼まれたからし、特に断る理由もないしね」
「なんで、タローの家なのよ!」
「いや、それはわからないけど」
そう言うとアリサはブツブツ言いながら、考え事をしている。
ん〜、夜の一族の件さえ話さなきゃ説明しておけるか。
「アリサ、僕の話を落ち着いてちゃんと聞いて欲しい。今、月村家はちょっとお家騒動でドタバタしているんだ。少しトラブルもあるみたいでさ。それで今日の夜で一応片が付くらしいから、そのドタバタに偶然巻き込まれた僕にすずかを一泊だけ預けておこうと言うわけだよ」
「……むぅ。」
「お家騒動のこととかトラブルのことは僕の口からは言えないし、家のことだからさすがにすずかも話せないと思うんだけど、アリサは僕のことを信じられないかい?」
「そ、そんな言い方ズルイじゃない。タローのことだもの、信じているに決まっているじゃない……」
「アリサ、ありがとうね」
ここは笑顔で押し切ろう。
アリサは感情的になりやすいけど、基本的に落ち着いていれば大丈夫だからな。
「もぅ……。ホント、タローは仕方がないわね」
「ごめんね。僕から言えるのは、僕の家にすずかを一泊させる事を頼まれて、それを実行するだけだからさ」
その言葉にアリサは首を傾げて悩んでる。
そして、ポンって音がするように手を叩き僕の方に詰め寄ってくる。
「タロー、あたしもお願いがあるんだけど……」
「いいよ」
「うん、ありがとう」
アリサのお願いをいつもの様に返事をしたら、アリサがおもむろに携帯電話を取り出し何処かへ電話し始めた。
「うん、鮫島? 今日、友達の家に泊まりに行くから。……うん、パパにも伝えておいて。……うん、一回家に帰って着替えとか用意するから、迎えはいつもと同じでお願いね。……うん、バイバーイ」
アリサはそう言って電話を切った。
あれ、何だか不穏な気配がするんだけど……。
「じゃあ、あたしも今晩泊まりに行くから、よろしくね」
そう言ってスキップしながら屋上から出ていくアリサ。
やられた……。
まぁ、良いか。
とりあえず母に電話してもう一人増えるって伝えておかなきゃね。
なのはまで来るって言われても困るから、この件は内緒にしておくとするか。
最近、ジュエルシード探しで疲れてるみたいだしね。
そして放課後、自宅にて飼っている猫を撫でていると、家のチャイムが鳴る。
「はいは〜い」
「「お邪魔しまーす」」
すずかとアリサだ。
母は……何だかこっちを見てニヤニヤしてるけど、どうしたんだろうな?
「とりあえず僕の部屋へどうぞ」
2人を部屋に通し、お茶の支度をしてくる。
ウチは紅茶とかないけど、2人は大丈夫かな?
基本的にお茶かコーヒーなんだよね。
「ここがタローの部屋ね」
「野球の道具がいっぱいあるね〜」
お茶とコーヒー、お菓子を持ってくると2人は部屋を物色している。
見つかってまずいものは無いから良いけどね。
「タロー! 前に約束した、野球のことちょっと教えなさいよ」
「あ、私もルールとか色々知りたかったんだ〜」
「うん、良いよ。野球は……」
そんな感じで野球談義から始まって、雑談したりカードゲームとかしたりして時間が過ぎていく。
TVゲーム? そんなものウチにはないよ。
夜までたっぷり遊んで、夕飯を僕の両親と食べ、寝るまでお喋りをする。
「ごめんね、僕の部屋あまり大きくなくて。布団3枚ひいたら狭いよね」
「大丈夫よ。近いほうが話しやすいし……」
「うん、そうだよ〜」
「2人共ありがとう。でも、僕を真ん中にして寝る必要はないよね」
「べ、別に良いじゃない。タローの家なんだから真ん中で寝ておきなさいよ」
「タロー君、自分の家なんだからあまり気にすることないと思うよ」
ふむ、まぁいいか。
布団の中でおしゃべりを続ける。
夜って不思議と口が軽くなるというか、色々なことを話したくなるよね。
「そう言えばすずかにまだ話してないことがあったんだよね」
「ん、なあに?」
「うん、なのはのこと」
「タロー……」
アリサに話しておいてすずかに話してないのは不公平だよね。
まぁ、僕の口から言うことが良い事なのかは別としてさ。
「アリサには話しをしたんだけど、今なのはちゃんが抱えていることを教えるね」
「うん」
「説明する前に1つ約束して。けして怒らないこと。僕に対しては良いけど、特になのはに対してはね。あと、すずかより先に僕からこの内容を聞いているアリサに対して怒るのも駄目だよ。僕が口止めしていたようなものだから」
「タロー、あたしは別にアンタに言われて黙ってたんじゃなくて、あたしの意思で言わなかったんだから、怒られてもいいのよ」
「なのはちゃんにもアリサちゃんにも怒ったりしないから、タロー君教えて」
この間、アリサに話したのと同じ様に、魔法のこと、ユーノのこと、ジュエルシードのこと……。
そしてさらにアリサと巻き込まれた木の化け物のこと、人型に戻ったユーノのことを説明する。
すずかもアリサと同じく怒らないで落ち着いて聞いてくれる。
本当に優しい女の子たちだね。
「以上かな」
「うん、分かった。色々教えてくれてありがとう。私もアリサちゃんと一緒で、なのはちゃんから話してくれるまでは黙ってるね」
すずかも納得してくれた。
なのははちゃんと2人に言うことが出来るのかな?
もしかして魔法のこととかって、一般人には秘匿しておかなければいけないことだったらどうしよう……。
まぁ、いっか。
すずかが俯き、なにか悩んでるみたいだ。
何度か口に出すのを躊躇っているけど…、アリサもそれに気が付いたみたいだね。
2人ですずかが口を開くのをゆっくりと待つ。
「タロー君が色々と話してくれたから……。まだなのはちゃんから直接聞いてないけど、そしてそれに対してみんな陰ながら協力しているんだよね」
「うん」
「だから私もアリサちゃんに聞いて欲しいことがあるの!」
すずかは何かを決意した目でアリサを見る。
「すずか、あたしはどんなことでも驚かずに聞くわ。私はまだ何が出来るわけではないけど、すずかの抱えている悩みを聞くぐらいは出来るわ」
「アリサちゃん……ありがとう……」
そうしてすずかは全てを話し始める。
僕に伝えた夜の一族のこと、自動人形のこと、そして今、家で何が起きているかを……。
ゆっくりとしっかりアリサに伝えた。
「こんなことを私達から全部話しておいて申し訳ないんだけど、夜の一族の秘密を知った者は秘密を守るか、この件について記憶を失うか選んで貰うの……」
「最近とんでもないことばかり知ってしまうんだけど、全部こんな身近な人が関わってるってビックリよね。あたしは誰にも言わないわ。だから、すずかはあたしに甘えて良いのよ!」
アリサの力強い言葉ですずかは泣き始める。
秘密はみんなで共有したほうが心が楽だもんね。
きっと今まで言えなくて、僕が巻き込まれることによってバレてしまい、辛かったんだろうな。
そんなすずかをアリサが抱きしめて、アリサも泣き始めてしまう……。
あれ、僕の寝室から女の子2人の泣き声が聞こえたら、どんな勘違いされるんだろう!?
これって、もしかして僕の最大のピンチなんじゃ……。