第31話 ユーノvsアルフ
温泉旅行で卓球は定番だよね。
明らかに超人卓球になってたけど……。
旅行先でフェイトとアルフにも出会ったからには、ジュエルシードが近くにあるんだろうね。
今回は大人しく見学かな?
寝ているとジュエルシードの気配を確認!
とりあえず寝たふりを続けて、なのはとユーノの動きを感じとる。
(なのは!)
(うん、ユーノ君。急ごう!)
コソコソと着替えて2人は出て行ったんだけど、いくら急いでいて、部屋が暗くても一緒の空間で着替えるのはどうかと思うんだよね。
一応背中合わせで、お互いの方を見ないようにしていたけどさ。
さて、そんな事を考えてないで僕も動くかな。
ん? 浴衣が引っかかって動かないぞ。
その先を見るとアリサが裾をしっかり握っていた。
仕方が無いから、このままそっと浴衣を脱いで動きやすい服に着替える。
アリサは寝相でその僕の脱いだ浴衣をだき枕のようにして寝ている。
それを確認し、グローブとボールの入ったカバンを担いで、部屋から出て行く。
大人組の部屋を通過しようとすると、起きてる気配があるな。
「あ、士郎さん、恭也さん。ジュエルシードが発動したみたいなので、なのはとユーノを見に行って来ますね」
「おや、僕たちは寝ていたつもりなんだが、良く気が付いたね」
「いえいえ、普通は気が付かないほどですけど、違和感がなさすぎですよ」
「そうか、それは盲点だったね」
「父さん。狸寝入りはタローには通じないって言ったじゃないですか」
「それでも試してみたくってね。悪かったよタロー君」
「いえ、気にしてませんよ。それでは行って来ますので、皆さんが起きたら説明お願いします」
「あぁ、分かったよ。必要ならいつでも僕達を呼んでも良いからね」
「そうだぞタロー。君は1人でも強いが、強さには限界がある。俺たちはいつでも力を貸すぞ」
「ありがとうございます。でも、まだ子供の喧嘩なので、親が出てくるのはちょっと……」
「「それはそうだな」」
「それでは行って来ます」
しっかし、高町親子は凄いな。
ちゃんと気配を感じて起きてるんだもん。
おっと、遅れちゃいけないから少し急ごう。
お、見えてきた。
フェイトとアルフに対峙するなのはとユーノだな。
いいタイミングで間に合ったかな?
「あー、あらあらあら。子供はイイ子でって言わなかったかい?」
「ジュエルシードをどうするつもりだ、それは危険なものなんだ!」
「さあねぇ? あんたらに答える理由は見当たらないよ」
フェイトの前にはアルフが立ち、なのはをかばうようにユーノが前に出る。
攻撃魔法が苦手なのに、ユーノは頑張ってるなー。
「イイ子でないと、がぶって行くよ!」
「なのは、あの子をお願い! 僕はこの人を止める」
「あんたに止められるかい?」
「止めてみせるさ!」
狼になり飛びかかってくるアルフをユーノはシールドで防ぎ、ユーノの魔法でそのまま2人は消える。
「結界の中、強制転移魔法……。優秀な魔導師だね」
「うん、ユーノ君は私の大事な人。ユーノ君が頑張るから、私も頑張れるの!」
それ、告白じゃない?
ユーノは……結界の中だから聞こえなかったか。
可哀想に……。
「それで、どうするの?」
「話し合いで何とか出来るってない?」
「私はジュエルシードが必要。話しあうだけじゃ、言葉だけじゃ……。だから、ジュエルシードを賭けて!」
「でも、だからって……」
なのはの立っている場所に、フェイトから魔力弾が飛んでくる。
『Flier fin.』
それをレイジングハートが飛行魔法を唱え、空中に回避し、フェイトと対峙する。
「賭けて! お互いのジュエルシードを1つづつ」
『scythe form. set up.』
「もう、わからず屋!」
そして空中でお互いのデバイスをぶつけ、魔力による火花が散る。
そして間合いを離し……。
『Photon Lancer.』
『Divine Shooter.』
複数の魔力弾を周りに浮かべる2人。
「ファイア!」
「シュート!」
お互いに打ち合い、魔力弾同士で相殺したり、フェイトは回避、なのははシールドで防いだりと、大量の魔力弾が所狭しと飛び交う。
爆発とか凄いんだけど、大丈夫なの?
これ、このままこんなところでやったらマズイんじゃないのかな?
2人とも戦闘に集中してそんな事に気がついてはいないのか……。
仕方がないな〜。
「よいしょ」
僕はその辺の空間に手を入れ、ユーノの封時結界からユーノとアルフを引き摺り出す。
ドサ
「「え!?」」
僕に腕を掴まれている2人は、訳の分からないって顔で僕を見ているな。
まぁ、そんな事はどうでもいいんだけど。
「た、タロー!? なに、邪魔してるんだい!」
「タロー!? いつの間に……そしてどうやって!?」
「普通に最初の方から居たし、目を凝らせばユーノとアルフが見えたから、普通に手で引っ張りだしたんだ」
「「いや、それはおかしい」」
「まぁ、それは良いとして……2人とも悪いんだけど、なのはとフェイトが本気でやりあってて、このままじゃ周りの被害とかマズそうだから、結界を張って貰えないかな?」
2人は僕を見て戸惑ってるけど、上空を見上げなのはとフェイトが大量の魔力弾を撃ち合って閃光が走りったり、空間が爆発とかしているのを確認すると、ユーノは慌てて魔法を唱える。
「広域結界!」
それにより辺りの空間がズレる。
結構広範囲だね。
なのはが戦いやすいように広めにしたのか?
「悪いね2人の戦いを邪魔しちゃって。僕は魔法使えないから頼むしかなくってさ」
「それは良いけど……。前回も僕の張った封時結界にタローは入ってきたりしてるけど、どうやって入って来てるの?」
「えっと、普通に」
「もうイイよ……」
「タローのことは気にしない方が良いよ。受け入れなよ小さい魔導師」
「狼の使い魔……「アルフだ」……アルフ。僕の名前はユーノ・スクライアだよ」
「あいよ、ユーノ」
軽く2人で自己紹介を済ます。
そして、何で2人して僕を見て溜息ついてるんだろう?
ちょっと失礼だよね。
「とりあえず2人とも戦うなら止めないし、別の場所でやってくれると良いんだけど……。まぁ、、ジュエルシードを賭けているのは2人だし、お互いに邪魔をせずに見ていたらどうだい?」
「あたしはイイよ。どうせフェイトが勝つんだし」
「僕も良いよ。前回なのはが勝ってるんだから、今回だって大丈夫さ」
そう言うと2人して睨み合う。
なんだか戦闘してない2人がバチバチと火花を飛ばしているような……。
アルフは人型になり、ユーノと向かい合う。
「前回はフェイトがタローに驚いて隙を見せただけだ! だからあれはフェイトの負けじゃない!」
「タローに驚かされるのは、君のところのフェイトだけじゃない!」
「そう言っても、そっちのなのはは鈍そうだから、タローの奇行に気が付いてないだけじゃないのかい?」
「そんな事はない! なのははしっかりとした可愛い女の子だよ!」
「ウチのフェイトだって可愛いよ! この間、ジェットコースターに乗せたら涙をたっぷり溜めて、悲鳴をあげていたんだよ!」
「ウチのなのはなんて、何もないところで転んだり、うっかりフェレットモードの僕を踏んづけたりするんだよ!」
「あたしのフェイトは、お化け屋敷で気絶寸前まで悲鳴をあげておいて、あたしが楽しかったから自分も楽しかったと言うぐらいイイ子なんだ!」
「僕のなのはだって、僕のSOS念話に1人で気が付き、自分を顧みず、僕を助けに来てくれたんだぞ!」
「あたしのフェイトは、あたしがまだ狼の頃に死病にかかり、群から追放されて死にかけていたところを拾ってくれ、命を救う手段として契約して使い魔としてくれたんだ!」
「僕のなのはは、魔法の才能が凄いのに、さらに沢山努力しているんだよ!」
「あたしのフェイトだって、才能の上にあぐらをかかず、一生懸命勉強や訓練をしたんだよ!」
「僕のなのはは、生半可な攻撃ではびくともしない防御力と、圧倒的な火力を持つ一撃必殺の「砲撃魔導師」という戦闘スタイルを、レイジングハートと作り上げたんだぞ!」
「あたしのフェイトなんて、高い機動力を生かした中〜近距離戦、射撃と近接攻撃を共に得意としているし、特にスピードなんて最速と言えるレベルなんだよ!」
「僕のなのはは!」「あたしのフェイトは!」
「落ち着けよ2人とも!」
「「は!?」」
「おいおい、やっと我に返ったか。お互いにパートナーのことが大好きなのは分かったから、大人しくパートナーを信じて観戦してなよ」
「う、うん。ごめん、なんだかテンション上がっちゃって……」
「あぁ、ごめんよ。つい、フェイトの事になったらムキになっちまった……」
やっと2人とも落ち着いて地面に腰を下ろし、なのはとフェイトの戦いを見始める。
さっきのって、途中から言い争いじゃなくて、お互いのパートナー自慢になってたよね。