第32話 なのはvsフェイト
温泉旅行にてジュエルシードが発見!
そして、ジュエルシードを賭けてなのはvsフェイトの戦いが始まった。
さらに外野でユーノvsアルフのパートナー自慢も始まったので、とりあえず止めといた。
さて、観戦モードになったユーノとアルフを置いといて、上空の戦いを見よう。
お互いに魔力弾による打ち合いを経て、フェイトはなのはの魔力弾をバルディッシュで切りつけ、一気に接近してなのはにも斬りかかる。
『Round Shield.』
それに対して、なのはは左手に魔力を集め盾を作りそれを防ぐ。
刃と盾が拮抗し、魔力の火花が散る。
なのははフェイトに回避されていた魔力弾を誘導制御し、盾で動きを止めているフェイトに雨のように背中から降らせる。
「シュート!」
「く、回避!」
『Blitz Action.』
魔力弾が当たる前にフェイトはバルディッシュの魔力刃を消し、高速移動で離脱する。
その魔力弾はなのはのシールドに当たり爆音と煙を発する。
そこにフェイトは斬りかかるが、なのははリボンを犠牲に間一髪で避けた。
爆音と煙で若干距離感がズレたのか?
『Flash Move.』
その勢いのまま加速し、フェイトから間合いを取るけど、既にフェイトは次の魔法を唱え終わっている。
「撃ち抜け、轟雷」
『Thunder Smasher.』
電撃の砲撃がなのはに迫るが、なのはも防御魔法を唱え終わっている。
『Lightning Protection.』
電撃の砲撃に対抗すべく、電撃を防ぐ盾だね。
これは前回フェイトと戦って、電撃を見てから考えついたのかな?
空を舞い、攻防を繰り返す2人。
空に居るという事は、四方八方三百六十度どこからも攻撃が出来ると同時に、同じ様にそこからも攻撃を受ける。
一瞬一瞬で攻防は切り替わるけど、お互いに拮抗された戦いだ。
遠距離へとなのはが間合いを広げ、レイジングハートを砲撃モードに切り替える瞬間、フェイトの足元に巨大な魔方陣が展開される。
これは勝負を決める気かな?
そしてなのはの周りには現れては消える魔方陣。
それに目を奪われ、なのははその場を動けなくなる。
「槍陣展開!」
フェイトの声と共に無数の魔法球が展開される。
それに気が付いたなのはは回避しようとするが……。
『Lightning Bind.』
突然現れたバインドに動きを封じ込められてしまう。
「バインド!? いつ?」
『Two magics processed at the same time!
(2つの魔法を各々が処理していたんです)
She and he!
(彼女と彼が!)』
ほう、これはフェイトとバルディッシュのコンビネーションか。
なぜかアルフが焦ってる。
「ライトニングバインド!? まずい、フェイトは本気だ」
「なのは、今サポートを!」
動こうとするユーノとアルフを僕は止める。
「ユーノ、アルフ。彼女たちの戦いに水を差しちゃ駄目だよ」
「だけど、フェイトのアレは本気でまずいんだよ」
「そうだよタロー。君はどっちの味方なんだい!?」
「僕はみんなの味方だ。だからこそ、どちらが敗れるにしてもこの戦いは止めるべきじゃない」
心配そうに語りかけるアルフに、居ても立ってもいられないユーノ。
さすがにあの量はなのはが防御が得意でも、きっと削りきられてしまうだろう。
「今は2人とも本気でぶつかってるんだ。そこに手を出せば不本意な結果になるよ。勝つにしても負けるにしても得られるものはある。だからこそ、信じて見守ってあげようよ」
「……うん」
「あぁ、わかったよ」
なのはは一生懸命バインドを解こうとしているが、フェイトの詠唱が聞こえてくる。
「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
『Bind Break』
「すべてのバインドブレイクは間に合わない……。でも、片手は抜けたの!」
なのははそこから防御魔法を唱える。
「フォトンランサー・ファランクスシフト」
『Photon Lancer Phalanx Shift.』
フェイトは言葉とともに片手をバルディッシュから離し振り上げる。
「撃ち砕け、ファイアー!!」
力ある言葉を紡ぎ、手を振り下ろすと周囲に38基ある魔力球から、なのはに向けて魔力弾が打ち込まれる。
『Multiple defencer.』
魔力球となのはの間に魔方陣が現れ、魔力弾を防ぐけど……。
数えてみると、魔法球から毎秒7発の斉射を4秒間、つまり合計1064発のフォトンランサーを叩きつけられては、どんな防御も破られてしまうよね
魔力による千本ノックってところか……。
今度、僕にもやってくれないか頼んでみようかな。
「ごめんね……」
なのはがいた場所が煙に覆われ見えなくなったけど、きっちり4秒間の攻撃が終わった後に、フェイトは周囲に出現させた38基の魔力球を、1つにまとめて巨大な槍のように変化させ、それをなのはに向けて投擲する!
「スパーク……エンド!」
大爆発!
最後のは明らかにオーバーキルだよね!?
それの直撃を受けたなのはは、気を失って空から落ちてくる。
「ユーノ!」
「うん、フローターフィールド!」
ユーノの魔法によりなのはの落下地点に魔方陣の足場が何個もできる。
重ねることによって落下の衝撃を抑えているんだね。
そこに向かってユーノは走って行く。
そして、フェイトは荒い息を整えながら、アルフの元に降りてくる。
「おかえりフェイト〜。さっすがあたしのご主人様!」
「うん、何とか勝てたよ……」
「お疲れ様フェイト。そしてバルディッシュもナイスコンビネーションだったね」
「タロー!? み、見ていたの?」
『サンキュー、タロー』
「うん、最初からしっかりと見ていたよ」
「しっかりと見て……。きゃぁ」
フェイトが小動物ちっくな悲鳴を上げ、赤面しつつ、マントと両手を使い自分の身を隠す。
もしかして、前に言ったバリアジャケットのことを気にしているのかな?
「えっと、あの、その……。やっぱりこの格好は、少し恥ずかしいです。あまり見ないでください……」
蚊の鳴くような声で僕に訴える。
アルフは首を傾げて良く分かっていないようだ。
そう言えばリニスに怒られたんだっけな。
よし。
「バルディッシュ、例のものを」
『Yes sir.』
「「え!?」」
バルディッシュが返事をすると、フェイトが輝きバリアジャケットが再構成される。
その姿は水着の様なものではなく、下は膝上まで隠す形になり、上は肘まで隠す形に変更された。
「え、えっ、えー!?」
『New Barrier Jacket.』
「お、ちゃんと隠せつつ、動きを阻害しないのが出来たね。さすがはバルディッシュだ」
『Thank you.』
この間、バルディッシュと話をして作ったことをフェイトに説明していると、なのはをお姫様抱っこしてユーノが近づいてくる。
「ユーノ、なのはは気絶中かい?」
「うん、魔力ダメージによるノックダウン。しばらくは動けないんじゃないかな?」
「そっか。でも、魔法ってちゃんとそういう手加減が出来るんだね」
「非殺傷設定があるから……。今回は私の勝ちです」
『put out.』
フェイトの言葉に反応して、レイジングハートがジュエルシードを1つ出す。
それをバルディッシュの宝石部分が受け取り中に入れる。
「目が覚めたら伝えて、出来れば私たちの前に現れないで」
フェイトはそう言い背を向けて歩いて行こうとすると、レイジングハートがフェイトに尋ねる。
『What's your name?』
これは日本語を喋らせるチャンスかな?
「レイジングハート、僕は英語まだ勉強中だから日本語で話してくれると嬉しいな。フェイトの持ってるバルディッシュは、お願いしたら日本語で話してくれているよ」
『むっ……分かりました。これでよろしいですか?』
「そうだね、なのはもまだ小学生なんだから、英語より日本語のほうがコミュニケーション取れるんじゃない? 今回はフェイトとバルディッシュのコンビネーションで負けたんだし……」
『そうですね。マスターと色々話をしてみたいと思います』
「そうすると良いよ」
レイジングハートは納得してくれたみたいだね。
バルディッシュを引き合いに出したらすぐに反応したけど、やっぱりデバイス同士で競いあうものなのかな?
『それでは改めて、あなたの名前を教えて下さい』
「フェイト・テスタロッサ」
『バルディッシュ』
「アルフだよ」
『ありがとうございます。私のマスターの名は……』
「いい、必要ない」
「そそ、ばいばーい」
そう言ってフェイトとアルフは名前も聞かずに去って行く。
なのはとレイジングハートに敗北を刻んで……。