第45話 作戦会議
時空管理局の人達に言われた、みんなで良く話し合うこと。
なのはとフェイトも話をしてないから、いい機会なので全部話させよう。
そんな訳で僕の家になのはとユーノ、フェイトとアルフ、僕とリニスが揃う。
母とリニスに飲み物を用意してもらい、僕の部屋にみんな集まる。
「へ〜、タロー君のお部屋ってこういう感じなんだ」
「あまり物はないけど、各種スポーツのルールブックは揃ってるよ」
「あ、タロー。僕に今度サッカーのルールブック貸してよ」
「良いよ。もう大体頭に入ってるから持って行っても」
「ありがとう」
ユーノがサッカーのルール……士郎さんの翠屋JFCにでも入るつもりか?
「ここがタローの部屋……。タローの匂いがする(ボソボソ)」
「そうだねフェイト。なんだか落ち着くね(ボソボソ)」
「そりゃ僕の部屋だからね」
「「!?」」
小声でフェイトとアルフが話をしているけど、何を言ってるんだか……。
そして飲み物が全員分揃ったので、アースラでしなかったリニスも含めて、みんなでもう一度自己紹介をする。
そしてお互いの現状確認だね。
ユーノが発掘したジュエルシードが、輸送中の事故で地球にバラ撒かれ、責任を感じて1人で集め始めるが、途中で思念体にやられた。
なのはと出会い、ジュエルシード集めを手伝ってもらう。
なのははユーノと魔法に出会い、自分に出来ることだから手伝いたいのと、自分の住んでる街を守りたい。
フェイトはプレシアさんに最初は説明を受けずに言われるままにジュエルシードを集めていたが、本日しっかりと話しをして危険な物だから悪用されないように集めることとなった。
まぁ、嘘は言ってないな。
「さて、ジュエルシードは残り6個だけど、管理局を手伝うか、後は任せるかどっちにする?」
「私はこの町を守りたい。これは私に出来ることなんだもん」
「僕も責任を感じているだけじゃないんだ。今、なのはと一緒に住んでいるこの町を守りたいな」
「ユーノ君……」
はい、なのはとユーノは参戦だね。
後は……。
「私は母さんに頼まれたから……。最後まで責任をもってやり遂げたい」
「フェイトがやるなら、あたしもやるに決まってるだろ」
「……タローが住んでる町だしね(ボソボソ)」
「ありがとうねフェイト」
小声も聞こえたから、お礼も言いつつリニスを見ると、私も参加しますと言う感じで頷いているね。
テスタロッサ家も全員参加じゃ、僕もやるとするかな。
「魔法使えないけど、僕も心配なんで一緒に行くよ」
「タローは魔法使えなくても充分だろ……」
「そうかな?」
「そうですよ」
アルフとリニスがそう言うと、なのはとユーノがウンウンと頷いている。
なんでだろ?
「大丈夫、タローは私が守るから。……そのかわりタローは私を守って」
「ありがとうフェイト」
まぁ、女の子に守られてちゃ格好がつかないから、頑張るとしようかね。
話がまとまったので、ユーノがクロノさんを呼ぶ。
空中に画面が出て、画面越しにクロノさんが現れる。
「クロノさん遅くにごめんなさい」
「いや、一之瀬だったか。大丈夫だ。それと僕のことはクロノと呼び捨てで良い」
「分かったよクロノ。僕もタローでいいよ」
「あぁ、よろしくタロー。それで決まったのかい?」
全員が参加する旨を伝えると、クロノは一瞬心配そうな顔をするが、笑顔でお礼を言ってくる。
明日の早朝にさっきの場所に迎えに行くという話になった。
後は各自家族に話をしておくようにと。
なのはとユーノを帰らせたが、フェイト達はこのままウチで夕飯を食べる。
母が気を利かせて用意してくれたみたいだ。
食事中に昨日から今日にかけてあったことを、両親に話す。
そして明日からの事も話すが、あっさりと了承された。
それを見てフェイトとアルフはポカーンとしてたな。
お風呂に入り自室に戻るとお布団が4人分ひいてあった。
まぁ、いいか。
みんなでお布団に入り、話をしているとリニスからサーチャーの結果が報告される。
周辺の陸地ではジュエルシードの反応がもうないと。
とりあえず明日クロノに伝えるか。
海だと素潜りかなぁ……。
朝になり目を覚ますと、なぜか体が動かない。
周りを見てみると、僕のお腹を枕にしてアルフが寝て、胸の上に猫状態のリニスが乗っかり、右腕にしっかりとフェイトがしがみついていた。
僕は枕じゃないんだけどな……。
仕方がないので、みんなが起きるまで我慢したよ。
朝食を済ませ、みんなで集合場所に集まる。
学校を休む旨はアリサとすずかにメールしておいたよ。
連絡しないと怒りそうだしね。
そしてクロノが迎えに来て、全員でアースラに転移する。
アースラの食堂でリンディさんからみんなに紹介され、スタッフの紹介を受ける。
その後、僕達5人+猫状態のリニス、艦長のリンディさん、執務官のクロノ、査察官のシーマさん、そしてアースラの通信主任兼執務官補佐のエイミィさんを含めた10名が会議室へ移動する。
そこで残りのジュエルシードの話になる。
「昨日キミ達を送った後、僕とスタッフにより海鳴市全体と周辺にサーチャーを設置した。エイミィ、それの報告を」
「はいはーい。現在陸地では全くジュエルシードの反応はありませんでしたー。アースラの広域調査の結果なので間違い無いよ〜」
「となると……残りは海か!」
「クロノくん正解!残り6個は全部海の中にありまーす。でも、潮の流れとか色々あって、ずっと同じ場所に無いのと、水中で活動できる時間は限られているので、ちょっと難しいかなー」
「ふむ、どうするべきか……」
クロノは考えこむ。
そこでシーマさんが手を上げて発言する。
「あまりこの管理外世界にジュエルシードを置いておくのも問題だ。一気に片を付けてしまうほうが良いと思うんだが」
「しかし、どうやって?」
「協力者のなのは氏とフェイトは高ランク魔術師だ。海に魔力流を撃ち込んで強制的に発動させて、全て一気に封印してしまえばいい」
「シーマ査察官、それは少し危険すぎるのでは?」
「その2人だけでなく、高ランク魔導師のクロノ執務官に、次元震すら抑えるディストーションシールドを使えるリンディ艦長もいる。何ら問題はないさ」
「ですが……」
「この船で艦長は貴女だが、階級は自分の方が上ということを忘れないでいただきたい!」
その言葉にリンディさんとクロノは反論できなくなってしまう。
随分とこの人は強気だな。
「この船に武装局員は30名も乗っているんですよ。そのうちの10名を結界維持に使えば十分でしょう」
「シーマ査察官はどうするのですか?」
「自分は時の庭園まで赴き、ジュエルシードを回収する。なぁに、既に連絡は付いている」
「いつの間に……」
「では、海中のジュエルシードはリンディ艦長の指揮で回収してくれ。自分はこれから時の庭園へ行ってくる」
そして返事を聞かずに会議室から出ていくシーマさん。
扉が閉まるとみんなからため息が漏れる。
「ごめんなさいね、見苦しいところを見せてしまって」
「い、いぇ……」
ユーノは遠慮気味に返事をするけど、明らかにシーマさんを良くは思ってなさそうだ。
「階級的に艦長は二佐でシーマ査察官は一佐なんだ。だから彼の命令に艦長は拒否できない……」
ため息をつきながらクロノは説明する。
「この……ジュエルシード事件、略称JS事件とでもしておこうか。このJS事件のために武装局員の要請をした所、シーマ査察官が志願して、20名の武装局員と一緒に出向してきたのに……」
「もう、あの人は偉そうで嫌い!」
「エイミィ、感情で物を言っては駄目だ。階級では上なんだぞ」
「えー、クロノ君が言わなければバレないよー」
「そう言う問題じゃない!」
何だか仲良く2人で喋ってるから放置しておこう。
リンディさんは考えこんでるし……。
「ユーノ、さっきの方法って大変なの?」
「うん、一気に6個もジュエルシードが発動するんだから、手間は単純計算で6倍になるよ」
「それは大変だけど、6回やるよりは面倒じゃないのかな?」
「そう言う問題じゃないと思うんだけど……」
「そうね。簡単ではないけど、なのはさんやフェイトさんが、何を出来るかが鍵になってくるわ。これからそれについて話をしましょ」
話し合いの結果、方法として武装局員10人により広域封時結界を張る。
フェイトが儀式魔法を行い、強制発動させる。
ユーノとアルフがバインドで発動したジュエルシードを固定し、なのはの砲撃で封印する。
クロノは現場にて指揮を取り、その都度補助を行う。
リンディさんはアースラにて待機するが、常に転移できるようにしておく。
そして僕は……。
「魔導師ではないタローは危険だから参加させるわけに行かない」
「そうよ、現場は危険だからアースラで待ってて貰うわ」
と言う訳で、アースラからのモニターで見学となりました。
ちょっと仲間はずれで寂しいな……。
「あたし達はタローの分も頑張るよ」
「だからここで私達を応援してて」
「任しておいてなの」
「僕達でしっかりやるよ」
(たまには大人しくしていてください)
みんなのフォローが嬉しいやら悲しいやら……。
もしかして僕は参加する意味はなかった?
でも、仕方がないのか。
「ここで見てるから、みんな無理せずしっかりね!」
「「「「うん!!」」」」
そして最後のジュエルシード確保が始まる……。