海上決戦からの次元跳躍魔法!
そして明かされるシーマ査察官……。
まぁ、最初から嫌われるように書いてますので、みんな気がついているんだろうなーと。
よく見るとなのはに対しては「なのは氏」、フェイトに対しては「フェイト」と言っていたんですよね。
大した伏線でもないんですけどね。
今回は大量の説明です。
色々と原作と変えてあるので、ボロがいっぱい出てきそうですけど……。
この小説では
「第40話 治療」
で語った通り、原作と時間経過が違います。
その話の後書きにも書きましたが、プレシアさんの年齢は、
20歳 結婚
23歳 アリシア出産
25歳 離婚
27歳 設計主任
28歳 暴走事故
32歳 フェイト誕生
33歳 リニスにフェイトを任せる
35歳 無印
と変更されています。
ですので、元夫であるシーマ査察官が35歳なのは正しいです。
原作開始時のプレシアさんの年齢は、時間軸だけで計算すると59歳ですが、サウンドステージでは40歳と言ってますし、小説、アニメなどで食い違いがあるので、どれを使うのもなんなので作者の使いやすい設定でやってます。
原作通りではなく申し訳ありません。
第47話 真実
シーマ・エルグランド(35歳)
役職は時空管理局特別査察官。
階級は一佐。
AAA+クラスの魔導師。
10年前に離婚したプレシア・テスタロッサの元夫。
アレクトロ社の外部顧問。
「そしてアレクトロ社だが、7年前に大型魔力駆動炉の暴走事故を起こしている」
アレクトロ社……暴走事故……。
もしかして!?
「プレシアさんの責任にされた事故が関係してる……?」
「「「「!?」」」」
「そうかも知れない。本局に問い合わせられない今の時点では確証がないけど、僕とエイミィの予想の範囲で話すよ」
みんな無言で頷く。
一息置いてから、クロノが話をし始める。
大型魔力駆動炉の暴走事故について、アレクトロ社を査察した管理局職員はシーマ査察官である。
査察結果で暴走事故は、プレシアさんが違法手段・違法エネルギーを用い、安全確認よりもプロジェクト達成を優先させたとものによるものとの報告を上げている。
その事件の後に、シーマはアレクトロ社の外部顧問として就任されてた。
そして、納期を急がせたのは管理局員からの命令であったらしい。
つまり無理なスケジュールを決行させた原因もそこにある。
「納期を急がせたのもシーマ査察官だったのかもしれない……」
その言葉にアルフは机を殴りつける。
「じゃあ、アリシアを殺したのもあいつだってことか!」
「そこまでは言ってない。まだ、証拠がないんだ」
「母さんと姉さんを苦しめて……まだ何がしたいの!」
「フェイトちゃん……」
リンディさんが手をパンパンと叩きながらみんなを注目させる。
「はい、皆さんちょっと落ち着いて。クロノ執務官、報告ご苦労様」
「艦長……」
「今、ブリッジからシーマ査察官にコールしてもらってるわ。詳しい話はそこで聞くとして……タロー君。リニスさんについて話してくださるかしら?」
く、スルーで済ませようと思ったのにバレたか……。
まぁ、いっか。
ついでに話したいこともあるしね。
「話しますけど、ちょっとバレたくない秘密もあるので、録音等の禁止と他言無用を約束してもらえませんか?」
「んー、魔導師でない貴方が関わってる理由もそこにあるのかしら?」
「あ、僕が関わってるのはみんなが心配なだけです。でも、こっちの事情を全部知ってるのは僕だけかも知れませんね」
「それなら仕方がないわね。録音等はしないし他言無用にするわ」
「艦長!」
簡単に許可したリンディさんを咎めるクロノ。
まぁ、内容を聞く前に他言無用の約束って、管理局としてはマズそうだよね。
「あら、クロノ執務官。女性の秘密を言いふらすなんて趣味が悪いわよ」
「クロノ君、サイテー」
それに対して茶化してしまうリンディさんと、若干ジト目のエイミィさん。
クロノは既にエイミィさんの尻に敷かれてるんだな。
「もう、エイミィまで……。はいはい、分かりましたよ。でも、タローはちゃんと話してくれよ」
「分かりました。それでは……」
隣の席に座っているフェイトの手をそっと握り話を始める。
フェイトはその手をギュッと握り返してきた。
プレシアさんの責任にされている事故の全容。
犠牲となったアリシアの事。
それにより違法研究に手を出したプレシアさん。
結果産まれたのがフェイトだけど、アリシアとしてではなく、自分の娘でアリシアの妹としてプレシアさんは接している。
そしてフェイトの教育係として作られた使い魔がリニスと……。
全部話し終えるとクロノが口を開く。
「他言無用と言ったが、違法研究に関しては罪だ。やはり裁かれなければいけない」
「その大本の原因が管理局にあっても?」
「あぁ」
僕の言葉にあっさりと頷くクロノ。
そんな事では揺らがない強い意志が見れる。
「ただし、情状酌量はある。僕に任せて貰えば無罪とは言わないが、かなり刑期を軽くしてみせる」
「クロノ執務官?」
リンディさんは不安げにクロノを見ている。
「大切な家族を失えば、どんな物にだって縋りたくなる。たとえ違法と分かっていても……。僕だって11年前に……」
「クロノ!」
その言葉を遮る様にリンディさんが声を上げる。
ハッとしたクロノは咳払いをして話を戻す。
「あぁ、ごめん。話がズレたね。まぁ、この件はJS事件が終わってからゆっくり話そう」
「こう見えてもクロノくんは凄腕の執務官なんだよ」
緊張を解すためにか、エイミィさんが茶化す。
「エイミィ、こう見えてもってどういう事だ?」
「14歳なのにその身長とか……」
「身長は関係無いだろ!」
「えー、クロノ君って年上だったの!?」
「僕達と同じぐらいの年齢かと思ってた……」
驚くなのはとユーノ。
気持ちは多少分かるが、その言い方はちょっと酷いんじゃないか?
そんなやり取りをしているとリニスが落ち着きがなくなる。
「リニス、どうかしたのか?」
「あ、タロー。プレシアとのパスが弱くなってるんです」
「なんだって!?」
リニスの言葉に強く反応するクロノ。
「じゃあ、プレシアさんに何かあったってこと?」
「母さんは平気なの?」
「分かりません。でも、こちらから念話を送っても、ジャミングが掛かっているようで、全く返事がないんです」
その言葉にフェイトは席から立ち上がろうとするけど、僕に手を握られているので動けない。
手を掴んでいなければ時の庭園に行っちゃいそうだよな。
他のメンバーも落ち着きがなくなってきている。
そんな時、ブリッジから連絡が入る。
「艦長、至急ブリッジへ。シーマ査察官と連絡が取れました」
「今、行くわ。みんな、ブリッジへ行くわよ」
みんなが頷きブリッジへ向かう。
「リニス。パスが弱まると魔力供給も弱くなるんだろうから、猫で居なよ」
「はい。タロー、後はお任せしても良いですか?」
「あぁ、任せておいてよ」
リニスは僕の返事に満足そうに頷くと猫になり、僕の頭の上に乗っかる。
ブリッジへ到着するとメインスクリーンにシーマが映る。
「おや、リンディ艦長。遅かったですね」
「あら、連絡をしても返事がなかなか無かったのはどっちかしら?」
挑発に対して軽く流すリンディさん。
シーマの後ろに映っている風景は王座の間かな?
「母さんはどうした!」
「おや、そこにいるのはフェイト……いや、プロジェクトFの完成品か」
「!?」
「何を驚いている。知らないかと思ったのか?人形風情が生意気な」
驚いている僕達を尻目にシーマは話を続ける。
「娘を失った悲しみに暮れる研究者に、そんな都合良くプロジェクトF.A.T.Eの情報が流れると思っているのか?」
「まさか……」
「そのまさかだよ。未完成だったこれを完成させるには、知識や技術だけでなく、自分の全てを犠牲にするほどの執念が必要だったのさ」
「馬鹿な!? そんな違法研究をなぜ局員であるシーマ査察官が知っている!」
「なぁに、今は違法だが、この完成した研究結果を持って帰れば、いずれ合法となるのさ」
強く問い詰めるクロノに対して、軽く答えるシーマ。
「そして今度はジュエルシードにより、時の庭園の真の姿を出させてくれるとはね」
「ジュエルシード……時の庭園……。まさか!?」
「ユーノ君、知ってるの?」
「うん、スクライア一族の族長の話で聞いたことがあるんだけど……」
既存の魔力炉での使用では、ただの次元間航行も可能な移動庭園。
しかし莫大な魔力供給を受けることが出来れば、完全な移動要塞としての機能を持つ。
庭園ごと次元転移ができ、Aクラス魔導師以上の力を持つ傀儡兵を無限に作り出すことが出来る。
そして時の庭園そのものにディストーションシールドが張られるようになり、空間の狭間に特殊な歪みを生じさせ、攻撃や空間干渉を低減・無効化させる。
「ほう、良く知ってるな。それならば話は早い。邪魔をしないで貰えるね」
「一体、何が目的なの!」
「ん?これは管理局に必要な物なのさ。これにより次元世界をより良く管理することが出来る」
「そんな兵器で管理だなんて……支配と一緒じゃないか!」
「ガキどもには分かるまい。このクローン技術と時の庭園があれば、管理局の人材不足は解決される。それにより、管理する世界が広がるのさ」
なのはとユーノの叫びなど気にも留めていない。
自分の理想を、言いたいことだけを言っている……。
「シーマ査察官。そんな事を管理局が許すと思っているの!?」
「あぁ、リンディ艦長は知らないかもしれないが、自分は上の命令に従っているだけだ。要するに合法というわけなのさ」
「馬鹿な!? 管理局がすることじゃない!」
「それは上に言ってくれ。おっと、自分もこの件が終われば准将を通り越し、少将へ昇進することが決まっているから、自分に言ってくれても良いぞ。まぁ、答えはこの通りだが……」
「庭園内に多数の魔力反応! 数は100を超えていきます!」
リンディさんとクロノの話に対し、答えとして時の庭園内に多数の傀儡兵が現れ、エイミィさんの悲鳴のような報告が聞こえる。
「さて、自分はこれを本局に持ち帰らなければいけないんでね」
「母さんをどうした!」
「あぁ、作った人形に母さんと呼ばせているとは……プレシアも趣味が悪いな」
「フェイトちゃんは人形じゃない!」
「はっはっは、所詮はクローン。人間ではなく作られた人形のような存在だよ」
フェイトの問いかけにも、なのはの叫びにもシーマは笑っている。
そして地面から何かを持ち上げ、通信画面に引きずり出してくる。
それは、傷だらけで意識を失っているプレシアさんだった……。
「そして、こいつはクローンの元になってくれる優秀な素材だ。ちゃんと取り扱っているさ」
「母さん!」
「さて、自分が最後のジュエルシードを持って行き、魔力炉で21個同時発動させれば、この時の庭園は完成する。無駄な足掻きをするならどうぞ。ただし、管理局に歯向かう覚悟があればだがね。特にリンディ艦長にクロノ執務官……」
シーマはそうニヤニヤしながら言い、プレシアさんを引きずって歩いて行く……。