第5話 魔法少女
人数の増えた八神家一同6人と、プレシアさん、リニス、イレイン、僕の4名。
合計10名で買い物となった。
みんなで一緒に回るのは効率が悪いので、守護騎士女性陣とはやてにプレシアさんで服などの女性の物を買いに、イレインとリニスで今後増える生活用品の購入。
そして僕とザフィーラで男物の服を買いに行く事となった。
「タロー、わざわざ学校まで休ませ付き合わせてしまい、申し訳ない」
「ザフィーラ、そんなに畏まらないでよ。これから女性だらけの八神家に、男1人で住むんだから……。僕には遠慮せずに言ってね」
「むぅ……そう言ってもらえると有難い。いざとなったら狼形態になって過ごせば良いだけだが、気の休まる相手がいるのは助かる」
「ザフィーラって狼になれるんだ〜。額の宝石といい、アルフと同じなんだね」
僕の言葉に少し悩み、その後口を開く。
「私は守護獣と言う存在なのです。他の言い方をすると、リニスと一緒の使い魔という訳です。もしやそのアルフと言う者は……」
「確か使い魔って言ってたよ。綺麗なオレンジ色をした狼さん」
「もしかすると……」
アルフとザフィーラは同じ種族の狼かも知れないということ。
その狼は昔ベルカ地方に住んでおり、ベルカ崩壊の際にミッドに移住出来たモノも居るという。
ザフィーラはベルカ出身だが、アルフがミッド出身でもおかしくないと言うことか。
そんなことよりも、ベルカって滅んでたんだ……。
ベルカがないのに夜天の書のオリジナルデータって手に入るのかな?
ザフィーラは口数が多くないので、その後は2人で黙々と買い物を続ける。
一通り買い揃えたので、リニスとイレインを探して合流することにしようかな。
(リニスー、今どこー?)
(は!? た、タローですよね。魔力を感じず念話が飛んでくるので、どうしても驚いてしまいます)
(へー、そういうものなんだ)
(普通の人は念話なんて出来ませんからね!)
(うん、それはどうでも良いんだけどさ。こっちの買い物は終わったから、合流しようと思ってね)
(あまりどうでも良くはないのですが……。今は1階で食料品を見ています)
(わかったー、そっちに向かうねー)
「ザフィーラ、リニス達は1階に居るみたいだから、合流しようか」
「む、分かった。場所が分かるということは、待ち合わせでもしたいたのか?」
「ううん、違うよ。今、念話で聞いただけ」
「……ん?」
ザフィーラは首を傾げ、僕の方を見て、そしてまた首を傾げる。
「タローは魔導師なのか? 魔力が一切感じられないのだが……」
「違うよー。僕は魔導師とか、そう言うものじゃないよ」
「では、どうやって念話を使った?」
「えっと……えい、やー! って」
「いや、それはおかしい」
僕が説明する念話をザフィーラが納得してくれない。
んー、言葉にしての説明って難しいね。
僕とザフィーラがお互いに悩んでいたら1階に着いてしまい、リニスたちと合流したので荷物持ちになる。
買い物での男のお仕事だよね。
1日がかりで大量の服とか日用品を買い込み帰宅。
僕は帰宅することとなったので、ザフィーラは狼形態になった。
やっぱりアルフと似ているなー。
プレシアさんやリニスもそれに気が付き、そのことについてザフィーラと話をしていたよ。
そしてそのままプレシアさんとリニスは残り、守護騎士達に地球の法律やら常識を教えるそうだ。
ここでこれから生活して行くのに必要だもんな。
次の日は普通に通学したら、アリサが昨日休んだことを問い詰めてきたが割愛……。
「今回も割愛させないわよ! ちゃんとキリキリ全部話す!」
そう言う訳で昼休みは状況説明と言う名の拷問を受ける。
だって屋上の床に正座だよ。
はやては逃げようとしているんだけど、アリサのオーラに怯えて逃げられない。
そう言う訳で、僕の口から洗いざらい話させられる。
「なるほどね。今回はそういう事なのね」
アリサは納得するように頷いている。
すずかはニコニコと聞いているが、なのははアワワと驚いているな。
「どうしたのなのは?」
「タロー君! アリサちゃんとすずかちゃんに魔法の事を教えちゃったの!! そしてまたロストロギア!?」
なのはは僕の質問にどうしようと慌てている。
それを見てアリサとすずかは顔を見合わせて笑い始める。
「あのね、なのはが言い出すのを待っていたんだけど、あたしたち魔法のことは知ってるわよ」
「なのはちゃんが魔法少女なのとか、ユーノ君がフェレットだったとかね」
「えーーーーー!!!!」
なのはは2人の言葉に驚きを隠せずパニックになる。
その横ではやてが首を傾げている。
「なぁなぁ、なのはちゃんが魔法少女ってなんや? 魔法が使えるちゅうのは聞いたんやけど……」
「それはね……」
ジュエルシード事件のことをはやてに話してあげる。
ついでに、イレインの月村家のことについても……。
勿論、アリサが街に被害を出した、大きな木になったジュエルシードの時に巻き込まれたこともね。
「へー、難儀な事件やったんやね。今回は大丈夫かいな?」
「ま、タローが居るんだから大丈夫でしょ。あたしは何の心配もなく信じてるわよ」
「そうやね。タローは私を救ってくれる王子様やから、信じてればええんや!」
バチバチと見えるはずのない火花が見える。
最近疲れ目なのかな?
「そ、それじゃ2人とも、ずっと前から知ってたの!?」
そんな2人の反応よりも、なのはがビックリしたままだ。
「そうだよ、なのはちゃんの事はずーっと知ってるよ。それに、なのはちゃんの家族も全部知ってて、なのはちゃんとユーノ君を見守ってたんだよ」
「そ、そうだったんだ……」
「うん、ユーノ君がフェレットなのを良い事に、なのはちゃんと同じ部屋で生活していたり、なのはちゃんが着替える時に一緒にいたり、一緒に寝たりしていたのも、みーんな知ってるよ」
「えーーーーー!!!!」
すずか……何だか黒いオーラが見えるけど気のせいかい?
隣を見ればアリサとはやてはそんな事をフォローする気もなく、何かを言い合ってるし……。
「そ、それでタローと一緒に寝たってのは何よ!」
「私が寂しいって言ったら、タローは喜んで添い寝してくれたんや」
「わ、私なんてタローの家に泊まりに行って、タローの部屋で寝たり、一緒に温泉旅行に行って、同じ部屋で寝たりもしたんだから!」
「なんやて! い、いや、同じベッドで寝た私の方が……」
「タローの部屋に女の子を入れたのは、あたしが初めてなのよ……」
何を言っているんだ、この2人は?
そして2人は睨み合ってるし……。
「「ぐぬぬぬぬ」」
どうすんのこれ?
とりあえず、僕とイレインでお弁当を食べて待っていると、4人は我に返りお弁当を食べ始める。
お腹もいっぱいになるとみんな落ち着いたみたいだね。
週末にみんなで集まって、はやての新しい家族の紹介と、はやての友達である僕達の紹介をすることとなった。
しかも何故か僕の家で……。
どうも拒否権はないようなので、母に連絡を取ってみるとあっさりOKが出てしまった。
回避は不能なんですね。
夜になるとクロノから連絡が入ってきた。
なんでも週末に地球へ来るそうだ。
来るメンバーはクロノとリンディさん、フェイトとアルフの4名だ。
クロノ達は引越し先の物件探しと言う名目で。
フェイトとアルフは研修も半分以上こなしたので、一度家族の元へ帰宅とのこと。
折角地球に来るんだから、
そこで
“ついで”と“偶然”って怖いねー。
だからその日、僕の家に
……言い訳? 屁理屈?
とりあえず全員が揃った話し合いになるのは週末か。