第2話
誕生日会は盛大だった。
父上の簡単な紹介の後に、スピーチをする事になった。
来客の貴族達も、幾ら主役とは言え子供の挨拶などには期待はしてないであっただろう。
しかし僕は前世で建設現場の朝礼で、多くの人の前で話す事に慣れていた。
これから少しずつでは有るが内政チートに進む予定で有るので、それなりに賢い子供を演出する事にした。
「本日は私、ツアイツ・フォン・ハーナウの誕生日にご足労頂き有難う御座います。
まだまだ5歳と若輩ではありますが、これから魔法の勉強と領地経営について学び、良き貴族として皆様の仲間入りをしたい所存であります」
貴族としては正直どうかな?
と思う所は有ったが、5歳児としては概ね好評で合格ラインで有ったらしい。
実は主役である僕の存在は余り重要でなく、我がハーナウ家の隆盛を近隣の領主や派閥貴族に知らしめる
事に重点を置いているパーティだ。
しかし思いがけず利発そうな世継ぎに、来客の貴族は一様に感心した様だった。
先ほどから僕にご機嫌伺いにくる貴族のおべっかに、一々答えてはいるが既に10組目からは、顔も名前も
スルーしている。
但し周りの大人たちからすれば、5歳児が愚図りもせずに大人たちの挨拶に答え続けるのは優秀な子供だ
と思ったらしい。
僕に挨拶後に両親と雑談しているがべた褒めである。
正直、元日本人としては褒め殺しの様で落ち着かない。
流石に招待客の殆どと顔見せが終る頃には1時間以上が経過し、既に時刻は9時に近かった。
アデーレが優しく頭を撫でながら
「ツアイツお疲れ様」
と僕を労ってくれたので
「母上、流石に疲れました。もう眠いです」
とギュっとアデーレの細い腰に抱きついて、子供らしく甘えてみた。
母上はとても柔らかく、良い匂いがした。
ひとしきり母上の匂いと柔らかさを堪能していたら、父上が高い高いをした後にジョリジョリした髭面を
押し付けてきた。
「父上痛いです」
SIDEサムエル
正直な所、名前と年齢を言えば後はフォローするつもりでいた。
しかし実際は、少し内容は貴族らしくない部分もあるが、中々に立派な内容だった。
しかもその後に個別に挨拶にくる者達にも、そつなく対応している。
とても昨日までの息子ではない。
子供特有の我侭さと視野の狭さや飽きっぽさがなく、来客一人々に対応に舌っ足らずなりにも言葉を返し
ている。
直ぐに飽きてしまい泣き出すかと思ったが、最後まで来客に対応した態度に妻が労いの言葉を掛けると素
直に抱きついて甘えている。
こうして見ると普通の5歳児にしか見えないが、普段なら自由時間も使用人の手を煩わしているのに今日
に限り、大人しく聞き分け良く一人遊びをしていたらしい。
息子になにが有ったのか分からないが、我が髭を引っ張った力は本気だった。
少し様子をみた方が良いだろうか。
SIDEアデーレ
朝食後にメイド長よりの報告が気になった。
何でも粗相をしたメイド見習いを泣きながら庇い、その後そのメイド見習いの娘を励ます様に恋人(妾)
宣言をし、主人や他の貴族に迫られたら自分の名前を出して断る様にまで指示したらしい。
浮気性の主人にでも入れ知恵されたのかとも考えたが、先ほどの来客への対応等は幾ら教わったとしても
子供には実行し辛いのではないでょうか。
何故か巨乳好きな子供に育ち母よりもお気に入りの巨乳メイド達と寝る様になってしまったが、それでも
可愛い息子。
だが先ほどの労いの後に抱きついて甘えてくる様子は、年相応の子供にしか見えない。
しかし……
時々見せる大人びた表情が気になります。
少し注意して見ていましょう。
SIDEツアイツ
両親に伴われ自室に戻ってきた。
「ツアイツ今日は見違える様に立派だったぞ。
他の同世代の貴族の子供に比べても遜色は無いであろう」
「泣き虫で甘えん坊のツアイツが、まるで別人のように立派でしたよ。
来賓の方々も褒めてました。
我がハーナウ家も安泰だろうと」
僕は内心汗がダラダラだった。
記憶が戻ったとは言え、精神が肉体に引かれるのか当初の考えと違い、場当り的な対応をしてしまったり
年齢に合わない行動をしてしまった。
これは怪しまれているだろうか?
恐る恐る両親を見上げると、特に疑がってる様な感じはしないのだが。
僕は子供らしくしかし真剣な表情で
「もう僕も5歳ですし、貴族としての責務を果したいと考えています。
出来れば魔法も学びたいと思いますし、父上の仕事の手伝いも始めたいと思います。
まだまだ子供ですから殆どお役には立てないでしょうが、頑張りますのでお願いします」
父上が優しい顔で、しかし探る様に
「誰かに何か言われたのかい?」
と言ってきた。
成る程、子供が一人で辿り着ける答えじゃないよなー。
そうだ!
曽祖父をダシに使おう。
「実はおじい様から、曾おじい様は幼少の頃から偉大であった。
お前も曾おじい様を見習って、立派な貴族になるようにと言われましたので」
そうおじい様に、心の中で謝罪しつつ責任転嫁した。
両親は微妙な顔をしつつも納得し……
しかし慌てる事は無い。
ゆっくり進めばいいと言って寝かしつけてくれた。
両親が「おやすみツアイツ」と部屋を出ようとした時、本日の添い寝番の巨乳メイドのエーファ嬢が控え
ていた。
母が物凄く微妙な目を僕に向けてきたので、死にたくなった。
「若様、もう何時ものお休みの時間を過ぎています」
とメイド服を脱ぎながら、話しかけてきた。
嗚呼……
リアルメイド生脱ぎに、心は興奮しているのにマイサンは微動だにしてくれない。
エーファ嬢はメイド服を綺麗に畳むと、僕を誘ってベットに二人で入った。
ちらりと彼女の下着姿をみたが、流石に中世ですからシャツに半ズボンみたいな下着だった。
しかし生地は薄く、滑らかな素材で出来ていた。
後に添い寝の為の特別な生地と衣装だと説明してくれました。当然?
子供らしく彼女の谷間に顔を埋め、胸の感触を楽しみつつ深い眠りについていった。
貴族様万歳!
僕は勝ち組。
SIDEナディーネ
今日の若様はご立派です。
先ほどのスピーチや来客の貴族様達への対応など、既に御当主の貫禄が御座いました。
現当主の旦那様は隠していらっしゃいますがロリコンでチィパイ好きの変態でいらっしゃいます。
それで我々巨乳メイド及び見習い達は地位が低く、奥様を筆頭にスレンダー派が大きな顔をしていらっしゃいます。
職場環境改善の為にも若様には、幼少の頃から巨乳好きになる様に仕向けてきました。
そして早くも成果が有り、恋人(妾)宣言をされてしまいました。
嬉しいです。
これからも他の巨乳派構成員と共に、若様巨乳ハーレムを実現する為に邁進するつもりです。
今日からはエーファ先輩に若様添い寝用専用下着を着てもらい、添い寝を実行して頂だいてます。
若様も早く巨乳の良さに篭絡されて下さい。
諸悪(巨乳好き化)の根源はここに居た!