第80話
おはようございます。
ツアイツです。
昨夜はかなり盛り上がりました。
シェフィールドさんに絡んでいたソフィアとジェシカは、適当な所でマジックアイテムで寝かせたらしく、帰りに起こしました。
ガリアの竜騎士団とトリステインのグリフォン隊の連中は意気投合して、二次会にとグリフォン隊の宿舎に繰り出して行きました。
隊長ズは、何やら揉めだしていましたが、シェフィールドさんが拳骨で黙らせました……
あの後、ワルド殿が気が付いたのです!
エルザが、エターナルロリータである事を……
そして、会わせろ嫌だに発展し、僕に詰め寄りシェフィールドさんに叱られた。
しかし、彼女がモデルで有る事は正直に話しました。
本人の秘密を(吸血鬼)知っているが、直接面識も無いしどうこうするつもりも無いと……
後は彼等の物語!
どうする?隊長ズ!
彼女を口説き落とすのは、色んな意味で大変だよ。
そして、他の女の話題で盛り上がるワルド殿を見てミス・タバサが気を悪くしてないか探して見れば……
お腹をパンパンに膨らませてソファーに寝っ転がるオヤジ臭いミス・タバサ……
全然周りを気にしていません。
多分だけど
「お腹いっぱいだからもう寝る」
とか言って寝てしまったんだろう。
大人2人掛かりで、沢山食べさせたからね。
しかし、出会った当初より随分警戒心が緩んでないかな?
ルイズ、キュルケそしてモンモランシーは、結局スカロン店長とビスチェウェイトレス達を巻き込んでの大恋バナ話を展開。
意外とウェイトレスの皆さんが、恋愛下手だと判明。
中々意中のお客さんと進展しないとか。
1人だけ、裕福な商人の跡継ぎを落とした娘さんがいましたが、現在は付き合い始めたばかりの初々しさが……
正直、惚気話を御馳走様でした!
僕は、結局ファンと作家の集いで終わり。
多分ハルケギニアでは初めてだろう色紙に、サインと簡単なスケッチで好みのキャラを書いて全員に渡しました!
貰った端から、厳重な固定化をかけ捲ってたのが、魔法の世界なんだと実感したり……
こうしてカオスな宴会は幕を閉じた。
明日の朝に、町外れで合流する約束をして解散しました。
僕は、眠りこけた学院組の皆を馬車に乗せ、のんびり隣をシェフィールドさん謹製の馬ゴーレムに二人乗りをして、護衛しながらついて行く……
2人共、殆どお酒は呑んでいない。
「どうでした?
随分とソフィアとジェシカに懐かれていましたね」
シェフィールドさんは、珍しい苦笑いで
「とても楽しかったですわ。
ガリアでは、私と親しくしたい人なんて居ませんでしたから……」
そして寂しそうな表情をして
「こんな、普通の幸せも良いものですね」
と言ってくれた。
「僕達はもう仲間じゃないですか。
ずっと普通に、この関係は続きますよ」
「そうですね……
でも私の本性を知れば、皆離れて行きます」
顔は見れないのだが、悲しそうな声……
「そんな事は無いです!
そんな事を気にするのは、仲間とは言わないです。
僕等は貴女を裏切らない。
そして貴女も僕等を裏切らない。
それで良いじゃないですか……
お姉ちゃん」
思わず言ってしまってから、クサい台詞に赤面して真っ赤になってしまった。
「ふふふっ!
そうですね。
出来の良い弟を持つお姉ちゃんは、幸せ者ね……」
シェフィールドさんは、そう言って後ろから抱きしめてくれた。
双子の月が、僕らを照らす。
小さな声で、シェフィールドさんが
「……ありがとう」
と、言ってくれた。
また、守る者が増えてしまったと感じた……
守るなんておこがましい位に、戦闘力では差が開いているのにどうにも守りたい。
しっかり者で強力な伝説の使い魔だけど、脆い一面が有るのを知ってしまったから……
あの狂った髭親父には、勿体無いお姉ちゃんだよね。
しかし、早くジョゼフ王とラブラブとなり、家族と言う物を教えてあげたい。
トラウマが解消したら、序に超強力媚薬も打ち込んでやる。
とっとと、赤ちゃんを仕込ませよう。
旦那が出来て、子供も授かればシェフィールドさんももっと幸せになれる!
先ずは、邪魔するレコンキスタをどうにかするぞ。
決意も新たに、これからの作戦を進める事にする。
しかし、この時は僕も、少し酔っていたのかも知れません。
僕の決意表明が、多分「また守る……」の辺りから独り言の様に言ってしまったらしい……
暫く後に、シェフィールドさんから
「まだ、我が主との子供は早いと思います……」
とか、真っ赤になって言われた時には、こっちも真っ赤になってしまった。
空気が読める?デルフは空気の様に静かだったな。
気を取り直して、今日からは夏期休暇です。
そう言えば、学院の舞踊会には二回共に出れなかったなぁ……
まぁ華やかに社交ダンスとか苦手だけどね。
当初の予定通りにルイズ達と、モンモランシーの実家に訪ねる事になっています。
予定以外の強力な灰汁の有るメンバーが増えて大所帯での訪問になるけどね。
流石に他国の貴族が、しかも娘の友達とは言え男性も混じって居る為に、事前に連絡はして有りましたが……
こんなに増えて平気かな?
とも、思いますが今更帰れ!
と言って、言う事を聞くような連中でもないので諦めました。
モンモランシーも参加メンバーを聞いて驚いてました。
当たり前ですよね。
ガリアの竜騎士団長以下竜騎士団10人、トリステインのグリフォン隊隊長以下隊員6人
僕に、シェフィールドさん。
このメンバーなら、ド・モンモランシ家と真っ向勝負しても余裕で勝てるメンバーでは?
警戒されなければ、良いんだけどね?
いきなり娘が、男を連れて帰ってくる。
しかも、エライ連中を引き連れて……
父親なら悶死しますよ?
僕が父親だったら……
何としてでも叩き出すかな、無理だけど。
朝飯を終えて部屋で寛いでいるのですが、視界の隅で荷造りをしている女性陣が気になってます。
「ソフィア……
僕の荷物にしては、多くないかな?
シェフィールドさんの分を足しても多くない?
それとも里帰りでもするの?」
「「えっ?
今日出発ですよね?
大丈夫ですか、ツアイツ様?」」
ナチュラルにソフィアも同行させるつもりだよ、この2人。
「えーと、聞き返しますが、ド・モンモランシ領に行くのですか?」
「ええ。
ツアイツ様のお世話を他の方に任せる事なんて出来ませんから」
凄い笑顔です。
あの変態連中の同行を許したのに、この穢れない笑顔のソフィアに駄目とは言えない。
僕の夏休みは、波乱含みのスタートとなった。