第83話
こんにちは!
ツアイツです。
現在、カステルモール殿の相棒で有るブリュンヒルデの背に乗せて貰いド・モンモランシ伯爵邸に降りようとしています。
先ふれで、グリフォン隊の方に先行して伝えて貰ってますから、この非常識な一団でも警戒されないと思います。
そして、トリステインでは信用ある魔法衛士隊隊長であるワルド殿以下、隊員達に先行してもらい最後にこの風竜騎士団が降りる……
完璧な順番だ!
もう既に屋敷に人影が見えるし、先ふれの彼も手を振ってくれてるから……
上手く説明してくれたんだね。
「では、我々も降りましょう!
カステルモール殿」
「了解です!
ソウルブラザー。
野郎共、降下するぞ!」
「「「ヒャッハー!
了解だぜ、ダンチョー!」」」
掛け声はアレだが、見事な操竜技術で降下していく……
振動など殆ど無く大地に降り立った。
僕は、感謝の気持ちを込めてブリュンヒルデの背中をポンポンと叩くとフライで地上に降りる。
因みに、ブリュンヒルデは牝、レディだ!
風竜的には美人さんらしい。
良く他の風竜から言い寄られているが、全て力でねじ伏せて振るらしい……
話はそれたが、正面の壮年の男性が、ド・モンモランシ伯爵なのだろう。
彼に近いていく。
何故か周りを竜騎士団とグリフォン隊の皆が固めてくれて、ワルド殿とカステルモール殿が左右に居る。
シェフィールドさんは真後ろだ……
何この威嚇行動?
ド・モンモランシ伯爵の家臣の方達が警戒して、防御陣形になってしまった。
やれやれ……
ここは、にこやかに挨拶をするかな。
アレ?
急にド・モンモランシ伯爵が笑顔で両手を広げたけど……
まさか僕をハグするつもr
「ただいま!
お父様、お母様。
彼が手紙に書いたツアイツ・フォン・ハーナウ殿よ!
私の旦那様なの」
モンモランシーが、僕の腕に抱き付きながら爆弾発言をカマした!
ド・モンモランシ伯爵は、一瞬悲しそうに、そして明らかな敵意の籠もった目で睨み付けてくる。
あっ当たり前なんだけど辛い……
気を取り直して、笑顔で爽やかに挨拶をする。
「お初にお目に掛かります!
ゲルマニアのサムエル・フォン・ハーナウが長子、ツアイツです」
父親には無視されたが、母親は好意的に接してくれる。
やはり攻略の鍵は母親だ!
「あら、想像よりずっとハンサムね。
娘から色々聞いているわ!」
「いえ、そんな事は……
それより申し訳有りません。
この様な大人数で押し掛けてしまって」
彼女の手を握り、先ずは非礼を詫びる。
その時、ド・モンモランシ伯爵が吠えた!
「娘から、色々聞いておるが……
素直にハイそうですか!
などと、娘を貰えると思うなよ。
何処の馬の骨とも分からん若造が!
叩き出してやる」
嗚呼……
やはり怒るよね。
ここは、平謝りで誠意を見せr
ちょちょっと、何戦闘態勢を取ってるの?
向こうの家臣の人達が、スッゴい警戒してるー!
てかカステルモール殿、何その今から襲うぞゴラァ!
的な、殺気と陣形は!
端っから友好的じゃないよねー?
「みんな、落ち着いて!
昨夜も話したけど、僕等は戦争に来たんじゃないんだからね。
杖を納めて!
ほらカステルモール殿も落ち着いて」
僕の為なのは嬉しいけど、これ位で怒ってたら大変だから!
「しかし……
この無礼者は気に入りません。
我等がソウルブラザーに、あの様な暴言を」
周りの竜騎士団員も頷くな!
止めてくれ!
「良いんだ。
いきなり娘が、男を連れてくれば普通の反応だから……
ド・モンモランシ伯爵、ここは一つ休戦と言うか、話をさせてくれませんか?」
ド・モンモランシ伯爵は、本当に嫌そうな顔で
「……分かった。
取り敢えず歓迎しよう。
ツアイツ殿、ド・モンモランシ領へようこそ」
と、手を差し出してくれた。
良かった!
しかし、風竜騎士団とシェフィールドさんは……
僕が、トリステインと揉めても全く問題無いと思ってない?
まさか、ガリアに引っ張るから平気だぜ、ヒャッハー?
……落ち着け。
先ずは、ド・モンモランシ夫人と友好的になってこの難曲を乗り切るぞ!
手伝いに着てくれてる筈なんだけど、苦労が増えてるよ。
まぁ良いや。
ルイズ以下、女性陣を引き連れて行こう。
応接間に向かう廊下にて……
「モンモランシー、この髪の色がバラエティーな方々はお友達かしら?」
ド・モンモランシ夫人が娘に聞いている。
そう言えば、自己紹介まだだった……
「初めまして、おば様!
私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
キュルケと呼んで下さい」
優雅に一礼する。
流石は大貴族の令嬢!
「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。
ルイズと呼んで下さい」
こちらも、負けず劣らず優雅な挨拶だ。
ド・モンモランシ夫人も目を細めて娘の友人を見る。
そして、視線でミス・タバサを促すのだが……
「……タバサ」
しか言わぬ彼女にビックリだ!
「かっ彼女は人見知りが酷いので、お許しを」
思わずフォローしてしまう。
そして、シェフィールドさんとソフィアを見る。
「彼女達は僕の身内です。
黒髪の美しい人が、シェフィールドさんで僕の護衛兼秘書。
此方はソフィア。
専属のメイドをしてもらってます」
ソフィアはワタワタとお辞儀をし、シェフィールドさんは優雅に一礼をする……
シェフィールドさん。
宮廷の礼儀作法とか、何で知ってるのかな?
「まぁまぁ、ツアイツ殿の周りは華やかなのね?
モンモランシー、頑張りなさいね」
この面子を見て、笑えるこの夫人も只者じゃないな……
「「私達もツアイツとは、正式に婚約してますから。私が先ですよ!」」
ルイズとキュルケの告白に、一瞬キツい目線を送るド・モンモランシ夫人。
「あらあら、それは大変なのね?
ねぇツアイツ殿?」
言葉は丁寧だが、含まれる感情は……
大変宜しく無いです。
嗚呼……
胃薬の日々よ。
また、こんにちは!