次からは挿話を挟み学院編へと移ります。
第11話
残りの殆どの魔力を注ぎ込み、究極の錬金をする。
土と水の合体魔法、透明度の高い氷でブーメランを錬金していく。
もとの世界ではオーストラリアの原住民が狩猟用として使っていたのが有名だが、実は手元に戻ってくる様なタイプは攻撃力が低いし、敵に当っても戻って来るなんて事はまずない。
直進又はカーブして目標に当てる。
回転と遠心力で破壊力を増す射撃用の武器と僕は思っている。
しかし、ここでレビテーションを応用すればエアカッターとかと違い、投擲後に任意で向きを変えられる質量のある武器になるのだ。
都合30枚長さは60cmの氷の刃があらゆる軌道で一斉にカリンに殺到する。
更に2陣目を錬金し投擲、そして1陣目でかわされた刃の軌道を変えて襲わせる。
合計60枚。
向かい合っている僕には彼女の死角になる位置に誘導する事が出来るが……
半分近く落とされたよ。
更に3陣目を錬金し投擲、もう制御は一杯一杯なのだが流石は烈風のカリン!
後ろにも目が有る様に当らない。
このままでは全て落とされるのも時間の問題だろう。
僕は一斉に彼女に向けて誘導すると、刃から制御を切って突貫する。
一瞬でも隙が出来れば、彼女にブレイドを突き付けて終わりにする。
そして僕は強い衝撃を受けて気を失った……
SIDEカリン
最初は少しお灸を据え様と思った。
主人に良くない事を吹き込む変わり者のゲルマニア貴族。
しかし芸術面での才能は有るみたいで、彼の著書は全て主人から強奪して読んでみた。
勿論例の写本も隅々までくまなく読んで、理論的の裏付けと実践の方法はアカデミーで働く長女も唸ったほどだ。
実際に私たち二人以外に効果は覿面だし、ヴァリエールの血統には効果が無いのかと思えばルイズは……
巨乳となり、平民のメイドだが心を許せる仲間を得たのだろう。
以前の落ち込んでる様子はなりを潜め、性格もカトレアに似てきた。
母としては微笑ましいが女としては妬ましい。
あんな脂肪の塊などモギッてしまいたい。
そんな感情を抱いていたら当人が来るとの事。
しかも何時の間にか、ツェルプストーとの橋渡し的な役目も担っている。
嫁いで来た私にはかの家に特別な感情は無いのだが娘たちは……
特に長女は周りからも囁かれたのか、良い感情を待ってないみたいだ。
噂通りの変わり者だが、王宮勅使や機軸卿を丸め込めるのを見ると政治的な才能も持っているのだろう。
あとは魔法だが、ルイズと同い年で既にスクエアとは驚きました。
しかし実際に戦ってみて分かったが、発想は凄いが、経験や精度・駆け引き等まだまだですね。
貴族は軍属でなければ前線で戦う事などまず無い。
それでも中遠距離の魔法には驚かされたので特にマイナスとは言えないでしょう。
後に聞いてみたのですが、土のスクエアなら普通風のメイジに対し巨大なゴーレムを仕掛けてくるのが常套手段ではと聞いたら笑って
「そんな手垢の付いた戦法が、烈風のカリンに通じる訳ないじゃないですか」
と嬉しい事を言ってくれる。
多分、実の父をしばいた精度のゴーレムを単騎制御すればそこそこ戦えたとは思うのですが……
まぁルイズの婚約者候補となら認めても良いでしょうし、義母になれば例の研究を効果が出るまで続けさせても文句は言わないでしょう。
そうすると我が家を継ぐのが、ルイズとの子供になるのでしょうか?
上の二人は結婚は難しそうですし早く孫を作らせた方がよいのかしら?
それとももう一人位頑張ろうかしら。
SIDEルイズ
お母様にメイド達とツアイツの所に行きたいって言ったら
「まだ早いです」
と叱られてしまった。
別れたくないから言ってしまったが後から考えれば、ツアイツに嫁ぎたいって言ってるみたい。
誤解されたかな?
朝食後に突然、お母様がツアイツに決闘を申し込んで驚いた。
もしかしてツアイツが勝つと結婚オッケー?
ツアイツと母上の決闘は、なんて言うか凄かった。
最初に錬金したゴーレムは、見た事ない虫みたいでしかもゴーレムが飛んだの!
お母様が切り刻んだあとはいきなり爆発しちゃうし。
その後、お母様が接近したら……
なんていうのか土のツララ?
が沢山生えてお母様の進路を阻んだ後にまた爆発した。
ツアイツは爆発好きなのかな?
私の失敗魔法も笑わないかしら?
その後は氷のキラキラした羽みたいなのが、お母様の周りを舞っているみたいで綺麗だったけど父上が一つでも当れば大怪我だと言っていた。
流石にお母様も真剣な表情で避けていたわ。
でも最後に何故ツアイツはお母様に突撃したのかしら?
あっさりエアハンマーで吹き飛ばされていたわ。
あっツアイツの目が覚めたみたい。
SIDEツアイツ
僕は宛がわれた客室で目が覚めた。
メイドズとルイズが看病してくれたみたいだ。
あっさり負けた事を恥ずかしくて謝ったがルイズが
「お母様が婚約者候補なら認めてくれるって言ってたわ。
私の為にあんなに頑張ってくれたんですもの。
当然よね」
と輝く笑顔で抱きついてきた。
如何してこんな状況になってるんですか?
玉砕覚悟で突っ込んでから記憶は無いんだけど……
まぁ普通は負けるよね。
あんな伝説の女傑に勝ってしまった方が、色々問題だし。
しかしルイズと婚約なんて流れは……
下手をすればトリスティン王国の崩壊の危機だよ。
原作通りに進んでくれないと、あんな敵役の矢面に僕が立たされてしまうのは嫌だし無理。
僕はやんわりと彼女を離してから
「負けちゃったね。どれ位気絶してたのかな?」
と聞いたらルイズが
「大体3時間位よ。
皆は客間に居るらしいけど、もう立てるの?
無理しないでね」
くっこのデレルイズの破壊力は抜群だ!
しかしここで流されたら最悪の結末を迎えるから何とか有耶無耶にしないと……
「もう大丈夫だから皆の所に行こうか」
この雰囲気を切り替えないとね。
ルイズを伴いメイドさんに父上の所に案内してもらったのだが……
応接室?の中から怒鳴り声が聞こえます。
「ツアイツはウチのキュルケと一緒にさせるのだから、割り込んでくるなヴァリエール!」
「はっ!
略奪愛は貴様のお家芸だろうがツェルプストー。
真似されて怒ったか?
だがアレはルイズに一目惚れだぞ」
「あー確かに息子の好みだなあの子は……
でもうちの跡継ぎなんだし、どっちにもやらんぞ」
「「なんだウチの娘に不満があるのか!」」
「どっちも跡継ぎ的に問題有るだろ」
「あーうちは平気だ!
もう一人こさえるから。
側室も増やすし、今度は男子を授かるまで頑張るさ」
「くっ色ボケのツェルプストーめ。
ウチだってルイズの生んだ子供の一人を貰って、跡を継がせれば問題ないわ」
ちょっとマテや!
僕は可愛いモブッ子ハーレムを目指すから、原作キャラとは一緒にならない予定なんだよ。
僕は扉を開けて
「お待ちください。
僕は未だ結婚などは考えていません」
と口喧嘩真っ最中の親父ズに怒鳴った。
ルイズさん脇腹に激痛が……
抓ってませんか?
「ツアイツは私との婚約は嫌なの?」
表情は可憐ですが態度に原作開始時の面影を感じます。
「そうじゃない聞いてくれ。
僕にはまだ結婚なんて考えられないし、お互い早いと思うんだ。
ルイズも婚約者が既に居るんだろ」
「ワルドさまの事?
でも先日お会いしたら、僕のルイズじゃないとショックを受けられて帰ってしまわれたわ。
破談でしょ?」
ちっアイツ原作通り真性のチッパイ・ロリコンか……
アルビオン編どうやって修正するんだよ?
「どちらにしてもせめて魔法学院を卒業してからの話にして下さい」
取り敢えず先送りにしよう。
もう何か疲れたよ。
「ツアイツ殿はゲルマニアにお戻りになられるなら、ルイズは不利になります。
公平にするなら魔法学院はこちらに留学なさい」
カリンさまどこに居たんですか?
原作時にはトリスティンには居たくないんですよ色々有るから。
「ではキュルケも同時期に留学させよう。
これで公平だな」
ツェルプストー辺境伯が止めを刺してくれた。
もう留学せねばならぬ流れですよ。
「父上、留学の件、大丈夫ですか?」
一縷の望みを託して話し掛けてみる。
「ツアイツは既に学業も魔法も水準以上だし、留学しても恥は掻かないだろう。
構わないよ。
ただし、アデーレには許しを貰えよ」
「分かりました。
トリスティンの魔法学院に留学出来る様に母上を説得します」
こうして強制的に、原作の中心に係わる様になってしまった。
あと2年ちょっとでどれ位の準備が出来るのか……
少なくとも戦闘経験は積まないと、あっさり死にそうだ。
最低でもサイトは召喚してもらい、彼を補佐して原作に沿ってストーリーを進めてもらわないといけないな。
しかしルイズの性格は既に変わっているしキュルケも微妙だ。
ワルドも今更、アルビオン探索に同行してくるのか?
既に自業自得でこんなに介入にてしまったからには、腹を括るしかないよな。
こうしてヴァリエール公爵家の訪問で得た物は、半分公認なルイズとの婚約の件と20人のメイド達だった。
流石にKYでシエスタお持ち帰りは控えたが、後日ちゃんと回収しました。
シエスタはTV版のそばかすの無い可愛い巨乳ちゃんで、勿論色々と好感度をあげてから頂きました。
原作ヒロインの一人を喰ってしまったけど、全然後悔はしていない。
ナディーネとエーファ・ルーツィアには泣かれたが、シエスタを加え4人以外には手を出さないと納得して貰った。
これからも魔法学院入学までに、出来る限り鍛錬し準備をしよう。
しかし正妻候補があの二人とは、サイトの奴に恨まれるだろうな……
でもアイツにはティファニアやアンリエッタフラグも有るし、何とかなるかもね。
根はヘタレで流されやすいし、上手く誘導して原作の流れに持っていこう。
その分のフォローはすればギブアンドテイク!
念の為、ルイズとキュルケには手を出さないでおこう。
既成事実→即結婚だよね!
流石にそれは不味いわなW