第103話
ウェールズ皇太子とアンリエッタ姫。
両国のネクストキング&クィーンが集まるテーブルは、周りから注目を浴びていた。
そこへ呼ばれたツアイツ。
周りは色々と考え始める。
一部のトリステイン貴族は、常日頃アンリエッタ姫が誉め千切るゲルマニアのいけ好かない貴族と。
ロマリアから来たバリベリニ助祭枢機卿は、ツアイツの事を教皇に報告しようと考えていた。
遂にロマリアに目を付けられたツアイツ!
その他、男の浪漫本を読んでいる連中は……
「流石はツアイツ殿!
両国の正当後継者に呼ばれるとは!
我々では、あのテーブルには近づき難い」
等と、注目を集めているが概ね好評価だ。
SIDEベアトリス
「ねえ?
あの金髪のイケメンは誰なのかしら?
あのテーブルに呼ばれるなんて……」
護衛の空中装甲騎士団に尋ねる。
「ベアトリス様、彼がツアイツ・フォン・ハーナウ殿です」
はぁ?
ウチにも居るあの妖しい本のファンと違うわよ?
「あの、小太りな油ギッシュじゃないわよ?」
「会報でも見ましたし、先程挨拶しに伺いサインも貰いました。
彼は間違い無くツアイツ殿です」
何時挨拶に行ったのよ?
「アンタ?
私の護衛を放って挨拶なんて何時行ったのよ?」
「…………」
「何故黙ってるの?」
「いえ、その交替しながら行ってました」
「あなた達ねぇ?」
「姫様、ほら何を話しているか気になりませんか?」
言われてテーブルに意識を向ける。
「僕は、手段を選ぶつもりは有りませんから……
アンリエッタ姫を宜しくお願いします。
彼女は一途な女性ですよ。
それと、巨乳派教祖としてお約束しましょう。
彼女の豊胸……
お望みでしたね?
確実に希望通りに仕上げてみせます。
では、失礼します」
何?何なの、今の会話?
ウェールズ皇太子の望みってアンリエッタ姫の豊胸なの?
それに仕上げるって……
都市伝説みたいな噂!
伝説のバストアッパーって実在したのね?
それにアンリエッタ姫をお願いしますって……
それ程、彼はトリステインと関係が深いのかしら?
帰ったらお父様に報告しなければ……
SIDEアンリエッタ
思わず嬉しくて走り出してしまったわ。
ミスタ・ツアイツ、援護射撃グッジョブですわ!
流石は私の師です。
「アニエス隊長戻りましょう」
恥ずかしいけど、ミスタ・ツアイツと連携して……
いえ、ツアイツ様と連携してウェールズ皇太子を今日墜としますわ!
決めました!
あら?
何を話してるのかしら?
「僕は、手段を選ぶつもりは有りませんから……
アンリエッタ姫を宜しくお願いします。
彼女は一途な女性ですよ。
それと、巨乳派教祖としてお約束しましょう。
彼女の豊胸……
お望みでしたね?
確実に希望通りに仕上げてみせます。
では、失礼します」
思わず聞こえた台詞に、近くの椅子に座り込んでしまう……
ツアイツ様!
そこまで、そこまで私とウェールズ様の為に、手段を選ばずに動いてくれるなんて……
嗚呼、こんなに殿方から大切にして頂いた事なんてないわ。
駄目よアンリエッタ!
ツアイツ様の気持ちを裏切っては。
ウェールズ様一筋!
彼も一途と言ってくれたのですから。
揺れる乙女心……
2人の殿方に挟まれて揺れているわ。
「ひっ姫様。
アンリエッタ姫、正気に戻って下さい」
アニエス隊長が何か言っているけど、何を騒いでいるの?
今、女の幸せに浸っているのに……
五月蠅いわね!
身悶えるアンリエッタ姫に周囲は目を逸らした。
アンリエッタ姫の評価に、妄想姫が追加された。
しかし、トリステイン貴族の中では姫様ちょー可愛い!
なんて思う若手貴族が数多く居た。
見目麗しいレディが、真っ赤になってイヤイヤしてるから、まぁ可愛いのか?
そして、本日の最大のイベント!
イザベラ姫との会談が始まる。
ウェールズ皇太子に啖呵を切って退席した後、直ぐ近くに待機していたイザベラ隊員にに気が付いた。
少し離れた場所でイザベラ様が待っているので案内すると……
周りを護衛騎士団に囲まれ、人目の少ない場所にイザベラ姫御一行は陣取っていた。
ニヤニヤしたイザベラ様が手招きしている。
仕方なく近付いていく……
SIDEイザベラ
やっと終わったかい?
女を待たせるなんて、紳士を気取る割にはなってないよツアイツ。
少しからかってやるかね。
仕返ししないと気が済まないからねぇ……
全くウチの護衛もアイツには警戒心0だよ。
何で敬礼するわ道を空けるわ……
「イザベラ様、ご無沙汰しております」
くっくっく……
呑気にしてられるのも今のウチだよツアイツ?
「本当に、お久しぶりですわね。
毎週贈り物を下さるのに手紙の一つも寄越なさいなんて……
冷たいお方ですわ。
私など、もう飽きてしまわれましたか?」
ほーら?
鳩が豆喰った顔だね。
その顔が見たかったんだよ!
ザマァ!
私だって王族だから、これ位の演技は出来るんだ。
さぁ仕上げだよ。
「イザベラ様……
何を言ってr」
ツアイツに駆け寄って、その胸に飛び込む!
周りから歓声が上がったね……
「「「うぉー!イザベラ様、デレデレだー!」」」
ヨシ!今だよ。
「酷い人……えぃ!」
強烈な右をツアイツの腹にぶち込む!
「うっ……」
私に溜まらず寄り掛かって来た所を受け止めて……
「寂しかったんだから。
えぃえぃえぃ!」
右を三発連打!
トドメだよ!
「もう知らないから!
ツアイツのばかー」
フルスイングで鳩尾に一撃を入れる。
溜まらず私にしがみ付きながら、崩れ落ちるツアイツ!
「「「うぉー!
今日はデレデレだー!
バイオレンスデレー!
そしてナイスボディーブロー」」」
「あーっはっはっは!
思い知ったかいツアイツ?
私を勝手に商品化した罰だからね。
安心しな、別にアンタにお嫁に貰って欲しいとか思ってないからさ。
さぁもう起きな!
ほらほら手を貸してやるから。
でも次は許さないからね。
アレ?
ツアイツ平気かい?」
ヤバイ、やり過ぎたかね?
何か泡をふいて痙攣してるけど……
「イザベラ様。
ツアイツ殿を此方へ。
治療いたしますから……」
「そっそうだね。
ツアイツ悪かったね?
大丈夫かい?
今治療させるからね?」
お腹を擦りながら謝るが、ツアイツは唸っているだけだ。
ガリアのツンデレプリンセスの新しい伝説が、ここに生まれた!
バイオレンスデレ!
普段勝気な彼女が、甘えながら暴力を振るう様を見たファンの忠誠心は天を突くばかり……