第104話
イザベラ姫に抱きつかれた!
まさか、そんな感情を抱かれていたのか?
と、一瞬思考が止まった後に腹に来た暴力的な衝撃……
イザベラ姫に縋り付きながらズルズルと膝を付く。
その時に、彼女の巨乳に顔を擦り付けながら倒れ込んだのは僕だけの秘密。
ロイヤルおっぱい御馳走様でした!
結構なお手前で……
意識を失い目覚めたのは、暫く経ってからだった。
誰かが頭の上で話し合っているみたいだ。
目を開けずに、会話に集中する……
「イザベラ姫は、この変態と良い仲なのですか?」
「良い仲?男女のかい?
まさか違うよ。
それに、王族には恋愛に自由など無いよ。
私らの旦那は、国の為に選ばれるんだ」
「でも、とても嬉しそうな顔でしたわ」
「こいつは……
ツアイツは、最初から私を無能姫と嫌われ者と見下してなかったよ。
何時も何時も困らせられるけど、悪い事ばかりじゃないし嫌じゃない。
最初はね……
私はコイツに刺客を差し向けたんだよ。
そんな私にも普通に接してくれたね。
命を狙った私にだよ」
「それは……
随分と変わってますわね」
サワサワと頭がくすぐったい……
多分、イザベラ姫が髪を梳いてくれてるのだろう。
暖かい掌の感触だ……
唸って目覚め様としているみたいに演技する。
「気付いたみたいですわ!」
目を覚ますとイザベラ姫とベアトリス姫が、僕を見下ろしている……
ニヤリと笑うイザベラ姫の笑顔は、悪戯っ子の顔だし、ベアトリス姫は何故か半信半疑と言うか疑いの眼差しだ……
「漸く目覚めたかい?
可愛い彼女のコブシ位、平然と受け止めな」
「彼女って……
イザベラ様、お戯れを言わないで下さい。
他に聞かれたら問題有りですよ?」
イザベラ姫の、ニヤニヤが止まらない。
周りを見渡して……
「アンタの作り込んだ、この変態包囲網をかいくぐってかい?
私を勝手に商品化してプロデュースまでしといて、その言い草とは……
ヤレヤレだね」
「凄い人気出ましたよね?
これでイザベラ姫の人気と地位は安泰ですよ」
彼女は、少しだけ困った顔をして
「それは……
微妙に嬉しいし感謝はしてるよ。
それに、毎週の贈り物も嬉しかった。
でもアンタだって、私にガリアでの立場を固めて欲しかったんだろ。
アンタの為にさ……
違うかい?」
流石は、知り合いの王族の中でも一番マトモ。
ちゃんと、気付いてるのかな?
「ええ、ジョゼフ王と揉めたら力になってくれると嬉しいなー!
って思いまして」
うわっ!
鼻で笑われたぞ。
「やっぱりアンタって面白い男だね!
しかし、フィギュアや男の浪漫本……
私関連はもう少し自重しな!
それと、裏切り者のエレーヌをもっと商品化しな。
序でに、そこのベアトリス姫殿下がアイドルになりたいってさ」
凄い威厳有るニヤニヤなんだが……
これが王族の血か。
アンリエッタ姫も見習って欲しい。
これ位、自分の置かれた立場を把握出来れば僕らの被害が少ないのに……
「イザベラ姫、私は無理です。
考えさせて下さい。
お父様から預かっている空中装甲騎士団をあの様な変態集団にするのはチョット……
申し訳ありませんが、嫌です!」
初めて見た!
凄い長い金髪のツインテール……
我が儘で勝ち気そうな少女だけど?
これがベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ姫殿下か。
原作ルイズの変わりにロリでチッパイなツンデレとして人気が出そうだぞ。
エレオノール様もチッパイでツンデレだけどロリじゃない。
この違いは大きい。
それにツンデレプリンセスでは、イザベラ様ともキャラが被る。
プロデュースするならロリでチッパイだけでは弱い。
妹属性を強調すれば、或いは……
でも何故イザベラ様と?
「ほら?
何を値踏みしてんだい?
この娘なら、アンタが力を貸せば人気は直ぐに上がるんだろ?」
「これは、不躾な視線を……
申し訳有りません。
私はゲルマニアの貴族。
サムエル・フォン・ハーナウが長子、ツアイツ・フォン・ハーナウです。
以後、お見知りおきを」
貴族的礼儀を以て一礼をする。
「アンタね……
私の時と扱いが違くないかい?」
ベアトリス姫殿下は……
何故だか分からないけど、距離を置かれている感じです。
分かります。
潔癖症っぽいし、変態巨乳教祖を目の前にして嫌な思いをさせているのかな?
「わっ私は、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフですわ」
少し慌てたが、優雅にスカートを裾を持って一礼してくれた。
「イザベラ様とは、仲が良ろしいのですね」
イザベラ様は珍しく笑いながら
「お前が洗脳した会員達にガン付けられててね……
助けたら、ね」
「ええ、怖い程の忠誠心でしたわ」
「そうですか……
それは済みません」
「で、この娘売れそうかい?」
「ツンデレプリンセスではイザベラ様とキャラが被りますし。
寧ろ妹キャラを強調し、チッパイでロリっ子でお兄ちゃん子にすれば或いは……
一大ブームになりえる素材をお持ちかと」
「いっいえ、私の事は良いですわ。
嫌です。困りますわ」
やはり、遠慮された……
何だか凄く警戒されてるし、距離を取られたぞ。
「では、その気になりましたらその時に……
イザベラ様、僕はこれで失礼します」
ベアトリスちゃんか……
中々の素質を持った娘だね。
「お兄ちゃん!」
とか、言わせればあの容姿でチッパイロリだ。
必ず人気は出ると思う。
でも無理かな。
随分警戒されてるし、クルデンホルフも商業に力を入れる国。
フィギュアとか売ったら版権問題とかになりそうだよね。
しかし、シェフィールドさんが居なくて良かった。
彼女が居たら、イザベラ姫が大変な事になっていたかもしれない。
僕を殴って気絶させた!
なんて知られては問題が有ると思う。
SIDEその頃のジョゼフ王!
「まぁまぁジョゼフ様、お似合いですわ!
ほら、近衛や侍従の皆さんもそう思ってますわ!
ねぇ皆さん?」
近衛や侍従は曖昧な笑みや困惑を浮かべておる。
ミューズの迫力に押されて拍手してしまったから、何とも言えないか……
「ふぅ……ミューズよ。
ツアイツに取り込まれたのか?」
情報では、姉弟の様に仲が良いそうだ。
「ミスタ・ツアイツにですか?
彼は我が主に必要不可欠な御方。
取り込まれてなどいませんが、協力体制を円滑にする為に友誼を結んでおりますわ」
ミューズは余の使い魔だ。
ルーンの影響下では余に逆らえない。
故に余の不利になる行動も取らない。
ならば、アヤツの変態の影響で積極的にアタックを始めたと言う事か?
兎に角、ナニが起たねばミューズの気持ちにも応えられん。
話にならぬのだ!
ツアイツよ。
早く、レコンキスタを叩きのめして余の前に来るのだ!