第115話
今晩は!
ツアイツです。
目の前に両親が居ます……
そして夕食に呼ばれた筈が、身内だけの結婚式会場になってますが?
ツェルプストー辺境伯を見付けたので、此だけは言っておこうと思う!
「義父上、騙したな!
この僕を謀ったな!」
某宇宙世紀の独裁国家の三男坊ばりに叫ぶ!
相手もちょうど赤いし……
「ツアイツ、我が義息子よ……
身内だけの、ささやかな宴だよ!
勿論、初夜を邪魔する様な無粋な事はしないから安心したまえ」
ツェルプストー辺境伯に詰め寄ったが、サラリとかわされてしまった。
そして、見渡せば母上が既にキュルケと和やかに会話している。
「アデーレ様……
義母様とお呼びするより義姉様の方がしっくりきますかしら?」
「あらあら、キュルケちゃんもお世辞が上手ねぇ。
こんなオバサン相手に」
いえ、母上!
端から見れば、キュルケがお姉ちゃんに見えます!
何故?若作りとかじゃなく、本当に若々しいのですか?
こちらは男同士で会話が弾んでますし……
「サムエル殿、まさか親戚になるとは思わなかったよ!」
「はははっ!
全くですな。
ウチのアレは変態だが、宜しく頼みます」
父上……
我らは同等の変態でしょう?
何を言い出すのですか、今更……
「それと……
ツアイツよ。
貴様、モンモランシー嬢・ルイズ嬢そしてキュルケ嬢と、この夏期休暇で婚約者を立て続けに喰いながら旅を続けてきたそうだな……
敢えてこの言葉を贈ろう。
リ・ア・充・シ・ネ!」
謎の言葉を叫びながら、殴りかかる父上……
ヒラリとかわす僕!
「何故避ける?
貴様を一発殴らないと読者が納得しないリア充ぶりなのだぞ!
大人しくボコボコにさr……
フギャー!」
後ろから母上が、ウォーターウィップで父上をシバいています!
凄い笑顔で……
「あらあらサムエルさん?
おめでたい席で、どんなお戯れなのかしら?
ほらほら……
お口が有るなら言わないと、どんどんお仕置きがレベルアップしますよ?」
母上……
何時からなんですか?
そんなSな性癖をお学びになったのは……
「イタいイタい……
すまん、アデーレ!
許してくれ。
本気で痛いから……
悪気は無かったし、読者が納得しないと思い、我が鉄拳で制裁を……
許してくれ、イタいから。
本当にごめんなさい」
そっと母上を後ろから取り押さえる。
「母上……
その辺で許してあげて下さい。
父上も反省してますから」
息一つ乱してない母上は、ニッコリと微笑み
「キュルケさん。
ウチの父子は、普通と違うから普通の折檻では効かないわよ。
覚えておいてね。
妻になるのなら……」
キュルケは、あまりの事態に呆然としている。
「アデーレ、嗚呼……
僕の可愛い小悪魔ちゃん!
さぁ会場に行こうか?」
あれだけシバかれていたのに、既に復活している父上……
母上の中では、僕は父上と同等なのですか?
僕の評価って……
母上の手を取り、何事も無かった様に会場に向かう両親を見て、まだまだ自分は甘かったのだと思う。
「ツアイツ……
私、貴方のご両親と上手くやっていけるか、心配になってきたわ」
キュルケが僕の腕を取りながら呟いた。
「安心して、僕もだよ。
あの両親の息子で有る事に自信が無くなったよ」
改めてハーナウと言う血の宿痾(しゅくあ)を肌で感じた瞬間だった……
結婚式会場にて
身内だけの結婚式とは言え、ゲルマニアの有力貴族同士だから会場も料理も待遇も素晴らしい物だ!
キュルケは最初こそ、純白のウェディングドレスを纏っていたが、お色直しでは艶やかな紅色のドレスに着替えていた。
参加人数は僕とキュルケの新郎新婦に互いの両親の6人なのだが……
これは、あくまでも仮の結婚式で、レコンキスタ騒動が片付いたら正式に執り行うそうだ!
式を終えて、僕らは2人だけでキュルケの寝室に来ている。
初夜ってヤツだが、緊張する……
こんな時、世のイケメンは気の利いた台詞の一つも言うのだろうが
「まさか内緒で結婚式の準備を進めていたなんて……
キュルケ、疲れたかい?」
ナイトドレス姿で、酔い醒ましの紅茶を煎れてくれているキュルケに話掛ける。
「アナタは疲れましたか?
ふふふっ!
私が一番最初に嫁いだのよね。
幸せだわ」
テーブルに2つ、カップを置いてキュルケが隣に座る。
「どうぞ……
でも夢のようだわ。
学生のウチにツアイツと結婚出来るとは思わなかったもの。
これから、死ぬまで離さないから……
宜しくお願いしますわ。
だ・ん・な・さ・ま!」
「此方こそ宜しく!
もう離さないからね」
2人は、ロックとディテクトマジックをかけまくって周囲を確認してから同じベッドに入った。
明け方まで何かをしていたが、エーファ達で鍛えたツアイツのテクニックにキュルケは翻弄されるばかり……
最近ご無沙汰だったツアイツが、極上の美女を目の前に自重出来なくても誰も責められない……
と、思います!
翌朝……
「おはようございます。
夕べはお楽しみでしたね」
某竜のクエストばりな台詞で起こされて食堂に向かう。
キュルケはお疲れ様の為、まだ寝かせている。
本来なら甘い言葉で起こしてあげるべきだ!
しかし、夕べは彼女の
「もう無理……少し休ませて!」
のお願いを聞かずに無茶をしたので……
ゆっくり体力の回復に努めてもらう。
後で、何か軽い食事を持っていこうかな……
SIDEデルフリンガー
「兄さん、俺っちの存在を忘れていやせんか?
同じ部屋に居たんですけど?
いや、オッパイ成分は物凄く補充したっす!
ボリューム的にも、金色や桃色の娘っ子じゃ到底適わない姉さんですが……
あれだけの妄想を備えている兄さんの思いの丈をぶつけるには、1人では辛いと思うっす!
兄さんも、普段の優しさがなりを潜めてやしたよ。
流石は、妄想だけで使い手と同じ心の震えを起こさせる人だけの事はありやすね。
こんなご褒美を貰っちゃあ、一生付いていきやすぜ!」
ツアイツとキュルケの桃色空間に思わず同席してしまったデルフリンガーは、ツアイツへの忠誠心をかなり上方修正した!
「ビバおっぱい!」