第127話
最初はロマリアの教皇ヴィットーリオ殿に対して、不退転の気持ちでレコンキスタについて問い質す覚悟でいた。
次は巨乳派教祖ツアイツ殿に、信念を曲げてでもレコンキスタを倒す為に協力を願いでた。
そして……
今、ハーナウ家の宴に呼ばれ女神様と対峙している。
彼女は、私の理想。
そして心の友であるツアイツ殿の婚約者……
だが、敢えて聞かねばならない事が有る。
例え討ち死にしてでも確認しなければ、漢が廃るし生涯後悔せねばなるまい。
「てっテファたん、いえテファ殿のバストはご立派ですね。
流石は巨乳派教祖ツアイツ殿の婚約者。
して、さっサイズは幾つですかな?」
先に断っておくが、私は壊れた訳では無い。
一国の皇太子が、婚約者の居るレディのバストサイズを聞くなんて!
と、思うかもしれないが、この疑問を解決しないと夜も眠れないから……
彼女は胸をかき抱いて真っ赤になり、下を向いてしまった。
「教えられません!」
何て可憐な女神様だ!
しかし、ツアイツ殿が近くまで来て耳打ちしてくれた!
「ウェールズ様、それは秘密です。
でも今回は、特別にお教えしましょう!
ゴニョゴニョ(Iカップの99ですよ)」
「何だってー!」
人類の至宝が居た……
「有り難や、有り難や」
思わず、双子山ご本尊を拝んでしまう。
私も、お淑やかで巨乳美人を娶りたいのだ!
アンリエッタ姫ではないのだよ、ツアイツ殿。
彼の専属メイド達。
ナディーネたん。
ルーツァアたん。
エーファたん。
シエスタたん。
そしてソフィアたん……
私はこの屋敷から帰りたくないのが本心だった。
しかし国には、私の帰りを待つ年老いた父と家臣達が居る。
断腸の想いで、夢の屋敷を後にした!
SIDEツアイツ
やっとウェールズ皇太子御一行が、アルビオンに向けて旅立った!
彼も一流の変態になれる素質を持っている。
これから精進有るのみですよ、心の友よ!
隣で見送るテファは……
「旦那様、まだ見せても触らせてもいませんのに……
何で正確な数値を知っているの?
何でウェールズ様に教えてしまったの?」
と呟いていましたが、これもハーフエルフで有る彼女の素性がバレても、ウェールズ皇太子は味方してくれるだろう……
さて、僕はこれから重傷を負って絶対安静だ!
会報により、ハルケギニア全土に知れ渡るだろう……
どれだけの影響が出るか分からない。
蓋を開ければ大した事も無いかもしれない。
しかし、内緒にしておくと大変な人達が居る。
出来るだけ情報を漏らしたく無いけど……
彼女らが、暴走すると怖いから手紙を送ります。
勿論それは……
1位ヴァリエール一家
2位ツェルプストー一家
3位ド・モンモランシ一家
4位アルブレヒト閣下
5位アンアン……
しかし、アンアンは情報が漏れそうだから教えない。
教えない事で、大変な事になりそうな予感がビンビンだけど……
作戦その物が、失敗する確率が高いから教えない。
この判断が間違っていない事を祈る。
SIDEジェームズ一世
ダータルネス特設指揮所……
「陛下、参戦した貴族達が周辺住民を避難させる様に嘆願してきたそうですが……」
参謀の1人が、申し訳無さそうに聞いてきた。
「そうだな……
今までからは、考えられない事だ。
貴族とは戦いにおいて、花形たる攻撃部隊の配属を願うものだ。
まさか平民の避難誘導と護衛をしたがるとは、な」
「陛下が許可なされた事により、参戦した貴族の三割近くが其方に割かれます。
これはダータルネスの防衛に穴があきますれば……」
今、王党派に向ける平民の支持は絶大になりつつある……
戦火に巻き込まれた筈の彼らを、今までは何も救済しなかった彼らを……
王党派は、率先して守っているのだ。
民意とは、国を動かすには大切なファクターだ!
折角あがった人気を落とす事はないだろう。
しかし兵員を割くのは、このダータルネスが攻められた時に守り切れず、思わぬ痛手を受けるかもしれない。
「参謀長……
ダータルネスを放棄して、サウスゴータに最終防衛線を敷くぞ。
平民の誘導を優先してやってくれ」
「陛下……
宜しいのですか?」
「構わん。
ウェールズが、ツアイツ殿と交渉している。
その結果を待とうではないか。
それに、民意は圧倒的に我らに向いている。
今更、それを放棄するのは下策よ」
「畏まりました。
では、最低限の防衛部隊を選出します。
彼らは時間稼ぎをして貰い時期を見て撤退させます。
それと、レコンキスタに使用されぬ様に軍事・港湾施設の破壊許可を頂きたい。
防衛部隊には私が残ります」
参謀長は何か吹っ切れた様な感じだ。
「すまぬ……
レコンキスタに良い様にやられてしまうな」
「陛下……
この戦は歴史に残ります。
極力国民を戦火に晒されぬ戦いをしている我ら王党派とは……
ハルケギニアの常識を覆しています。
この戦に勝てれば、新しい試みをした参謀長として私の名前は残ります。
だから、気になさらないで下さい」
こやつに気を使われるとは、ワシもまだまだか!
「よかろう!
参謀長に、防衛部隊の全権を与える。
撤退用の空中船を残す。
無理をするなよ?
反抗作戦の参謀長もそなたなのだ!」
見事な敬礼をする参謀長……
「残りの皆は、撤退準備だ!
急げよ、敵は待ってはくれないぞ」
ふっ……
これで負ければ、ワシは最後まで弱腰の王と嘲られるだろう。
ウェールズよ。
早く吉報を届けぬか……
しかし、その頃のウェールズ皇太子は、テファたんの胸のサイズを知ろうとして、己と戦っていた。
親の心、子知らず……
しかし後に彼のもたらした有る女神のバストサイズは、アルビオン王家の公的文書として後世に残したそうだ。
そして待望のウェールズ皇太子が前線基地に到着する。
早速、ジェームズ一世に報告。
ジェームズ一世は、ツアイツに協力を取り付けた件を喜んだ。
しかし、テファのバストサイズの報告と、フィギュアメイドズに会った!
と、息子から聞いた時は悔し涙を流したそうだ。
しかも、レコンキスタ殲滅の暁にはウェールズが、上級会員になれると聞き及んだ時点で……
ジェームズ一世は、ブチキレタ!
「そこまで貴様が優遇されるなら、ワシはもう要らんだろう!」
レコンキスタ討伐の全権をウェールズに譲り王都ロンディニウムのハヴィランド宮殿に帰って行った。
侍従のバリーが言うには
「王は、それまで精力的に行動なされてましたが、一気に10歳はお年を召された感じがしました。
立ち去るその背中は、煤けて見えました」
ジェームズ一世、レコンキスタとの戦いをここでリタイアする。