幸せワルド計画挿話19・第四部
遂に実行に移す「幸せワルド計画」……
参加者は全て自分と自分の遍在。
ある意味、セルフでお得な作戦だ!
人件費は0だし。
ワルドABC
「どうだ?
怪しい奴に見えるか?」
三人共、顔をマスクで隠している。
が、蝶を象ったコスプレな感じのアレだ!
それに口元は、マフラーを巻いている。
服装は、何処からかパクった僧衣を着ている。
何処かの教会を襲ったのか?
「怪しいと言うか……
怪しい奴その物だな。
我ながら妖し過ぎるわ」
「全くだ!
変装のなんたるかを理解してないな」
ダッシュが、苦情を言いながら近づいてきた……
上から下までピッチリな黒タイツを着込み、やはり蝶の仮面で顔を隠している。
ダッシュ、それは仮装だよ。
本体ワルドを襲うロマリアの密偵団は、仮装の変態集団となってしまった。
しかし、変態を嫌うジョゼットに対してならば丁度良いだろう。
「では、逝こう!
セント・マルガリタ修道院へ」
ロングビルは手を振っている。
「ちゃんと、様子をみているのだぞ!
危なくなったら助けを頼むぞ。
本当に宜しく頼むぞ……」
ワルドズはフライで飛んでいった。
残されたグリフォン二匹の顎を撫でながら
「まぁ失敗しても、私は困らないからね。
ぜいぜい頑張んな」
全く他人事だった。
出発前には、ツアイツに自分に任せろ!
と、張り切っていたのに……
「あー動物って癒されるねぇ……
私も使い魔召喚しようかな」
「「グルグルル(もっと撫でれ!)」」
お留守番組は呑気だ。
その頃の変態の一団……
「では作戦通り、上手くやってくれ……
手加減しろよ」
「「「「……了解だ?」」」」
不安顔な本体を残して配置につく。
ここに史上初の本当の意味で自作自演なミッションがスタートした。
定刻通り桶を持って水を汲みに来るジョゼット。
鼻歌などを歌っている。
「では、作戦通りに……」
ダッシュの指示で、三方から飛び出しジョゼットを囲むワルドABC!
「ひぃ……誰なんですか?」
尻餅を付いて驚く。
「ミス・ジョゼットだな?
一緒に来て貰おうか」
ノリノリのワルドA
ズリズリと、少しでも変態ズから離れようとするが
「どちらに行かれるのかね?
尻を擦っては、黒子が傷付くぞ」
彼女の真後ろから、ダッシュが話し掛ける。
「お尻……黒子……なっなんで知ってるの?」
余りの台詞に一瞬思考が止まるが、ハッと思い出して真っ赤になる。
「我ら、教皇直属の密偵団を舐めるなよ。
小娘の秘密なと全てお見通しよ」
「「「はっはっは!
可愛い尻らしいな?
ジュリオ殿から報告を受けているぞ」」」
思わぬ名前に、固まってしまう。
「あの、女装して教皇の愛人になった変態のせいなの?」
「男の娘か……
我らには理解出来ぬ変態だな。
しかし、お前がガリア王家の血を引いてると調べはついている。
ヤツのお陰だ」
ダッシュ、相変わらずノリノリ!
しかも、股間を強調したポージングでにじりよる。
「ひぃ!
たっ助けて下さい。
私は、生まれてからこの修道院しか知らないの?
外の世界なんて知らない……」
余りのダッシュの痴態に、貞操の危機を感じてしまった。
「では、同行願おうか……
ロマリアまで!」
強引にジョゼットの腕を掴み立ち上がらせる。
「引き上げr……
誰だ!」
SIDE本体ワルド
なっなんてノリノリなんだダッシュよ。
ミス・ジョゼットが涙目じゃないか。
あっパンツ見えた!
ふっふっふ……
でかした、我が遍在よ。
しかし、ズロースかな。
野暮ったいぞ。
あれでは、彼女の魅力が台無しだ!
ツアイツ殿から、ぱんてぃとぶらじゃを貰ってプレゼントするか……
しかし、お前のポージングは素晴らしいな!
私も、あの衣装を着たい……
いかんいかん。
では、颯爽と助けに逝くか!
「待てぇ!
そこのイカした……
いや、イカれた4人組よ」
「「「「なに奴?」」」」
「何だ……
我らを追っていたトリステインの隊長さんか。
4対1だが?
何時もの応援は呼ばないのか?」
クネクネとナイスなポージングじゃないか!
私も後でやりたいぞ。
「黙れ、紳士達よ!
その幼気な美少女から離れろ」
ヨシ!
ポージングばっちり。
ダッシュを真似て、ポージングを披露する。
「そうか……
では痛い目をみな!
全員で袋叩きだぁ!」
「「「うぉー!
恨みは無いが痛い目みなぁ!」」」
ちょ痛い、痛いから!
「ゲフゥ!」
誰だ、本気で蹴るのは?
「ちょ待って……グハァ」
鳩尾に入ったぞ!
ダッシュ、仮面で顔を隠しているのに笑顔なのが分かるのは何故だ。
「ゲフッ、お前ら……
ひっ髭を引っ張るな、オウッ!」
4人掛かりのストンピングでボロボロの本体ワルド……
「…………お前ら、後で覚えていろよ、ガクッ」
やり過ぎたかと、視線で会話するワルドズ。
だが、芝居は続くなければならない。
「ぐっ、しまった!
トリステインの隊長で遊んでいたら、我ら紳士の変態活動時間が……
今日は退くぞ!
小娘よ、良かったな。
このボロ切れのお蔭で命拾いをしたな。
では何れ会おう」
颯爽と、ストレス解消をしたダッシュとワルドABCは、フライで飛んでいった。
その姿は爽やかだったらしい……
「何?何なの?
それに、この人をどうしたら良いの?」
ジョゼットは途方にくれた……
SIDEジョゼット
なっ何の?
私、狙われているの?
でも、助かったの?
このボロボロの人が助けてくれたの?
それに、お兄様……
私をロマリアに売ったのね。
「……ううん」
いけない。
助けてくれた人を放っておいては……
「大丈夫ですか?
しっかりして下さい。
今、人を呼びますから……」
ぼろ雑巾の様な人を揺すってみる。
「人は呼ばないでくれ。
トリステインの魔法衛士隊隊長が、ガリア国内で負傷は……外交的…に……不味いんだ……」
ちょー、いきなり国家間問題を私に押し付けて気を失わないでー!
「私、どうしたら良いのー?」
静かな森にジョゼットの雄叫びが響いた……
誰も応えてはくれなかったが。