ついに学院編に突入します。
これからも宜しくお願いします。
第12話
トリステイン魔法学院
お早う御座います、ツアイツです。
15歳となりヴァリエール公爵夫人の提案通り、今日トリステイン魔法学院に入学しました。
ヴァリエール公爵家とツェルプストー辺境伯とウチの父上との経済交流は順調に進み、我が家に莫大な富と他の貴族からの嫉妬を買ってます。
特に僕はトリステインの有力貴族であるヴァリエール公爵家のルイズと、正式ではないが婚約の噂が知れ渡っている為か、廻りからの視線がイタイデスネー!
多分この学院では、男友達は出来ないかも知れません。
早く自分の荷物を部屋に運び落ち着きたいので、近くに控えているメイドさんに部屋へ案内してもらいますか。
「君、ちょっと良いかな」
「はい。貴族様」
金髪で小柄なツインテールのメイドが、小走りで近づいてきた。
「部屋に案内して欲しいんだけど」
「男子寮にですね。
分かりました。
お荷物お持ちします」
そう言ってトランクを2つ、うんうん言いながら運ぼうとする。
この子大丈夫かな?
「トランクは僕が魔法で運ぶから構わないよ」
レビテーションでカバンを地上から10cm程浮かしてから、彼女に話しかけた。
彼女はビクッとしながら
「大丈夫です!」
と言っていたが、お構いなくトランクを滑らす様に移動しながら先に歩いていく。
「お待ち下さい。
ご案内致します」
彼女の先導で部屋まで案内して貰った。
「こちらのお部屋になります」
とお辞儀をして下がろうとしたので、お礼とチップを多めに渡しておく。
まぁ人気取りと言うかお金を貰って悪い気はしないだろう。
掌に押し付けらる様に渡した。
結構手が荒れてるな……
もう春とは言えまだ水仕事は大変なんだな。
恐縮しているメイドさんに
「有難う。又、宜しく」
と言って、部屋に入る。
結構可愛い娘だったな。
SIDEメイドさん
笑顔でお礼を言われてしまいました。
思わず整われた優しい笑顔に見とれてしまいましたが、顔が赤くなるのを隠す為慌ててお辞儀をして部屋を出ました。
あとで掌を開いて見たら、10エキューも頂いてしまいました。
私たちの1ヶ月のお給金と、そう変わらない金額です。
こんなに頂いて宜しいのでしょうか?
お礼まで言われてしまいましたし、変わった貴族様ですね。
SIDEツアイツ
部屋に入りベッドに転がりながら、これからの事を考える。
さていよいよ原作開始だ。
しかし僕の知っている原作とは大分違っているからな……
どうしようか?
ヴァリエール夫人と決闘して以来、自分なりに随分鍛錬したつもりだ。
あの後、何度となく手合せして貰ったが一度も勝てなかった。
しかし、ヴァリエール夫人から適切なアドバイスと、鬼のような課題をこなしてきた自信は有る。
あの人は本当に戦闘面では優秀だけど、限度を知らないよね。
普通他国の有力貴族の息子を半殺しにする?
しかも3ヶ月に1度位しか直接指導をして貰えないので、課題を出してくれるのだが、とんでもなくハードルが高い!
最初の課題はゴーレム12体を同時制御出来る様にとか、無茶苦茶ですあの人。
次が、そのゴーレムを3体1組で4チームにして同時制御にレベルアップしてるんだ。
出来なければ課題提出の時に、訓練と言う名の体罰を遠慮なく実施するし……
そんな半年でゴーレム制御の達人になんて無理。
何とかクリアしたら次は制御は4体だけれども、大きさを兎に角大きく15m以上を錬金して制御する事。
最後は1体をひたすら大きく硬く素早く制御する事。
この間わずか2年……
何度も死に掛けました。
そして死の淵から戻ると、精神力が強化され何とか課題をクリア。
先日の卒業試験の時は、このシゴキの集大成を見せ付ける為に一番イメージし易い旧ザ○を鋼鉄製で錬金し無駄にモノアイも光らせる小技も見せる。
武器はアックス(ヒートアックスは無理でした)を両手に1本ずつ持たせました。
このアックスはブン投げれば質量とスピードの関係で物凄い威力!
調子に乗って彼女に向かい振り回していたら練兵場が崩壊し、後で徹夜で直させられました。
やはり旧○クでは倒せないのか、トリステインの白い悪魔は!
そして、2年間のシゴキを終えてヴァリエール夫人にお礼を言って最後の試験の総評を聞いたのですが……
今のレベルなら、当時のマンティアコア隊の新人程度の力量だとお墨付きを貰った。
それとヴァリエール3姉妹の誰でも貰って良いと言われたが、土下座して丁重に辞退しました。
ハルケギニアに土下座文化は無かったのだろうが、何とも申し訳ない気持ちになったらしく「保留」にしてくれた。
それと真剣な顔で、
「貴方の体捌や武術は並みなので極力、接近戦で戦わないで済む技術を教え込みました。
当初見せてくれた昆虫型ゴーレムやブーメランを今使えば、制御も威力も桁違いに成っているでしょう。
アウトレンジで戦えば、大抵の敵に遅れを取る事もないでしょうが接近されたら難しい。
その事を肝に銘じて精進なさい」
僕は感謝の言葉を述べて帰りましたが
「感謝するならエレオノールでも貰ってくれれば良いのに……」
と言う言葉が聞こえた。
先日、何度目かの破談を向かえ、今は実家でリフレッシュ休暇中らしいです。
あの時のエレオノール様は年下趣味では無かったが何度か話した時に
「不思議と同年代と話しているみたい」
と微笑んでくれましたが、当たり前です。
精神年齢は年上なのですから。
とは言えず、笑って誤魔化したけど。
まさか狙ってる?
……ガクガクブルブル。
でもエーファと同世代だから守備範囲だけどね。
性格と乳を何とかしたら。
身近で接してみれば、けして悪い人ではないんだけど、あの緊張感を毎日続けるのは神経が擦り切れて無理だと思う。
でも近くで見ると、知的で綺麗な人なんだけどね。
勿体無いね。
勇者の出現を待ちましょう。
はっ!
走馬灯のような地獄の訓練を思い出していたら時間がたち過ぎて入学式に遅刻しました。
最後に会場に駆け込んだ僕は目立ってしまったのか、何人かの視線と陰口が聞こえた。
「あれが烈風のカリンの後継者か」
違います唯の弟子です。
「いやヴァリエール公爵夫人の若いツバメらしいぞ」
うん。
こいつ叩きのめす。
「わざわざトリステインまで金儲けにきてる貴族らしくない奴だろ」
貴族なら領地経営くらい黒字にしろって。
「あの御方が伝説の巨乳の担い手なのですよね。
お話を聞きたいわ」
ヴァリエール公爵、口止めしてくれたんですよね?
適当に先生達の話を聞いてる振りをしていたが、まぁ噂話が絶えない事。
これからの学園生活が思いやられるわ。
学院長のボケはスルーしてそのまま講堂を出ると、両方からキュルケとルイズが抱きついてきた。
一瞬で周囲の温度が5℃位下がる。
キュルケは原作ほど色恋に激しくなく露出度も低いが、オリエンタルちっくな色っぽさが有り体型は原作基準のナイスバディの美女に!
ルイズは、身長は原作通り小さいけど、メリハリの有る体型の可憐な美少女になっていた。
両極端の美女・美少女に同時に迫られれは嫉妬も凄いよな。
二人とも大貴族の娘だって事も考えれば、当たり前か。
「二人とも、周りが見ているから離れてくれない?」
「あら見せ付ければ良いじゃないツアイツ」
「周りなんで気にする必要ないわよツアイツ」
何気に、この二人は仲良くなってます。
ライバル心は相変わらずだけど、両実家が融和政策中なので原作程酷くはない。
しかも二人ともこの学院生活中に、僕を落とす様に言い含められてるみたいなんだよな。
勿体無いけど、サイトに惹かれる様に誘導するしかないのかな?
もう原作通りには進まないだろう。
ヒーローはサイトで良いが、ヒロインからシエスタ・キュルケ・ルイズを抜かなくてはならない。
ヒロイン候補はアンリエッタとティファニアにして、どうやってサイトと絡めていくかだよな。
他国の王女と引き篭もりのハーフエルフなんて接点なんてないし、ルイズもアンリエッタにそこまで傾倒していない。
今晩にでも久しぶりに脳内会議を開催するか……
なんて現実逃避をしている間に、某宇宙人の様に両手を掴まれ教室まで連行されていった。
今後彼女達とは教室も3人で並んで座り、食事も同様な席順で休み時間も殆ど3人で1組状態になるだろう。
しかし教室に入って3人で並んで座ると周りの連中から、各々の思惑が有るんだろう何とか接触をしようと思っているのが解るんだよなー。
チラチラ様子を伺っているの丸解りだしね。
そして先生が入ってくる。
コッパゲール先生……
いやコルベール先生ですね。
最初の授業は当然、自己紹介となり前の席から準じ右から左へと紹介していった。
僕らは後ろの方に座っていたので最後に近い順番だ。
あー原作キャラが続々紹介してるよ。
小太りマルコリヌ?マルッコリヌ?
金髪ロールのお嬢様モンモン。
気障と言うか、半露出な位にボタンを開いてるギーシュ。
その他のモブ達だが、女子は結構美人さんが多い。
流石は貴族様って事か。
そしてルイズの番だが、公爵家令嬢は伊達じゃないね。
見事に男子諸君が喰いついてます。
優雅に一礼して席に戻る。
次は僕か……
と立ち上ると周りがザワザワしてきた。
「ツアイツ・フォン・ハーナウです。
ゲルマニアから留学してきました。宜しく」
と味も素っ気なく挨拶し席に戻った。
最後にキュルケの番だ。
こちらも堂に行った態度で控えめだが溢れる色気で、ルイズより男子諸君が喰いついてますね。
確かに原作より落ち着いているが、同世代では有り得ないお色気だからね。
なんて考えていたら爆弾を投下された。
「先に自己紹介したツアイツとは婚約しているの。
ヴァリエールも含めて、横取りは許さないからね」