第138話
今晩は!
ツアイツです。
夕飯は大食堂にて大勢で食べています!
僕の為にわざわざ来てくれた、カステルモール殿以下イザベラ隊員30人&エルザ殿とワルドズ他と……
しかし、流石は魔法!
金に糸目を付けない高価な水の秘薬をふんだんに使用した為、一晩で随分回復しました。
でも、左腕は細かい動きなど出来ない訳ですから……
「旦那様、あーん!」
まぁテファに食べさせて貰ってます。
向かい側でも
「お兄ちゃん、あーん!」
此方は、エルザ殿が食べさせて貰ってますが……
微笑ましい光景です。
イザベラ隊員は、ツンデレに特化した性癖軍団。
巨乳やロリっ子とイチャついても不平は出ません。
しかし、早く回復して共にガリアへ行こう!
的なオーラをヒシヒシと感じます。
「エルザ殿、幸せですか?」
ベタベタな口元をカステルモール殿にハンカチで拭いて貰っているエルザ殿に話し掛ける。
「うん!幸せだよ。
でもお兄ちゃんが元気無いから、早く何とかして欲しいかも」
ああ……
幼女にまで笑顔で、早くガリアへ行けって言われてしまったよ。
「ちょっと用事を済ませたらね。
でないと、大変だから……」
「レコンキスタですか!
我らが潰すつもりですからご安心を」
見渡せば、イザベラ隊員の皆さんも頷いている。
「いや、あくまでも対決は王党派でないと駄目です。
しかし、応援の段取りをしていますから……」
「我らはイザベラ様より謹慎を言われてますから……
つまり自由行動可ですね。
よって参戦希望です」
キラリと歯を輝かせ、爽やかに言う漢達。
フリーダム過ぎる連中だ!
「それはイザベラ姫の立場も有りますから……
我らゲルマニアも参戦を考えています。
ツェルプストー辺境伯にお願いして閣下に提案を……
はい、旦那様。あーん!
ってテファ、今は大切な話の途中……
はい、あーん!」
テファのあーん攻撃に膝を屈する。
「今は食べて回復するのが、一番の仕事です!
それに怪我人をお出掛けさせません」
久し振りに、腰に手を当ててプンプンって怒られてしまった……
「いや、大切な事だから……
それに体は大丈夫d」
「駄目です!」
カステルモール殿も観念したのか
「……今は食事に専念しましょう」
「はい、旦那様あーん!」
と、黙々と食事を続けた。
食事を終え、イザベラ隊の皆さんは書斎に案内して全巻揃った男の浪漫本を読んで貰っています。
それと……
販売出来ない一点物のアレ……
「2人はマジカルプリンセス!禁断の従姉妹姫・第一章」
を秘密で見せてます。
物凄い盛り上がりですね!
またイザベラ様に叱られそうだ……
そしてカステルモール殿とエルザ殿には、別室でワルドズを交えた相談に参加して貰います。
自室に招待し、紅茶を用意……
は、ダッシュ殿が煎れてくれました。
何故か手際が良いのですが?
素早く、人数分のカップに紅茶を注いでいく。
「改めて、初めまして!
エルザ殿。
ツアイツ・フォン・ハーナウです。
カステルモール殿の友人ですよ」
ソファーの向かいでカステルモール殿の膝の上に座っているエルザ殿に、改めて自己紹介する。
「初めまして!
エルザだよ。
そして、何故私の秘密を知ってるのかな?
それに、私に何をさせたいのかな?」
最初の挨拶は、微笑ましい幼女のソレだったが、後半の質問は……
実年齢相応の感じだ。
「貴女が吸血鬼だと知ったのは偶然ですよ。
しかも、カステルモール殿から聞く迄は居場所は知らなかったし……
何をさせたいか?
それは、カステルモール殿と幸せになって欲しい」
きょとんとした顔のエルザ殿……
「分からないわ。
貴方に何の得が有るの?」
アレ?
疑われてるのかな?
「カステルモール殿は特殊な性癖ですし、彼は友達ですからね。
貴女となら幸せになれると思ったからです。
勿論、年を取り難い貴女のフォローもする予定です」
彼女は、両手でホッペタを広げてキバを見せた!
「私は吸血鬼!
ハルケギニアでは最悪の妖魔扱いの化け物なのよ」
「はぁ……
随分と可愛い化け物ですね!
ねぇワルド殿、ダッシュ殿?」
別に敵対しなければ構わないし、彼らが幸せなら他の連中が騒いでも知らない。
「「カステルモール殿!
双子の月の隠れる夜には注意しろよ!
未亡人のエルザ殿は幸せにするから、私が!」」
2人で闇討ちする気ですか?
「ね!
僕達は、吸血鬼とか種族なんて気にしないよ。
そんなのは些細な事だから……
ただ、ワルドズはカステルモール殿を闇討ちする気満々かな?」
エルザ殿はガックリとうずくまった……
「カステルモールお兄ちゃんも普通じゃないと思ったけど、ツアイツ様も大概だね。
エルザ、話してて疲れたよ」
取り敢えず警戒は解いてくれたかな?
「僕らは普通とは……
ハルケギニアの中では一般人とは、感性が違うのかも知れない。
でも仲間を思いやる気持ちは同じだよ。
エルザ殿が、我々に危害を加えなければ守ってみせるよ。
だって僕達は、もう仲間だよね」
ニカっと笑いかける。
「ツアイツ殿、有難う御座います。
彼女をエルザを受け入れてくれて……
そして、ワルドズ!
エルザに手を出したら承知しないぞ!」
「「はははははっ!
勿論冗談さ。
しかし、事故は防げないかもしれないな」」
エルザ殿は呆れ顔で3人を見つめる。
「こんなに軽く扱われたの初めてよ!
全く吸血鬼なのに怖くないのかな?」
「こんなに可愛い妖魔なら大歓迎さ!
僕らは本当の怪物を知っているから……」
アレな烈風な人とか、ヤンがデレてる人とか。
「「「彼女らに比べたら可愛い物だよね!」」」
「何と比較されたのか、気になるー!」
ほのぼのと時間が過ぎていく……
「さて、これからの事ですが……」
ここからは真面目モードだ。
「明日にはツェルプストー辺境伯が我が家に来る筈です。
閣下の件を相談したら、僕はガリアに行きます。
その後はアルビオンの王党派と合流したいのですが……」
「有難う御座います。
ツアイツ殿が来てくれればイザベラ姫も一発で元気になりますよ!」
確かに一度会って色々相談したい。
それは、ミス・ジョゼットの事も含めて。
「此方で足の速い船を用意しますから。
それで、今回はブリュンヒルデはどうしたのです?」
彼の逞しく美しい使い魔を思い出す。
「今回は国境近くで留守番させてますよ」
このガリア王国行きは、僕の未来設計に大きな影響を及ぼす事となる……