何時もこの拙い妄想小説を読んで頂き有難う御座います。
この回から、ルート別エンドに入ります。
先ずはトリステイン王国編です。
我らが暴走特急、アンリエッタ姫が活躍しますが……
ハッピーとおまけバッドエンドが有ります。
その後に、ガリア王国ルートに。
こちらは、イザベラ姫がメインとなりハッピーエンドとなります。
トリステイン王国編は6話+おまけ1話
ガリア王国編は20話+αで考えています。
ガリア王国編の次は、ロマリア編にしようか単発形式でキャラ別に挿話を入れようか悩んでいます……
トリステイン編アンリエッタルート第1話
トリステイン王家、稀代の大謀略家アンリエッタ・ド・トリステイン。
連綿と続く腐敗体制を一掃した若き王女!
腐敗貴族を粛清した女傑!
そして見目麗しい巨乳姫。
人々の噂とは、伝播が早い。
それが待ち望んでいた物だけに尾ひれが付きまくった怪しい物も数々有る。
烈風のカリンを従えて、バッサバッサと売国奴たちを薙ぎ倒す。
リッシュモンやゴンドランを水の魔法で吹き飛ばして決め台詞を言う。
あの清楚で美しくメリハリのあるボディだが、一度怒れば片手で裏切り者をくびり殺す……
途中から、烈風のカリンと混ざった様な怪物になっている?
概ね、好意的な噂だ。
実際に捕まった奴らの領地は王家直轄となり、税率も正常に戻された。
国民の期待は高まるばかり……
そして翌日に発表された、始祖の血を引く聖なる王家の一つ。
アルビオン王国を救う為に、ブリミル教の司教。
オリヴァー・クロムウェルを討つ!
もはや、トリステイン王国の酒場では昼間から人々が彼女を称え飲み明かしている。
トリステイン王国は今、時代の転換期を迎えていた。
トリスタニア王宮のアンリエッタ姫政務室で、マザリーニ枢機卿とアンリエッタ姫が向かい合っている。
「アンリエッタ姫……
今回の件、私は聞いていませんでした。
ご説明願います」
幼い頃から、このポヤポヤした姫の面倒を見ていたのだ。
悪いが、アンリエッタ姫に出来る事を超えている。
ヴァリエール一族が絡んでいるのは明白。
あの時、動いたのはヴァリエール公爵夫妻、ド・モンモランシ伯爵、グラモン元帥とその一門。
グリフォン・マンティコア両隊と銃士隊……
有力貴族のほぼ4割近い勢力を纏め上げた手腕は、ヴァリエール公爵とて無理だろう。
考えられるのは……
あの男しか居ない。
しかし、厳しく監視をしていたので頻繁に連絡を取り合った形跡も無い。
本人も怪我で療養中と聞いている。
しかし、何か見落としが有るのだろう……
「アンリエッタ姫、答えては頂けませぬか?」
詰問調になるが、トリステイン王国の行く末を担う事件だ。
「愛……
無償の愛故に……
嗚呼、私はどの様にご恩を返したら良いのでしょうか?」
「…………?
誰が誰にでしょうか?」
「うふふふっ。
ウェールズ様に向ける愛。
私に向けてくれるツアイツ様の愛。
私はどちらの愛にも応えたいのです」
駄目だ、この姫は妖しい秘薬でもキメてるのか?
「アンリエッタ姫。
この国の為に、マトモにお答え下さい!
アルビオン王党派に援軍を送るのは、クロムウェル司教に……
ブリミル教に、ひいてはロマリアとの関係悪化を引き起こすn」
アンリエッタ姫が、やっと此方を見てくれたが……
「お黙りなさい!
レコンキスタは、始祖の血を引く我らに敵対したのですよ。
それが、ロマリアの司教で有り教皇が正式なコメントをしないと言うなら……
影で手を貸しているのはロマリアなのでしょう。
私は、私の幸せの為に彼らを討つのです。
マザリーニ枢機卿……
貴方はどちらの味方なのでしょうか?」
くっ……
言われた事は正論だ!
何故、教皇はクロムウェル司教を破門しないのだ?
確かに王家に刃向かうなど、有ってはならない事。
しかし、同時にブリミル教に戦を仕掛けるなど……
「せめて、使者をお出しになりクロムウェル司教の真意を問い質してm」
「お黙りなさい!
クロムウェル司教の真意など……
美乳教を広めたいのでしょう?
その様な怪しげな教義など、ウェールズ様に必要無いのですわ。
準備が出来次第、私もアルビオン大陸に向かいます。
宜しいですね?」
くっ……
言っている事は間違いではないので言い返せない。
「せめて私も同行します」
それを言うのが精一杯だった。
SIDEヴァリエール公爵
「上手く行き過ぎた感が有るが、問題無いだろう。
これで、トリステイン王国が有利にアルビオン王党派と交渉出来る下地が出来た!」
ヴァリエール公爵が、見渡す面々は……
カリーヌ、ド・モンモランシ伯爵、グラモン元帥、ワルド隊長(政務担当遍在)それにド・ゼッサール隊長の6人だ。
「あなた、私も増援には同行します。
アンリエッタ姫が了承した。
つまりはトリステイン王国の方針が、レコンキスタ討伐。
私が本気で潰しに行ける条件は揃いました」
目を輝かせている愛妻を見て思う。
この最終兵器扱いの妻が全力を出せるのは、建て前が必要なのだ。
今回は国が認めたのだ。
思う様、環境破壊をしても問題視されないからな……
「カリーヌよ。
よそ様の国だからな。
アルビオン大陸までは壊さないでくれ……」
夫として、庇い切れぬ暴挙だけは止めておく。
「それで、タルブ村の前線基地化は順調だが……
あと5日は掛かるぞ。
兵士の召集はそれから2日以降だろう」
流石はグラモン元帥。
軍を動かすには、時間が掛かる。
しかし一週間で、ある程度格好がつく位の兵力は揃える事が出来る。
「先発として、我らとグリフォン隊で攪乱するか?」
ある理由により、この戦争で活躍するだけ特別なご褒美の有るド・ゼッサール隊長はやる気満々だ!
「構わんぞ。
先に空中戦力を叩いておくか?
どの道、最後は歩兵が居なければ奴らを殲滅出来ないからな。
船の安全を確保しよう」
ワルド(政務担当遍在)隊長が追従する。
「確かに一理有る。
それとレコンキスタの戦力を此方に向けるにも良い作戦だな。
二方面展開にすれば、奴らの戦力を分断出来るし」
ヴァリエール公爵は、内心では妻が単騎突入して無双すれば片が付くと思っている。
しかし、勝つ方法も考えなければならない。
妻が1人勝ちすれば、王党派は妻にだけ感謝すれば良い。
もっと、トリステインと言う国の機関が協力したんだ!
そうしなければならない。
そう考えると、ガリアにはシェフィールドが。
トリステインにはカリンと言う人型最終決戦兵器を抱えているだけ恵まれているのだろう……
「ツアイツ殿、いや義息子よ。
アンリエッタ姫は暴走したが何とかなりそうだ。
其方も順調か?」
この会議の報告をツアイツに送り、足並みを揃えておこう。
長かった今回の作戦だが、漸く此処まで漕ぎ着けた!
成功すれば、カトレアの治療もして貰える。
気を抜かず一気に攻め滅ぼしてやる。
ヴァリエール公爵は、本作最初で最後の熱血をしていた!