第165話
楽しい両用艦隊大型戦艦の旅……
現在イザベラ様が、僕の部屋を訪ねて下さいました。
ええ、お察しの通り今朝も添い寝しています。
お姉ちゃんと……
腕を組んでイザベラ様が、吐き捨てましたよ。
「ツアイツ?
幾ら仲の良い姉弟でもさ。
もう年頃なんだし、駄目だと思うんだよ。
それとも何かい?
その年で独り寝は出来ないのかい?」
お姉ちゃんは、クスクス笑いながら部屋を出て行くし。
手掛けに、イザベラ様の肩をポンと叩いて……
大人の女の余裕なのか?
「えっと……その……
すみませんでした」
東方仕込みと噂される土下座を敢行する。
「まぁ程々にしな!
我慢が出来ない位、添い寝したい訳じゃないんだろ?
そんなにしたけりゃ私がしてやるよ」
冗談ですよね?
それに添い寝癖は、もうないのですが……
「ほら、身嗜みを整えたら朝食を食べに食堂へ行くよ!」
良かった。
そんなに怒ってないみたいだ……
「治療をしますので、先に行って下さi」
「手伝うよ。
ほら、早く脱ぎなよ」
真っ赤になって、手伝いを申し出てくれましたが……
ここは、お任せしよう!
見せ付ける様に上着を脱いで包帯を外す。
嗚呼、癖になりそうな快感……
傷の方は、大分良い感じに治ってる。
この様子だと、もう少し……
あと一週間位で完治するかな。
流石に高価な水の秘薬だ!
お見舞いでくれた人には、お礼をしないとね。
治療だが、イザベラ様に精神力の消耗をさせる訳にはいかない。
水の秘薬を使い自分で治療していく……
イザベラ様は、ほーとか、へーとか、関心してる。
何が良かったのかな?
包帯は不器用ながらも巻いてくれました。
治療を終え、イザベラ様を伴い食堂へ行く。
皆が行儀よく待っている。
軍属とは言え貴族が多く、ガリアの女王が居るのだ。
待たせてしまい悪い事をしたかな?
彼女が席に付いてから、厳かに食事が始まる……
イザベラ様もお姉ちゃんもマナーは完璧だ。
この場では、アーン攻撃も無いだろう。
粛々と食事を終え、歓談の時間に移る。
「イザベラ様、アルビオン大陸が見えるのは明朝になります。
上陸先はサウスゴータで宜しいのでしょうか?」
「南方から侵入し、サウスゴータ近く迄着いたら先ふれを出す。
その前にレコンキスタと出会ったら……
問答無用で潰すよ」
何とも頼りがいの有るお方だ。
この戦力。
現代なら原子力空母が小国の内乱にチョッカイを掛ける事と同じかな?
「先ふれ……
問題無ければ私が同行しましょう。
ウェールズ皇太子にも面識が有りますし、いきなりガリア勢が行くよりは刺激しないですし……」
彼らも、こんな大型戦艦が増援とは思うまい。
「では私の相棒、ブリュンヒルデで送りましょう!
何、2人を乗せても十分な速度をだせるし……
なにより、我が相棒がツアイツ殿を気に入ってる。
他の竜には乗せられない」
確かに、ブリュンヒルデなら頼もしい。
「ツアイツ?
全く無茶ばかり……
でも、アルビオン王党派には連絡して有るんだろ?
なら平気だね」
イザベラ様が、決定すれば皆が従う……
「明日からは忙しくなるね。
皆、今日は交代で良く休んどくれ!
最悪、明日から戦闘になるからね」
「「「サーイエッサー!」」」
見事な敬礼を披露し、周りに散っていく。
本職は見事だな……
「ツアイツ、これからの事を打合せするよ。
後で部屋に来なよ」
そう言って先にイザベラ様は出て行った。
カステルモール殿が近付いてくる。
妙にニコニコしているが……
「ツアイツ殿、イザベラ様とは上手く行ってますか?」
ニヤニヤに表情を変えて聞いてくる。
「上手くもなにも……
全く、何を期待してるのですか?」
「いえいえ……
あんなに楽しそうなイザベラ様は初めて見ますから。
上手くいっているんだなと……
では、明日まではゆっくり休んで下さい」
そう意味深に言って去っていった。
ポツンと食堂に残ったのだが、非番らしき乗組員達に声を掛けられた。
彼らは、このガリアの両用艦隊の乗組員達はツンデレでロリコンでは無かった。
どちらかと言えば、格好良いお姉さん系?
ルーツイアやヘルミーネさんに人気が集まっている。
彼らの持ち寄るフィギュアや男の浪漫本にサインをしていると結構な時間が掛かった。
「ツアイツ殿、ヴィレール少尉です。
お見知りおきを」
最後に案内係の筈の人が来た……
イザベラ様がべったりだから彼の出番は無かったんだけどね。
「ああ、宜しくお願いします」
「ツアイツ殿は、何故あの様な素晴らしい女神像やフィギュアが作れるのですか?」
女神像?
クラヴィル殿に渡したアレの事かな……
「もしかして、赤毛の三姉妹の女神像?」
「そうです!
私は特にリーケ嬢が……
海と空の女神は気紛れだ!
彼女の様に……」
何だろう?
この逝ってしまった表情の青年は……
「彼女は実物も不思議ちゃんですよ。
今度新しいシリーズも販売を開始しますし……」
「ええ、知ってます。
彼女には手紙で求愛しましたが、未開封で送り返されました……」
確かに求婚が凄くなったけど、皆断ってるって言っていたな。
「彼女達は今、仕事が楽しいから結婚はしないとか言ってましたから……
残念ですが、難しいかと」
何か涙をながしてブツブツいってるし。
凄い落ち込みようのヴィレール殿の前に、即興でフィギュアを錬金する。
サービスでスク水バージョンの逸品を!
「これで元気を出して下さいね。
では失礼します……」
漢には1人になりたい時が有るはずだ。
食堂を出る時に、振り返って見れば……
ペロペロとフィギュアを舐めていた。
「アレか?
舐めるだけで幸せって奴か……」
無言で食堂を後にする。
ガリアにも立派な紳士の素養を持った漢達が沢山いるんだな。
ロリっ子エルザシリーズが発売されたら、今度はツェルプストー三姉妹の新しいフィギュアを考えよう。
ガリア国内に大々的に売り出すか……
でもガリアの販路はマダマダ不足気味なんだよな。
そうだ!
イザベラ様に相談してみよう。