あけましておめでとうございます。
何時もこの変態小説を読んで頂き有難う御座います。
6月17日から連載開始をして早くも半年が過ぎました。
この作品もやっと終わりが見えてきました。
それでもガリア編は30話を超えそうですが……
では今年も宜しくお願いします!
挿話28話ハルケギニアのお正月
おはようございます。
ツアイツ、五歳です。
先日こちらの世界で初めてのクリスマスプレゼントの交換をしました。
そして、次のイベントは大晦日と正月……
しかしコレは難しい。
除夜の鐘……は無理。
そもそもブリミル神殿に鐘が有るかも解らない。
おせち料理も食材や調理方法が違うし餅米も無いし……
初詣?
ブリミル神殿に?
嫌ですよ、そんなの。
後は、年末年始のイベントって何だろう?
現世のヨーロッパ圏では、正月よりもクリスマスの方が盛大だった。
クリスマス休暇を取ってお祝いをしていた。
逆に年末年始は大晦日に正装して豪華なディナーを食べて日付変更と共に協会で鐘を鳴らし、シャンパンで乾杯する。
皆で新年を喜び騒ぐ……
そこに厳粛な宗教観や神聖な気持ちは薄い。
そして2日からは、普通に働きに行く……
中華圏と日本くらいだろうか?
年末年始に行事が山盛りだし、お寺や神社にお参りに行くのは……
ではハルケギニアはどうなのか?
意識が覚醒する前の曖昧な記憶では、特に行事らしき事はしていない。
まぁ幼児だったし、有ったとしても参加してないかもしれないんだが……
なので、父上に聞いてみる事にする。
お付きのエーファに、父上に会いたいから案内してくれる様に頼む。
エーファに手を繋いで貰い屋敷の廊下をテポテポと歩く。
結構な距離が有り、また子供の体力故か……
つまり疲れる。
「ツアイツ様、抱っこしましょうか?」
ヨタヨタと歩く僕を見かねて、いや気遣ってくれる。
現在身長109センチ、体重18.6キロ
成長期真っ盛りだが、ひ弱の一言だ!
しかし変なプライドが、メイドさん抱っこを拒む。
添い寝は大好きなのだが……
「平気だよ!」
ニコニコと手を振りまわし、大丈夫だよアピールをする。
「そうですか、でもゆっくり行きましょうね」
そう言って子供の歩調に合わせて、更にゆっくりと歩いてくれる。
気遣いの出来る優しい娘さんです。
暫くテポテポと歩いて、漸く着いた。
「サムエル愛の資料館」の前に……
※この部屋の正式な名前は後日知った。
この時点では文字は余り読めなかった。
「エーファ、ここ父上の書斎と違うよ?
何故か嫌な感じがするよ」
ギュッとエーファの手を握り締める。
「旦那様はお休みの時は、大抵此方にお籠もりになられます……」
何故か能面の様な表情の彼女……
では、ってノックしようとするエーファを止める。
「エーファ、何か入ったら駄目人間になる気がするよ。
僕ここに入るの嫌だよ。
母上の所に行こう」
折角連れて来て貰ったが、嫌な予感がヒシヒシとするので父上に会うのは諦めた……
ホッとした表情になり
「アデーレ様でしたら、庭にいらっしゃいます。
では行きましょうか」
そう言って、また手を繋ぎながら庭に向かう。
どうやらあの部屋は彼女も嫌みたいだ……
庭に出ると東屋に設えたテーブルセットに母上が居ました。
レースの編み物をしていますが、とても二十代前半には見えない。
まだ十代半ばだろう、華奢で儚げな外見の母上。
我が父上は明らかにロリコンでペッタンコ好きだ!
しかも重度の……
豊かなおっぱいが好きな僕とは、何時か袂を分かつかも知れない。
どんな世界でも父親とは最初の目標で有り、乗り越えなくてはならない壁だ!
でも美少女の母上は大好きだ。
「ははうえー!」
エーファの手を離し、母上に向かって走り出す。
自分を呼ぶ声に気が付いたのか、立ち上がって両手を広げ僕を抱き締めようとしてくれる……
その腕の中へ飛び込んだ!
母は強しか?
自分の体重の半分近い僕を抱き上げてくれる。
「ツアイツ、どうしたのかしら?」
優しい母上は大好きだ。
血の繋がりを感じるのか、五歳迄の記憶の為か?
純粋に母親としての愛情を感じている。
「母上に聞きたい事が有るのです」
膝の上に座らせて貰い、見上げる様に質問する。
「明日から新しい年になります。
何か新年のお祝い事とかはするのですか?」
母上は不思議な顔をして
「ツアイツ?
新年のお祝いって難しい事を知ってるのね。
そうね、お祝いと言うかその年の最後の日のディナーが豪華になるわよ。
つまり今日ね。
後はシャンパンで新年をお祝いするけど、ツアイツにはまだ早いわ。
夜更かしはさせられないから、早く寝るのよ?
そうだわ!
今夜は久し振りに私と寝ましょうね……」
頭をナデナデして、説明してくれた。
何だ、現世とそんなに変わらないのか……
そして、その日のディナーは豪華でした!
目は沢山食べたいのに、子供の胃袋はタカが知れてます……
直ぐにお腹一杯になってしまいました。
「うーもう食べれません……」
ナイフとフォークを置いてリタイア宣言。
お腹が一杯になると眠くなります……
目を擦って眠気を我慢していると
「アデーレ、今夜はムフフフフ……」
「あらアナタ、今夜はツアイツと一緒に寝ますわ」
「なっ何だってー?
そんな、今夜のニャンニャンは……」
「嫌ですわアナタ、ツアイツの前で……」
父上と母上が大人の会話をしています!
最後は肘を父上の鳩尾に打ち込んで説得。
僕を抱きかかえて食堂を出て行った。
後ろからは男泣きの父上の呻き声が……
「ツアイツ、覚えてろよ……」
不穏なセリフも聞こえましたが、きっと近い内に妹か弟が出来るかも知れません。
僕が歯を磨いて寝間着に着替えさせて貰っていると、母上はお肌の手入れをしていた。
流石は水メイジ!
きっと美容液みたいな水の秘薬なんでしょうか?
「ツアイツ、いらっしゃい」
母上がベッドに横になり、布団をはだけて呼んでくれた。
「ははうえー!」
寝間着姿の母上に襲い……
いえ、子供らしく元気よく抱き付いた。
母上は良い匂いがします。
「おやすみ、ツアイツ」
ゆっくりと眠気が襲ってきました……
「ははうえ、おやすみなさい」
もう瞼が重いです。
折角、母上が皆と新年を祝うのをやめて一緒に寝てくれるのだから、何かお話しようと思っても……
もう、眠い……から……
母上が背中を撫でてくれる感触を楽しみながら寝てしまいました。
まだ周りが真っ暗なウチに目が覚めました。
何時位だろう?
微かに外から使用人達の話し声が聞こえる。
そろそろ夜が明ける頃かな?
「そうだ!
初日の出を見れるかな?」
母上を起こさない様に、そおっとベッドを降りて窓際へ。
近くの椅子を台にして窓のカーテンを開けてみる。
丁度、遥か先の山脈から朝日が差し込む所だ!
初日の出に向かい手を合わせる。
ハルケギニアに来てから、初めて正月らしい事が出来た。
暫く日の出を堪能する。
「ツアイツ、おはよう。
何を朝日に手を合わせていたのかしら?」
母上がガウンを羽織りながら近付いてくる。
声を掛けられ、現実に戻されたせいか寒さを感じて身震いする。
そんな僕を母上は抱き上げてくれた。
「初日の出に拝んでいたの」
母上は首を傾げて
「初日の出?
そうね、今年初めての日の出ね。
何で拝んでいたの?」
現世のイベントだからとは言えないよね。
「一年で初めての日の出だから、拝んだらお願いを聞いてくれそうだから……」
あらあら、偉いわね!
そう言って頭を撫でてくれた。
「何をお願いしたのかしら?」
まだ早いからとベッドに運んでくれる母上に
「家族がずっと幸せに暮らせる様にって……」
そう言って、母上の首筋に顔を埋める。
新しい二度目の家族。
この変態だけど頼りになる父上。
優しく綺麗な母上。
この両親となら、二度目の人生も幸せになれるだろう。
「そうね。
幸せになりましょうね。
そうそう!
今度、私のお友達の娘さんが会いたがっているの。
同い年の可愛い娘よ」
早速、御利益が!
「それは楽しみだな。
その娘と仲良くなれるかな?」
しかし、それは初めての原作キャラとの会合だった。