第171話
遂にレコンキスタとの直接対決だ!
トリステイン王国軍が、ダータルネスを占領しサウスゴータに向けて進軍と同時に此方も作戦開始。
極力、傭兵共々一網打尽にする。
敗軍の傭兵など、何をするかも分からないから……
おはようございます。
ツアイツです!
昨夜の歓迎の宴は大変でした。
暫くレコンキスタ軍と睨み合い緊張を強いられていた皆さんに、明るい話題を提供した為か……
羽目を外して騒ぎ捲る事!
何人もの連中が二日酔いでのた打ち回っているでしょう。
僕は傷に響くから!
と、イザベラ様が頑として酒を呑ませてくれなかったので平気ですが……
イザベラ様も呑んでいなかったな。
あんなにお酒が好きだったのに?
不思議に思って聞いたけど教えてくれなかった。
後でメイドさんから、僕の怪我が完治するまで禁酒していると聞いて驚いたんだ。
怪我が完治したら一緒に呑みましょう!
と誘っておきました。
「アレだよ!
アイスワイン、アレが呑みたいね」
無邪気に喜ぶ彼女のご希望はアイスワインか……
極上品を仕入れておこう。
翌日、中庭には人が溢れていた。
既に僕らが来た事は広まっている。
ウェールズ殿が、戦意高揚に一発演説をカマそう!
そんな発案で始まったこの演説ですが……
僕の予想以上にアイドルイザベラは凄かった。
民衆の一角に異様な一団が……
ハッピ?ハチマキ?
公式ファンクラブは黒色のマントで統一していたが、彼らは原色だ。
最初にウェールズ殿が演説をする。
流石に慣れてるなー!
「諸君!
遂に、遂に我らの反攻作戦が始まる。
これにより長かった、この戦いも終わるだろう。
勿論、勝のは我々だ!
もはやレコンキスタなと風前の灯火……
彼らに未来などは無い!
そして、更に我らの勝ちを決定的にする者。
なんと我が心の友が、この戦場に来てくれた!
彼は、ガリアからも有志を募りゲルマニアからの援軍も約束してくれた。
だが我々は、未だに彼の期待に答えていない。
何故だ?
それは戦えば勝つのは分かっていたが民の犠牲が大きかったからだ!
しかし、今は違う。
何の憂いもなく、レコンキスタに正義の鉄槌を下すのだ!」
「「「うぉー!」」」
民衆は爆発した。
誰も、この勝利を疑っていないのが分かる。
次は僕か……
この演説の後は嫌だなぁ……
ウェールズ殿が僕を手招きする。
壇上に進んでいく。
昔、この光景を夢で見た。
あの時は、どこぞの皇帝張りにオッパイについて語ったが……
今回は真面目に行こう。
皆が僕を見詰めている。
深呼吸をしてから話し掛ける。「貴方達、アルビオンの軍は、このアルビオン大陸と其処に生活する人々を守る為に存在している。しかし従来の軍とは、勝利を最大の目標として敵を倒せるならば……
本来守るべき人々に危害を加えても構わないという。
なんて本末転倒な話だ。
しかし貴方達は違う!
今回の戦争とは……
オリヴァー・クロムウエルの、1人のブリミル教の司教が起こした全く迷惑な争いだ!
住む街を奪われ、家を壊され、大切な人を失った方も居るかもしれません。
だからこそ、思って欲しい。
彼らは何故、その命を散らさなければならなかったのか?
見据えて欲しい。
此処に集まる我々が、今何と立ち向かうべきなのか?
この戦いは地位や名誉の為の戦いでも有るでしょう!
しかし私は言いたい。
このアルビオン大陸に生きる人々を。愛する者を守るため。
皆の力を一つに纏めて、レコンキスタに挑む皆の戦いです。
立ちはだかるのは、五万の敵です。
それでも、この国を守る為に、立ち上がった皆さんには心より感謝しています。
しかし戦いは苛烈を極めるでしょう。
戦えない人達は、いつか必ずこのアルビオン大陸の上で会いましょう!」
話し終えて、皆を見渡す。
やべっオッパイ教祖らしからぬ演説で外したかな?
其処へスッとイザベラ様が僕の隣に並び、腕を組んで民衆に話し掛ける。
「ツアイツが、このオッパイ大好きの変態が難しい事を言ったけどね。
彼はアンタ等の事を凄いと言っていた。
民衆を大切にする軍隊。
女性に優しい国民。
王家だって従来なら有り得ない対応だよ。
ガリアの王女たる私が言うんだ、間違いは無い。
だからツアイツはレコンキスタの刺客に、本来なら重症で絶対安静なのに……
この馬鹿は、あんた達の為にゲルマニアとトリステインに援軍を呼び掛け、既に援軍は準備されているよ。
そして、私の所にも来たんだよ。
誇りに思いな!
この私の大切なド変態に凄いと言わせた事を。
気張りな!
この戦いは既に勝ち戦さね。
後は如何に完璧に勝つかだけだ!
北と南の軍勢は、私らが責任を持って潰してやる。
前だけ見ろ!
レコンキスタ本隊を潰す事だけを考えな。
既に約束された勝利は……
直ぐに掴めるんだよ!」
そう言って僕に抱き付いた。
ああ、男2人の演説はイザベラ様に喰われてしまった!
民衆はイザベラ様を称えている。
特に、あの原色の一団などオタ芸まで披露している……
「何て顔してるんだい?
アンタはオッパイ・オッパイ言ってないと駄目なんだよ。
急に真面目ぶっても皆が知ってるんだ。
ツアイツの凄い所は私が全て知っているから。
それで良いだろ?」
こう言われては何も言い返せない。
ウェールズ殿が最後に
「ガリアのイザベラ王女とゲルマニアのツアイツ殿に感謝をしなければな。
皆、聞いたな?
彼らの為にも、我らの為にもレコンキスタに勝つ!
そして、この勝利を2人に捧げよう。
身分の違う2人が幸せになれる様に!
序でに私は、アンリエッタ姫との婚姻は望んでいないからな。
誤解無き様に……
この戦いが終わったら、私も自らの手で伴侶を探すつもりだ!」
最後に、ウェールズ殿の本音を国民にまでぶちまけて終わった……
ウェールズ殿、そんなにアンリエッタ姫は嫌なんですか?
僕も散々、アンリエッタ姫に貴方と結ばれる方法を教えたのですが……
もう我々には必要ないですね。
私もウェールズ殿が気に入る様な、お淑やかな巨乳美人を探しますよ。
カトレア様とか、条件的には完璧なんだけどね。
僕の覚醒した漢のカンが、彼女を早く誰かに嫁がせろ!
って囁くんですよ。