昨日のシェフィールドVS烈風のカリンの挿話に続き今日はイザベラVSアンリエッタです。
昼の12時に定期更新も掲載します。
挿話30話対決ガリアVSトリステイン・王女の品格
シェフィールドVS烈風のカリン
この冗談みたいな取り組みが引き分けになった後、当然街を半壊させた責任は追求しなければならない。
では原因は何か?
アルビオン王党派の英雄で有るツアイツを害したカリンを咎め、シェフィールドから闘いを挑んだ。
先に手を出したのはガリア側。
しかし原因はトリステイン側。
喧嘩両成敗には心情的には難しい。
どう見てもトリステイン側に責任が有る。
どちらも我が国の為に、王女自らが軍を派遣してくれた。
これは彼女達の直接対話で決めて貰うしかない……
バリーは胃を押さえながら呻いた。
「ツアイツ殿、早く目覚めて下さい。
この様な修羅場は、老骨には身に染みますゆえ……」
バリーの願いは叶うのか?
SIDEイザベラ
未だに無表情なシェフィールドと応接室で向かい合わせに座っている。
あのまま闘わせては、勝敗のつく前にアルビオン大陸が壊れたかも知れない。
「どうなんだい、お母様?
あのままで勝てたかい?」
戦力比を確認しておかないと、最悪の時に決断が鈍るからね。
「ああ……
手強いわね、正直なところ手持ちのアイテムが少なかったわ。
あのままでは負けたかしら……
でも封印しているマジックアイテム類を出せば勝てる自信は有るわ。
最悪でも引き分けに持ち込めるわね」
よし!
あのババァはシェフィールドが抑えられる。
つまり後は純粋な国力の差だね。
ツアイツの病室にはアルビオンの近衛兵に守らせている。
その周りには気付かれない様にイザベラ隊を配置した!
トリステイン側からの接触は力ずくでも阻む。
後は私とアンリエッタ姫との直接対決だ!
でも素直に話し合いで済ますつもりは欠片も無いんでね。
私は意地が悪いからさ。
悪いがトリステイン側には、とことん泥を被って貰うよ。
先ずは根回しに侍従のバリーと話をしようかね?
シェフィールドに同行を求めようと思ったが……
何か水晶にツアイツの寝顔が写っている。
「これは、何だい?
ツアイツを監視してるのかい?」
「嗚呼、ツアイツ!
お姉ちゃんが側に居てあげなかったから、烈風のババァなんかに怪我を負わされて……
今度はしっかり見守るから平気よ」
何か逝ってしまった表情だよ……
いや、この状態の時に話し掛けるのは私でも危険だね。
放っておくか……
近くに居た兵士にバリーの所まで案内させる。
案内された部屋の中で胃を押さえて呻いてるね……
幸い死傷者は出なかったが、復興費用は莫大か。
「バリーすまないね。
私がもっと早く止められれば被害は少なかったね」
先に謝っておく。
破壊行為ではなく、止められなかった事を……
「これはイザベラ様。
いえ、イザベラ様の機転がなければサウスゴータは崩壊していました。
有難う御座いました」
此方に悪感情は少なそうだね、ヨシヨシ。
「トリステイン側からは謝罪は有ったのかい?」
黙って首を振るか……
下手なプライドは、時には悪影響を及ぼすよ。
「そうかい。
全く何様かね?
サウスゴータの復旧費用は私が持とうじゃないか」
なに、大した金額じゃないしヴァリエール一族に打ち込む楔になれば御の字さ。
「しかし私の一存では……
もう直ぐウェールズ皇太子も戻られますので」
確かに決定権は無い、か。
「いいんだよ。
迷惑をかけたのはウチも同じだ。
シェフィールドは内々だが、お父様の後妻になるんだよ。
だから醜聞はね……
それに市街地の復興は民衆の為に最優先だろ?」
どうする?
ガリアの王妃(予定)に罪は着せられないだろ?
しかも復旧費用は出すと言っている。
「ウェールズ皇太子……
随分とアンリエッタ姫に苦手意識を持っているんだろ?
この件で貸しを作りなよ。
他国で、他の国の王族と揉めたんだよ。
しかもレコンキスタの件では、大した活躍も無い。
逆に貢献したツアイツを家族間の問題とは言え怪我をさせたんだよ……」
そう囁いて部屋を辞した。
これでアルビオン側は私に付いたも同然だよ。
さて次はアンリエッタ姫と直接対決さね。
魔法は苦手だけど、外交はそうでも無いんだよ。
しかし他国の王女の部屋にいきなり押し掛けられないからね。
先に使者をたてるか……
SIDEアンリエッタ
周りの方々が、ヴァリエール夫人がツアイツ様にお仕置きをした報復に、ガリアの魔女から攻撃を受けたと騒いでいるわ……
マザリーニ枢機卿が、イザベラ姫に使者をたてて和解しろって煩いけど。
別に怪我をさせた訳でもないですし……
私がツアイツ様のお見舞いに行った方が誠意が伝わりますわ!
そうです。
ツアイツ様のお見舞いに行きましょう。
夕日が差し込む医務室に、私とツアイツ様の2人……
見舞いに来た私にツアイツ様は感激をして、そのままベッドに引き込む……
嫌ですわ!
困りますわ!
だって私にはウェールズ様も……
嗚呼、女の幸せが極まって逝くわ!
「ひめ、姫様……
アンリエッタ……姫……」
何かしら?
私の幸せな一時を邪魔する不届き者は。
「こほん。
無礼ですわよ、マザリーニ枢機卿……
女性の部屋に許可無く入室するなど……
無断で入って良いのは、その2人だk」
「アンリエッタ姫!
一大事ですぞ。
イザベラ姫から使者が来ました。
先程の件について話が有ると……
大丈夫ですか?
ガリアの才女本人が乗り込んでくるのですぞ」
「くすくすくす……
私には心強き殿方が付いているのです。
良いでしょう!
この部屋にお招き下さいな」
丁度良い機会ですわ!
ツアイツ様に少しばかり良くされたからと言っても、私とは積み上げた歴史が……
愛の歴史が違うのです!
思い知らせてあげますわ。
うふふ、うふふふふ……
「アンリエッタ姫、妄想はその辺で……
イザベラ姫がいらっしゃいました」
「あら?
時が過ぎるのは早いわね……
分かりました。
お通し下さいな」
確か竜騎士団団長のカステルモール殿でしたか?
彼と三人のメイドを引き連れてきましたわね。
こちらはマザリーニ枢機卿とアニエス隊長だけだわ。
ふん!
私の方が美人で胸も豊かで魔法の才が有りますわ。
「アンリエッタ姫かい?
単刀直入に言うよ。
アンタの家臣が私の旦那に怪我を負わせた上で、お父様の側近と戦闘を始めた件で、双方の確認をしておきたくてね」
あら、ガサツな姫ね……
本物かしら?
「貴女の旦那様など私は知らないわ。
何か誤解が有るのかしら?」
「ツアイツ・フォン・ハーナウ!
現在、私と婚前旅行中なんだよ。
知らないのかい?」
可哀想な姫ね……
ツアイツ様は私の為に尽力し、私の為にアルビオンまでいらしたのよ。
「私のツアイツ様と、貴女のツアイツ様は別の方なのね?
お可哀想に……」
「そうかい?
なら構わないよ……
私は私のツアイツと結婚するからさ。
アンタのツアイツは、何処に居るんだろうね?
そうそう。
烈風のカリンと戦った側近だけど……
実はお父様の後妻になるんだよ。
私も危なかったんだよ。
互いに怪我は無かったけどさ。
じゃヨロシクね!
アンタのツアイツにさ」
そう言って部屋を出て行ってしまわれたわ。
「私の勝ちね!
すごすごと帰りなさいな」
「ちっ違いますぞ。
何て事をしてしまったのですか!」
「そうです姫様!
ツアイツ殿は1人ですよ。
じゃなくて、今ガリアに喧嘩を売りましたよね?」
全く五月蝿いわね。
しかし世界は広いわね……
まさか同姓同名のツアイツ様がいらっしゃるなんて。
さぁお見舞いの準備をしなければ……
何処までもマイペースな姫様だった。