第177話
こんにちは!
ツアイツです……
病み上がりなのにキリキリと胃が痛いです。
そしてヴァリエール公爵が居る部屋まで来ました。
すーはーすーはー!
深呼吸をしていざr
「ヴァリエール公爵居るかい?
入るよ」
先にイザベラ様が部屋にノック無しで入る。
僕には出来ない芸当だ!
「これはイザベラ様。
今度は、どの様なご用件ですかな?」
ヴァリエール公爵の言葉が固い……
「ご無沙汰してます。
ヴァリエール公爵……
その、すみません」
「何を謝っているんだい!
怪我をしたのはツアイツだろ?
つまりは被害者だ。
もっとビシッとしなよ。
アンタは身内に甘いからこうなるんだよ」
イザベラ様がバシバシと肩を叩く。
「義息子よ……
先ずは座れ!
カリーヌの事は済まなかったな。
しかし、イザベラ様とその様な関係なら先に言って欲しかったぞ」
「その……
まさかイザベラ様にお会いする迄は、自分もこうなるとは思わなかったので」
実際には数回しか会ってないんだよね。
「まぁ私達は相性が良かったんだよ。
安心おし、別にルイズ達と別れろなんて言わない。
男の甲斐性だよ。
だけど第一夫人は私だよ。
ツアイツはガリア王家に婿入りだ!」
ヴァリエール公爵も呆気に取られている。
「それは有難う御座います。
義息子よ……
後で詳しい説明をして貰うからな」
ははははっ……
乾いた笑いしか出来なかった。
「一応断りは入れたからね。
私らは、これからガリアに行くから」
「ヴァリエール公爵、当初の予定通りレコンキスタは倒しました。
これからジョゼフ王に会ってきます。
イザベラ様は心強い味方です。
カトレア様の件は、ガリアから戻り次第で……」
其れではと、頭を下げて退出する。
次は父上とツェルプストー辺境伯か……
SIDEヴァリエール公爵夫妻
アンリエッタ姫の下からカリーヌが戻って来た。
顔にまだ井形を浮かべて……
「先程イザベラ姫が来られたぞ。
ツアイツ殿も一緒だ。
アレはイザベラ姫がベタぼれだな。
しかし、ツアイツ殿はジョゼフ王と会う時に味方になってくれると言った。
イザベラ姫攻略も、この試練の布石かも知れんな。
それが終わればカトレアの治療だそうだ」
妻は黙ったままだ……
「しかし、ルイズが……
ガリアの王女の方が本気なら……」
ルイズの幸せに問題が発生するかも知れない。
「ルイズ達には手を出さないと言っていた。
残念だが、本気になったイザベラ姫では我らでも相手になるか……
ここは義息子を信じよう」
「分かりました。
早く子供を仕込ませなければ駄目ですね」
兎に角、ヴァリエール一族との繋がりを強化させよう。
SIDEツアイツ
ヴァリエール公爵夫妻の部屋を辞して自室に戻る。
「ツアイツは甘いよ。
全く……
まぁそれがアンタの優しさなんだろうけど。
どうする?
私の部屋で休んで行くかい?」
「いえ、先にウェールズ殿に挨拶をしてきます。
少し相談も有りまして……」
相談と言う言葉に反応する!
「何だい?
私には相談出来ない内容なのかい」
少し表情に陰りが出来る。
「いえ……
僕とウェールズ殿は、アンリエッタ姫に狙われているので彼と連携をしておきたくての相談です」
イザベラ様が微妙な表情を浮かべる。
「あの姫様かい?
何とも話していて頭が痛くなる女だね。
アレは駄目だよツアイツ」
同性にまでダメ出しされてますよ、アンリエッタ姫……
「分かってます。
しかし一国の姫君です。
慎重な対応が必要です」
そう言ってイザベラ様と別れ、ウェールズ殿の部屋に向かう……
途中で近衛兵に止められるかと思ったけどすんなり通された。
部屋の前の衛士殿に取り次いで貰い中に入る。
「おお、心の友よ!
良く訪ねてくれたね。
此方から行こうと思っていたんだ」
ウェールズ殿が、暖かく迎えてくれる。
「ウェールズ殿、レコンキスタ討伐成功おめでとう御座います。
これでアルビオン大陸に平和が戻りましたね」
ガッチリと握手をする。
「この勝利はツアイツ殿のお陰だ。
我々はこの恩を忘れない」
「いえ、全ては王党派の方々の力ですよ。
僕は切欠を作っただけです。
この国の人々は素晴らしい!
勿論、ウェールズ殿もジェームズ王も……
僕は貧巨乳連合の教祖として、また友人としてお二人に上級会員の印で有る特製マントを贈らせて下さい」
周りの方々から拍手が沸き起こる!
「ああ、ツアイツ殿……
有難う。
僕と父上はテファたんのウェディングバージョンが欲しい。
あの乳を父上にも知らしめたい。
世界には、夢が溢れているのだと……」
テファのマントを2人が求めるのか……
何て皮肉なんだろう。
「分かりました。
会報でお二方の事を発表し大々的に贈呈式を行いましょう。
勿論、ご迷惑でなければですが……」
「迷惑な物か!
これは新生アルビオン王国の門出を飾る大イベントになるだろう。
皆も聞いてくれ!
我らが教祖と共に新生アルビオン王国は繁栄するだろう!」
周りの人々の熱狂振りが凄い。
今、サラッと我らの教祖とか言わなかったかな?
「それと、ウェールズ殿にご相談が……
アンリエッタ姫の事です」
急に大問題児の話を振られウェールズ殿も意気消沈する。
「ツアイツ殿……
私は、アンリエッタ姫の事が……」
「分かってます。
私達は彼女に狙われる獲物……
しかし、我らは肉食獣に狙われる草食動物では無いですよね?
対抗する牙を持っている。
違いますか?」
くっくっく……
邪悪な微笑みを浮かべる。
「おお、ツアイツ殿!
確かに我らは覚醒せし漢……
ならばどうします?」
「簡単ですよ。
アンリエッタ姫が率いるトリステイン王国軍に、さっさとお礼をするのです。
何、大して活躍してないじゃないですか?
金銭的なお礼でオーケーですよ。
因みに、ヴァリエール公爵夫妻にはアンリエッタ姫の助力はしない様に言質をとっています!」
ウェールズ殿とバリー殿が、ハッとした顔をする。
「確かに要求される前に、礼を尽くしてしまえば……
向こうからの要求は突っぱねられる、か」
力強く頷く。
「しかも残敵掃討だけですから、強くは言えませんよね」
「バリー、直ぐに国庫から資金を……
交渉は任せた!
して、ツアイツ殿はどう断るので?」
ニッコリと微笑む。
「イザベラ様と比べるまでも無いですから……
さっさとガリアに向かいますよ」
漢達は互いの成功を信じ、そして暫しの別れをかわした……
アンリエッタ姫、ザンネーン!