幸せワルド計画最終章挿話36・第四部
午後の日差しを浴びて、美少女(人妻)と向かい合ってお茶を飲む……
脇には巨乳メイドが控えている。
しかし美少女でも年上の人妻だし、エーファ殿は確かに巨乳美女だが私の趣味では全くない。
一連の話を反芻する。
しかし、アデーレ様の真意が計りかねたダッシュです。
「ジョゼットを養女に……
それはどの様な意味が?」
そう問うが、彼女は手に持ったカップに視線を落としたままだ……
何か思い詰めた表情にも見えるが。
「ツアイツ……
我が子ながら不思議な子。
あの子が本当に私を頼ったのは五歳頃までだわ。
それ以降は大人と変わらなかった。
波乱万丈の人生を生き急ぐ息子。
本来ならガリアに入り婿となるならハーナウ家を継ぐ新たな子を私は宿さなければならないわ。
でも私は、あの不思議な子を誰よりも愛しています。
何処か歪んだ出来の良い我が子。
だからこそ、これから大変なあの子の力になりたいのです。
血の繋がった息子や娘は不要……
何故なら家の存続の為に、ツアイツと距離をおいてしまう。
だからハーナウ家を上げて協力する存在が欲しい。
しかも有能な子が今すぐ欲しいのです。
ツアイツの力になってくれる子が。
ワルド殿はあの人も息子も認めた漢。
私から見ても有能だわ。
ならば、ジョゼットの婿としてハーナウ一族に迎え入れるのには意味が有ります」
貴族がお家存続よりも、我が子の為に全てを掛けるのか?
しかし本体はゲルマニアに出奔予定なのだ。
ハーナウ家と縁が結べるのは正直喜ばしい。
しかしそれは多分に問題が有る筈だ。
「しかし問題が有りませんか?
それは……」
言いかけた私を目で威圧する様に見詰める。
「…………」
今度はにっこりと無言の圧力を掛けてきた。
母の愛か……
きっと本体も母親に拘ったのは、こんな無償の思いが有ったのかもしれんな。
「分かりました。
それでジョゼットにはアデーレ様から話を?」
もはや毒を食らわは皿までだ!
「ええ。
私から話します。
養女の件とワルド殿との婚約の事を……
それでダッシュ殿にお願いが有ります」
勿論タダではないと思っていたよ。
何を求めr
「孤児院、不要ですよね?
勘違いしないで下さいね。
孤児院自体は良い行いですが、光源氏計画は不要ですわよね?」
バレているのか?
「そっそれは……」
「あの人にも困ったものです……
しかしワルド殿には私がお嫁さんを用意するのですから、不要ですよね?」
サムエル殿、本体すまん!
「ええ、孤児院の運営は行いますが光源氏計画は中止ですね。
本体の幸せの為ですから……
了解しました」
漢の夢、ハーレム構成員の育成の夢は潰えたか……
本体の幸せの為だから諦めよう。
サムエル殿と本体のハーレムの夢は……
だが、私は違う!
孤児院と光源氏計画のノウハウは、全て私の頭の中に有る。
それなりの資産も有る。
我が新天地に新しき孤児院を造るのは問題無い。
なに、サードとノンビリ造るさ!
なにせ我々は亜種の遍在……
故に生まれた時の容姿のままで、本体が生きている限り存在出来るのだ!
さて本体。
此処までお膳立てしたのだ。
後は上手くやってくれ!
SIDEアデーレ
我が子ツアイツの為に少しでも力になりたい。
そして、母の愛情を知らないこの子にも幸せを感じて欲しい。
そんな攻めぎ合う思いを抱きながらジョゼットを私室に招いた。
彼女には私の服が似合う……
今は幾つか譲ったワンピースを着ている。
淡い黄色のワンピース……
それを着た彼女は、緊張の為か両拳を握り膝の上に乗せてソファーに座っている。
表情も固い。
それなりに話した事は有るのですが、急な呼び出しに緊張してるのかしら?
「ジョゼット、よく似合ってますよ。
そのワンピース。
サイズも私と殆ど変わらないのね?」
そう微笑むと、少し気が楽になったのか緊張が緩んだ感じです。
「有難う御座います。
アデーレ様。
その……
私にご用意とは、何でしょうか?」
単刀直入に言いましょう。
「ジョゼット……
貴女、私の養女にならない?」
SIDEジョゼット
はぃ?幼女いや養女?
私が、アデーレ様の?
本当の両親にも捨てられた私を?
「あの……
それは、どう言う訳でしょうか?
私は、その……」
アデーレ様は、にこやかに私を見詰めている。
「貴女はツアイツが連れて来た娘だわ。
だから私は家族だと思っている。
でもあの子はガリアの王女と一緒になるの。
テファさんも向こうで暮らすでしょう。
寂しくなるわね。
それとジョゼット……
貴女の事をワルド殿が本気で好きみたいよ。
わざわざ私に相談に来たの」
ワルド(お父)様が?
私を異性として、好き?
「それと養女の話は?
ワルド様は私を本気で?
でも私は……」
「貴女の幸せの為には、強い男が必要よ。
ワルド殿はアレ(ロリペド)でも結婚の申し込みは多いの。
でも全てを断っているわ……
(相手が幼い娘なら迷うかも知れないけど)
聞けば貴女の為だとか」
ワルド(お父)様が結婚の申し込みを私の為に断っている?
確かに私はワルド様が好き。
でも、それは異性として好きなのかな?
それとも保護者として、父親として見ているのかな?
分からない……
でも……
でも、誰かに取られるのは嫌だ!
「……ゼット……ジョゼット?」
はっ!
まただわ、またボケッとしてしまった。
この癖は治さなくちゃ……
「少し、考えさせて下さい……」
直ぐには答えを出せない。
本当に分からないから……
「良く考えて下さいね。
それと結婚話は別としても養女の件も考えてね」
そう優しく微笑んでくれた……
私はお辞儀をして部屋を出るしか出来なかった。
本当は嬉しい。
優しい義母様に、逞しい旦那様……
決して手に入れられないと思っていた家族。
サムエル様もツアイツ様も立派な方……
テファさんは理想の姉。
本当に私なんかが家族になっても良いの?
分からない……
また失ってしまうかもしれないの。
今度失ってしまったら、私……
耐えられないかもしれない。
呆然と私室に歩いて行く途中でワルド様に会ってしまった……