挿話39・忘れがちなアルブレヒト閣下頑張る!
アルビオン王国で始まったブリミル教の司教がおこした武力反乱……
少し前からアルビオン王国は、我が国に対して外交を持ちかけてきていた。
内容は今までのブリミルの血を引くナンタラな高圧的な物でなく、対等な物だった……
その後におこる反乱。
直ぐさま対応したのが、ハーナウ一族だ。
オリヴァー・クロムウェルは美乳派を錦の御旗とし反乱をおこした。
それをあのオッパイ大好きな一族が黙っている訳が無かったのだ……
至極普通にヤツは戦乱の中心に収まっていった。
ツアイツ・フォン・ハーナウ……
不思議な小僧だ。
色事に関して言えば、精通して高々5年程度だろうにアヤツの紡ぎ出す萌えと言う世界観は凄い。
私室に設えた特別の本棚に目をやる……
豪華ガラス張り六段鍵付きの特注品だ。
スクエアメイジの固定化を何重にも掛けた逸品。
自分以外は決して触らせない特別な本棚。
ヤツも律儀に男の浪漫本の最新刊を献上し続けている。
しかも2部ずつ……
後宮を持つ俺が、思わず感化されてしまう位に多岐に渡る性癖の嵐……
ヤツは次々と他国の有力貴族と縁を結び、ハルケギニア全土に自身の趣味を広げていった。
武力でゲルマニア一国を纏め上げきれぬ俺を嘲笑うかの様にエロで国の垣根を軽々とこえるとは……
もはや完璧なオッパイ宗教だろう。
しかもガリアの王女をアイドルに仕立て上げ、仕舞には口説き落としたとか……
俺の信頼する密偵の報告でなければ笑い飛ばすところだ。
しかもロマリアから警告が来ている。
異端の疑い有り、か……
ホモの貴様の方が余程異端だろうに。
さてどうするか?
アヤツをロマリアに引き渡す?
バカな!
何のメリットも無い。
無駄にガリア・アルビオン・トリステインの反感を買うだけだ。
もはやブリミルの直系でアヤツの影響を受けていない国家は無い……
俺の打てる手立ては既にアヤツと、アヤツの紡ぎ出す世界に乗るしか無い。
まぁ良いか……
あの規格外な変態ツアイツのオヤジズが来るのだ。
どんな言い訳をするかが楽しみだよ。
今晩はどのシチュで夜を楽しむかを考えていると
「閣下、ツェルプストー辺境伯及びハーナウ伯爵が謁見の間にて待機しております」
侍従の報告が有った。
さて、漸く来たか……
では会いに行こうとするかな。
色々な思惑、今後の展開を考えながら廊下を歩き謁見の間に向かう。
部屋に入り2人を見てみれば……
今にも死にそうな顔だな、アイツ等は。
仕方ない。
労いの声でも掛けてやるか……
「ご苦労だったな!
バカなブリミル教の司教の捕縛は我らゲルマニアの手柄か。
連絡は既に入っているぞ」
取り敢えずは報告を聞こうか……
SIDEオヤジズ
「何だかご機嫌だな閣下は……」
「これからの話次第ではそうも言えないのだぞ」
オヤジ2人、アイコンタクトで会話する。
何時からだ?
こんなスキルを身に付けたのは……
「アルブレヒト閣下には、ご機嫌麗しく……」
「社交辞令など良い!
報告を聞こうか」
くっ……仕方ないか……
「レコンキスタの乱。
我らがアルビオン大陸に上陸した時点で、既に勝敗はついていました。
恐れながら、我が息子ツアイツがガリアの……
イザベラ姫と、アレでして……
その……」
くっ、何と言えば良いのだ。
懇意になっただと!
「アレとは何だ?
お前の息子はイザベラ姫と結ばれるそうだな……
信じられんな。
ガリアの狂王ジョゼフが許すとも思えないのだが」
既にご存知とは……
流石は閣下と言う訳か。
「それにつきましては、イザベラ姫より直接お言葉を貰っております。
正式にガリア王国として帝政ゲルマニアと外交を結び協議を進めると……」
我ら2人が呑まれてしまったんだよ、あの姫に!
「くっくっく……
良いわ。
確かにツアイツはガリアのイザベラ姫の婿になるのだろう。
アヤツの功績はデカい。
始祖の血を引いてないだけで見下していたヤツらを……
対等な立場で外交を結ぶまでに軟化させた訳だ。
アルビオン王国とは正式に婚姻外交を結ぶぞ。
ガリア王国も、イザベラ姫の配下が交渉に来るのだろう。
まぁ問題無いな。
トリステイン王国は……
どうでも良いな。
俺の2つの目標の内の一つであるゲルマニアの帝室に、始祖の血を入れる事が出来る。
このメリットはデカい。
それと……
そうだな、執務室に移動するぞ。
余り公にしたくない話が有るのでな」
そう言って、王座から立ち上がり自分の執務室へと行ってしまう。
慌て追い掛ける……
執務室に入ると、衛兵を扉の前に配置し
「サイレントとロックをかけろ」
そう言って自分は応接セットに座ってしまわれた。
2人して魔法を重ね掛けをする……
「終わったら、まぁ座れ」
先にソファーに座り、寛いでいる閣下の前に並んで座る。
「ロマリアの教皇から、こんな物が来たぞ」
机に放り投げたのは……
手紙か?
恐る恐る手に取って読み始める……
「こっこれは……
異端の疑い有り、か。
脅しでしょうな」
「閣下に命令調で、この様な物を……
これではまるで臣下に宛てた手紙ではないか!」
ロマリアの教皇め……
先ずは揺さぶりを掛けてきたか。
「閣下、これは……」
「相変わらず傲慢だな。
俺を家臣扱いか……
しかしアヤツがこれを予測してないとも思えないのだが?」
何か面白そうな物を見ている様な表情なのだが……
「閣下。
お察しの通りロマリアと言うか、現教皇及び神官達への対策は考えております」
そう言って、対教皇対策を説明する。
真剣に聞き入るアルブレヒト閣下……
「ふむ。
お前達親子の趣味を文化と産業に食い込ませる訳だな。
そして正しきブリミル教を掲げるか……
確かにアルビオン王国は、反教皇の下地が出来ているか。
ガリア王国はアイドルイザベラ姫が纏める。
なら我がゲルマニアはどうなのだ?
ツアイツがガリアに付きっ切りは不平等だろう?
それともサムエル、貴様が我が国の漢達を纏めるのか?
お前達の大好きなオッパイで」
ニヤニヤと我らを見ておられるわ……
「恐れながら、閣下は我が息子をどうなさりたいのでしょうか?」
話の流れでは、我がゲルマニアも対ロマリアな感じなのだが……
「貴様の息子の企みに俺も乗るぞ。
これを機に始祖の血を帝室に入れ、ロマリアの力を削ぐ。
俺のもう一つの目的。
オッパイ教でも何でも使って、ゲルマニアを統一するぞ!
ツアイツに目的が同じなら、こっちも手伝えと伝えろ。
何もガリアでなければ出来ない事だけじゃなかろう?
ロマリアがウザいのは我らも同じだからな。
良いな!
ツアイツのガリア婿入りは認めてやる。
ならば俺の為にも力を貸せ!」
嫁の国に他の婚約者も連れ込んで、あはは・うふふ!
の素敵なマスオさんハーレム付きライフを目論んでいたツアイツ。
しかし自国のトップから、こっちの面倒も見ろと言われてしまった。
しかし所属する国のトップが折衷案を提示したのだ!
まだまだ楽はさせて貰えない……