第189話
こんにちは!
ツアイツです。
現在カトレア様の治療が成功し、ヴァリエール家で歓待を受けています。
カトレア様は一応様子見で、僕とシェフィールドさんがヴァリエール領に居る間は実家に留まるそうです。
ルイズが手紙を出して呼んだキュルケとモンモランシーも、そろそろ到着の予定です。
ルイズをガリアに呼ぶ件は了承して貰えた。
キュルケはツェルプストー辺境伯に事情説明は終わっているから問題は無いだろう。
モンモランシー……
彼女の両親が問題だ!
しかし、アンドバリの指輪を水の精霊に返す件を持ち出せば説得出来ると思う。
現在の協力は一時的な物。
それを恒久的な物にする為には指輪が必要。
その指輪を探し出して返すのだから……
それに現交渉役のモンモランシーだが、頻繁に水の精霊とコンタクトを取る訳でもない……
多分何とかなる!
「ヨシ!
見通しはついた。
テファには、土下座で頼み込もう。
一年繰り上げだが、一緒に転入しよう!
って誘えば、学園生活に興味津々な彼女なら許してくれる筈だ」
勿論、エーファ達メイドズは全員連れて行く。
向こうで適当な屋敷を要塞化するつもりだ。
トリステインの郊外に買った屋敷の様に……
ロマリア密偵団対策も必要だし。
「忙しくなるな……
会報も発行再開しないと。
そうだ!
ガリアの販路の件も打合せが必要だし。
アレ?
呑気に学生生活出来るのかな?」
問題は山積みだ!
「ツアイツ、独り言が多くなったよ?
私だと手伝えない事なのかな?」
しまった、今はルイズとお茶してたんだ。
気が付けば、不安そうなルイズが此方を見ている。
「ごめんね。
僕らの幸せの為には、まだまだ問題は山積みだ。
しかし全く手立てが思い付かない訳じゃないんだ。
これから忙しくなるよ!
勿論、ルイズにも手伝って欲しい。
貴族が商売なんて?
と思うかも知れないが、市場を押さえるって事も経済戦争なんだ!
ただ魔法と剣で戦うよりも深くて難しい。
その分、ロマリアやブリミル教にも十分対抗出来るんだよ」
ルイズの頭の上に煙が立ち上るのが見える!
「経済と戦争が密接なのは分かるわ。
しかし宗教って大変なんでしょ?
トリステインでも、昔新教徒狩りが有ったって聞いたわ。
前教皇がリッシュモンに持ち掛けたんでしょ?」
うん、正しい指摘だ。
巨乳化したルイズはお馬鹿な娘に見えるが、座学は悪くないし理解力も行動力も悪くない。
「自国民を害さないといけない程、ブリミル教の影響は強い。
なる程、六千年の積み重ねって凄いよね。
でもレコンキスタの件で教皇は下手をこいた。
オリヴァー・クロムウェルをさっさと破門して公表しなかった。
あまつさえ捕らえられた彼の引き渡しをアルビオン王国に迫った……
ブリミル教自体でなく、現教皇と神官達をターゲットにするんだよ」
ルイズが目を閉じてじっくりと考えている。
「つまりブリミル教自体は排斥しないで、教皇と神官を責めるのね……
確かにブリミル教の神官達は良い噂は聞かないわ。
強欲だし傲慢よね。
私も嫌いだわ……
でもそれは何時もの事よ。
下手をこいたって、どういう事なの?」
「ブリミル教の成り立ちは、始祖ブリミルの子孫3王家と弟子の子孫の教皇。
現在の教皇は、聖なる王家に反乱を企てた!
弟子が直系の子孫にだよ。
しかも破門も公表せず、アルビオン側に助力もせず。
捕まえたら寄越せと言ってきた。
これはおかしい。
そしてアルビオン国内ではブリミル教の神官が企てた反乱で平民から王家まで迷惑をしている。
これは、正しい始祖ブリミルの弟子の子孫が行う行動ではない。
つまり今の神官及び教皇は、正しきブリミル教の教えを伝えていない。
此処までは解るかい?」
ルイズは「はい先生!」と挙手をして答える。
何故、生徒と教師?
「そして今の教皇ヴィットーリオは男の娘と言う美少年に女装をさせて悦に入る変態だ……
しかも聖歌隊二百人全員が彼の男の娘ハーレムの構成員だ。
さて、神官とは次代に教えを広めていく義務が有る。
なのに非生産的なホモ教義を周りに押し付けているし公表している。
この教皇は、正しきブリミル教の教えを広めているのかな?
はい、ルイズ君!
答えて下さい」
ビシッとルイズを指差す。
「はい先生!
ホモ野郎は氏ねば良いと思います」
即答です!
「……個人的感情で氏ねとか言ってはいけません。
しかし僕も同意見です……
さて、正解はブリミル教を信奉する神職としては失格ですね。
てか僕が言うのも何だけど、コイツ等おかしい。
何で公表するかな自分がホモだって!
しかも弟子より直系子孫の方が血が濃いし立場は上だろうに。
仕えた偉人の子孫と、仕えていた人の子孫……
どちらが偉いか分かるだろう。
これは民衆に対し、またブリミル教のマトモな神官達に現在の教皇はブリミル教のトップには相応しくないと思わせる事が可能だ。
だけど、それだけじゃこの六千年も染み付いた体制は変わらない。
さて、どうする?」
うんうんと考えるルイズ……
見ていて可愛いです。
「でも私達には、教皇を選出する手立てはないし……
ヘタに言うと異端認定されるわよ」
そう!
今まではそれが怖くて奴らがのさばったのだ。
何でタカが弟子の子孫がえばれるんだ?
「ここからが、対ブリミル教のキモだよ。
先ずは皆の意識改革だ。
別にブリミル教を否定する事はしない。
貴族にとっても始祖ブリミルはこの社会の骨子となる部分だ。
排斥は無理じゃないけど難しいし手間が膨大だ。
だから他に目を向けさせるんだよ。
巨乳派教祖の僕と、トップアイドルイザベラ姫……
そしてツェルプストー3姉妹やメイドズ。
関連する男の浪漫本にフィギュアの売れ行きは好調だ。
各地に生産工場を作っているよ。
彼らは、それらを買う為に僕らの工場で働く。
生活の安定、どんどん増えていく娯楽の供給。
経済のサイクルの中に、僕らの計画の中に、彼らの生活が浸透していく。
領内の関連工場、市場から税金が領主の元へ。
大切な財源だよね。
貴族達も自分の領地を潤す生産者と消費者は守りたい。
ブリミル教に反しているからって難癖をつけても、のらりくらりかわすよ。
既に社会の一部にまでなり始めているから……
それに僕らはブリミル教を受け入れている。
巨乳貧乳のオッパイ教義とは娯楽、性癖なんて個人の自由だ。
少しもブリミル教に反していない。
これを弾圧するのは、教皇ヴィットーリオが我らをホモに矯正する為の言い掛かりだと民意を誘導するんだ!
オッパイ教義に染まった人々……
つまり女好きなエロいお友達は、皆さん僕らの仲間で有り教皇に隔意を抱く。
誰だって趣味を否定し嫌がる物を押し付けられれば反発する。
これが、ブリミル教対策の基本方針さ。
最後は、我々の都合の良い人を教皇に推薦。
神官達が政務にまで携わるのを排除する。
緩やかにブリミル教は力を失っていくだろう。
序でに工作として、ロマリアからドンドン移民させるんだ。
国民がいなくなれば、国力が弱まるのも早いよね」
一気に話し終えて一息つく……
温くなった紅茶を飲み干すと
「「そんなに上手くいくのかしら?」」
突然声を掛けられ、扉の方に振り返れば……
キュルケとモンモランシーが立っていた!