第191話
おはようございます。
ツアイツです!
今朝は漸くトリステイン王国に居る婚約者達を説得し終わりガリアに出発する予定です。
流石にシェフィールドさんの我慢も限界でしょう。
遂にガリア王ジョゼフの年貢の納め時!
僕の安全の為にもヤンデレさんとストロベリる甘々性活を送って下さい。
ヴァリエール夫妻に挨拶をしてルイズ達とも暫しのお別れ……
新学期の始まる少し前にガリアで落ち合う約束をした。
僕はガリアでジョゼフ王の洗脳と言う治療の立ち会いをしてから、一度ゲルマニアの実家に戻ります。
テファとマチルダさんを説得し、皆でガリアに行く。
当然、エーファ達メイドズも同行させますよ。
何て濃密な夏休みなのだろうか……
挨拶の時に、カトレア様とエレオノール様のねっとりとした笑顔が気になりましたが、流石にガリアの王女と良い仲になってしまったのだから追撃は無い筈だよね?
ヴァリエール公爵邸を辞して恒例の馬ゴーレムでシェフィールドさんと二人乗りをしてガリア勢との合流場所まで向かう。
既に内々で、僕とイザベラ様の件はジョゼフ王の許しを得ているから……
それなりの護衛が付いてます。
具体的に言うと、ジャネットさん……
覗きに特化?した彼女は、僕では何処にいるのか不明なんですが、護衛してくれているそうです。
パカパカとゴーレムは整備された街道を歩く。
行きと同様に、長閑な田園風景だ……
修行時代から通い慣れたヴァリエール邸。
同然周りの農家の方も、僕を見知っている。
作業の手を休めて僕達にお辞儀をしてくれる彼らに片手で挨拶していく……
今思えば、素質はチートでも開花させてくれたのは間違い無くカリーヌ様の拷問(特訓)だった。
無茶振りするし、我が儘で強引で……
色々大変だったけど、感謝し足りないだろう。
「お姉ちゃん、ジョゼフ王との記憶変換ストーリーは出来ているの?」
毎回後ろに乗り、抱きついているシェフィールドさんに尋ねる。
「完璧よ!
ソフィアやジェシカにも手伝って貰ったから……
幼少の頃から現在に至る迄の半世紀以上に渡る愛の遍歴。
シナリオで言えばvol.40かしらね?」
シナリオ?
vol.40って40冊分?
「お姉ちゃん……
僕も人間の脳については詳しくないけどさ。
そんなに大容量の記憶操作をしたら、ジョゼフ王の脳が焼き切れないかな?」
シェフィールドさんの体が強張るのを感じる。
「脳?焼き切れる?
どうかしら……
誰かで実験した方が良いかしら?」
何とも物騒な解決策をボソリと言いましたね?
「余りに大量の記憶操作は危険な気がするよ。
枝葉の部分は後回しにして根幹の部分だけにしてみたらどうかな?」
「根幹?どんな?」
ジョゼフ王が発狂したら大変だからね。
安全策で行こうよ。
「出会いから大きなイベントを幾つか……
そのジョゼフ王と結ばれた記憶や彼から告白された事。
結婚の約束をしたとか……
その辺のイベントを掻い摘んで操作してみたら?
細かいのは何時でも書き換えられるでしょ。
あとシャルルの記憶は綺麗に消してね。
トラウマ治療を忘れたら本末転倒だよ?
でも、そうすると安定する迄はワルド殿とアンドバリの指輪が必要か……」
ワルド殿をガリアに監禁するか?
しかし、何かお礼を用意しないと駄目だよね。
などと対策を練りながら話していると待ち合わせの場所に着きました。
「ツアイツ殿、お待ちしておりました」
「ツアイツ様遅いですよ。
早くガリアに向かいましょう!」
カステルモール殿とジャネット殿だ。
ブリュンヒルデも居る。
それと何人かの竜騎士団達……
「お出迎え有難う御座います。
ではガリアに向かいましょう」
そう言った途端にブリュンヒルデが僕をくわえて背中に放り投げると、カステルモール殿を掴んで飛び立った!
アレか?
ヤンデレ状態のシェフィールドさんを乗せた事が、そうとう嫌だったのかな?
トップスピードと爆走?爆飛行?している。
僕は彼女の首にしがみ付くだけで一杯一杯だし、カステルモール殿は何かを叫んでいる……
この分なら待機している空中船につくのは直ぐだろう。
SIDEジャネット
突然、ブリュンヒルデが乱入するとツアイツ様を強制的に背中に乗せると主人を掴んで飛び立ったわ……
「あの……
自分の主人は序でに足で捕まえて飛んで行ったわよ?
アレ?
……私達も追いましょう!」
慌ててブリュンヒルデを追う……
様に竜騎士団にお願いする。
彼らはジャンケンで私とシェフィールド殿を誰が乗せるかで争っている。
美少女だから誰でも乗せたがるのね?
美しさは罪!
何故かしら「まだ白黒の方がマシ!」とか「ヤバい相棒の制御がきかねぇ」とか聞こえたけど……
心の安寧の為にスルーする事にした。
本当に竜騎士団達は私の扱いが悪い!
いくら私でも、乙女なんだから泣きたくなる……
今度ツアイツ様に泣きながら相談しよう。
きっと女の涙に弱いから力になってくれるハズ。
そして誰が乗せるか決まったのは、それから十五分後だった……
SIDEツアイツ
ブリュンヒルデの猛ダッシュで空中船に着いてから、床にへたり込んで一休みする。
来た方の空を見れば……
アレ?
誰も追ってこないよ?
幾らブリュンヒルデでも視界から居なくなる程のスピード差は無い筈なのに……
振り向けば、カステルモール殿がブリュンヒルデに説教をしていた。
ブリュンヒルデは欠伸をしたり首を振ったりして反抗している。
彼女からすれば、ヤンデレさんを乗せる事自体が有り得ないんだろう!
目が合うと、自慢気に胸を張っているし。
きっと「どうだっ!」って感じなんだろう。
軽く手を振って彼女の健闘を称える。
そして船長に挨拶する為に船内に歩いて行く。
でもね、ブリュンヒルデ……
神の頭脳ミョズニトニルンの不条理とは、アイテム次第でどうにでもなるんだよ。
「お姉ちゃん、船長に挨拶に行こうか?」
ゆらりと空間が歪み、シェフィールドさんが現れる。
「そうね、急ぐようにお願いしないといけないわね」
にっこりと微笑まれた。
「お姉ちゃん、本当に転移魔法教えて欲しいな」
主に緊急脱出用に……
「いいわよ。
でもマーカーの設定箇所が限られるから、ツアイツでも使える物だと……
常にお姉ちゃんの所に転移だけど構わないわね?」
えっ?
何その不条理設定!
はははははっと笑って誤魔化した。
つまり僕には、シェフィールドさんはマーカーを設定してるんだね?
呼べば応える秘密を知ってしまいました……
さて、気を取り直して!
次はいよいよジョゼフ王の記憶操作だ!