第193話
おはようございます。
ツアイツです。
現在ガリアに軟禁されています。
諸問題が解決する迄は国外移動不可だそうです。
ジョゼフ王の洗脳は驚く位に順調でした。
国内及び各国にシェフィールドさんを王妃に迎える事が通達されました。
身元も不明な女性を公式に王妃に迎える……
普通なら難しい事ですが、王宮内でシェフィールドさんとジョゼフ王の仲は周知の事実。
この馬鹿ップル振りに正面から物申せば……
権力で粉砕される事が明らかです。
国が割れる?
治世が乱れる?
公式に政務については、イサベラ様が一任されました。
そしてツンデレアイドルの派閥は最大!
中央では半ばこの結婚については黙認されています。
当然ですが、反対派も居ます。
地方領主や中央から追放された貴族連中等は不満を募らせていますね。
まだまだシャルル派閥だって生き残っている。
しかし御輿たるオルレアン夫人やシャルロット様は公式に死亡扱い。
軍関係者は僕とイサベラ様が押さえている。
時間は掛かるけど、国家統一は難しくはない。
ジョゼフ王はシャルル派閥の粛正の時も強権を発動した!
民衆からは恐ろしい人物と、狂った王と思われている。しかし今回は、惚れた女性と一緒になりイサベラ様に国を徐々に譲る考えが有るんだ……
そう言う噂を僕が民衆に意図的に流した。
彼らはイサベラ様の善政を知っている。
彼女の力が強くなり、ジョゼフが第一線から退くなら万々歳だ!
そんな風に誘導した……
中央の貴族が説得を諦め民衆は支持をしている。
他国は色々と
特にロマリアが聖なるブリミルに連なる一族に不浄の血をナンタラ……
とか言っていたが、袂を分かつ予定なのでジョゼフ王も聞き流している。
「純血の後継者ならイサベラとその子供が継ぐ。
今更、俺の子が新たに産まれても権力争いの、災いの元だろう。
だから血統が悪い方が良いんだ!」そう言って煙に巻いた。
シェフィールドさんも我が子にガリアを継がせたいなんて思ってないから、これは理由としては一応筋が通るのかな?
アルビオン王国は国交は順調です。
帝政ゲルマニアはイサベラ様が主体で交渉を進めている為、こちらも問題無し!
トリステイン王国は……
アンリエッタ姫が騒いでいますが、王宮としては国内の有力貴族の娘が僕に嫁ぐ事になるから、そんなに反対雰囲気ではないみたいです。
しかし先のレコンキスタの乱で民衆の支持を集めた彼女が何か仕出かさない様に注意が必要です。
ロマリア……
うん、表に裏にと反対されてます。
結婚式にはブリミル教の司祭が必要だから揉めるでしょう。
ジョゼフ王は後妻で有り第一線を退くから司祭は必要無し!
そう公言した。
もうロマリアと徹底抗戦の構えです……
僕らの時は、体面を整える為に反教皇派閥から最上位の司祭を呼ぶ考えです。
その頃には、ロマリア国内で対立させる予定だから何とかなるか……
現実逃避は此処までにして、今抱えている問題に向き合う。
「ツアイツ、長々と現状説明ご苦労様だね。
さて私達の問題はコレからだよ!
どうするんだい?
あの気持ち悪いお父様を……
まだ前の方がマシだよ」
イサベラ様がご立腹です。
非常に怒っていらっしゃいますね。
バンバンと机を叩きながら力説しています。
「僕にはどうにも……
しかしイサベラ様は、お姉ちゃんと同盟を結んでいますよね?
知ってますよ。
結果がアレです……
受け入れて下さい」
彼女の目を見ずに、そう言い訳をする。
ジョゼフ王……
まさに馬鹿ップル的な存在です。
リアルなロミオとジュリエット。
又は宝塚的なオスカルとアンドレ。
宣言通り政務放棄状態で、毎日が甘くて切なく頭が痛い状態だ!
「……知っていたのかい?
確かにお母様と呼んでやるとは言ったよ。
しかしあんなに魔改造するなら言っとくれ!
恥ずかしいんだよ……」
そう言って、真っ赤になりながら俯く。
思わず「可愛いなぁ」と言って抱き付いた!
「ばか……
私達まで馬鹿ップルにならなくても良いんだよ」
僕の胸に顔を埋めながらボソッと呟く……
此方も端から見れば馬鹿ップルだ!
「お父様、本当にあの女にメロメロだよ。
危険だね、洗脳技術は……
本当に封印出来たのかい?」
確かに人格が変わる程に洗脳されちゃ堪らない。
しかし、基本的な部分は変わらなかった。
主に世界を自分の玩具的に思っている事。
シャルルの悪夢は消えてもホモ教皇は大嫌いな事。
そして悪魔的に有能だ……
ただ、その思いがシェフィールドさんに向いている事で他の事を考える暇が無いだけだ……
「洗脳には2つの指輪が必要なんだ。
一つはラグドリアン湖の水の精霊に返したし。
もう一つはテファが持ってるから。
テファは兎も角、水の精霊にはちゃんと管理しろって念を押してあるよ」
実際に湖の最深部に分身と言うか見張りを付けて守っているそうだ。
「毛色の違う単なる者……
感謝しよう。
願いが有れば叶えよう」
返した時にそう言っていたので、しっかり管理しろって念を押した!
だから平気だと思う。
「ツアイツはやっとゲルマニアに帰れるんだろ?
アルブレヒト閣下と交渉が終わるまではガリアから出さなかったけど、既に正式な外交を結んだから問題ないからね。
流石に2人共国を離れられないから私は残るけどさ。
いや全く、今までは1人で切り盛りしていたけど2人だと楽だね。
じゃ無事に帰って来てね」
暫し抱き合ってから、離れる。
「なるべく早く帰って来ますから……」
こうしてレコンキスタ反乱終結から2ヶ月後に、漸く実家に帰る事が出来た。
勿論、両用艦隊旗艦プリンセス・イザベラ号に乗ってだ!
レコンキスタとの戦いで、この戦艦は第一線で戦った。
後日、イサベラ様と僕がガリア王国の先発隊として増援に向かったと捏造した発表をしたんだ。
お留守番の替え玉シャルロット様は大変だったらしい。
彼女のトラウマは成人男子の奇態……
そして通常イサベラ様の周りには変態だけ!
幾ら母親の治療の為とは言え、辛かったらしい……
ちゃんとオルレアン夫人が治療出来て良かった。
因みにオルレアン夫人は、僕とシャルロット様の仲を誤解していたみたいだ。
後日、僕とイサベラ様の仲を知って軽くパニクったみたいですよ?
では、ゲルマニアへ……
テファとマチルダさん、そしてエーファ達を迎えに行きますか!