第194話
おはようございます。
ツアイツです。
久し振りの我が家の私室のベッドで目が覚めました。
見慣れた天蓋付きのベッド……
もう何年も使っている、柱の模様やキズ場所も記憶している馴染み深いベッド。
暗がりに馴れてきた目で見回せば、右隣にはテファとマチルダさん。
左隣にはナディーネ。
足元にはエーファ達が居ます。
乱交ではないですよ!
昨日帰宅してから、これまでの行動を……
戦争に関わった事、戦後の処理それにカトレア様の治療に……
タバサと母親の件は秘密だ!
などを色々と説明して、これからの展開の話をしていたら深夜になってしまい……
有耶無耶の内に雑魚寝状態となりました!
僕の隣を確保したナディーネを見ながらしみじみと思う……
転生して五歳で記憶が蘇り最初は、そう!
原作には介入せずにルイズやサイト達、原作キャラに任せるつもりだった……
ゲルマニアと言う原作では余り語られなかった国の、貴族の嫡男として生を受けたから。
貴族の特権を生かして酒池肉林の、お気楽極楽転生ライフを満喫しようと考えていたんだが……
しかし、蓋を開ければ結果はコレだ!
原作介入どころか、原作開始前に粗方のイベントは達成してしまい残るはロマリアのみ……
しかも対ロマリアの手立ても既に準備している。
もはやこの物語の中心にドッカリと居座ってしまった……
まだ原作の開始前、来年だよ春の使い魔召喚儀式は。
ナディーネの反対側で寝ているテファが、身じろぎしながらムニャムニャ言っているので見ると……
うん、デカい。
仰向けでも双子山は今日もご立派に健在だ!
形が崩れず聳(そびえ)え立つ双子山に、そっと毛布を掛けてあげる……
思えばテファには不誠実だったな。
幾ら助けたとは言え、婚約者となり……
そして次々と婚約者を作り、最後は本妻をイサベラ様と決めてしまった。
しかし笑って
「構わないです。
一緒に居てくれるだけで良いんです」
なんて言われてしまった……
胸の前で組んでいた手は震えていたが。
うん、もうハーレム要員は増やしませんから。
因みにマチルダさんは
「ちゃんと私達に構ってくれれば良いです」
とかなり拗ねていた。
こちらは目尻に涙が……
胸を押さえて倒れそうな、申し訳ない気持ちになりましたよ。
彼女は復讐を諦め、盗賊家業から足を洗いハーナウ家の諜報部門で活躍してくれている……
そう言えば酔って襲って来たから、返り討ちにしたんだっけ。
翌日に能面の様なエーファが、愛人手当の申請書を持ってきたんだ。
アレには焦った!
だって情事が筒抜けみたいだったし……
足元に固まっている残りのメイドズを見る。
もう既に家族と同じ感覚の彼女達。
先輩メイドの三人と後輩メイドの二人。
流石にヴァリエール家から来た20人のメイドさん達には手を出していない。
何人かは寿退社しましたよ。
この年で本妻(予定)の他に側室4人、愛人6人か……
もう十分だろう。
僕の転生ライフは十分に成功した!
お気楽ではなかったが、極楽な転生ライフだ。
現代で暮らしていたら不可能だろう、この環境は。
また眠気が襲ってきた、ボンヤリとした頭で考える……
体内時計では、多分午前4時頃だろうか……
室内は魔法で温度調節がある程度出来る。
過ごしやすい適温に調整されている……
無駄に、ではないが凄い技術だ。
体はまだまだ睡眠を求めている……
もう少し眠ろう。
目が覚めて、これが夢でない事を祈りながら……
二度寝から覚めると左右にテファとマチルダさんが、がっしりと僕の両腕をホールドしています。
ああ、エーファ達が居ないのはメイドとしての仕事が有るからか……
カーテンから差し込む日差しから判断するに、もう既に日は昇っているのだろう。
僕がもぞもぞと動き出した為か、義理姉妹も目を覚ましたみたいだ。
「おはよう、ツアイツ様。
まさかテファにイヤラシい事はしてませんよね?」
起きがけ一番の台詞がソレですか?
いえ、全くの無実です。
その双子山を拝んで毛布を掛けただけですから……
「していません!
さて、朝食が済んだら荷造りを始めましょう。
ガリアで新生活を始めますし、テファは途中からの編入だけど学院生活が始まるんだよ」
さぁさぁ支度をして下さいと急かす。
テファは母上からの花嫁修行で、ある程度の学業も修めている。
彼女は努力家だから、フォローをすれば問題無いだろう……
そして、彼女が求めていた沢山の人との触れ合いを。
普通の生活……
とは少し違うけど、楽しい日々を送る事が出来る。
「おはようございます、旦那さま。
マチルダ姉さん、何を騒いでいるの?」
ムニャムニャと目を擦りながら起き上がるテファ……
低血圧かな?
朝が大変弱い娘です。
しかしブラジャーをしていないのに、その盛り上がる双子山ってどうなの?
少しだけ女体の神秘を想像する、デヘヘ……
「さぁ私室に戻って支度をして下さい。
今日の午後には出発しますからね」
キリリとした真面目な顔でテファとマチルダさんを送り出す。
入れ替わりでシエスタ・ソフィアのタルブ村コンビが、僕の着替えや洗顔用のボール等を用意してくれる。
ビバ、リアルなメイドさん!
ビバと言えば……
ビバ、オッパイ!
ヤバい、デルフをガリアに置きっぱなしにして来ちゃったよ。
影薄いから、あのインテリジェンスえろソードは……
転生前では絶対に有り得ない、専属メイドさんに着替えを手伝って貰い身嗜みを整える。
ガリアに行けば暫くは帰れないだろう私室を見渡す……
見慣れた風景、使い慣れた机……
しかし、部屋の一角には作りかけのフィギュアや男の浪漫本が所狭しと溢れている。
「あの一角だけを切り取れば、現代の僕の部屋と変わらないな……
貴族でメイジに生まれ変わったのに、何故かね?」
自分は自分!
転生してもスケベは変わらないって事かな。
妙に感慨深げな気持ちになってしまう。
「まだまだコレからだ!
頑張るか!」
自分と自分の周りの大切な人達の幸せのために……