第195話
ガリア王国の主都リュテュスの魔法学院。
流石は始祖の血を引く子孫達の中で最大国家だけの事は有ります。
伝統と格式(だけ)を重んじるトリステイン魔法学院との違いは……
国力の違いによる潤沢な資金が有るのだろう、その建物は威風堂々としています。
石造りの落ち着いた外観の校舎……
絡み付く蔦が永い年月を経た風格を滲ませてます。
これから通う事となる学院の建物をしみじみと眺めながら思う。
ゲルマニアのハーナウ家を出発して2ヶ月……
遂に完全な原作剥離になる、まさかの主要キャラ全員ガリア入り。
春の使い魔召喚の儀式ってガリアの魔法学院もやるのかな?
てか、虚無なルイズが呼び出す彼は本当に来るのか?
「ツアイツ?
学院の正門前で何を考え込んでいるんだい。
さっさと入るよ」
「ツアイツ……
最近、何かトリップ癖が付いてない?
本当に平気?」
「ツアイツ?
疲れているなら今日はやめる?」
いかんいかん!
つい別世界にトリップして皆に心配されてしまった。
これではジョゼットの事を笑えないな。
「だっ大丈夫だよ。
ちょっと立派な建物だなぁ……
って関心してただけさ。
さぁ行こうか」
改めて周りを見渡せば、我々は注目されている。
まぁ当たり前か……
その国の王女と他国の婚約者達を引き連れて……
しかも護衛騎士団も周囲に展開している。
カステルモール殿とジャネット殿は、当然の如く左右に居るしイザベラファンクラブや竜騎士団も居る。
これは過剰防衛と取られても文句は言えなくないか?
知らない内に出迎えに来てくれた魔法学院長の引きつった顔は、生涯忘れられないだろう。
「ようこそ、我が学院にいらっしゃいました。
歓迎致します。
さぁさぁ此方へ」
学院長の案内により、学院内部に案内される。
途中で窓から此方を伺う生徒達が
「アレが巨乳教団の教祖と巨乳巫女達か!」
「我が学院にツンデレ様が!
有り難や有り難や……」
「あの金髪ロングの娘の胸スゲェ!
アレって、まさかテファたんか?
本当に実在したんだ!」
「てかアイツが次期ガリア王なんだろ?
チクショウ羨ましいぞ!
モゲやがれ」
一部からネットスラングらしき物が聞こえたが、殆どの生徒は僕らの素姓を知っているのだろう。
まぁ王女が来るのだから、事前に準備やら説明が有るのが当たり前だ。
アンリエッタ姫の時だって一時訪問でアレだった。
この学院に通うとなれば、もっと厳しいだろう。
応接室に案内された僕らは、そこで学院長から簡単な説明を受けてから担当教諭を紹介された。
学院長も担当教諭も目の下に隈が出来ている。
我々の受け入れ準備は大変だったのだろう……
「これから苦労を沢山掛けてしまうと思いますが、宜しくお願いします」
そう頭を下げたら、偉く恐縮された。
「ツアイツ!
王族は無闇に頭を下げないんだよ。
ツアイツみたいに仲間との関係を大切にする奴には面倒な生き物なのさ……」
達観した顔のイザベラ様に言われました。
その後は簡単な確認事項などを取り交わし、担当教諭に案内されて教室まで来ました。
「ここが今日から君達のクラスになります。
案内しますので自己紹介をして下さい」
そう言って先に教室に入る。
アレか?
呼ばれたら教室に入って自己紹介の流れか。
この辺は、どんな世界でも変わらないんだな。
なとと考えていたら
「では教室に入って下さい」
と声を掛けられた。
順番的には、イザベラ様・僕・ルイズ・キュルケ・モンモランシーそしてテファって並んで居る。
貴族順位なら、王女・新参王族・公爵令嬢・辺境伯令嬢そして伯爵令嬢か……
因みに乳並びなら、ダントツでテファ・キュルケ・ルイズ・モンモランシー・イザベラ様だろうか?
皆さん発育が大変に宜しいので順位変動も有りかな……
先ずはイザベラ様だ。
威風堂々としているな。
「イザベラだ。
まぁまさか学院に通えるとは思わなかったんだが……
宜しく頼むよ」
うん。
生徒達も真剣に聞いている。
内容はフランク過ぎる気もするが……
「それとコイツが私の旦那で、向こうは側室達だ。
最初に言っておくが、下手なチョッカイは死を覚悟しな。
お前達も下心満載で寄ってくる連中には気をつけな。
特にテファ!
天然なアンタが一番心配だよ。
断っておくが、彼女達にも固有のファンクラブが有る。
下手に手を出すと、彼らを敵に回すと思いな!」
自身が強力無比なファンクラブを持つだけ有り、説得力が有る。
しかし、僕らの自己紹介って必要無いかも?
こうして僕らの楽しい学院生活が始まる!
なんて思っていた時期が僕にも有りました。
「ツアイツ!
この案件だが、どう思う?
フィギュア制作工場の誘致が来てるよ」
イザベラ様の執務室でせっせと仕事をしています。
「今は工場の増設は……
職人の教育が追い付いてないので不可ですよ。
品質を落とす事になりますよ」
「まぁ巨額の富を生む男の浪漫本やフィギュア関連の生産工場は信頼のおけない領地には建てられないか……」
「それよりも、既存のギルドとの調整が……」
最近は、仲良く執務室に籠もる日々を送っています。
他の婚約者達……
ルイズ達は、リュテュスの魔法学院に随分と馴染んだそうだ。
初日にイザベラ様が一発カマしたせいか、学院や両親の教育の賜物か……
彼女達の学院生活は、それなりに落ち着いた物だ。
彼らは貴族の子弟達。
王族関係者との距離の取り方や接し方も弁えている。
残念ながら僕とイザベラは……
一緒か又は交代かで仕事をしているので、余り学院には顔を出せないでいる。
良くて週に2日位だ。
基本的には寮生活なのだが、一度も泊まった事はない。
どうもジョゼフ王とシェフィールドさんの馬鹿ップル振りが酷くて、周りは政務は若夫婦に全てお願いね!
みたいな流れだ。
実際王宮での僕の扱いは、その方向で固まった。
「前は私1人で頑張ってたんだよ。
でもツアイツが来てくれたから虚無の日は休めるし、学院にも週に2日は顔をだせる。
本当に感謝してるよ」
彼女のお日様の様な笑顔を守る為にも頑張らないとね。
実は郊外に屋敷が買ってあって婚約者達と、あはは、うふふ!
そんな甘い甘い生活を考えていたんだけどさ。
現実は何時も予想を上回るものだ……
ジョゼフ王とシェフィールド王妃はラブラブで政務を完全放棄中。
毎日が甘酸っぱさ満載のラブラブ振りを発揮。
昨日は2人で街に買い物に繰り出し、演劇を見てから私室に籠もりっきり。
今日は2人で朝から馬で遠乗りに出掛けた。
明日からはガリア国内を視察を兼ねた旅行に行くそうだ。
でも幸せな彼女の顔を見ると、ジョゼフ王に仕事をさせようとも思えない。
暫くすれば落ち着くだろう……
だから、今日もイザベラ様と2人で執務室で仕事中だ。
いつもこの変態小説を読んで頂き有難う御座います。
いよいよ明日で一応の完結です。
明日は6時と12時の二回更新します。
では最後まで宜しくお願いします!