最終話・ツアイツ君のお気楽極楽転生らいふ?(前編)
おはようございます。
ツアイツです。
今日は僕の1日を紹介します。
ここは王宮の中に設えた僕の部屋です。
大国ガリアの政務は膨大!
如何にジョゼフ王が、何もしなくても国が動く様な仕組みを作っても結局は承認するのはトップ。
しかも承認するからには責任も発生するので、案件の裏を取ったり検証したり……
中々大変なのです。
折角郊外に建てた屋敷には、虚無の日にしか帰れません。
その日は学院で寮生活をおくるテファ達が戻ってくるから……
普段は王宮に缶詰め。
毎日イザベラと仕事に忙殺されている。
今日は午前中は政務。
午後からは、建設中の巨乳神殿のと男の浪漫本ファンクラブ本部に顔を出して、イザベラファンクラブの会合に参加。
夜は久しぶりに屋敷に帰れるだろう。
明日は虚無の日でお休みだから、一息つけるかな。
布団にくるまれ微睡みながらも、頭の中で大体の今日の予定を組み立てると起き上がる。
「おはよう、イザベラ。
朝だよ」
隣で気持ち良さそうに寝ているイザベラを揺する。
もうイザベラを様付けでは呼んでいない。
自分の奥さんに敬語を使うなと叱られたから。
そして貴族の義務として、早く世継ぎを作らないといけない!
だから毎日一緒に寝てナニかを頑張っています。
昨夜も攻め過ぎて気を失う様に眠りに付いた彼女だから……
「うーん、もう朝なの?
あっ!
ツアイツの、ばか!
朝は私が起こしてあげたいのに。
毎晩気を失うまで激しくするから……
ばか、ばかばか!」
シーツを目元までたくし上げたイザベラが真っ赤になりながら文句を言う。
起きがけは何時もこうだ!
彼女のオデコにキスをしながら
「早く子供が、皆の中で一番最初に男の子を妊娠する迄、ルイズ達とニャンニャンしちゃ駄目だって言ったのはイザベラだよ」
これには理由が有る。
僕は次期ガリア王!
しかしガリア王家の正当な血筋はイザベラ。
そして次の王は、当然イザベラの子供でなければならない。
僕が他の女性と作った子供では駄目なのだ!
ガリア王家の歴史が途絶えてしまう。
第一子はイザベラが!
それも男子が生まれる迄は頑張らねばならない。
「正妻、側室に関係無く世継ぎとなる男子は私が懐妊しなくてはならない。
だから私が妊娠する迄は、あんたらオアズケだよ!」
そうルイズ達の前で宣言したイザベラに、周りが文句を言うかと思ったけど納得していた。
多少は不満顔だったけど。
多分この辺は現代人との習慣の違いなのか、家を守る王族・貴族の義務なのか……
少し拗ね気味のイザベラを伴い食堂へ。
ジョゼフ王とシェフィールドさんも既に席に着いている。
ジョゼフ王は今朝もゲッソリしシェフィールドさんはツヤツヤだ。
僕らも毎晩頑張っているのに、向こうはもっと激しいのかな?
「おはようございます。
義父上、シェフィールドさん」
シェフィールドさんを義母上と呼んだ時の顔……
アレを見てはもう義母上とは呼べない。
「ツアイツ、私は何時までも貴女のお姉ちゃんが良いの……」
物凄く落ち込んだ顔で、そう懇願された。
だからシェフィールドさんかお姉ちゃんと呼ぶ。
公式の場では仕方がないが、それでも恨めしそうな顔をされてしまう。
「おはよう、ツアイツ。
良く眠れたみたいだな」
ジョゼフ王が栄養補給の為か、朝からニンニクタップリのステーキを食べている。
てか精力のつく物が多く食卓に並んでいる……
いや、それしか並んでいない。
「義父上、今日のご予定は?」
席につくと同時に、僕の前にも料理が並べられる。
此方はサラダにパンケーキ、それに卵料理など普通だ。
「ツアイツ、私達は遠乗りしてきます。
初めて出会った場所へ……
留守を頼みますよ」
「ああ、あの森に行くのだな。
イザベラ、ツアイツと宜しくな……」
アレ?
あの捏造の森って、実在する場所なの?
「分かりました。
楽しんで来て下さい」
そう言うと、お姉ちゃんは艶っぽく微笑みジョゼフ王は体が栄養素を求めているのだろう。
黙々と食事を続けている。
そんなジョゼフ王を舐める様に見詰めるお姉ちゃん。
その様子を見て、胸の辺りを押さえるイザベラ。
朝から砂糖を吐きそうだよね……
熱々で甘々な義両親だが、お姉ちゃんの幸せそうな顔を見れば何も言えない。
イザベラも最初こそ騒いだが、今は諦め切っている。
これがヤンデレを極めたって事なんだな……
下手すると被害が此方にくるから、好きにさせています。
午前中の税務は問題無く終わった……
政務と言っても僕の主な担当は対ロマリア絡みと、男の浪漫本絡み。
つまり今迄と余り変わらない。
それに優先度の低い物をイザベラが頼んでくる。
但し優先度は低いとは言え数は多いし、慣れれば段々と重要な案件を振ってくるだろう。
この辺は、アレな父親の為に幼い頃から政務に携わっている彼女の独壇場だ!
やっぱ有能だよ、僕の奥様は……
デルフは、鍔を鳴らしながらもう一本のインテリジェンスソードと話している。
「地下水」
イザベラが所有していたインテリジェンスナイフだ。
デルフと同様に、ちょっと漢の妄想を注ぎ込んだら……良い意味で壊れた。
今では2本で、エロ談義に花を咲かせている。
日がな一日、エロトークだ……
「お前ら、五月蝿いんだよ。
駄エロ剣がぁ!」
「姉さん、そりゃないぜ。
俺らの出番はコレだけなのに!」
「姫さん、俺の出番はコレで終わりかい?」
仕事を終えて2人で昼食を採る。
少し休んだら、巨乳神殿の視察だ。
ガリアの主都リュテュスの郊外に建設中の巨乳神殿……
実は巨乳神殿とは通称で有り、本来は僕達の屋敷だ。
ただ、周りは巨乳教祖の僕と婚約者達を巨乳教の教祖と巫女だと思っている。
だから、僕らの集う場所は聖域だそうだ。
そして隣には、貧巨乳連合本部が建設中だ。
因みに貧乳部門本部は、ゲルマニアのウィンドボナに建設中している。
此方は父上とワルドズが主体となり事業展開をしている。
ワルド殿はハーナウ家に養子に入ったジョゼット殿と電撃結婚。
引き止めるアンリエッタ姫以下の貴族連中を振り切り、爵位を返上してウチに来た。
アンリエッタ姫は、かなりのご立腹だったらしい。
何故か例の演劇の招待状が届いたが、保留にしている……
行っても代理を立てる予定だ。
てか、「真夏の夜の夢」って公演準備出来たのか?
ワルド殿には父上が新たな爵位を用意し、帝政ゲルマニアの貴族として新たな性活を初めている。
グリフォン隊から、家を継げない次男三男達が何人か一緒に付いて行ったそうだ……
彼らは貧乳教団で働いている。
ガリアからもカステルモール殿が……
エルザを伴い出向中です。
母上とエルザ、そしてジョゼットを擁した貧乳教団の活躍は凄まじい物が有る。
アルブレヒト閣下が、自らクレームを言ってくる程に……
閣下は巨乳好きだから、ゲルマニア=貧乳の聖地扱いが嫌だそうだ。
国費で巨乳教団支部を建てるから人員(アイドル)を寄越せ!
って煩いのです。
ツェルプストー辺境伯が新人発掘に動いてます。
そうそう!
貧乳ツンデレのベアトリスちゃんが、イザベラを通じてプロデュースを申し込んで来た。
クルデンホフ大公国も、この流れに取り残されては不味いと思ったんだろう。
元々は商業国家であり、後ろ盾のトリステイン王国がヤバいのを感じているのだろう。
コレを機に、男の浪漫本産業に食い込みたいんだな。
彼女には、貧乳教団のアイドルとして売り出す。
既に彼女をモデルとしたフィギュアの試作品も完成。
会報に予告も載せた。
一度ゲルマニアでイザベラの親善を兼ねたファンの集いを開いて、そこでデビューさせる。
さてガリア王女の妹分としてデビューさせたら……
トリステイン王国はどう動くかな?
ヴァリエール公爵が、何やら暗躍を始めたんだ。
「暫くトリステイン王国で騒ぎが有るが、関与しないで欲しい」
こう連絡が有った。
つまり騒ぎはこちらで抑えるから心配するな。
そしてガリアやゲルマニアからの介入は待って欲しい。
そう言う事だろう……
今のトリステイン王国はボロボロだ。
ワルド殿が魔法衛士隊の隊長を辞し、グリフォン隊からも賛同者が同行してしまった。
アンリエッタ姫は演劇の件で、王立劇場の関係者と揉めている。
やはり準備期間が短かったのだ。
無理強いしても、出来ない物は出来ないだろう……
ウェールズ皇太子や僕宛てに、招待状も先走って出したからね。
劇場関係者に叱責したけど、彼らにも言い分が有りパトロンも居るんだ。
パトロン達の面子も丸潰れだからね。
これは、かなり揉めるだろう……
ヴァリエール公爵、まさかヴァリエール王朝を興すつもりかな?
エレオノール様がノリノリらしいが、カトレア様も暗躍してそうで怖い……
最終的には烈風のカリンが、国家相手にも力押し出来るから厄介なんだ。
あのチート義母上は……