完結後リクエスト外伝・帝政ゲルマニア・秋葉原化への道(後編)
ヴィンドボナ郊外に新築された巨乳神殿。
時代の先端を突き進む、若き漢達の情熱と妄想の産物!
己の性癖を具現化した建物……
正式名称は
「漢の浪漫本ファンクラブ・ゲルマニア支部」
だが、彼らの中では巨乳神殿だ!
ツアイツ監修の下、ツェルプストー辺境伯とハーナウ伯爵の領地から精鋭達を集めて、僅か2ヶ月で作り上げた漢達の夢の城……
神殿建設の傍ら、キュルケ達ツェルプストー一族の女性達がモデル宜しく訓練に励んだ。
準備万端整えた今日の御披露目には、ハルケギニア初となる本格的なファッションショーになるだろう……
完成記念の御披露目には、アルブレヒト閣下を始め帝政ゲルマニアの主要な貴族達が列席!
噂を聞きつけた、アルビオン王国のウェールズ皇太子も招待する前に問い合わせが有った。
彼はアルブレヒト閣下の娘(達)と正式な婚姻を結ぶ為に、帝政ゲルマニアに国賓として招かれた。
既に閣下とは、打ち解けた雰囲気で雑談をしている。
この様子は、周りの連中も伺っている。
対外的にも国内の貴族達にしても、ゲルマニアとアルビオンの繋がりは強固だと認識しただろう。
アルブレヒト閣下の企みの1つは成功だ!
後は親アルブレヒト派ではない連中と、貧乳大好きな連中への対応だ……
この御披露目には、閣下に良い感情を持ってない連中や過激な貧乳派も居る。
棲み分け論をイマイチ理解してない、困った連中だ。
まさかオッパイでテロ行為は行わないと思うが……
組織が大きくなれば、膿の様な連中も出てくるから注意が必要だ!
◇◇◇◇◇◇
いよいよ御披露目の始まりだ!
先ずはアルブレヒト閣下からのお言葉を頂く。
壇上に立ち、周りを見渡すように首をグルリと回す……
「諸君!
我が帝政ゲルマニアが、ハルケギニア中に誇るべき施設が完成した。
俺は、この神殿の完成と共にアルビオン王国との婚姻外交を行う!
この会場に、アルビオン王国のウェールズ皇太子も駆け付けてくれた。
アルビオン大陸は、先のブリミル司教の反乱により一時は危険な状態だった。
しかし……
不死鳥の如く蘇れたのは何故だ!
それは国家のトップの決断による物だ。
かの国は、浮遊巨乳大陸となった。
ならば!
俺の国はどうする?
それは、巨乳と貧乳の棲み分けの地とするのだ!
断じて帝政ゲルマニアは、貧乳の聖地では無い。
だけでは無いのだ!
此処に帝政ゲルマニアは、貧乳・巨乳の棲み分けの地を宣言する」
そう言って、閣下は演説を締め括った!
観客の反応は凄まじい物だった。
彼らはアルブレヒト閣下が貧乳派閥を蔑ろにして、自分の好きな巨乳派閥で固めるのでは?
と危惧していた。
しかし国家のトップが棲み分け論を宣言した。
流石は貧巨乳派教祖を2人共擁する国だと!
いがみ合う勢力を共に認め合う関係にしようと!
全てのオッパイを受け入れる度量を示したアルブレヒト閣下の株は鰻登りだ!
会場が割れんばかりの歓声の中、いよいよキュルケ達の御披露目が始まった……
◇◇◇◇◇◇
場内に扇情的な音楽が流れる……
ライトの魔法を改良したスポットライトが壇上を照らす!
そこには肌は極端に晒さないが、体のラインを強調したデザインのドレスを着込んだキュルケが現れる!
会場からキュルケコールが始まる。
彼女はゆったりと、それでいて強烈な色気を醸し出す仕草で客席の中央に設えたステージを歩いて行く……
観客は、彼女の仕草を漏らさず見ようとガブリ寄りだ!
そんな観客席に、纏っていたショールを投げ入れる。
皆の視線が集中するソレは、アルブレヒト閣下の手元へ……
皆のため息が漏れる。
主祭巫女キュルケ!
彼女のデビューは鮮烈を極めた……
その次は、ツェルプストー一族から紅い髪の三姉妹の登場だ!
ヘルミーネ・イルマ・リーケのツェルプストー三姉妹が順番にステージに現れる。
元々彼女達は、フィギュア
「紅い髪の戦女神シリーズ」
他で人気が合った!
しかしカタログ販売のみで実物の彼女達に接する機会が無いに等しかったのだが、今回は巨乳巫女として公の場に現れた。
その情報は事前に会報で流れていた為か、この機会に是非ともお知り合いに!
そんな気持ちを持った漢達が多く詰め掛ける。
ステージでは、お色気満載の彼女達のパフォーマンスに皆が釘付けだ!
ヘルミーネ達も、それぞれのフィギュアの衣装を纏い皆の歓声を受けている。
◇◇◇◇◇◇
ステージの成功を確信してから、舞台の袖から主賓の席に挨拶に行く……
「閣下……
どうでしょうか?
今回の御披露目ステージは?」
満足気にステージ前の特設席に座ったアルブレヒト三世に話し掛ける。
「うむ!
俺の国なら、やはりコレだな。
皆も満足してるだろう?」
周りを見渡しながら答える。
貧乳派の連中もステージを見て、それなりに楽しんでいるみたいだ。。
「閣下……
巨乳派閥の連中の取り込みは、上手く行くでしょう。
彼らは、この神殿を中心に勢力を伸ばします。
しかし……」
棲み分け論を宣言した閣下だが、彼の理想を理解しない連中との反発が生じる可能性が有る。
特に一部の貧乳派閥は不満そうだ。
彼らは閣下の言葉を信じきれず、このまま貧乳派が粛清されるのかと危惧している……
「周りに居る不機嫌な連中の事か?」
やはり気が付いているのか……
閣下に対する小さな不満だが、纏まれば大きな不満に発展する。
「そうです。
貧乳と巨乳は表裏一体・光と影……
どちらかが欠けても、その真価は発揮されません。
それをご理解した閣下の棲み分け論宣言。
流石としか言いようが有りません」
しかし全ての漢達が、その崇高な志を理解しては居なかった。
「……だが、どうする?
お前には考えが有るのだろう?
俺の国、帝政ゲルマニア……
お前なら、どう纏め上げる?」
「閣下の巨乳神殿は大成功です。
ならば貧乳の方にもイベントを行い、閣下がそれを推奨する。
つまり棲み分け論を宣言したならば、次は貧乳派閥への配慮を明確にして双方の取り込みを行うのはどうでしょうか?」
一方にだけ偏るから、反発が生まれる。
ならば、双方楽しくやれば良い。
「そうだな……
貴様のオヤジなら何か考えているのだろう?」
ステージを見詰めているが、気持ちはその先を見据えていた。
「アルビオン王国、ガリア王国……
国交は成功です。
もう1つの国とも国交を結びませんか?」
「もう1つ?
トリステイン王国か?
あの国との外交にメリットは無いな……」
「違います。
イザベラが仕込んでいる娘が居るのです……」
「トリステイン王国以外……
そうか!
あの商業公国か」
「クルテンホフのベアトリス姫殿下……
中々のツンデレ妹属性かと……」
ニヤリと笑うツアイツ。
それを同様の笑みで返すアルブレヒト閣下……
彼らの帝政ゲルマニア秋葉原化計画は、始まったばかりだった!